横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【サッカーにおける4つの局面、その現在地について by いた】 about [2017-J1-17] 横浜 2 v 1 大宮

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真理ちゃんに追随する形になった大宮戦の印象とか。
行けなかったのでたまにはちゃんと振り返る。

・前半の印象

行けるときには前から、奪えなければ一度引いてセットして守る。リスクは最小限、大宮戦らしい静かな試合。 立ち上がりこそプレス回避に使った長いボールがうまく繋がらず相手にペースを握られるも、時間と共に落ち着きを取り戻した感。
決定機は少なく、スコアレスはフェアな結果。

・印象に残ったプレー/31分

深い位置でプレスを掛けられるも、少ないタッチでテンポよくボールを動かし、最終的にサイドを変えてマイボールを維持し相手を「下げさせた」。

蹴ってリスク回避もできる、立ち上がりはそうだった。ただ、正確なワンタッチプレーの連続でプレスを回避できたことでマイボールを維持できる。繋ぐ力の進歩を感じられたシーン。

前半、流れの中での唯一の決定機はシティメソッド的なボランチのサイドに飛び出す形から。
右サイド、金井→まなの繋ぎの中で、アプローチに出た和田が空けたスペースに中町が流れて、右サイドを崩し切る。中央への折り返しはわずかにウーゴに合わず。

左はあまじゅんが出ていく形がよく見られたけど、右でもいい形が出来たのはポジティブ。次節以降を考えても。

・後半の印象

前半に比べて、オープンな展開に。
後半立ち上がりはねじを巻き直した大宮が前から追い、圧力を掛けてくるも、しっかりと凌ぐ。全体の距離が少しずつ広がる中で待っているのはカウンターチャンス。オープンな展開は横浜の"トリデンテ"が生きる。

・印象に残ったプレー/59分

佑二さんのパスがウーゴに収まったところからカウンター発動、並走する左のマルちゃんへ、まなが中から左にダイヤゴナルに走り目線を引き付ける、右にはウーゴがフリー、選択肢二つ、マルちゃんは中央へ仕掛けアプローチを巧みに外して鋭く左隅へ低い弾道のシュート!

バスケの三線速攻のような形、マルちゃんの素晴らしいドリブルシュート。シュートスピードもコースも抜群。
マルちゃんの個の魅力が存分に発揮されたシーン。

で、まなのアクションも素晴らしい。
中から左に流れるランニングでDF4枚の視野、身体の向き、動き、全てをまなが走る方向に引き付けた。そこでマルちゃんが切り替えしでアプローチを外してDFの流れとは逆に。マルちゃんの一騎当千のようなプレーだけど小さなアシスト。

このプレーのみならず、横浜はカウンターうまくなった。
今までなら、まっすぐゴールに一直線、相手を外せず、結局…みたいなことも多かったけど、まなのコースチェンジによるスペースメイクやDFの引き付け、そしてマルちゃんの個としての打開、結果として大きなチャンスに出来る。これもまた進歩。

後ろの耐久力と前の攻め切る力、今の横浜の強み。
「前半、0で終われれば」というチームの共通理解は、ピッチの状況がオープンになる後半は「トリデンテ」がやってくれる、という流れを見越してのこと。

だからこそ前半はリスクを抑え気味に、落ち着いてゲームを運びつつ、ボールを動かして相手を走らせ、後半に仕留める。勝ちパターンが見えてきた。

・印象に残ったプレー/68分

なかや…じゃなくて、山中くんの追加点。
ビハインドの展開での大宮の攻撃移行、マテウス・奥井が一気に攻め上がろうとしたところでのパスのズレのミスが起点、この時点で相手の右サイドを担う選手は不在。奪ったところから打つまで、余裕があったことが勝因かな。

そしてミサイルのような弾道、戸田さんの解説にもあったけど、軽めに振ってもボールの「芯」を捉えるとあんな凄いのが飛ぶ。ボールが伸びていくような鋭い軌道、キーパーの手を弾く。まさにゴラッソ!素晴らしいシュートでございました。

・印象に残ったプレー/失点後の振る舞い。

サイズのミスマッチを突かれて追撃された後、大宮かなり勢いもって来られたけど、どつきあいに付き合わず、ゲームを落ち着かせ、時計を進めようとしたこと。4-4のブロックを形成した上で少しラインを上げて、ボールを持ったらロストを避けるポゼッション

清水戦とか、川崎戦とか、は決してそうじゃなかったと思う。イケイケ、結果オーライ。オープンだし、相手攻めにきてるし、スペースあるからね、チャンスも出来る。実際、結果を出した訳で行きたい気持ちもわかる。競争原理が高まっている今、一人一人結果が欲しいという側面もある。

ただ、リスクを取るべき時と時間を使うべきとき、というのは絶対に使い分けが必要。勝つためにやっていること、最後まで勝つための最善を尽くす。
サッカーの摂理としていつか痛い目を見る。その辺が改善されたこともまた進歩。選手間で話し合いがあったのかな、とてもいいこと。

今後を見据える上でポイントになりそうなのは、エリクのコメントから。

「サッカーにおける4つの局面全てにおいて我々のプレイスタイルのディテールを詰めてきいたい。どの試合でも発揮し、より自信を持って戦えるようにしたい」

サッカーにおける4つの局面

・自分たちがボールを保持して攻める局面
・ボールを失った瞬間の「攻撃→守備」の切り替えの局面
・相手がボールを保持し守る局面
・ボールを奪い攻撃に転じる「守備→攻撃」の切り替えの局面

出来ていること、出来るようになったこと、質をあげようとしていること、そしてもっと突き詰めていくべきこと。
今後チームが更に質を高めるための指標となりえる。

①相手がボールを保持し守る局面

これは元々出来ていること。中央を締め、外に追い出し、集中力高く、相手の前を塞ぎ、身体を張るべきときに張る。伝統の耐久力。新戦力にもその機微は伝わり、一人一人がその伝統を担ってる。

②ボールを奪い攻撃に転じる「守備→攻撃」の切り替えの局面

出来るようになったこと。マルちゃん、まなのスピード豊かな両ワイドのクオリティを活かしたカウンターアタックは横浜のストロングポイント。又、その武器を活かすためにスムーズかつ逡巡なき攻撃移行が浸透し、カウンター機会を増えた。

個の力はもちろんのこと、この試合で見えたまなのランニングのようにカウンターを完結させる工夫も増え、スコアに繋げられるようになった。今やマルちゃんやまながスピード豊かに攻め込むシーンはスタジアムの華。後は、決定機を仕留めることか。

③自分たちがボールを保持して攻める局面

質をあげようとしている横浜が苦手としていたポゼッション、しかし着実な進歩はこの試合でも見られた。ワンタッチプレー、サイドハーフへのサポートの距離、扇原貴宏の本格化によって大きな展開や鋭い楔など改善の跡が見えるだけに今後更に質を高めていきたい

④ボールを失った瞬間の「攻撃→守備」の切り替えの局面

もっと突き詰めていくべきところ。横浜は失点数はリーグ最少ではあるが、被シュート数はワーストに近い。そこで攻撃から守備への切り替えの質を高め、相手の攻撃頻度自体を下げることは突き詰めていってほしい。

「数秒」のハードワークの徹底、追い方の工夫、強度。リトリートとの使い分け含めて、まだふわっとしているというか、なんとなく、感はある。
また、高い位置でのボール奪取が増えればショートカウンターにもつながる。

結果が出ている中で、今後もポジティブに取り組み、各セクションのクオリティを高めていけば、更に未来は開ける。
齋藤学の爆発という更なる「推進剤」も残している。一試合一試合大事に、着実に、積み上げていきたい。