横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【この2ー1は神戸戦の2ー0よりも「強い勝ち方」だ!確かな成長の手応え示し5連勝!この3戦、瓦斯戦⇒神戸戦⇒大宮戦の手応え充実感ハンパない。 by 蒼井真理】 about [2017-J1-17] 横浜 2 v 1 大宮

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

リーグ17節アウェイ大宮戦。4連勝3連続完封で臨む鬼門NACK5。「暫定5位と15位」「ここからは下位クラブとの連戦」とか関係なし。今のマリノスに勝点3が計算できる相手などない。常に挑戦者の姿勢を忘れずに――八王子からむさしの号で大宮へ

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アウェイ大宮戦のスタメン

FW ウーゴ
MF マルティノス、天野純、学
MF 扇原、中町
DF 山中亮輔、朴正洙、中澤、金井
GK 飯倉

SUB:杉本大地、ミロシュ、松原健、喜田、渓太、前田直輝、敬真

スタメンは前節と変わらず。ベンチにミロシュと喜田が復帰

負傷離脱は全治約2ヶ月の勇蔵、伊藤翔仲川輝人原田岳の3名は復帰間近か

喜田が3試合の負傷欠場から復帰しベンチ入り、代表から復帰のミロシュも。ダビは外国籍枠の関係でメンバ外

今年も歓迎されてます

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氷川神社への参道を歩いてNACK5へ向かうのが好きだ

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大宮駅から徒歩20分、NACK5に到着

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アウェイ側マリノスゴール裏

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NACK5大宮。メインSS前売り5500円。俯瞰厨には高さが足りないしチケット確保がいささか面倒なので、あんま好きな箱ではありません。なんとか最後列を確保しましたけど

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「今は約20人のフィールドプレイヤ全員に試合に出る資格と可能性がある。レギュラ選手であっても怪我や代表や出場停止で一度チームを離れ、その間にチームが良い結果やパフォーマンスを見せれば、戻るのは難しくなる。原則として良い状態にあるチームは変えないつもりだ」エリク監督

フィールドプレイヤのアップ開始

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「両SBもその時々で状態が良い選手が試合に出る。それぞれ持っているクオリティは違う。例えば山中亮輔は神戸戦で素晴らしいプレイからアシストした。私がSBに求めるのは良い守備とオーバーラップだ。出場停止明けだった松原健は出番がなかったが、近くまたチャンスがあるだろう」エリク監督

「順位よりも勝点で今の立ち位置を考えるべきだ。現在の勝点は昨季2ndステージと同値で、私が開幕前に想定していた数値より多い。昨季からの継続・発展性という点でも良いことだ。ただチーム状態は常に変化する。今のメンバの組合せで最も良いバランスを探すことを常に考えている」エリク監督

「大宮は最近勢いを取り戻しつつある。特にボールを持った時に特徴があるので、個でなく組織で対応しなければならない。一方で失点が多く、ボールを失った瞬間の守備には問題がある。いずれにせよ大宮が相手だから何かを変えるのではなく、我々のスタイルを発揮したい」エリク監督

「個人で試合を決める、自分1人の力で局面を打開するのがテーマ。神戸戦はもっと積極的に仕掛けるべきだった。フル出場を続けて最低限のパフォーマンスは出せていると思うがそれでは満足できない。欲張りになっている。今はもっと上へ行くためにチャレンジしている。だから充実している」天野純

――ああ、とてもいいコメントだなあ天野純。欲を出して行こう「俺はもっとやれる」と思える時にしか選手は伸びない。今の自分を超えて行こう。チャレンジしてのミスは全然構わない。ボランチよりトップ下の方が、リスクも採れるしな

アウェイ大宮戦の注目ポイント

・瓦斯戦、神戸戦の手応えは本物か
・まだ信じ切れてないw
ボランチ2枚とDFラインの距離感
・フィルタ機能、リスク管理
・まだ確信を抱けない
・あの距離で大宮にもやれるのか
・中町と扇原のマネジメントに注目
・ここで強い勝ち方したいなあ

大宮スタメン 4ー1ー4ー1。アンカMF15大山啓輔の両脇をトップ下の天野純、インサイドに絞ったマルティノスや学が上手く活用できるか。あるいはSB金井や山中亮輔のインナラップ。ジャスールはベンチスタート

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ピッチにビッチが

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アウェイ大宮戦のビッグフラッグとトリコロール・バンデーラと家族愛

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5連勝と更なる高みを目指して。まだ「中位の上位」勝ち続けよう。鬼門NACK5何するものぞ

アウェイ大宮戦、間もなくキックオフ!

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今日はボランチの距離感をチェックしたいから、できるだけ試合中の tweetは控えめに

前半8分経過。ボランチ2枚はバイタル埋めて全体的にリトリート&ブロック優先。自陣ビルドが引っ掛かり気味なこともあり、前からくる大宮をやや受ける形の立ち上がりに

10分経過して互いにまだシュートゼロ

前半12~17分はマリノスのポゼッション、ペースに

大宮はGKのキックがかなり不安定

ファーストシュートは前半23分、大宮の大前元紀エリア内。DFブロック。マリノスは未だにシュート無し

前半22分以降は、ポゼッションはマリノスだけどカウンタ狙いでチャンスは大宮――な流れ。イーブンな展開。シュート数は少ないが塩ではない

扇原が今日も素晴らしく攻守に効いている

前半32分経過してシュート0:1だが、なかなか質の高いゲーム。互いにリスクトライある充実の内容

前半34分、最初の決定機は大宮の江坂任エリア内フリック気味のシュートは枠外。DF陣一瞬ボールウォッチャ

マルティノスが凄く守備を頑張ってくれてる。その代償として推進力不足にも

両チームにとって初のCKはマリノス

前半38分、マリノスのファーストシュートは天野純のCKからファーサイド中町公祐のヘッド枠外

限りなく右CKに近いFK獲得

前半43分、学が引いて受けて駆け引き。開けたスペースに入り込んだ中町へパス。フリーで抜けて低いクロス。ニアでウーゴ、DFに寄せ潰され打ち切れず。良い攻めが右サイドでも

前半46分、扇原の縦に降り落とすフィード! ウーゴがボレーで狙うがオフサイド

前半終了、横浜0ー0大宮。シュート2:2(枠内0:0、エリア内2:2)決定機0:1。CK&FK3:2。スタッツ寂しい数値も内容充実。互いに繋ぎ崩す意欲強く、ロスト瞬間相手陣内で奪い返しに行くトライも。マリノスは慎重だが、ボランチ2枚は守備面リスクトライも。リトリートのみではない

瓦斯戦と神戸戦の手応えは、かなり本物(疑い深いw)しかしボランチ2枚の意欲的な守備リスクトライは至極当然ながらリスクもある。2つほど中町と扇原がリトリートでなく縦方向の狩る守備選択して去なされ、DFラインが後手に回るピンチの芽も。でもだから楽しい試合になってる

コレやった上で勝ちたい。まずリスクトライの成果を奪って速攻のチャンスに直結したい。うんまあ、それだけじゃないんだけど――受け身にならないズル引きしない効果。でもやっぱコレをスタイル、強みにするにはリスク以上のリターンを分かりやすい形で得て、且つ勝利しなければ。欲をかいて行こう

学はいろいろ受け方を工夫してるけど、マルティノスよりは前残りしてるしもっと前にゴリゴリ運んだり違いを出さないとダメー。生みの苦しみ頑張ってキャプテン

ハーフタイム、ミロシュのPKショー再びw

さあ後半。更なる勇気あるリスクトライを。そして確かなリターン収穫、ゴールと勝利を持ち帰ろう!

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後半14分、速攻から3トップで先制! ウーゴがシンプルにマルに叩き、学が中で引っ張りコース作りマルティノスがまさかの右足でゴール左スミにコントロールショット! マリノスがこの試合最初の決定機で先制!

今日こそ「強い勝ち方」してえなあ。畳み掛けてセットプレイから追加点。あとは試合を壊す

後半23分、まさかの山中亮輔ミドルで追加点! 強い勝ち方キタキタキター!

大外で金井と学が2枚余っているのにキツめの角度からミドル選択してブチ込む山中亮輔の強心臓。マリノス初アシストの次の試合で初ゴール! 乗ってきたー!

あとはリスク管理しつつ、大宮に気持ちよくやらせない勢いを与えない事を最優先に、交代枠も使いながら更に選択肢の拡充を。喜田の復帰試合には最高のシチュエーションが整った

後半32分、FKから失点。ゴール前スクリーンプレイでマーク剥がされるマリノスあるある。2ー1、再び1点差に

この大宮の勢いを削げるか

大宮に勢いはあるが、マリノスの選手たちは落ち着いている。大丈夫

自陣ちんたらポゼッションで大宮の勢いを削ぐ。ゲームのテンションを落ち着かせる。大人の選択

後半39分、ウーゴ⇒富樫敬真

どちらかと言えば前線の限定守備強化狙い

天野純が落ちて3ボランチ気味に守る形も生きてるし、学もサイドの守備を頑張る

でたー金井の姑息な時間稼ぎ!

試合終了、横浜2ー1大宮。トータル決定機4:5。連続完封は途切れるも、この2ー1は神戸戦の2ー0よりも「強い勝ち方」だ! セットプレイからの被弾後も慌てず落ち着いてゲームの流れをコントロール。確かな成長の手応え示し5連勝!

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私的マンオブザマッチは鮮やかミドル追加点が決勝ゴールの左SB山中亮輔! あの一振りだけでなく、今日は自分の背後のスペースケア、クロッサに対する粘り強い対応など守備面でも確かな手応えを見せてくれた。落ち着いた受け捌きにも味。決してゴールだけでない、トータルの貢献と実効性高し

私的マンオブザマッチ2人目は2試合連続で左WHマルティノス。見事な先制ゴールはまさかの右足ゴール左スミを射抜く。守備での貢献、献身も高み安定実直。多くのカウンタ好機で前線ポイントとなり、攻守両面で実効性がチーム内とてつもなく高い。不在は痛いが、代表でも活躍を!

もちろん扇原貴宏はここ数試合、安定してチーム3番目くらいには素晴らしい。あとは分かりやすいインパクトある結果だけなんだけど、それを除いたベース部分の貢献ではチーム随一と言っていい。素晴らしいし、試合毎に着実にこなれて良くなっている

この3戦、瓦斯戦⇒神戸戦⇒大宮戦の手応え充実感ハンパない。最高に右肩上がりな成長曲線を描きリーグ戦を折り返した。チーム全体で確かな上積みがある。底上げがある。そして個々にも組織熟成にも、まだまだ伸びシロが大きく残されている。たまんねぇ……積み上げ厨には今が一番幸せな時だょ…

中澤佑二、リーグ140試合連続フル出場。前人未到フィールドプレイヤの新記録達成おめでとうございます! FKから菊地光将のヘッド被弾は中澤さんのマーク担当だった気もしますが、終盤のクロスからピンチにはしっかり身体寄せてミートさせず。勝って祝えて良かった良かった

今日の大宮は普通にそこそこ強かった。飯倉らの戦前予想通り「リスク管理しつつ相手のミスに漬け込んだ方が勝つ」展開に。全然格下なんかじゃねーよ

そんな難敵大宮、緊張感ある展開の中でもリスクを採りつつリスク管理もして、トータル決定機では上回れながらもリターン収支で上回った。繰りかえす。これはかつてマリノスがなかなか出来なかった「強い勝ち方」だ。この勝点3の価値と意味はとてつもなく大きい

【 #横浜M 】DF中沢、偉業達成も「個人の記録よりもマリノスでタイトルが欲しい」

dlvr.it

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積み上げと底上げを感じさせる「強い勝ち方」5連勝でシーズン前半折り返し。アウェイ大宮戦2ー1の備忘録

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手元トータルスタッツ。シュート6:9(枠内2:2、エリア内2:7)決定機4:5。CK&FK5:7。ボールポゼッション48:52。枠内シュート2本で2得点。その他の数値は全て大宮が上回るも、シュートやチャンスのクオリティ&効率、ゲームコントロールで上回り勝利

「予想通り難しい試合になったが、我々は組織的に辛抱強くプレイすることが重要だった。特に前半の序盤は大宮が高い位置からプレッシャを掛けてくる中でも慌てずプレイして、しっかりポゼッションする事で相手の守備ブロックを下げさせることが出来たと思う」エリク監督

「後半、重要なのは相手にリードを許さないこと。相手のプレッシャが低下したら隙間のスペースを使っていこうと。我々が2点をリードした事で、大宮は更に強いプレッシャを掛けてきて少し苦しんだが、全体的には上手くゲームをコントロールして勝利に結び付けられたと思う」エリク監督

Q.前半を無失点で凌ぎ、後半に先制する勝ちパターンができている

「確かに前半の守備をしっかり出来ているが、それだけでなく我々もボールを持てている。前半は相手のプレッシャも厳しく結果的に得点できてないが、後半は運動量が落ちるので、そこでチャンスが生まれている」エリク監督

――このエリク会見、質疑応答は大宮戦の「手応え」で1つポイントとなる指摘。ただ「引いて受けて跳ね返し速攻とセットプレイ頼み」旧態依然のマリノスらしさ――ではない。あれだけ苦手で俊輔に依存し、昨季も終盤天皇杯まで全く積み上がらなかったビルド&ポゼッションの確かな成長、上積み

試合序盤は大宮に勢い。マリノスはビルドが引っ掛かり少し耐え受ける形になった。しかし10分過ぎから少しずつ、攻守両面でゾーンを押し上げ、自陣からビビらず繋ぎ持ち運び、大宮のハイプレスを去なし気勢を削いで、ブロックを下げさせた。ブラボー! 大宮が疲れて引いたのではない。下げさせた

自陣エリア近辺に引きっぱなしでなく、中盤が大宮のビルド&ポゼッションを制限して横パスやバックパス(やり直し)を余儀なくさせ、DFラインはそのタイミングでラインを細かく上げる――全体が押し上げる。天野純と中町、扇原は地味に質の高い仕事をしたし、中澤はしっかり呼応しライン押し上げた

昨季「リトリート&ブロック形成」内を閉じる背後を取らせない最優先で、ほとんど主体性が積み上がらなかった守備組織が、今季また少しずつ伸びている。それが主体的なゲームコントロール、先制できる可能性を高める。CFにウーゴを据え、ほぼ守備免除の中でコレができているのは実に素晴らしい

Q.後半戦に向け高めていきたい部分は?

「まず攻守においてセットプレイの質を高めることが必要。あとはサッカーにおける4つの局面全てにおいて我々のプレイスタイルのディテールを詰めていきたい。どの試合でも発揮し、より自信を持って戦えるようにしたい」エリク監督

※サッカーにおける4つの局面

・マイボール攻めの局面
・マイボールをロストした瞬間「攻⇒守」
・相手ボール守備の局面
・相手からボールを奪った瞬間「守⇒攻」

「攻と守」だけでなく、その切り替えトランジションの部分も重要ですよと

2017前半セットプレイから7得点。全22得点に占める率は35%。

2016 32% 17得点
2015 27% 12得点
2014 27% 10得点
2013 34% 17得点

直近4シーズンと比較して特に少ない数値ではない。俊輔とファビオが去り、もっと減るかと思ったが

2017前半セットプレイから4失点。全14失点に占める率は29%。

2016 29% 11失点
2015 34% 11失点
2014 31% 9失点
2013 23% 7失点

失点は過去4シーズンと比較しても優秀。意外とやられてない

――サッカーの評価とは何処までいっても「主観で印象論」であるが、時折は数値データを眺めて「少しだけ客観的」な見方をすべきだ。どの数値を選ぶか、それにどんな意味を見いだすかにあたり主観も印象論も排除できないが、おそらく全く見ないよりは幾分マシな見解が得られるだろう

――閑話休題、大宮戦の振り返り総括

神戸戦でチームの積み上げとして評価した「展開と局面に応じたスタイル手法の使い分け」

・守備は前から制限圧力と、リトリート
・攻撃はポゼッションと、シンプル速攻

↑コレが大宮戦でも見られ、生きましたねと

「前半を無失点で抑え、後半どこでパワーを掛けるかというところ良い流れで入れたが、その後ちょっとしたミスから先制されて流れを失った。その辺はマリノスの試合巧者ぶりがあったなと、僕たちも見習わなければいけない」伊藤彰 大宮監督

「相手の勢いを慌てず落ち着いて去なし」「引いて受け身になるだけでなく主体性を持って展開をコントロールし」「相手の僅かなミスに付け込み強かに先制する」マリノスの試合巧者ぶり――!

そんなチームじゃなかった。ただ「言われたこと “だけ” を愚直に」最後までやり続ける、そんなチームが

後半序盤も大宮は高い位置からガツガツ圧力掛けて来たが、マリノスは前半より更に落ち着いて対応――朴正洙はプレスを切り返し去なし、中町と扇原は敢えて中長距離フィード、ウラ狙いの縦ポンを多用し、大宮の間延びを誘いコンパクトな圧力の解体を狙いつつ気勢を削ぐ。無闇に下・中で繋がない

NACK5スタジアムのハード面と相手のやり方によって最近のゲームとは違う展開になった。それでも上手く順応して、前半から相手のウラを突いたりできた」中町公祐

Q.ハード面の違いとは?

NACK5のピッチは狭く感じる。ここや三ツ沢でやる時は日産スタジアムとはちょっと違う。相手は(狭く感じられる分、コンパクトに)プレッシャを掛けやすい。パスをつなごうとし過ぎると奪われカウンタを食らうことがある」中町公祐

ああ今季マチさんのコメントは素晴らしい…「NACK5は狭く感じる」コレはスタンドでも常に感じる事。大宮が伝統的にコンパクトネスなゾーン守備を強みとベースに持つのは三浦俊也の残した呪縛からだけではない――大宮公園、NACKの狭さとそれを強調する「暖色系チームカラー」

Jリーグの公式戦に使用されるピッチは規定により全て 105m×68m。スタジアムによって広く感じたり狭く感じるのは錯覚に過ぎない。だが人間の目と脳は錯覚し、それが現実を上回る。というより感じたものが「現実」なのだ。その意味では、NACK5のピッチは確かに「狭い」

マリノスのファンにも実感しやすい錯覚体験があるハズだ。「4万超観客が入りトラック全面にグリーンシートが敷かれた試合」と「7000人ほどしか入らない天皇杯3回戦」同じ日産スタジアムでも、前者はピッチが近く圧縮された感じがして、後者はピッチとスタジアム全体が広々と遠くに感じられる

三ツ沢は大宮ほど狭い感じはしない。もちろん球技場とサッカー専用の違い(ゴール裏との距離)もあるが、おそらくそれだけではない。柏の日立台はその中間。大宮のNACK5が最も狭く感じるのはオレンジの暖色・膨張色ホームカラーも影響している。ナイトマッチでは殊更に強く感じる

おそらくコレは「スタンドが作り出す存在感、威圧感」について考えたことあるサポータなら知っている。マリノスの「深い青」はスタンドの影や夜の闇に溶け込んでしまい、見た目に実数ほど存在感を出せない。最も実数以上に見えるのは柏の黄色か、C大阪のピンクか。明るい膨張色、暖色系

大宮のオレンジは膨張色かつ暖色系で、特に夜闇の照明下では、1人ひとりのユニや座席の境目がボンヤリ結合して、オレンジの塊になる。ピッチから見ればただでさえ近いスタンドが「膨張色オレンジの壁」になる――これが多分NACK5が「最も狭い」錯覚、錯視の理由⇒大宮のコンパクトネスの正体だ

――閑話休題。マチさんの指摘があまりに興味深かったので調子に乗りました。でも試合総括よりこういう雑談「NACK5は狭い、三ツ沢はそれ程でもない」の方が楽しいよね

ええと、その「狭くて相手がコンパクトに圧力掛けてくるから下で繋ぐことに拘り過ぎると引っ掛かりカウンタ受けるNACK5で」マリノスは――特に天野純と中町と扇原の3人は賢く、まずはプレスと気勢を去なし縦ポンで間延びと疲弊を誘い、主体的かつ効率的にゲームコントロールした、そういう話

「大宮とはフォーメーションもガッツリとマッチアップするし、最初は上手くいかないのも覚悟していた。相手が前から来るのも想定して練習した。ロングボールで相手のラインを引かせ、僕がクサビを受けビルドアップしていこうと話していた。そこはチーム全体、クリエイティブにできたと思う」天野純

大宮戦の天野純に対し「何もしてない」「トップ下でフラフラとサボるだけ」「ウーゴを孤立させている」と辛い評価も目にする。実際、隙間で受けて前を向くシーンは少なくシュートはゼロ。CFウーゴとの絡みもなく、そのウーゴもシュートゼロ。「何もしてない」そう見えて仕方ないかもしれない

しかし私はそういう見方はしない。大宮のコンパクトなブロックは特に中央が強固で「4ー1ー4ー1アンカMF15大山啓輔の両脇を使えたら」と戦前は思ったが、茨田陽生横谷繁の両インサイドがしっかりフタをしつつ前に圧力。特に大山の中央を埋め続ける微調整はかなり秀逸であった――

大宮の狩場は正にそこにある。その中央で受け反転に拘るのは愚作。天野純は「そこで浮く」事で大宮の中央3枚の意識を牽制したし、それはボールタッチもままならなかったウーゴも同様。天野純は2列目ボールサイドへの動きでサイドで数的優位を作るサポート。大宮のゾーンを押し下げる

天野純やウーゴが大宮の中央3枚の意識を引き付けるから、中町や扇原ボランチからサイドのマルティノスや追い越す両SBへの縦ポンも有効性を高める。丁寧に下で繋ぐビルドだけではない。シンプル縦ポンだけでもない。試合の中でも使い分ける。それが主体性であり、新しいマリノスの積み上げだ

「主体性」と「使い分け」今のマリノスの進化を象徴するワード。「言われた事それだけ」じゃない。かつては「○○も大事だが、△△な時には凸凹も」と言われたら混乱しフリーズか個々がバラバラ、マシな場合でも凸凹だけ――それがマリノスだった。ピッチで今の展開局面を判断し、共有できなかった

守備でもこの3試合「引いて耐える受け身の時間」と「ラインとゾーンを押し上げ主体性ある攻撃のための守備」を使い分け、そのため必要な「その切り替えスイッチ、局面判断」を中央3枚が中心に行い、チーム全体が共有できている。「できている」は言い過ぎか。やってる。やろうとしている。素晴らしい

「主体性」は勇気だ。「主体性」はチームへの責任感だ。自分で判断し、自分で決める。すり合わせるのは、その後だ。かつてのマリノスに、マリノスの選手たちに足りなかったものだ。監督に、あるいは偉大なレジェンドに預け委ねてしまっていたものを、今の選手たちは自分の中に持とうとしている

「主体性」はすり合わせ融合が上手くいかねば、ただのバラバラ放任だ。しかしエリクは全く普通で普遍的な骨格、ベースを就任以来ブレずに与え続け求めるモノが退屈なくらい変わらない。そして今の選手たちの「主体性」は我が儘でなくチームへの責任感だ。学や中町や中澤が中心となり、互いを尊重する

「勝っているから上手く回っている」それは確かにあるだろう。しかし「ただ勝っている」事実以上の手応え底上げと伸びシロを、今のマリノスには強く感じる。まだ確信はない。完成でもない。再現性のある部分、偶然できてる部分どちらもある。だからこその「伸びシロ」もっともっと強くなる。最高楽しい

どうか選手たちは日々のトレーニングから、それぞれの「主体性」「認識」のすり合わせ融合を。なんとなく「勝てば良かろう」で済ませず、“再現性あるなし” の分解を。それは上手くいった部分も、ミスや失点も。それを怠らなければ、このマリノスはもっともっとまだまだ強くなる

2013シーズンのマリノスは素晴らしかったが「完成と仕上がり」が少し早かった。順位と勝点の積み上げも。チームは完成してはいけない。前に進み続けなければ意識が守りに入る。それを耐え得るのは真に勝者のメンタリティを備えたチームだけ。今のマリノスにそれはない。今を超え続けていかねば――

今はまだ順位や上との勝点差を考える時期ではない。完成してないし、完成してはいけない。今のスタメン布陣が完成形ではない。先発を外れてる選手も、まだリーグ戦に絡めてない選手も、等しくチャンスがある。底上げと伸びシロ。絶対腐らず、メンバ外でも「主体性」チームへの責任感を持つ事

中町は開幕時はボランチの3番手で、扇原はBチームのCBをやらされていた。山中亮輔がリーグ戦で初メンバ入りしたのは8節で、まだ先発3試合目だ。ウーゴも一度はカップ戦要員まで落ちた。朴正洙はもしかしたらこのままCBレギュラを掴めるかもしれない――かつてない競争原理がチームに働いている

まだ何の確信もない。過剰な期待もしない。2013シーズンとは違う。もう少し「完成しない」マリノスを、純粋に楽しんでいたい。確信や期待を抱くには、あまりに足りないものだらけだ。足りないものは、全部伸びシロだ。もっともっとまだまだ強くなる。今の自分と自分たちを、超え続けていこう

アウェイ大宮戦2ー1の主観と偏見と思い込みに満ち溢れた選手評

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GK飯倉大樹。後半41分CKからの被決定機をビッグセーブ。ここ数試合はサイドに散らす中距離フィードも安定して精度高く、相手のハイプレスを去なし地味にゲーム支配にも貢献。今季は本当にメンタル的な安定が際立つ印象。GK陣長兄としての責任感と落ち着き。頼もしい

「失点で問題にしなければいけないのはセットプレイに至るまでのプレイ。その部分も含め試合全体をコントロールできるようにならないと。勝って反省するのは大事なこと。全て次のため。これを教訓に次こそ良いゲームをして勝っていきたい」飯倉大樹

CB中澤佑二。祝140試合連続フルタイム出場。扇原や山中亮輔ら新加入選手たちに顕著な守備の責任感向上は、中澤が体現する「堅守の伝統」ボランチやSBがサボらなければ「最後は中澤が必ず跳ね返す」信頼感、その裏返しで生じる責任感に拠る部分もきっと大きい

「記録は記録としていいけど、僕が欲しいのはマリノスでのタイトル。Jリーグで優勝すること。オマケで自分の記録が続いていればいい。とにかく守備のところで全員が90分間手を抜かずに戦っている。0ー0の状況でも皆が割り切ってプレイできている。良い形で歯車がかみ合ってきた」中澤佑二

「偉大な記録だ。ボンバー(中澤)は今でもパフォーマンスが向上している。私が求めるプレイスタイルに適応しようとするし、特にビルドアップが良くなっている。トレーニングでも模範となる姿勢を見せてくれている。日本に来て、彼のような素晴らしい選手と出会えたことを私は幸運に思う」エリク監督

【横浜】打ち立てた金字塔の裏側。中澤佑二の連続フル出場の秘訣は「監督へのゴマすり」!? | サッカーダイジェストWeb #中澤佑二 #横浜F・マリノス #yokohama #Marinos #J1 #jリーグ #jleague

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スポーツ報知・サッカー取材班@hochi_football

横浜M・中沢の偉業を闘莉王祝福 南アW杯敗退直後の「カフェオレ事件」明かす http://dlvr.it/PRbkcT

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前半戦を終え、17試合14のリーグ最小失点。ファビオと哲也が去り、試合毎にCBのパートナが変わり、両膝が悲鳴を上げ続けても堅守マリノスの伝統は揺るがない。中澤佑二は堅守の顔ではない。「堅守そのもの」だ

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CB朴正洙。ミロシュ復帰もリーグ先発2試合目、神戸戦を上回る球際ガツガツ感、90分通したピリピリ集中力を示す。クサビ縦パスを潰し、ハイボールにも激しく競り合う。大宮の高い位置からの圧力を足下巧みに切り返し去なし、気勢を削いだ。このままポジションを掴めるか――今が正念場

右SB金井貢史。全く地味で目立たず特記事項なし、金井には最高の賞賛。前半15分の学への縦ポンとその後のサポート、山中亮輔ゴールシーンで何気にエリア大外に入り込む、後半43分マルへの巻いたクロス、試合終盤の姑息な時間稼ぎ――金井らしさ足跡をピッチに残しつつ、基本無難。それで良し

金井貢史。右SBにポジションを移してからは「なんとか学にゴールを取らせてやりたい」という気遣いも感じるが、過剰ではなく無難に役割を全う。無理にお膳立てしなくても森を抜けたら勝手に取れるようになると思うから、トレーニングから適度にイジって気分的なサポートをしてあげてください

左SB山中亮輔。祝マリノス初ゴールは決勝点。振り切るより押し出し当てるようなインパクトの鮮烈ミドル。ビルド、ポゼッション関与における「シンプルに受けタメて叩く」ふてぶてしさも左サイドを機能させる実効性。前評判よりプレイに幅がある。SBでもWHでもイケるし、マルとも下平とも組める

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田生命J1リーグ 第17節
🆚 大宮vs横浜FM
🔢 0-2
⌚️ 68分
⚽️ 山中 亮輔(横浜FM
#Jリーグ
その他の動画はこちら👇
http://jleague.jp/video/

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サッカーダイジェスト@weeklysd

【#横浜】「クロスもあったが」――。山中亮輔はそれでも左足を振り抜くことを選択した #fmarinos #横浜FM #横浜fマリノス #マリノス #山中亮輔 #Jリーグ好きな人RT #大宮アルディージャ #

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「僕のポジション(左サイド)は競争が激しいので、とにかく必死にやっている。少しでも悪いプレイをしたら試合に出られなくなる危機感がある。毎日の練習も必死にやっていて、それが今日のプレイにつながった。個人的にミドルシュートを得意にしているので、それがあの場面で出て良かった」山中亮輔

左SB山中亮輔。評価保留してきた守備面も、この試合では前半24分の自身背後をカバー、2ー1で迎えた試合終盤の押し込まれる展開でのクロッサに厳しく寄せるプレイなどに守備意識の向上、チームへの責任感を感じ好印象。スキルよりまず大事なのは責任感。継続すれば必ずディテールも向上する

5連勝最高だお🙌🙌🙌
山中 ヨコハマ!ってめっちゃ嬉しかったです^ ^
これで認めてもらえたよーな気がします!

次はトリパラ回しましょ笑

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ボランチ扇原貴宏。球際ガツガツ感、少しずつ「スッと寄せガツンと当たり奪う」中町っぽい奪取スキルも。ゾーンを上げるリスクを採りつつ、危機察知エリア広く自陣エリア近辺をカバー。DFラインからパスを引き出し華麗にターンし前を向き、長短のパスでビルド展開の起点。試合毎に高まる攻守の存在感

ボランチ扇原貴宏。何より素晴らしいのは、プレイの1つひとつ強い「主体性」を感じる事。周囲に合わせ・やらされてる感がない。プレイスケールが縮こまってない。リーグ先発1、2試合目の「おっかなびっくり」感は消えて「扇の軸」ピボーテとして堂々たるプレイ。今のマリノス「主体性」の象徴

ボランチ中町公祐。狭いNACK5大宮のコンパクトネス圧力に対し、シンプル縦ポンも効果的に交えつつ展開掌握。扇原と共に「前に出て潰す、引いてバイタル埋める」使い分け、リスク採る主体性も良。リスクはあるが、リターンも得ている。局面だけでなく展開を支配する、ドス黒いマエストロの本領発揮

トップ下の天野純。試合振り返りで述べた通りシュートゼロ。攻守に「隠れ消えてる」ように見えたかもしれない。しかし地味に実効性はある。相手の罠に乗らず、罠の近くでフラつき発動させずも罠は罠として残させる――そんな貢献もある。ウーゴは攻守にやや特殊で、トップ下の補完が不可欠な側面も

右WH齋藤学。先制ゴール、マルの前を横切りDFを引っ張る動きは秀逸。90分通し4つ程あった剥がしに掛かるシーンは不発。まだ間合い掴めずも、ゴール前の決定機に絡む、エリアに入る感覚は戻っている。サイドの守備は頑張っているがまだ前残りや、切り替えが遅いシーンもある。もっと今できる事を

まずい。
山中にも、ゴール先に決められた。
けいまんはパスくれないしな。
でも、五連勝。
一つ一つ勝っていく。
次はホームで広島戦。
たくさんの応援で、
6連勝しましょう^ ^

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絶対エース齋藤学。マイボールになりそう…アタマで考え出るから自分のサイドに穴を作る。剥がし切れず「あーっ」と思うから守備が遅れる。もっと感覚的でいい。齋藤学は学が思うよりずっと「いろんなものが見えている」人より先に、多く遠くが見えてる。もう少しばかし感覚的でいいかと思うけど

左WHマルティノス。右足先制ゴールは直前の小さな切り返しが秀逸至極。ほぼ全ての速攻チャンスで起点やフィニッシュに絡むし、守備も「ここぞ」は絶対サボらない。エリア近辺まで戻る時は戻る。でも出て行くタイミングは逃さない。今の学が見失ってる「感覚」で、チーム最高の実効性

🎦 ゴール動画
🏆 明治安田生命J1リーグ 第17節
🆚 大宮vs横浜FM
🔢 0-1
⌚️ 59分
⚽️ マルティノス(横浜FM
#Jリーグ
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――マルティノスの先制ゴール。ウーゴもフリーで呼んでるけどコレは出さないわw なんだこのGK50松井謙弥のポジショニング…。DFがブロック間に合わずファーを切ってるのに、なんで少しずつジリジリとニアを開ける。前線3枚の鮮やかなカウンタだったけど、半分は相手GKのミスだねコレ

CFウーゴ・ヴィエイラ。84分までプレイしシュートゼロ。前線の限定守備、ビルド&ポゼッションを助ける仕事もほとんどしない。しかし先制カウンタでは見事なターンと、マルへのパス&ランニング。良質なクロスが上がらないとウーゴの実効性も上がらない。いろいろ特殊、補完の必要なオールドタイプ

CFウーゴ・ヴィエイラ。リーグ半ばを過ぎ、ようやく本質が見えてきた。典型的かつ少し旧い型のリアル・ストライカ。基本仕事は点を取る事だけ。その他の貢献は極小。1人で全部やっつけるスペシャリティはなく、フィニッシュに絡む型もやや限定的だが、ハマれば精度と自信あり。なかなかピーキィw

ウーゴ・ヴィエイラ。横からのボールに対する強さ、クロスに合わせるセンスは疑いない。加えウラ抜けセンス・瞬間スピードもある。典型的「点で合わせる」タイプで、扇原の縦に降り落とすフィードとの相性も◎ カイケみたいなセカンドトップ型でもなく、2トップよりむしろ今のマリノスのCFで適任

ウーゴ・ヴィエイラ。「ビルド&ポゼッションと守備の貢献がほぼ皆無」を如何にチーム全体で補完するか、如何に良質なクロスやDFライン裏へのパスを供給できるか――それが起用の収支をプラスにし、彼とチームの得点を伸ばすかの課題であり肝。プラス、他の選手の得点パターン充実も必要

ウーゴ・ヴィエイラ。ピーキィで長短所、武器と「できない事」が明瞭して、ストライカらしい気分屋なとこ、自身のゴールに独善的な部分も面白い。俺は好きだ。こういうストライカを使い倒せるマリノスであって欲しい。一方、そんなウーゴだから敬真にもチャンスは沢山ある。良い競争をして欲しい