横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【ネルシーニョの去った日立台は既に鬼門にあらず。達磨レイソル、恐るに足らず! by 蒼井真理】 about [2015-J1-4] 横浜 2 v 1 柏

aoi_mari.png蒼井真理



トップ下で先発の喜田は、おそらくは柏4ー1ー4ー1のアンカーに食い付き「清水戦の前半がウンコ過ぎたけど今は遅攻の質を求めるには限界あるし、今節はまず守備から主体性を見せてショートカウンタに繋げて行こうぜ」の象徴的な役割を果たすべく期待されての抜擢であろう

今季リーグ開幕の日に連投した喜田拓也の選手評をコピペするよ

MF28喜田拓也:樋口体制の3シーズン
ユース3年時、2種登録でナ杯2試合に出場。トップ昇格1年目は公式戦出場ゼロ。麻生の練習試合でCBとして出場しパトリック(現G大阪)を完封。3年目の昨季、リーグ初出場を果たす。3年間の筋トレで上半身はムキムキになり、体重も増加

MF28喜田拓也:プレイスタイル
攻撃面よりも、ボールを奪い取る守備に良さがあるボランチ。「加入2年目、2009年頃の小椋祥平」に近いイメージか。169cmと小柄だが、体格差のある相手にもガツガツ激しく行く球際のプレイが特徴

MF28喜田拓也:長所
球際の激しさだけでなく、ゲーム展開を読んで急所を抑える知性、センスを有する。スペース管理能力もあるが、強みは「瞬間、そこを捨ててでもボールに食らい付く」度胸の良さ。ビルドアップ&フィニッシュ関与にも意欲的に取り組む姿勢を見せる

MF28喜田拓也:短所と課題
「球際の激しさ」がウリだが、ファウルを取られ、得意とする「ボールを奪い、即座にカウンタに繋げる」プレイとならない事も多い。より効果的な奪取、審判への見せ方を考える必要もある。奪ってから最初のパス精度、アタッキングサードでの落ち着きも課題

MF28喜田拓也:パーソナリティ
プライマリ(小学生)時代から、天性のキャプテンシを有す。サッカーを職業とする事に、地に足ついた考えのある、ユース上がりに珍しい鋼のメンタルの持ち主。メディアへの受け答えも実にしっかりしており、安心して娘を嫁に出せるタイプ

「この1年間で一番成長した所は声を出せるようになった所。キャプテンを任されてから皆をまとめようと意識していたので、試合中は誰よりも声を出す事を気をつけていました」喜田拓也 プライマリ全国優勝(小学6年時の)コメント

MF28喜田拓也:今季への期待
稀有なメンタル・タフネス、キャプテンシの持ち主で「ユース出身選手としての誇りと責任」も持つ。だが、どんなに人格的に素晴らしく発言が立派でもピッチに立たなければプロでは無意味。レギュラを掴んでほしい。マリノスの、クラブの価値を高めてくれる選手

喜田拓也には「プライマリ(小学生)からマリノスで育ち、マリノスの育成組織の代表として今トップに所属している自負や責任感」がある。それは誰にでもあるものでも、他者が与えられるものでもない特別なもの。喜田がトップでレギュラを獲得し、長く主力として活躍する事には大きな意味と価値がある

トップだけでなく育成組織も含めた「マリノスアイデンティティや歴史、マリノスのトップチームでプレイする意味や誇り」を誰より強く語れる、あるいは語らずとも実証できる存在と成りうる資質を、喜田拓也は既に有している。喜田がレギュラを張る事で、マリノスのクラブとしての価値が高まる

次のユースを筆頭とする育成組織に所属する選手たちに、そしてそこからトップに昇格してくる選手たちに「レギュラとして活躍する喜田拓也」は強い影響力を持ち、トップでプレイする重みや誇りを伝えるだろう。その価値は計り知れない。だから私は、喜田拓也にレギュラを獲得してほしいと強く願う

■2015柏ボール支配率
1節:神戸戦 54.5%
2節:仙台戦 70.5%
3節:新潟戦 59.0%

仙台戦の70%超はスゴいな。吉田達磨監督の志向と嗜好は育成チームの一貫&徹底したスタイルから理解しているつもり。ボールを大事に丁寧に動かしギャップを生み出し崩す

キープレイヤはアンカー。アヤックスバルサで言う4番。開幕から3節まで務めたMF8茨田陽生が新潟戦の退場で出場停止。ここまではインサイドハーフだったMF7大谷秀和がアンカーに。ネルシーニョ時代を思えば、むしろこちらがしっくりくる。より攻守に「リスク冒さず安定」な感

せっかくだから茨田陽生がアンカーに入った達磨レイソルを観たかった。喜田拓也としても、大谷より茨田の方が「食い付き甲斐」あったはず。いずれは「4番」のポジションにはMF17秋野央樹が入るはずだが、リーグ戦では今日が初のベンチ入り。これは少し意外

懸念材料があるとすれば、アデミウソンを1トップとしトップ下に遅攻では貢献できそうない喜田を入れた中で、逆に柏が「ボールを握らせてきた」ら、ビルドの途中で引っかかりまくりで労せずカウンタの起点を提供するのでは…… まあ「柏がポゼッション放棄」とかねーか

今日は喜田拓也の「小椋祥平もびっくりな相手陣内でのボール狩り」起点のショートカウンタからアデミウソンマリノス初ゴールで朝まで呑めるな! 柏駅に着いてどんどん冷え込んできてるけど頑張ろう

キックオフ25分前、夜の日立台に到着。ピッチでは両チーム選手たちがアップ中。メイン上段SS指定席5100円。無駄に高いが、俯瞰厨としてはまだ高さが不足。日立台はピッチが近い、箱の狭さだけが魅力

日立台のスタンド一番の魅力は、ゴール裏とエンドラインの圧倒的な近さ。よほどの「横視点・俯瞰厨」でない限り、スシ詰めのゴール裏でバモバモしつつ菅野孝憲をイジり野次るのが正しい楽しみ方。今日はアウェイゴール裏、かなり密度高め

アウェイ柏戦の注目ポイント

・清水戦前半ウンコっ振りを受けての試合の入り
・守備ブロックの高さ、プレス開始位置
・柏の自陣からのビルドスキーム
・1トップ、アデミウソンは前線に張るのか
喜田拓也の躍動する守備、ボール狩り
・学が左サイドからどんだけ効果的に中に絡むか

試合開始10分前、ピッチでは凄い勢いで散水中。柏は速いショートパスを走らせるスタイルだから。でもこういう施策が、どっちに転ぶか分からない試合のアヤになったりするもんです

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キックオフ直後から、相手陣内で喜田を中心に激しく相手ボールホルダに寄せて食い付く。これまでのエリク横浜になかった光景。当然、連動し守備ブロックは高め。自陣守備、そこから奪って前にボール運ぶ作業にはアデミウソンも参加

驚愕のハイプレス。相手ペナルティエリア付近まで喜田が追い、追い込む。10分まではファビオがフィルタ役として抜群に機能

このプレス強度は「入り方」であって、さすがにコレを90分やり通すつもりではないと思うが

三門が自陣だけでなく、凄く高い位置でも効いている。ルーズボールへの予測反応早く、マイボール時はチャレンジブルなポジション

キックオフから完全なるマリノスペース、31分にファビオのカットから攻め上がり、アデミウソンとのパス交換リターンで意思のズレ。柏の速攻、3対3から最後はFW11レアンドロが勇蔵を外し冷静にゴール右スミに。ゲームプラン的には、ある程度仕方ないリスクと失点

これで柏は一層、カウンタ狙いの色を濃くするか。さてマリノスがどうするか

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前半終了、横浜0ー1柏。シュート3:5(枠内1:3)決定機1:3。先制されるまでは奇襲的ゲームプランがハマり完全なマリノスペース。攻守に縦の意識シンプルに徹底、距離感と全員の集中力高くハイプレスで柏のミスを誘い、セカンド回収。失点は小さなミス起点と、リスクトライの産物

ボールロストした瞬間のファビオと三門のポジション。しかしそれは「高い位置で圧力かけて柏の良さを消す、奪いショートカウンタに繋げる」意欲的なリスクトライの結果。成果も生まれつつあった。ある程度、仕方ない。柏が強かで、レアンドロの冷静な決定力が見事だった

柏は「ロングボールを増やし、自陣でロストするリスクを減らし」つつ、適度にマリノスを自陣に呼び寄せるエサは撒いて「先制点と同じようなカウンタ狙い」が最も効率的で効果的だろうが、吉田達磨レイソルはそうしない。ネルシーニョと違い自分たちのスタイルに拘る。そこに付け入る隙はある

なので基本、やり方を変える必要はない。しかし30分以降は、さすがにプレス強度や連動性も低下したし、喜田や三門の効果的な追い込みや奪取も見えなくなった。少し奪い所を絞るか、あるいはまた後半開始からハイプレスを体力保つまで続けるか

ゲームプランは理解できるがいささか拙速に過ぎる場面もある。左SB下平匠を、もう少し上手く活用したい。もう一手間、一工夫。崩しの精度を

惜しいチャンスはあれど、前半の決定機は8分のアデミウソンのシュート1つだけなのだから
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後半開始。さすがにファビオのポジション、位置取りにはハーフタイムに修正が入った模様

今のマリノスはラスト1/3で変化を付けられるのがアデミウソン下平匠の2人だけだから、下平匠の上がりを引き出す、待たないとかなり難しい。柏はアデミウソンだけをケアし潰せばいい。後半15分を待たずアデミウソンの消耗も激しい。もう一手間欲しい。愚直

後半18分、ファビオ⇒伊藤翔。4ー4ー2でアデミウソン伊藤翔の2トップ。喜田と三門のボランチ。ここからは、喜田と三門が交互に効果的にリスクトライできるかが肝

意図するところは悪くないが、明らかにチームとしての機能性が低下した。それは多分、この形でのプレスの掛け方をトレーニングしてないからだ

ほらみろ、下平匠だよ

あとね、この2点目は学のバイタルで浮いて受ける×2が秀逸だった。家に帰ったら録画を見直してね!

これは勝ちきりてえなあ

後半28分以降の、柏のプレイ精度の低下は甚だしい。前半のマリノスのハイプレス、ハイテンションサッカーに引きずり込んだ事。そして「先制後も柏がラクをしなかった」ツケが、試合後半になって確実に響いてきてる

お願い翔さん、仕事して…!

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やったー日立台から、笑って帰れる日が7年越しついにきたよ! ネルシーニョの去った日立台は既に鬼門にあらず。達磨レイソル、恐るに足らず!

もう下平匠に夢中です

7 年越しの日立台での勝利。喜田拓也のリーグ初スタメンが連勝に繋がる貢献その価値。三門雄大の頑張りと2アシスト。下平匠の決勝ゴール、またも「SBから SBへ」。学のバイタルでの「全部見えてる」風な仕事。逆転勝利。こんだけ要素あっても「壊れるほどの歓喜」にならない。結構、冷静

今宵 のマリノスは実に愚直に戦い、その愚直さが報われ愚直に勝利した。ただ久し振りに柏に勝利し、まず思ったのは「ネルシーニョは決して、その愚直さを許して はくれなかったなあ…」という事。吉田達磨レイソルは自分たちのスタイルを貫こうとしたし「ゲームを壊し」にこなかった

キックオフ直後からリスク負ってハイプレス。ハイテンションゲームに持ち込み、ゲームプラン通りに自分たちのペースで試合を進め、1つの小さなミスから先制を許す。ここまで、これまでの柏戦と何も変わらなかった。樋口監督時代の対柏戦で、見慣れた展開

違っ たのは、そこからの柏の戦い方だ。ハーフタイムに指摘した通り柏には、もっと「ラク」で効果的、効率的な「試合とマリノスのプランを壊す」戦い方があっ た。ネルシーニョがやったような。でも吉田達磨レイソルは、ボールを握り相手陣内に押し込み細かく繋ぐスタイルを貫いた

その事が即そのま ま、柏にとっての不利益になった訳ではない。細かなパス交換からチャンスも作ったし、後半は幾分カウンタ狙いの意図も高めた。トドメを刺すチャンスもあっ た。が、仕留め切れずマリノスに希望と可能性を残し、「ラク」しなかったツケは後半25分以降にやってきた

前半マリノスのハイプレス、柏をハイテンションゲームにもつれ込ませた効果は、吉田達磨レイソルが自分たちのスタイルを貫き「ラク」しなかった事と合わさり初めて意味(後半25分以降の失速)を持った。マリノスの愚直さが報われたのは、柏もまた愚直であったからだ

だから私は、意外と冷静。「あの、どうしても勝たせてくれなかった」「愚直さを許してくれなかった」柏レイソルを、強引にねじ伏せ勝利した訳ではないから。ハーフタイムに既に「そこに隙はある」と感じていたから。嬉しいけど、壊れるほどの歓喜ではない

いやまあ、諸々いつもの結果論ですけどね。ネルシーニョの柏にだって「愚直に勝利する」機会、可能性だって勿論あった訳で。でもそれが叶わなかったから、勝ち逃げを許してしまったから、尚更こんな感慨を抱いて理屈をこねてしまうんだと思います

ただ逆転勝利の理由の1つとして、ネルシーニョ吉田達磨の趣味性というか、指揮官としてのスタイルの違いは少なからずあろうと私は思います。それによって勝利の価値が下がるなんて事は、もちろん無いんですけど