横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【チープな失点癖は未だ……各セクションが果たすべき役割を果たすということ by いた】 about [2014-J1-19] 横浜 2 v 2 柏

itaruru.pngいた


柏戦、引き分け。
ガンバ戦の相手を意識しすぎた消極的な戦いからの敗戦から一週間、パフォーマンスは向上して、改善は見られたけど、チープな失点癖は未だ……

樋口体制の横浜のメインコンセプトは「攻守両面で能動的なアクションを起こしてイニシアチブを握ること」
守備では前線からアグレッシブにプレスを掛けて高い位置でボールを奪う。
攻撃では出来ればショートカウンター。崩しの仕掛けとして、ハイサイド起点から人数をかけて崩す。

ただ、ガンバ戦では宇佐美・パトリックをボランチセンターバックで挟み込む形を標榜した結果、重心が後方に掛かり、受動的な対応に終始して何も起こせず、最終的にはセットプレーの失点で試合を落とした。
その反省からか、この試合では能動的にプレーするという意図が前半開始から見られた。

この試合最大のファクターはラフィーニャの1トップ起用。
ターンして独力でフィニッシュ、ファールゲット、中町のフィードに走りこんでボックス内でのフィニッシュなど試合開始直後から積極性発揮。
個としてのプレーだけでなく周囲とリンクした動きもあって、フィットしてきた印象。

スピードがあり、前を向いた時に自ら仕掛けて切れ込める、積極的にシュートを打ちに行く、そういう特徴を活かす意図がチームの中にあったし、ラフィーニャ自身もその期待に応えて、序盤からゴールに向かう。
そんなラフィーニャが結果を出す。凄くポジティブな循環。

先制点。
ハーフライン付近で佑二がレアンドロにアプローチを掛け兵藤が挟み込んでボールを奪い、左サイド起点に三門の斜めの楔をスイッチにラフィ(ヒール落とし)→俊様(リターン)→ラフィ→兵藤(潰れて落とし)と1タッチでボールが動き、最後はフリーでラフィーニャが冷静に決めた。

サイドを起点に、連動して中央を崩す。しかも、ダイレクト。うまくいき過ぎ、理想的な形だった。
デコイとなったまな、最後のポストになった兵藤と、右から左のダイヤゴナルランで引き出そうとする。ただ、最後のラフィーニャも含めボールの動きは左から右、相手は捕まえづらい。カオスを作り出せた。

これで火が付いて、まなが加点。またも三門の楔がスイッチ。
楔にラフィが鈴木大輔に食い付かれるもスルー、まなにボールが流れて食いついてきた増嶋の鼻先で一寸先に触って打開、鈴木がアプローチに出て空いたスペースを使ってそのままボックス侵入、秋野のカバーをいなし、ニアを鋭く抜いてゴール

縦関係の連動、これもうまくいき過ぎ。
新聞報道では怪我でスタメン落ちも予想されてたけど、その不安は感じさせないキレ。このシーンの前のサイドからのカットインからのフィニッシュもらしさが出てた。チームのいい流れに乗れたかな。

先制点もそうだし、追加点もそう。うまくボールが動きつつ、連動感のあるダイレクトプレーがあったりと、凄くボールが良く動いた。テンポよくボールがうごかせるのは距離感が良かったから、その中でも俊様が低い位置に落ちること無く高い位置でプレーしたことが大きい。


4-2-3-1のトップ下は、トップともサイドハーフともボランチとも関係性が強い。
その選手のポジショニングで、周囲との距離感も変わってくる。ここ数試合、低い位置でゲームを作る事が多かったけど、この試合では総じて高い位置でプレー。高い位置で動き、周囲との距離感が近づける理が出た。

個人的に、俊様が3列目に落ちてゲームメイクをするのはチームの機能性として非常にネガティブな事だと思ってる。
ボランチや最終ラインの救済措置としてやっている側面もあると思うけど、彼が落ちることでトップもサイドも孤立するし、距離感が開き過ぎる。厚みもなくなる。

プレスを掛けるにもトップ1枚では難しい。ボランチが入れ替わるように前に出ても補完出来るものじゃない。
逆説的に、トップ下にはトップ下の仕事があるということ。

そういう意味で、各セクションが果たすべき役割を果たす、ということはチームの再建に必要な要素だと思ったり。だからこそ、アンドリューに期待してたのだけど…この日は三門さんが凄く楔を入れたりと積極的にプレーしてくれた。「攻守にスイッチを入れたい」という言葉を有言実行。

ここまでは素晴らしかった。相手にシュート打たせてなかった。このいい流れに水を差すCKの失点。
佑二vs鈴木大輔。前に入る動きをフェイクにして佑二を離し、ストップして直立ヘッド、鈴木大輔の動きに軍配。秋野のキックも素晴らしい。
たられば、てっちゃん触ってただけに前に出したかったね…

で、2失点目。交代で入った太田の速く高いボール、ストーンである俊様の上を超えた所、下平を振りきって走りこんだ増嶋に叩きこまれた。てっちゃんも速いキックに出れず中途半端なポジション。ストーン、マーカー、GK、各役割が役割を果たせず。

サイズの問題もあるよね、勇蔵さん・佑二さん以外にサイズある選手が少ない、こういうところにひずみが…
ともあれ、名古屋戦の永井謙佑、ガンバ戦のパトリックから続く負の流れは断ち切らないと。沢山点が取れるチームではないからこそチープな失点をなくさないと勝てない。

同点に追いつかれた後の展開として、ワイドの藤田・橋本のところに疲労した兵藤・まながついていけない事象が出てきて、押し込まれることも多々。ファビオや淳吾入れてみるも効果薄、戦略的に意義のある交代策は打てなかった事もあって劣勢の展開。更なる失点こそは免れたもののホームでドロー。

これで5試合連続勝ち点3から遠ざかった。
前後半の内容を考えればドローはフェアな結果、ただ正直来るものがあるよね。ポジティブな内容、スコアの推移を考えると「勝ちきりたかった」って気持ちしか無いし、もう勝つしか無いから余計落ち込むのだけど… ともあれ来週また頑張ろう…勝ちたいなぁ。