横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【本来コレが「あたり前」だから。また緩む⇒反省する⇒頑張る⇒緩む ――繰り返すこのマリノス・リズムから卒業しよう。そうしないといつまでも真の強者にはなれない by 蒼井真理】 about 試合総括 of [2017-J1-6] 横浜 2 v 1 磐田

aoi_mari.png蒼井真理



入場者数 38,803人。ホーム磐田戦2ー1の備忘録を連投する

「予想通り我々がポゼッションできる試合展開になり、ある程度は落ち着いて上手くボールを回せた。だがクオリティをもう少し上げていかねばならない。問題は先制後にセットプレイで失点したこと。2点目を取るためもう一度(イーブンな展開から崩していく作業を)やり直すハメになった」エリク監督

Q.やり直すハメになった、とは?

「ホームゲームでは(ポゼッションして相手陣内に押し込み)相手の守備ブロックをどう崩していくかが課題になる。尚且つ、相手のカウンタも警戒しなければならない。そういう丹念な作業を後半もう一度やっていく必要が生まれたという事だ」エリク監督

「自分たちがポゼッションできる展開では、守備の堅さをキープするのが難しくなる。先制した後、少し下がってしまった。ボールホルダにプレスに行けなくなると、守備が非常に難しくなる。今日は途中から入った選手がボールホルダにしっかりと圧力を掛けて守備を向上させてくれた」エリク監督

「前半のうちに同点にできたのは勇気を持てた。(後半10分)アダイウトンが入ってからの10?15分がこのゲームの肝で、1点取れていればという感じだった。負けはしたが昨年のリーグ戦2試合に比べ、マリノスに対してやれる自信が僕自身は持てた試合」名波浩 磐田監督

エリク横浜は先制すると強い。オープン展開になり相手を呼び込み間延びさせれば、カウンタから学やマルティノスがスピード生かし敵陣スペースを存分に活用できる。でも引いた相手を崩す遅攻ビルド、ポゼッションは構築半ばで稚拙。「如何に先制し、リードした展開で試合を進めるか」がエリク横浜の肝

↑コレは昨季のリーグ総括や今季展望でも繰り返し述べたエリク横浜の特徴、強みと課題。で磐田戦は「直近3試合、進捗が見られずチャレンジする姿勢もなかった」遅攻も、質はともかくトライする姿勢は見えた。先制できた。なのに呆気なくまたCKから失点。エリクもいろんな意味「またか」となるわな

エリク横浜は、ポゼッション率やパス本数が優位になる程に得点率や勝点獲得率が低下する。これは今季もまだ変わってない。相手にボール握ってもらい、人数掛けて押し込んでもらった方が(学やマルティノスが使う敵陣スペース生まれて)都合いい。なんだかんだブロック守備はそれなりにカチッとしてるし

でもホームで「意図的にボール保持を放棄して引きこもる」とかダメだし、戦力予算的に下位のクラブからも取りこぼさず上位進出を狙うには、やっぱポゼッションして押し込み相手のブロックを丹念に崩す「リスクもあり面倒くさい」作業を、上手くやれるようになっていかないとダメだよねと。それが現在地

守備もまた同様で「なんだかんだブロック守備はそれなりにカチッとしてる」けど、それは待ち構える受動的な要素の強い守備であり「より前からハメに行く狩猟的な守備」「能動的な(速攻につなげる前提の)攻撃のための守備」の構築は、エリク横浜3年目もほとんど構築進んでません

「勝ったのは良かったが、チームとしての守備でバラバラになった部分がある。今日は前からボールを取りにく守備をしたが、その部分でチームの成熟度がない。練習から整備していけば、去年とは違ったサッカーが見せられると思う」中澤佑二

――とまあ中澤さんも仰る通り「前からハメに行く守備はぶっつけ本番」レベルなのが今のエリク横浜。両翼の突破打開力とブロック守備をストロングにした多分に「堅守速攻」寄りな堅実で現実的スタイル。1年目からポゼッションや、前からハメる守備も「やろうとはしてる」けど、まだまだこれから段階

…こんなに分かりやすいエリク横浜、なんで「方向性が分からない」「スタイルがない、戦術が見えない」とか言う人が未だ絶えないのか全然分からない。スタイルも方向性も、チームの現在地も課題もメチャメチャ分かりやすい。凄く普通。オーソドックス

試合の総括に話を戻す

磐田戦の勝点3以上、プラスアルファで評価できるポイントは正にエリク横浜の課題である「攻は自陣ビルドからの遅攻ポゼッション、ブロック守備攻略」「守は前からハメに行く能動的で狩猟的な守備」に、チームとしても選手個々にもトライする姿勢が見えた事。それに尽きる

3節のアウェイ鹿島戦から指摘し続け前週のC大阪戦なんてその極み的な試合「プレイ原則やゲームプランには忠実だけど」「約束事は守ってますよ感が面に出て」「それを超えていく主体的なトライがない」「プレイが狭苦しい」

今できる事の縮小再生産。課題への取り組み、進歩性がないねと

「新しいマリノス」はまだまだ若く、キャプテン齋藤学が語るとおり「今強いチームでなく、これから皆で強くなっていく」チームのハズなのに、コレじゃダメでしょと。結果も大事だけど、それだけに固執して課題への取り組み棄てちゃダメでしょと。…磐田戦は、ちゃんと反発してチャレンジしてくれた

学は選手ミーティングを開き、エリクも約束事や縛りを減らした紅白戦を実施して選手にダイナミズムを尊重し要求した。選手たちも、それに応えてトレーニングから「課題に挑戦する」「今の自分たちを超えていく」姿勢を示し、それを磐田戦のピッチで表現してくれた。今はクオリティより、その姿勢が大事

「僕がアシストした事より、1人ひとりが走り切って球際で戦い、最後まで戦う姿勢を見失わなかった事が嬉しい。選手ミーティングで意識的な話をした成果は練習でも出ていたし、ピッチに立てない選手のためにも勝たなければいけなかった。C大阪戦とは皆が本当に違った。それが今日の勝因」齋藤学

磐田戦で見えた遅攻のトライ

・序盤マルへの縦ポン多用で間延び誘う
・ダビが引いて受けて前を向く
・↑コレに中澤が縦パスを付ける
・ミロシュの持ち上がり、対角フィード
・マルが内に絞り、大外の松原を使う
天野純の周囲を使うプレイビジョン
・右に相手を寄せて、左の学へ展開

…詳細は選手評で書く。どこまでがゲームプランで与えられたモノで、どこからが選手個々の主体的なアイデアかは分からないが――どちらにせよトレーニングから考え話し合い準備されたものではあるだろう。C大阪みたいな「ボール持ってから迷う」シーンは凄く少なかったから

足りなかった「遅攻の幅と厚み」バリエーションの拡充、それに取り組む姿勢。それを磐田戦でチームと選手個々が示してくれた。もちろん質の部分ではまだまだ全然これから。でもリスク負ってもやんないと、出来るようにはならないから。磐田戦は、取り組む姿勢を最大限に評価したい。これを続ける事

――厳しい言い方をすれば、磐田戦の「攻守切り替え頑張る」「球際で闘う」「攻守の課題に取り組む」とか、ホントはプロとしてはあたり前、最低限スタートラインの部分。前提として、やってあたり前。やんないならピッチ立つなよレベルの話。でも出来なかった事が出来たのは素晴らしいから、評価する

でも本来コレが「あたり前」だから。磐田戦の「闘う、課題に取り組む」姿勢は「あたり前」にしてかないと絶対ダメ。日々の練習から、厳しく互いに指摘し合おう。また緩む⇒反省する⇒頑張る⇒緩む ――繰り返すこのマリノス・リズムから卒業しよう。そうしないといつまでも真の強者にはなれない

…こういう説教臭い意識高い系の安い自己啓発本みたいな事を言うのも、そういう視点でチームも見守るのもなかなか正直しんどいものはあるけれど「新しいマリノス」は常に挑戦者であり続けなければ

リーグ優勝を目指す、その気持ちは大事で高い目標も必要。でもそのために「今できる事」だけに汲々として「今の課題」への取り組む姿勢を失ったり、プレイが縮こまって闘う姿勢を失くしたり、自分たちのミスで萎えるのはダメ。あくまで「今の自分たちを超えていく」姿勢を貫いた先に、リーグ優勝はある

磐田戦はチームとしても選手個々の姿勢も素晴らしかった。それはスタンドのファンにも、分かりやすく伝わった。それは貴重な「分かりやすさ」だ。忘れないで欲しい。続けて欲しい。あたり前にしていって欲しい。続ける事は、反発より難しい。超え続けていこう

新しいマリノスは、まだまだこれから

スタンドのファンも「出来た、出来なかった」だけでなく「やろうとしたか」課題に挑戦して今の自分たちを超えていこうとしているかを見て評価して欲しいと思う。「もう○○は見たくない」じゃなく「もっと出来るだろ?」という期待をベースに見て欲しい。挑戦した上でのミスには拍手を送って欲しい


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【高野遼、かなりSBらしくなってきた。不甲斐なきかなマエストロ。仲川輝人、私的MIP。 by 蒼井真理】 about [2017-ルヴァン杯-第1節] 横浜 0 v 2 C大阪 の選手評

aoi_mari.png蒼井真理


ル杯開幕アウェイC大阪戦の選手評を、横浜駅BECK'Sからユルユル連投。振り向かず前向いて歩いて行くけれど、備忘録は残さないとリーグ戦に絡めてない選手の記憶は残らない

GK杉本大地マリノス公式戦デビュ。枠内シュート2本、被決定機3つで2失点。自責ではないが、セットプレイ守備を統率修正する声や「見る捨てる任せる」ギリギリの判断は磨いて欲しい。足技、フィードとクロスキャッチ、飛び出しパンチクリアは良いプレイも不安定さも混在。GKの評価は難しい

「枠内シュートはほぼ打たれてないので、2失点は自分の責任。CKからクリアし切れず全員ボールウォッチャになり自分のマークを離してしまった。修正できる部分だと思うので、練習から厳しくやりたい。試合自体は落ち着いてできた。後半の飛び出しパンチクリアなど、自分の持ち味も出せた」杉本大地

CB栗原勇蔵。CKから直接でなく、こぼれ球を決められた事にどこまでマーカの責があるかは判断と評が難しい。セカンドでボールウォッチャになるのは昔から変わらない癖。序盤は「らしい」撃墜ヘッドもあり、クロスにも集中して跳ね返してたんだけど。ビルド横パスで飛ばすパスがないのも変わらず

CB朴正洙。左肘にサポータ巻き少しぎこちなさもありながら、序盤は集中力高くピリッとしたプレイ。しかし後半は少しずつ緩い自陣パスミスも。なかなか90分高いピリピリ感を維持できないのは昨季後半からの継続課題。チャレンジの縦パスでのミスはいいが「なんとなく」ミスるのはダメ

右SB新井一耀。守備はそんなに忙しい場面もなく、攻めでも特に目立った貢献も粗もなし。ただ一耀も「なんでもないパスがズレる」シーンがなかなか減らない。あれだけ多いのは単なる「受け手との意志疎通」問題ではなく彼の技術や判断に難がある。昨季天皇杯敗退の悔しさを忘れてはならない

左SB高野遼。ルーズボールへの対応、反対サイドからのクロスに確実に競り跳ね返すポジショニング、総合的に昨季のナ杯GL出場から着実に伸びており隔世の感。被カウンタ対応での30mスプリント加速は魅力ある武器。唯一の決定機は高野遼のクロスから。かなりSBらしくなってきた

昨季ナ杯GL、ただ縦に走り力いっぱい左足クロスを自分のタイミングで蹴り込むだけでSBらしいプレイの機敏も何もなかったプレイが評価され、昨夜の高野遼が評価されないのは全く理解に苦しむ

ボランチ中町公祐。無駄にコネずタッチ数少なくシンプル心がけるプレイは好感も、2失点目の被CKにつながったへなちょこ横パスミスは全くいただけない。ボール握れど実効性ある攻めができないチームをピッチで問題解決もできず。不甲斐なきかなマエストロ。もっとドSな修正指示する叱咤の声も

ボランチ扇原貴宏。被CK失点は勇蔵と同評。前半はチームで唯一「相手守備ブロック内側に縦に入れる、受ける」トライでスイッチ役になろうとしていたが、連動せず埋没。攻守球際の軽さはC大阪もBチームで露呈せずも、少し気になるシーンはあった。もっと特徴を出し、インテンシティの課題は克服を

右WH仲川輝人。前半の終盤から左WHに。私的MIP。まずサイドの守備が賢く堅実でサボらない。制限する、寄せる、引いて埋めるの判断に迷いなく精度と実効性も高い。対戦相手とゲームプラン次第では、右WHスタメンを試す試合があっても良いのではないのか(マルティノスの守備がアレなだけに)

WH仲川輝人。ただ攻めで良さを出したのは左にポジションを移してから。ここでも「縦に抜ける、止まって受ける、そこから縦あるあは中に仕掛ける、預ける、タメてスルーパス」の判断に淀みがない。チーム全体の攻めが迷い迷いの中で、仲川輝人の迷いのないプレイセレクト、自信あるプレイは際立った

WH仲川輝人。唯一の決定機、高野遼のクロスを引き出したのも仲川輝人が左サイドで受け起点を作ったプレイから。前田直輝のエリア内シュートも左ペナ角から短いスルーパスでお膳立て。自身のシュートは前半1本のみも、攻守の実効性は高かった。試合通して内容あるプレイ

左WH遠藤渓太。前半終盤から右WH。前半にエリア外からシュート1本のみ。タッチ際に張り付き、CBとSB、ボランチの隙間で効果的に受けて前向く引き出しがなく、縦やカットイン仕掛けも中途半端でやり切れず。再び漂う自信なさげな童貞臭。タイでの覚醒は夢幻か

WH遠藤渓太。しかしタイでは「ああこれは渓太もう “学がいなくなる” 前提で覚悟持ってプレイしてるなあ」感があり、それ故の「俺がやらなきゃ誰がやる」責任感、高揚感あっての覚醒であったかなと。それが学さん残留、自身はBチームの右SBに逆戻り、テンション維持が困難なのも仕方なしか

――改めてサッカー選手の成功、キャリアと地位を築くには「監督やチームメイトとの巡り合わせ」運がほぼ50%だなと。単純な話、80点の能力あっても同ポジに95点の選手いたら、そのポジではレギュラになれない。65点でも周りが55点なら、伸びシロ期待されつつ起用される。これは巡り合わせ

もう運だし巡り合わせなんだけど、選手は自分でコントロールできない領域の事で腐っても仕方ない。やれる事をやるだけ。渓太が試合前「学くんは同じポジションで越えなければいけない存在」と語ってるのも、それを理解してるから。同じポジションの実力者は、越えて蹴落とし自分の地位を築くしかない

だから今の遠藤渓太には、また少しメンタル的な高揚感が落ちプレイに迷いや自信なさを感じるが、それは「学がいなくなったから俺が」が「学を越えていかなければ」と超難度上がり、そのためどうするか悩み考えてるからだとポジティブに解釈する。自分の置かれた立場の変化を受け入れ、前を向いてると

新しいマリノスに、今季は一喜一憂するつもりだけれど1試合だけでチームや選手に対し「ああコレでアイツで間違いない」とか「コレはダメだアイツは無理だ」とか短絡的な評価をしないスタンスは変わらないよ。むしろポジティブに、可能性を見たい。大事なのは前向きに取り組む姿勢。変わろうとする事

トップ下の中島賢星。終盤はボランチ。後半3分の決定機は決めたかった。試合と彼の今後の立位置を左右するビッグプレイだった。前半からトップ下として右サイドに流れたり、前線で良い距離感を作るため試行錯誤したが全体の意志疎通問題もあり実効性はまだまだ。後半27分の中盤ロストはダメ絶対

中島賢星。昨季後半からボランチ起用が増え、今季開幕戦は一定の手応え。「後ろから入っていく」センスはもとより感じさせる選手。3年間目の危機感、課題に取り組む意欲も伝わる。今はトップ下よりボランチが適所かと思うが、扇原の加入で起用法も一定しない。難しい立場だが、頑張って欲しい

CF富樫敬真。前半エリア内シュート1本、全く縦パスの入らない展開に埋没したまま後半20分に無念の交代。ただ鹿島戦で出場機会が無かったのもC大阪戦で縦パスが入らないのも、まだ敬真にチームからの信頼が足りないから。それは本人も自覚している。言い訳せず練習から積み上げるのみ

後半12分からトップ下の前田直輝。試合の流れに上手く入ればハマる選手だが、そうでなければ全く不発。松本時代から続く「ムラっ気」評を覆していかねばリーグ戦での出場機会も増えていかない。そのために何が足りないか、自分の特徴をチームとゲームに如何にして落とし込むか。もっともっと考えよう

後半20分からCF伊藤翔。良くも悪くも1トップ、前線のターゲットとして他のライバルにない安定感。とりあえず前線に的と軸、起点はできるが、C大阪戦ではビハインド展開でも遮二無二感が不足でシュートゼロ。なんか未だに全てを掴みきれない伊藤翔ワールドがある

後半35分から右WH吉尾海夏。一度、右サイドを縦にゴリゴリ仕掛けた。Jデビュ戦の足跡はそのくらい。タイでの2戦目に続き、気後れしないゴリゴリ感あるのは好感。ユース時代に見せた「常に脳味噌フル回転、賢く細かなポジション修正」は、その後についてくればいいかな。今はゴリゴリして正解

【ボランチ天野純。特に攻⇒守トランジションは秀逸。CFウーゴ。片鱗は窺える。期待値ゼロではない。ファンサに行って直接ウーゴに愛と期待を伝えて欲しい。 by 蒼井真理】 about 2017リーグ開幕6日前までの選手評

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リーグ開幕6日前、チームは開幕前最後のオフ。日体大町田ゼルビアとの練習試合を振り返り主観に満ちた選手評を連投

GK飯倉大樹。下位カテゴリとの試合で被決定機は多くないが、町田戦は序盤の被セットプレイからの決定機を2つ阻止。シーズンの課題はクロスキャッチ含めた安定感。GK使った最後方ビルドは現状「なんちゃって足下巧い系」判断精度と速度の向上を。切り返しプレスいなしても次のパスをミスれば無意味

CB中澤佑二。町田戦で見せた局面対人対応は百戦錬磨の業。細かなラインの上げ下げ「飛ばすパス」も意欲的。ライン押し上げた際の速攻対応も、松原健とミロシュそこそこスピードある2人が両脇を固め、それなりに対応できるか。狙われるのは間違いないが、日々是抗い。勇気もって押し上げて欲しい

CBミロシュ。相手の速攻を遅らせつつ絡み取る守備対応、周囲とのコミュニケーション、そして鉄板の型になりつつあるWHへのロングフィードに高い実効性。ただ対人もトップレベルでは未知数。攻守セットプレイでは少し不安定で要熟成。チームに馴染み適応しようとするパーソナリティは素晴らしい

右SB松原健。タイでの2試合は「マリノスの守備、中澤の右隣り」の対応に戸惑いあり存在感希薄も、徐々にフィットの兆し。日体大と町田戦では絶妙なタイミングで右ペナ角まで進出し決定機に絡む。本格的なフィット、本領発揮はこれから。球際の粘り強さ奪い切る力は課題か

左SB金井貢史。昨季後半からコンビネーション熟成一途の学が残留、下平の復帰が遅れた事もあってレギュラ当確。学の使い方、絡み方を熟知しチーム最大の武器左サイドのキーマン。外を回るだけでなく内に入って「右利きの左SB」の特徴発揮。消えない軽さはあるが、今は「らしさ」が前面に出ている

ボランチ喜田拓也。宮崎キャンプの負傷で少し出遅れたが、プリメイロ・ボランチの座を中町と激しく争う。背後を消しつつ寄せ奪う激しさ、天野純とのビルド連携に優位性。ミドルシュートの意欲も高い。課題は受ける出すの細かい精度、余裕もってボールを持てる展開でのキーパスのアイデア

ボランチ中町公祐。昨季ずっと指摘し続けた「1つ2つ持ち過ぎる、ワンテンポ遅い」エリク横浜スタイル適応への課題に、意識高く取り組んでおりタッチ数が減った。その中で中央を通す縦パス、前線へのスルーパスを出せるのは今の喜田にない強み。セットプレイでのターゲットとしても変わらず秀逸

ボランチ天野純天皇杯でのブレイクにも慢心なく心身充実。関与意欲高く攻守の「気づき」一歩目が早い。特に攻⇒守トランジションは秀逸。自陣からのミドルフィードやセットプレイの精度も向上の兆し。ほんの少し「往年の奥大介」に近づきつつある新たな背番号14への期待値は高い。もっともっと

トップ下のダビ・バブンスキ。評価の難しい選手。確かに巧い。タッチが柔らかくボールを隠すスキル、パスにも色気がある。しかし攻守の関与時間とトータルの実効性はそれ程高くない。CFに当確が出ない、コンビネーション熟成できない問題も大きいが、より決定機に絡む仕事を。守備はマジ頑張れ

――なまじ喜田、中町、天野純の3人が始動からここまで素晴らしく意欲的で実効性あるプレイを続けているだけに、その3人のうち誰か1人をベンチに置くことになるダビの起用には、どうしても目線が辛くなる。確かな結果と実効性を示して欲しい。変化を作り出せる、おもしろい選手なのは間違いない

右WHマルティノス。変態的な加速とトップスピード+ミロシュのロングフィードは鉄板の武器に。昨季からの大きな変化は守備に戻るスピード、自陣を埋める頑張り。タイで遠藤渓太が童貞卒業、学の残留でWHのレギュラ争いは一気にハイレベル化。「正しい競争原理がチームと個を強くする」良い見本

左WH齋藤学日体大と町田の2試合はやや空回り感あり不発。でも学に期待するのは「J1レベルで警戒し固めてくる相手を更に上回り突き崩す」事であり、結果に導く事。開幕に合わせコンディションもテンションも作ってると思うので練習試合の内容には不安なし。信頼してるし、本気で期待してます

CF富樫敬真。結果を出し続けるワンショット・キラー。敬真は「ファーストタッチ、エリア近辺でのトラップ」が決まるか否かが全てみたいな選手(ゲルト・ミュラー的)だが、日体大と町田戦はダメな日だった。でも決めた、そこに価値がある。レギュラ奪うには「ダメな日」を減らしていくのも課題

CF伊藤翔。町田戦は左太腿裏の張りで出場回避。宮崎での練習試合、日体大戦では地味にゴールとアシストを重ねる。運動量が多い訳でないが、最前線でターゲットとなりパスを呼び込む、味方にスペースを作る「1トップらしい」仕事の安定感と戦術理解は随一。トータルでは最も計算できる頼もしい存在

CFウーゴ・ヴィエイラ。今季チームの成績を左右する最大の不確定要素。日体大戦では2ゴールあったものの運動量と身体のキレは「お話にならない」レベル。85%徒歩。13%軽いジョグ。残り2%のスプリントもキレなく、大学生との軽い接触で転倒。始動から1ヵ月まだこの状態かと、軽く絶望

CFウーゴ。町田戦の前日のチーム練習、簡単なロンド(輪オニ、タッチ限定ショートパス練習)でも他の選手と比べ反応速度が異次元。咄嗟に一歩が出ない、出しても足先だけで身体がついてこない。ファーストタッチの質、紅白戦ではクロスにヘッドで合わせるセンスも見せたが全然仕上がってない

CFウーゴ。加入決定前には「レッドスターと契約で拗れた」「横浜に行きたくないと言った」「そこから練習態度、試合のパフォーマンスもダダ下がり」「20ゴール決めたウーゴではなくなってしまった」「なだめすかして日本行き決定」との現地報道も。ああ、本人が望んだ移籍ではなかったのかと…

CFウーゴ。しかし町田戦では、日体大戦や前日練習とは見違えるほど攻守にスプリント。ウラ抜けや突破打開を狙い、PK獲得し、ポストや守備でも頑張りを見せた。まあ比較対象が「20点くらいの仕上がり」のウーゴで、まだキレも運動量も全然足りないが、「やる気と向上意欲」が見えたのは好材料

CFウーゴ。横からのボール(クロス)が多少ズレても頭や足で無理やり合わせ枠に飛ばすセンス、ポジション取りストライカ要素は確かにある。町田戦では巧みなフェイントで相手をかわしエリア侵入からフィニッシュのイメージも見えた(まだ身体がついてきてないが)片鱗は窺える。期待値ゼロではない

CFウーゴ。最大の武器であったハズの「ウラ抜けスピード、初速と加速」がどこまで戻るか。絞りキレを取り戻せるか。おそらく最大課題は「この移籍を受け入れる、マリノスでベストを尽くす」やる気の問題で、町田戦では向上が見られた。復活の鍵を握るのは来日したフィアンセ、その手料理か

CFウーゴ。なので現状のウーゴには過度な期待も失望もして欲しくない。大事なのは「この移籍を受け入れる、マリノスでベストを尽くす」なので、自宅に大きなポルトガル国旗がある人はスタジアムに持参し振って欲しいし、ポル語が堪能な人はファンサに行って直接ウーゴに愛と期待を伝えて欲しい

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【いやーこの約3ヶ月、なかなか濃密だったねえ… by 蒼井真理】 about CFG提携の価値と東欧ルート、今オフ補強についての妄想に近い推測

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『CFG提携の価値と東欧ルート、今オフ補強についての妄想に近い推測』および『CFGと日産がマリノスに求めているものは何か? その疑問に対する解』を連投する

比較的、予算規模に恵まれた複数クラブが今オフは強気の動きを見せた。鹿島、瓦斯、神戸、フラれる事が多かったが吹田や鳥栖も。浦和は地味ながらピンポイントにJで実績ある選手を加えた(何より近年流出が極端に少ない)

対するマリノスは新体制発表後ながら外国籍枠を3+2でフルに埋めた事などもあり「近年稀に見る積極補強、大成功」とのサポータからの評価もあるが、Jリーグで確固たる実績ある選手たちではなく、若い選手が多い。獲得に使った金額的にも「大型補強」ではない

日産自動車マリノスへの資金投下の仕方を変えて「CFGと資本提携を伴うパートナシップを三者連携で締結、20%の株式を売却し提携しチーム運営にノウハウを取り入れる」と決めたのが2014年5月。2年半以上前の事

――振り返れば全然ハードランディングじゃない

改めて強調しておくべきは、この提携はマリノスとCFGの二者提携でなく「日産自動車を含めた三者提携」であり、この決定にはマリノスの実質的な親会社である日産自動車カルロス・ゴーンの意向も強く働いているという事。背景を考えれば「むしろ日産自動車の意向が最も強い」提携であった事

…当時は特にCFG側のメリットが見えにくく「CFGと、またそれとの提携を望んだ日産自動車マリノスに何を求め期待しているか」が見えなかった。「数年後にはチームカラーやエンブレムが変更になる事も受け入れないとダメなのかもな」そんな漠然とした不安も、皆無ではなかった

2015.12.31
嘉悦朗が社長を退任

2016.3.31
下條佳明チーム統括本部長が退任

2016.4.1
利重孝夫氏がエグゼクティブアドバイザ就任
アイザック・ドル氏がSD就任

2016.6.1
利重孝夫が取締役就任

2016.7.1
利重孝夫がチーム統括本部長就任

CFGとの提携合意から約2年が経った昨年の3月末から、フロント体制に大きな動きがあった。2010年から嘉悦社長の下で6シーズン統括本部長を務めた下條氏が退任。スポーティング・ダイレクタにアイザック・ドルが就任し、この時点ではドルが下條氏の仕事(編成の長)を引き継ぐ形になった

2ヶ月後の6月に利重氏がアドバイザから取締役に、その1ヵ月後にはチーム統括本部長に就任した。7月はちょうど「来季に向けた編成がスタートする」時期でもある。この「利重+アイザック体制」が既定路線だったのか、必要に迫られての変更だったのかは、全く情報なく不明

――SDという役職名からは総合的な決定権を持つGM(日本で言う強化部長、マリノスなら統括本部長…ただし背後に社長、その背後に親会社がいて決裁権を持つ事が多い)のような決定権を有さない「補強のための交渉人」の意味合いが感じられ「利重+アイザック体制」は既定路線だったと見るべきか…

…つーかクラブにとってこんな大きなフロント体制の変更がある中で情報があまりに無さ過ぎたんだよ。この半年以上、マリノス番記者たちは何をやっていたのかと。なんで利重さんやドルのインタビュ記事が一本もあがってないんだよマジ仕事しろよ

アイザック・ドルのSD就任、利重さんの統括本部長就任の際に「不安と不可解」を覚えたのは2人の経歴に「プロクラブの編成経験が皆無」であった事

利重氏の経歴は超の付くエリート&エグゼクティブで出自にサッカー背景あり、トップビジネス&サッカー界での実務交渉経験は他の日本人で探すのがおそらく難しいレベル。ドルは日本、中東、フランス、母国ルーマニアでU-年代を中心に豊富な指導歴ある国際派。しかし2人とも「編成経験はゼロ」皆無

なので昨季の4~7月頃は「社長も1年生だし、こりゃあ次のオフはどうなる事やら想像もつかんな」と、これまた漠然とした不安になると同時に「番記者どもマジ仕事しろよ…」の念が強くあったが、本当に情報が無さ過ぎて仕方ないのでそのうち考えるのをやめた(第二部完)

そしてシーズン終盤からオフにかけて、ただただ受け入れるのみ。いやーこの約3ヶ月、なかなか濃密だったねえ…

利重氏自身、昨季リーグ終了後の最初の契約更改交渉の後に「1回目の契約交渉で、私自身も初めてだった。今までいろいろな会社で人事面談をしてきたが、やはり似て非なるもの」と語っている

…実際、トップビジネスの世界では感情論を排しロジカルに交渉、議論、説得できても、サッカーの特に代理人を介さない直接交渉ではそういった「交渉の基礎ルール」を持たない選手側が感情論を持ち出し、どう形にしたらいいか分からない「愛」を要求してきたりと違った難しさが絶対的にある

「判断基準をハッキリさせないとマリノスへの愛がなくなってしまう。愛のないクラブは衰退する」中町公祐

「愛あるクラブにしてくれ、と伝えた」飯倉大樹

――全くの余談だがこの当時の利重さんに、加藤清正に「お前には情っていうもんがねぇのかよ!」「お前と飲みたいんだよぉおお!」とすがりつかれ鬱陶しそうに振りほどく石田三成山本耕史)のイメージが重なってた

新体制発表では「マリノスタウンを離れ、本社機能と練習場の距離ができてしまいコミュニケーションが足りない部分もあった」と反省の弁と共に「今季は編成の長である私が責任をもって果たしていく」とも語った。チーム統括、編成の長としての経験不足が否めない部分も確かにあった

――ただ今になって「何故、利重氏だったのか」「何故ドルだったのか」を少し醒めた目線で考えると、思うところがある(ようやくこの連投の本題である。前フリが長いのは芸風だから諦めて、どうぞ)
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【「身のこなし方がありえないくらい上手いっすねぇ」「バルサ伊達じゃない!」 by かっつ&いた】 about ダビド バブンスキーについて@2017宮崎キャンプの練習動画(ロンド)より

Facebookマリノス公式が投稿した、練習風景(ロンド)の動画についての感想ツイート

※中央でパスをさばいているのが、バブンスキー(元バルセロナB)