横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【「富澤の裁量で修正したとこを不可解なテンプレ交代でブチ壊す」という離れ業 by 蒼井真理】 about [2014-J1-26] 横浜 0 v 0 甲府

aoi_mari.png蒼井真理



今季ラストの三ツ沢開催。26節 甲府戦。芝生が秋冬な感じでかなり浅め。ホーム自由席は、アウェイ寄りクルヴァ以外はほぼ埋まっています

スタメンは、伊藤翔矢島卓郎の2トップ! 俊輔はコンディション不良でベンチ外、ここ数試合サッパリな学も外れて、藤本淳吾でもなく2列目に佐藤優平! と兵藤。どっちかと言うと優平はSHでなくトップ下で見たかったけど、かなり思い切った2トップ採用&スタメン

今日の注目ポイントは、佐藤優平奈良輪雄太、そして矢島卓郎の3名のパフォーマンス… ではなく「決定的な仕事ができるか」否か。マリノスにおいて、樋口監督の下で序列を変えるのは生半可な事ではない。「悪くなかったね」「頑張ったね」では足りない、ダメなのだ

矢島卓郎に求められるものは明確。得点、チームを勝利に導くゴール! ボックス幅、よりゴールに近い位置でターゲットとして機能する事。迫力、相手守備陣の脅威になり続ける事。矢島がストライカ、CFとして計算(逆算)できるようになれば、システム変更の可能性も含め諸々捗る

奈良輪に求められるのは、度々指摘する通り「ファーストタッチ、クロス、シュートの精度」攻守の切り替えと集中力は問題ない。それで対人守備の軽さもカバーしている。あとはチャンスに効果的に絡む事。奈良輪はダイナミズムや運動量、攻守両面に絡めるのがウリ。最後の仕事が出来なければ価値は半減

今でも奈良輪は出場の度に120%のパフォーマンスを見せてくれていると思う。だがJ1で生き残るには、レギュラに近い場所に居続けるにはまだ足りない。パンゾー不在の今がチャンス。居場所を確立しピッチに立ち続ければ、才能や潜在能力なんて壁は試合毎に乗り越えていける。かも

佐藤優平が、2列目で煌めく才能を感じさせたのはユース1年時のみ。2年以降、大学、そしてプロ加入後は「自分の役所をわきまえた」クレバーな立ち回りが目を引く。ユースや大学では2.5~3列目。トップでは1.5~2列目で。「使う側、使われる側」のどちらも出来るのが優平の幅、賢さ

ユース1年時を除き、優平のプレイに(例えばアンドリューのような)傑出した才能、ポテンシャルを感じた事はない。役所をわきまえる姿は器用貧乏にも見える。しかしその「知性と幅」は魅力であるし、才能的には2列ド真ん中で、殺傷能力高いドSなパスを繰り出すセンスも未だ持ち合わせる…ハズ

兵藤も1.5~3列目までこなす「使われる側」「潤滑油タイプ」のマルチロールだが、優平は「使う側」「決定的な仕事をする」方向にも幅や才能がある。使い分ける知性がある。その幅や才能が、どこまでJ1レベルで通用するかは未知数だが、まずは公式戦のピッチに立ち続けなければ始まらない

準レギュラ以上の立場を掴んだ後に「穴埋め役に最適な単なる器用貧乏」となるのか「どのポジションでも中心選手として輝く才能」を秘めているのかは分からない。ただ優平の「1.5~3列目まで」「使う側も、使われる側もこなす」幅と知性は、計算できるとなれば、チームの底上げは大きく進捗する

とにかく矢島も奈良輪も優平も、コンスタントに試合に出続けなければ「計算できない」「たまに使って、上手くいく事を祈るのみ」となる。まあこの辺は、樋口監督の起用・底上げマネジメント能力やリスク挑戦がアレなので難しい問題ですが。選手としては、与えられたチャンスをモノにするのみ!

さあ勝とう! 確かなアピールも、チームの勝利あってこそ 

--

甲府は5-4-1ブロックだけど、ハーフウェイより前で結構厳しく限定してくる。ワンサイドカット、タッチ際に追い込み狭く、選択肢を消してボールを奪う意図は明確。そっからのサイド攻撃。4分、最初のチャンスは甲府。言うほどドン引きじゃない。重心は後ろでも、能動的な守備

14分、兵藤と優平が中心となり、相手守備ブロックの内側で動きながら付ける、受けるトライ。平時のマリノスにはない光景で新鮮w あとは2トップがコレに上手く絡んでくれば、とても面白い。ここまで伊藤翔と矢島はまだ良い絡み無し

兵藤はブロック内側、狭いとこで受けて捌くのが本当に上手い。スペースに走るだけだった3年前までとは、まるで別人。そして小椋祥平・改が完全に攻守チームのヘソとなって全体をコントロールるw マエストロ中町も驚愕の存在感

--

前半終了、横浜0-0甲府。シュート4:2(枠内3:1)決定機1:1。兵藤(たまに優平)が間あいだで受けて捌くが、2トップが上手く絡んでこない。右SB奈良輪がクロスを上げる形は作るが、中と合わない。ビルド&チャンスメイクはそこそこ。でも最後1つ前のとこで可能性が潰える。難しい

2トップにするのは良いんだけど、樋口監督は攻守の役割を明確に与えてピッチに立たせて下さい。伊藤翔矢島卓郎、フリーダム過ぎます。局面で頑張るだけ(矢島はそれすら怪しいが)局面を作るためどうするか、後ろを助けるための限定とか適当、気分次第。2トップにしたメリットが前半ゼロ

矢島卓郎は今季ここまでの状況の中、先発で起用されてこんなプレイ、表現しか出来ないのか。ナ杯アウェイ柏戦では頑張り見えたけどなあ。今日は全然ダメ。要求もないし、必死さも見えない

奈良輪はファーストタッチ、クロス精度……。前半だけで5、6本はクロス上げてるけど可能性を感じない。厳しい。球際の守備、身体の入れ方とかは公式戦を重ね上手くなってるけど

優平は左サイドでジウシーニョを見るため、兵藤と比べやや存在感希薄。今日もかなり、右肩上がり。下平匠も自重気味で、見方によっては変則3バック。半分は奈良輪のアグレッシブさを生かすため(学いないし、仕方ないとこもある)…奈良輪、結果出さないとダメだよ

前半、素晴らしい存在感を発揮してるのが中澤と勇蔵のCBコンビ、小椋、兵藤。…いつもの皆さんじゃないか。これじゃダメだろ

2トップは役割整理するだけで、もっと良くなると思うけどな。ストライカとは、ルールや規制、相手DFからの制限がある中で、自らの裁量でそれを超えたり無視したりして結果出すもんだ


--

後半7分、小椋祥平・改が接触プレイで脚を傷め交代。富澤がイン

下平匠のクロスの精度ったらないね。…右肩上がりにする意味ないんしゃねーの?

富澤が入って長いボールを配球し始め、下平匠の位置も高くなった。押し込めてはいる。それが良い事かは、まだ分からない。富澤、下平匠がアングル付けてエリアに入れて、しっかり競ってこぼれ球拾うのもアリか

富澤が配球し押し込めるようになったタイミングで、優平を下げて学。うーん…。まあ、小椋→富澤は想定外で、「60分に学を投入」は予定通りって事かな。樋口さん、相変わらずだなあ

富澤が長いボールをエリア近辺の矢島卓郎に入れ、サイドに伊藤翔を走らせるようになって、ようやく2トップの仕事が整理されたw こぼれ球を拾うのは、優平の仕事だったはずなのにな

富澤はベンチで見てて、今日の2トップの生かし方をしっかり考えてた。さすが兄貴、クレバーだぜ! カンペー兄貴がピッチに立った途端、矢島と伊藤翔がイキイキし始めた。これが小椋の負傷が切欠でなく、樋口監督の判断・采配だったらどんなに素晴らしいだろう…

きっと樋口監督はハーフタイムに「2トップは伊藤翔が先にゴール方向に動き出しロングボール引き出し、矢島卓郎は少しだけ遅れエリア入って競れ」って指示も出してるし、小椋の負傷交代はたまたまで、もともと富澤を入れて長い球を蹴らせるつもりだったんだよ…。きっとそうだよ…

31分、矢島卓郎を下げて端戸仁。富澤→矢島卓郎のラインが見えてきた、ロングボールをチーム全体として効果的に使えるようになった展開で、優平→学、矢島→端戸。難解だな

もう、出た選手みんながんばれ!

矢島卓郎がピッチから消えて、富澤の存在感も低下してしまった。もう本当に、1人ひとりが頑張って結果出すしかない、がんばれー

オープンな展開、「みんな頑張れ」なマリノス、カウンタの甲府。0-0が妥当、濃厚な試合だが、あとは勝利の女神がどちらに微笑むか。マリノス的には、展開・采配の妙もクソもない

--

試合終了、横浜0-0甲府トータル決定機1:2。妥当なスコア。2トップの役割を整理できず矢島と伊藤翔をピッチに立たせたが「たまたま小椋の負傷で出てきた」富澤が今日の2トップ&甲府の守備に対する最適解を導き、矢島の良さを引き出し良い型が生まれた。それを監督が難解な交代策で崩した

采配批判は好きじゃない。いつだって無責任な結果論だから。でも、今日のは酷過ぎる。富澤が入り、完全に2トップに長いボール入れてこぼれ球拾う流れだった。実際、2トップも機能し始めていた。ピッチの事象を見ないテンプレ采配。樋口さんが「臨機応変」の四文字と無縁な人だってのは承知だけどさ

2トップの役割を整理できずピッチに立たせ、たまたま小椋の交代で出た富澤が「彼の判断、裁量で」展開を一変させた。ところがそのロングボール他用の流れを、樋口監督は「こぼれ球拾う優平」「競り合う矢島」を下げて「足元受けて変化系」の2人を入れて壊した。なかなか面白いものを観た気がする

いや樋口監督が「戦術指揮官」として致命的に才がないなんて今更だよ? でもね、今日のは「スタートの2トップに対する明確な役割設定を欠いてグダグダにして、それを富澤の裁量で修正したとこを不可解なテンプレ交代でブチ壊す」という離れ業。これはちょっと凄いよマジで