横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【樋口監督はブレてない、1年スパン視点からの逆算・決断と解釈 by 蒼井真理】 about [J1-10]プレビュー&今季ここまでとこれから

明日の柏戦、マルキと藤田の2トップが濃厚とか! 樋口監督は中断期間までは「中盤戦以降に備えオプションを増やしつつ、勝ち点も積み重ねる」方針でブレてない、ここまでそんな印象。リスクはあっても、全てはリーグタイトルのため。シーズン1年スパン視点からの逆算・決断と私は解釈している

そして柏の予想スタメンに、狩野健太谷口博之の名前はない。狩野は5節の名古屋戦で左太もも肉離れ(全治4週間)か。しかし右SBの「藤田」が、あの藤田優人だという事に皆はお気づきか。甲府戦ではまんまと青ちゃんにしてやられたマリノス、明日の危険人物は藤田優人ッ!

確かに「スタートから2トップ」は色んな不安要素はある。プレスのかかり具合、俊輔が消える、ここまでのマルキと藤田の関係性の低さ。しかし逆に考えればベンチに学と端戸、優平がいるのだから交代でハーフタイム以降に(複数回の)修正も可能

ただ「中盤戦以降に備えオプションを増やしつつ」の部分で、2トップの熟成や個人で言えば端戸・アンドリューあたりの台頭が、目論見ほど進捗が見られないのは確かだと思う。たぶん樋口監督的にも「底上げ足らんなあー」と思ってるんじゃないかと
しかし昨季、中町が入った4-2-3-1が完成したのも29節の磐田戦。学が本当の意味でフィットしたのは33節の札幌戦。組織の熟成、個のフィットには時間がかかる。無論タイトルを獲るには今季そこまで時間をかける訳にはいかないが、少なくともハーフシーズンは我慢が必要

樋口監督は昨季終了後「監督として改めていろいろ学ぶ事の多かった」と回想していた。それは「熟成」は1試合1コマずつ進むなどと単純なもの(RPG経験値→Lv.up)でなく、一進一退を繰り返す中、正しい道を我慢して進めばある時突然「ケチャップドバドバ」という事も含んでいると思う

だって昨季終盤の磐田戦の中町のハマりっぷり(と俊輔トップ下→4-2-3-1の完成度)や、札幌戦の学のおチャクラ全開っぷりは、正に「ケチャップドバドバ」としか言いようがないくらい、急激だったもの。そしてそれは間違いなく蓄積効果の現れでもあった

だから私は、今は端戸がフィットしなくても(否この3試合はウラへの抜け出しに確かな進捗が見られる!)、マルキと藤田の2トップがしっくりこなくても(こっちは普通に厳しいw)、シーズンのどこかでドバドバくると信じてる。たぶん樋口監督も。それがなければタイトルは難しい、という判断もコミで

富澤中町兵藤俊輔学が中盤に並びマルキを頂点に置いた4-2-3-1の完成度は素晴らしい。絶妙な補完関係だ。しかし絶妙過ぎるが故に、少しでも欠場や不調が重なると、急激に機能性は低下する。精密にチューニングされたレースカーのようなものだ

最近のリーグ戦で言えば、まず新潟戦は最も替えが利かない、俊輔と中町の「自由」を補完していた富澤の欠場が痛かった。甲府戦は復帰直後の富澤をカバーするため、中町のプレイに自制が見られた

そして新潟戦の終盤と甲府戦、鹿島戦は唯一「組織の好不調と関わりなく完全に個の力で局面を前進・打開できる」学の不在が大きく響いた。俊輔は言う「マリノスにスーパーな選手はいないから」と。マリノスでスーパー(特別)なのは学と、90%以上のコンディション下のマルキだけだ

富澤が不在、あるいは復帰直後。学が不在。マルキのコンディションが75%以下。これらの要素が2つ以上重なると、昨季終盤に完成を見た絶妙な補完関係は機能性を下げる。ここ3試合、俊輔がやや低調に見えるのは本人のコンディションに因るものでなく、前述の機能性低下に原因があると私は考える

リーグ戦ここ3試合で勝ててない、もう1つの要因。それはマリノスのスタイルが昨季終盤に1つの完成を見せ・今季序盤も継続し強みを発揮した故に、対戦相手の研究が早くも進んでいる事にあると思われる。この3試合、本来の良い形(特に奪い方)が見せられないのは選手が揃わないからだけではない

鹿島は露骨に長いボールを多用した。新潟と甲府は、もっとスマートにしっかり自陣から繋ぎながらもマリノスの「ハメ所」を回避した。マルキの運動量や端戸の守備、学の不在の影響もあり、まず相手DFラインに余裕を持ってつなぐ事を許したという背景もある

新潟や甲府マリノスの「ハメ所」「狩場」であるボランチやブロック中央でのつなぎは回避するかダイレクトプレイを多用、左SBドゥトラと中澤の間にFWやSHを走り込ませて縦パスを入れ、そこを起点とした攻撃を繰り返した。つーかこれは昨季から既に何度もやられ続けてる対マリノス鉄板戦術

「相手の良さを消すより自分たちの良さを全面に押し出す」「カウンタ・ロングボール主体よりポゼッション志向」のチーム相手ならば、マリノスのスタイル・コンセプトは超ハマる。特に中町無双。俊輔も、マルキがしっかりコース切ればかなりのハメ師になる。2人とも縦の守備、インタセプトはスゲー巧み

今季で言えばナ杯の甲府戦、5節アウェイ広島戦なんかは相手の対マリノス策がすごく中途半端で面白いくらいハメられた。でも、それ以外の試合では(昨季終盤→天皇杯みたいに)ハマった試合は少ない。前述の通り、理由は選手が(コンディション含め)揃わない&相手が対策を講じたから

…そろそろ飽きてきたからまとめよう

えーと多分開幕前から、樋口監督も「選手が揃わない(欠場・コンディション不良含む)」「今のコンセプトに対し明確な対策を講じる相手が増える」事を想定していたと思います。「昨季の積み上げには確かな手応えがあるし、強み」しかし「現状維持だけでは、中盤戦以降どう考えても厳しい」と

これらの理由から、樋口監督は冒頭書いた『中断期間までは「中盤戦以降に備えオプションを増やしつつ、勝ち点も積み重ねる(←他クラブが新たなチーム作りに時間がかかる序盤、昨季の積み上げがあるアドバンテージを生かす)」方針』を採ったであろうと。そして開幕6連勝は目論見通りであったと

一方で「中盤戦以降に備えオプションを増やす」部分は進捗が見えにくく厳しいが、そこは我慢しなきゃダメだろうと。私はそう解釈しとります

明日の柏戦で2トップに新たな可能性が見いだせたらなと。昨季はベースを作るのが最優先事項。今季はマジでタイトル狙ってるんで、3つ続けて勝ててないんで勝たにゃならんです。加えて2トップにも一定の目処がほしい。ここは貪欲になるとこ。「昨季勝てなかった柏に勝つ」事にも大きな意味がある

強がりでなく、新潟や甲府に勝点を落としたことは、そんな痛手に感じてないス。Jはスゲー戦力拮抗したリーグで実際問題、新潟と甲府は良かったし「全部勝つのは無理」なら、勝点落とすなら優勝争いに絡まないチーム。浦和・鹿島あたりに負けては絶対ダメ。だから土曜の追い付いてドローは価値がある

うーんこんな時期から勝点の勘定しても仕方ねーか。取らぬ狸のなんとやら。まあ終わった試合の勝点云々するより、最終節が終わった時に「あのファビオのゴールがあったからだよな!」って言える状況になるようやってくしかねーッスね。過去は変えられない変えられるのは未来だけって言うし

この3日ほどいつもマリノス談義から多大なインスパイアを受けるIさんやS君との会話から膨らんだ&整理したお話は大体吐き出したかしら?

ああ、あと「今のチームで少し気がかりなのが…」って話でIさんもS君とも意見を共有したのが、『試合後の選手コメントとか読んでて、なんか最近は少しずつ選手個々のゲーム内容の捉え方や課題がズレてきてるよね?』ってこと

まあ3つ勝ててないんだから、食い違ってくるのはある意味仕方ないんだけど。やっぱり「前が」「後ろが」とか責任のなすりつけ合いになったり、捉え方のズレが方向性のズレ・疑心暗鬼につながるのが怖い。2011年中盤以降はチームが急降下する前から、露骨にコレが兆候として表れてたから

やっぱりマリノスは俊輔と中澤がスゲー影響力ある存在で、でも2人とも「基本は背中で引っ張るタイプ」(富澤@エルゴラインタビュ)なので、監督や自分以外の選手と捉え方に齟齬が生じた時にちょっとやっかいな事になる場合もある。実際、あった(それこそ2011年とか)

ただ中澤さんも少しずつ主張方法が変わってきてるし、俊輔は特に今季は周囲の事・自分の発言がチームに与える影響を考えた発言(甲府戦後の端戸に対するコメントとか)をずーっと続けている。ホントこの辺もタイトルへの執念が彼を変えてるんだと思う

加えて、富澤を中心に中町、あと兵藤は常に少し引いた目線で冷静に、且つ前向きな発言を昨季からずーっと続けている。この3人はポジション的にも役割的にも、俊輔と中澤の間でそれぞれの意向をくみ取りつつチームのバランスを整えるのが仕事。特にカンペー兄貴だね

俊輔と中澤は年齢も実績もズバ抜けた存在で影響力も極めて高いけどリーダとしてはいろいろ微妙な存在(職人気質的な気難しさがあったり)、マルキとドゥトラもプロフェッショナル的な他者への厳しさ、時にある種の独善・独断がある(一定のレベルに達しない選手に自ら手を差し伸べる事はない、など)

そういう俊輔・中澤・マルキ・ドゥトラの頼りがいあるんだけど「今時の若い選手」や、結果が出ない時のチームのまとまりという面で足りないリーダシップを、プレイ面だけでなく富澤や中町、兵藤は補完できる、してくれているんじゃないかなと思うし、凄く期待している

ある意味で中間管理職的な面倒くささ、難しさもあるかもしれないけれど、数年後には彼らが完全にリーダシップを発揮しなければならなくなる時がくるのだから、その意味でも今の経験は大きく生きてくるんじゃないかな。だから3人には、この先も長くマリノスで現役を続けて欲しいと思う

ダラダラといろいろ飛躍した話まで書いてしまいましたが、最近考えてた事は大体全部吐き出しました。明日は午前から三ツ沢か西が丘で大学サッカーを2試合観てから柏戦に行くので、そろそろおやすみなさい