横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【来季も見据えた「必然の挑戦」は完全裏目。頑張りはあったが、必死さは見えず。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-24] 横浜 0 v 1 鹿島

aoi_mari.png蒼井真理


スタジアム入場。モツ煮込み大500円に七味を大量に入れて身体を温め落ち着く。バクスタアッパー、イーストゾーン前売り2500円。俯瞰厨には最高、ピッチ全体を見下ろし把握できる。鹿島はゴール裏もバクスタ視野も、外観圧力も豊田と国内双璧!

鹿島戦スタメン。右SBに奈良輪、パンゾーはベンチ。先発予想のあったファビオはベンチで、CBは勇蔵&中澤。ボランチは小椋が外れ、富澤と三門雄大。2列目は藤本淳吾、俊輔、学。1トップに伊藤翔。これは「来季も見据え、計算できる選手を増やすための施策」の一環と読む

スタメンを外れたパンゾーや小椋、あるいは兵藤の直近パフォーマンス、コンディションが劣悪という判断ではないだろう。むしろ彼らは「既に実績あり、計算が立つ」からこそ、来季を見据え積み上げを得るために期待する選手、組み合わせを試す。ファビオが外れたのは少し意外で、残念だが

残り11試合、リーグタイトルは現実的な目標ではない。ACL圏内3位はひとつ分かりやすいターゲット。だが、今季のシーズン前半とACLの結果を受けても、何の上積みもなく来季ACLに再挑戦できたとして、同じ事の繰り返しとなる可能性が高い。「今できる事」を考えれば、当然の施策・挑戦

アウェイACLメルボルン戦の後、繰り返し強調したが「なんでベストメンバで臨まなかったか」でなく「あのメンバで勝ち切れなかった」事を嘆くべきだ。11人では、リーグとACLを戦い抜く事は出来ない。現状「12~16人目の選手」に本気で期待しよう。彼らもマリノス、全員の総量が戦力だ

ただ今のチームで言えば、個の力や伸びシロ的に最も「12、13人目」なのがファビオであり、個人的にはリーグ残りは何らかの理由をつけてファビオは常に先発起用して良いと思う。逆に奈良輪は、現状で起用された際は必ず最高の集中力を発揮し、彼の120%を出しているように見えるのだが…

厳しい言い方をすれば、ポテンシャル的に大幅な伸びシロは感じない。だが、樋口監督としては「練習でも公式戦でも、常に100%以上を出す」奈良輪を、使いたい、使わなければ示しがつかない、との考えも理解できる。公式戦で120%を出し続ければ、それが彼の100%になっていく可能性もある

ポテンシャル、伸びシロ的に厳しいのは今日1トップ先発の伊藤翔も同様。今季前半の「頑張り」は素晴らしく感動的だったが、皮肉にもラフィーニャの加入で「決定的に足りない」「頑張りだけではどうしようもない」ものも、改めて多く見えてしまった。壁を打ち破るのは、決して容易ではない

年齢的にも決して「若手」ではない、現状では頭打ち感もある奈良輪、伊藤翔だが、だからこそ壁を打ち破ってほしいという思いも、無論ある。彼らは自分の可能性や到達点を、絶対「今」に設定してない。それは痛いほど伝わってくるから

あと樋口監督、クラブとしても「こんなものではないハズ」と期待し(ある意味ここまでの結果に失望し)ているのは、藤本淳吾と学の2人だろう。単純に「計算できる」という観点で言えば、兵藤がスタメンから外れるのはフェアではない。だが2人には「他の者には出来ない」計算以上が期待されている

なので今日は展開予想やチームとしての融和性よりも「個のパフォーマンス、必死のアピール」に注目してみたい。もちろん「如何にソレをチームに落とし込むか」も、個の技量でありパフォーマンスの大きな部分。三門雄大あたりは、縦への勇気と勢いで強かに魅せてくれるのではと期待している

つーか今日のスタメン、樋口監督の思惑は「必死さを出せる選手、必死さを出せるか試したい選手」でしょ? パンゾー、兵藤、小椋あたりは「当たり前に出来る」タイプだから外れた。藤本淳吾なんかは、相当「試されてる」と思うけどな。今日やんなかったら、もうないでしょ

…その妄想で言えば、勇蔵も「試されてる」枠?

鹿島はジョルジワグネルはベンチスタートで、左SHは33カイオが先発。柏時代のワグネルは、ある意味ドミンゲス以上の天敵だったけど、鹿島ではセットプレイ以外、その左クロスが生きるシチュエーションが少ないか? ダヴィ土居聖真遠藤康では

伊藤翔と奈良輪の「頑張り」を超えた意地、矜持。藤本淳吾の「本気」、三門雄大の縦のダイナミズムと強烈ミドル、学のゴールに絡む「確かな結果」に期待

塩試合になったら、CKから下平匠のヘッドで決着とかも有り得るか。互いに崩せない、シュートが少ない展開になったら、三門雄大と富澤の両ボランチはどんどん積極的にミドル狙ってほしいな。…ピッチも湿ってスリッピかもだし

鹿島で、これ以上「乗せてはダメ」結果と自信を与えてはいけない選手は柴崎岳なんかじゃなく(彼は良くも悪くも自立しており頑固でマイペース)MF28土居聖真。ちょっとマリノスさん、彼にやられ過ぎ

今日は「良い試合」老獪な駆け引きが観たいんじゃあない、選手全員それぞれの100%、それ以上の「本気」が見たいんだ。全部出し切れ!

前半終了、横浜0-1鹿島。シュート0:6(枠内0:1)決定機0:3。ゲーム支配は圧倒的に鹿島。攻守の連動性、余裕、ボールの動かし方、前からの限定、奪い所の共有…全てに大人と子供の差。「頑張っている」のに情けないほど何も出来ない。が、承知の挑戦。我慢し、何か掴み取って行くしか

しかし、ここまで差がでるとは…。内容的には0-1どころではない圧倒的な格差。マリノスは前の4人に、全くよい形(先手を取れる)でボール入らず。逆に守備では後手、ズルズル下がり押し上げ利かず「エリア前に人がいるだけ」遠藤康の痛烈ミドル失点も、その形から

個に期待した部分での失望としては、学が全くボールを呼び込めず関与できてない(他の前3人も引き付けられてない、それも確かだが) 富澤が球際で全く勝てない、奪い切れない。フィルタとして機能してない。組織の完成度・状態に圧倒的な差がある中で、これはキツい

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65分までマリノスはシュートゼロ。枠内ではなく、シュートがゼロ

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あまりに無様な、情けない75分まで。結局、ラフィに兵藤、小椋と「実績あり計算できる選手」も投入。本来の狙いも見失う。しかしだからこそ、不格好でも1点を。勝点1もぎ取る執念を。そこに価値を見いだすしか…

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試合終了、横浜0-1鹿島。シュート1:19(枠内0:3)決定機1:8。ATにFKで脅かすもスコア以上の完敗。現状踏まえ来季も見据えた「必然の挑戦」は完全裏目。頑張りはあったが、必死さは見えず。だが「何も無かった」とするかは、今後次第