横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【このハイインテンシティなゲームは横浜におあつらえ向き。この展開で強度を保つことは通ってきた道。以前はこのインテンシティに耐えきれずに質を落としてた、特に昨年は。でも今は違う、この強度にもテンポにも耐えれる。横浜が優位に立ったのは必然だった by いた】 about [2019-J1-26] 横浜 3 v 0 広島

f:id:harukazepc:20170419104133p:plainいた

広島戦、見返した。色々と本当によかった。

凄く強度が高く、タフで、上位決戦に相応しい質の高い試合。そういう試合に勝ち切れたことは凄く自信になる。

【広島の横浜対策】

  • ポゼッション制御のためのプレッシング(4バック+2ボランチに対しての形合わせ含)
  • 浅いラインの裏を取るためのダイナミズムアクション(ダイヤゴナルラン)
  • スピードのミスマッチを活かすサイドチェンジ(ハイネル-ティーラトンのところ)

相手を引き込み、隙を伺うようなコントロールする戦い方ではなく、かなりアグレッシブな選択。少し驚いた。

青山のスタメン起用含めて嵌ってもいたし、チャンスも作れていた事を考えれば、選択自体は正しいものだった、「少なくとも前半までは。」

【勇敢な杉本大地

裏を狙われるのは、もはや恒例行事。とはいえ、広島は雑に裏に蹴りだすのではなく、意図と狙いがあったのも事実。

  • 渡が警戒を引き、東がその間隙を突く。
  • ハイネルのスピードのミスマッチを活かす
  • 内に締めるサイドバックの傾向を見てのサイドチェンジ。

広島の精緻な狙いを感じられるスペースアタックは即失点の可能性も孕んでいた。

そこで勇敢な対応を見せたのが杉本大地。決して得意なプレーではないはず。しかし、常にアラート意識を持ち、勇気ある決断で飛び出して未然に決定機を摘み取ったことは素晴らしかった。

試合開始早々のチアゴのバックパスが短くなったところで危機回避できたのはこの試合の影のMVPと言ってもいいぐらい。

あれで失点していたら試合は別の方向に動いていたと思うからこそ。グッジョブ!

(広島は先制したら別のプランに移行したんじゃないかな)

【SBの粘り】

広島のクオリティプレーヤーである柏好文・ハイネルに対して松原健ティーラトンが粘り強く対応してくれたこと。

久々の出場となった松原健の粘り強い対応も、ティーラトンの最後まで諦めずに走り切って寄せ切る対応も効果が間違いなくあった。

彼らの踏ん張りが後半の爆発を呼んだ。

【捨てきれなかったメインアクター】

広島のプレスのためのシステム変形で浮く形となったのがトップ下のマルコス・ジュニオール

喜田拓也扇原貴宏を見るために青山敏弘稲垣祥が前に出る、という選択。

DFラインは3トップ警戒のために前には出れない、そのライン間でマルコスが浮く、と。

自由な空間を得たマルコスがパスを引き出すことで相手をひっくり返すことが出来る、そして攻撃に出る上でよいシチュエーションを作り出せる。

何本か良い楔が通り始めたところで広島はポジションを下げるプラン修正。

「プレスの矛」を収めざるを得なくなったかな、と。

相手のプレスをうまくいなし(時には捨てたけどそれもまた致し方なし)、浮くマルコスを見つけて楔を通す畠中くんはじめとしたビルドアップ隊は相変わらず素晴らしい。

サイドバックの位置取りの工夫も含めて、相手の対策に屈さなかったのは凄くよかった。

【ハイテンポ・ハイスピード】

横浜は高い位置からハイプレスを敢行、奪えば空いたスペースを突いてスピードアップ。

広島は定常に比べて裏狙いのアタックが増えたことでハイテンポ。

中盤では激しい攻防、カードすれすれの激しいコンタクトが続く。

前半からずっとこんな展開、選手もどんどん消耗する

このテンポ早く、スピーディな展開になったゲームはどちらに優位に働いたのか。

結論から言えば、横浜にとっては慣れた展開、広島は、その展開を是とするチームじゃなかった。

ここが勝負の綾だったかな。

広島は、アプローチが甘くなったり、戻り切れなくなってカウンターを喰らう、選手間の距離や動き出しが悪くなって攻撃頻度が落ちる。質が保てなくなる。

横浜は、強度とテンションとクオリティを維持し、押し込む、優位に立つ。

様々な互いの選択の末の結果ではある。が、このハイインテンシティなゲームは横浜におあつらえ向き。

この展開で強度を保つことは通ってきた道。以前はこのインテンシティに耐えきれずに質を落としてた、特に昨年は。

でも今は違う、この強度にもテンポにも耐えれる。横浜が優位に立ったのは必然だった

【先制点:仲川輝人

左サイドでティーラトンがフリーでパスを受けると、ハイネルの内を突くスルーパス。これで遠藤渓太が抜け出すとエンドライン際からワンタッチで高速グラウンダークロス。中央でいち早く反応し、外から荒木の前に入った仲川輝人がニアサイドで角度を変えるワンタッチショット!

貴重な先制点、Fマリノスリーグ通算1400ゴールはテルくん!

質という要素に尽きる。

ティーラトンのスルーパスも、渓太くんのクロスも、テルくんの動き出しからのフィニッシュも抜群。

積み上げてきたもの、磨いてきたものがこの大一番で出た。誇らしい。

テルくんの外から荒木の前に入る反応と動き出しは特筆すべきファクター。

ニアに入る、ニアで触る、というのは相手の前に入る必要があるけれど、相手は前を塞ぐもの。そこで外から前に出れたのは彼のクイックネスの賜物。後は予測の質、ね。

お見事。二桁!素晴らしい。

おわりに

様々な要素が試される一戦で、逞しく勝てたことは凄く自信になる。

もちろん、この一戦で終わりではないし、次の試合は好調のティーラトンと屋台骨を支える喜田くんが出場停止、まだまだ負けられない試合は続く。

ただ、一つ「優勝の資格」を得るような試合だったからこそ、無駄にしたくないね、ということで。

取り上げきれなかったけどタカくん最高だったし、皆凄くパフォーマンスが良かった。皆素晴らしかった。 また少し休んで次ガンバロー。