横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【選手たちは短い修正時間で、ホントよく理解し前半正しくゲームとリスクをコントロールした。後半も、動き落ち押し込まれ始めた時間帯もフルチン相手にチャンス作ってたし、なんとか修正しようとはしてた。タコ殴りにはされてなかった。分かる、分かるよボス!完全妄想世界だけど俺には分かるよ! by 蒼井真理】 about [2018-J1-13] 横浜 1 v 1 名古屋

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

深夜のバスから「結果論」で振り返るアウェイ名鯱戦1ー1(トータル決定機9:3)

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「結果だけ見れば、毎週毎週非常に残念な結果になっている。しかし最初の45分、我々はしっかりコントロールできていた。後半プレッシャを掛けられ自分たちのゲームにならない中で同点にされたが、最後に決定機が4、5回あった。勝利するにはああいうチャンスを確実に仕留める必要がある」アンジェ監督

手元トータルスタッツ。シュート13:6(枠内5:2、エリア内10:4)決定機9:3。CK&FK5:3。後半はシュート8:4(枠内3:2、エリア内6:4)決定機7:3。後半だけ見ても、後半のスコアも上回って然るべきスタッツ

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逆に後半は被決定機3なので、1失点は押し込まれる時間帯が決して短くなかった展開的にも全くあり得るもので、全く理不尽ではない。だが1ー1という結果、その1失点や時間帯、局面、ブロックとラインが下がった事だけを切り取り「やれてない、何故やらない」と批判するのは的外れであると私は思う

――尊師風間八宏の会見コメントは相変わらずブッ飛んでて我々には共感の難しい境地にあるので、名古屋の選手たちが実際ピッチでどうマリノス戦を感じ捉えてていたかをコメントから引用しよう

「監督からの指示は特にはなかったが、マリノスが立ち上がりから前から来ると思っていたので、相手の背後を狙うということはチームとしてあった。でもなかなかボールを持てず、相手に握られてばかりだったのでなかなか難しかった」八反田康平

「すごく相手の立ち位置が上手く、誰がどこに行くかハッキリしないままで失点も自分のサイドからのクロスだった。相手のSBは中を取ったり、背後を狙ってきたりと本当に上手くて、自分の周りに2人、3人、4人いるくらいだったので、なかなか的が絞れずに難しかった」八反田康平

――いやあ、いいね八反田くん。そういうコメントもっともっと欲しいなあ。ホント前半は、マリノスの選手たち中2日の短い時間でよく修正して距離感バランス、相手を動かし不自由な二択を迫る位置関係、ネガトラに備えたポジショニング、凄くよくなってたと思うよ。相手が名古屋という事を差し引いても

「勝ち切りたかった――と言いたいが、ピンチもあったしGKに助けてもらい勝点を拾った部分もあると思う。後半は自分たちが修正できた部分もあるが、相手が前半ほど動かなくなったというか、動きが少なくなったというのが正直なところ。でも後半、マリノスの運動量が落ちるのは分かっていた」和泉竜司

『後半は相手が前半ほど動かなくなったというか、動きが少なくなったというのが正直なところ』『後半、マリノスの運動量が落ちるのは分かっていた』

和泉くん、正直な感想をありがとう!
2年前の飯倉ポロリの時といい、君は実に率直なコメントをするね! 少しは胸にしまう事も覚えた方がいいかもね!

うーんとね、前半あんな一方的にマリノスがボール握って1ー0で、そもそも風間八宏のチームは「まずボール握ってるのが前提」で「ロストした時のこと」「ボールの奪い返し方」とか全く練習しないようなチーム、前半どうしようもない。だから後半、もう半ばヤケクソ気味に前に前からくるのは想像できた

だから後半の頭の入り方、名古屋がギア上げてつーかもともと在って無きが如しの安全弁を外しフルフロンタル、全裸フルチンで向かってくる勢いを、上手く去なす熟練は今日のマリノスにはないから、それ以上の勢いで「ああやっぱダメだ~」と思わせないとダメだなとハーフタイム明けくらいに思ってました

先日「グアルディオラ総論」から引用した、正に↓この部分、カスパロフの思想

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後半頭からちょっと勢い負け、受けちゃったかな… とは思ったけど後半も最初の決定機マリノスですし。やっぱ名鯱さんフルチンになってるんで、簡単に渓太からのウラポン2つで決定機作れてる。天野純と大津かな。――こういう部分、試合全体の「文脈と状況」は見ておくべきだと思いますよ

後半、ただただマリノスがビビって受け身になって引いて押し込まれた訳じゃない。名鯱さんフルチンになってた。後ろのリスクとか完全無視して前に厚み出してきた。だから、後半も先に決定機作ったのマリノスだし、後半だけみてもマリノスの方が決定機多いですし

ホントささいなボタンの掛け違い、セカンドボールがどちらに零れるか。距離感バランス的にはマリノスが拾って然るべきとこを、偶然前掛かり勢いで名鯱の選手が前向いて拾う――それもサッカーではある事

理屈で言えば後半、名鯱がそうやってフルチン(後方リスク度外視で)向かってくるのは想定内。マリノスの前線3枚が、攻守に手薄になった名鯱の最終ラインとその背後を、単発でなく波のように連動し突いていけば、名鯱はホント後半も何もできなかったでしょう。脱ぎ損です

でも大津祐樹のCFとか初めてですし、当然この3FWのセットも初。攻守に波のように打ち寄せる連動性とか望むべくもないし、単発でなくブロック全体を押し上げるには、チーム内全体のコンディションのバラつきがあまりに大きかった。連戦の中では、揃わない。後半それは露骨に響いてくる

「本当もったいない。後半になって距離感が悪くなり、疲れも見え始め中盤を支配された。自分も失点に絡んでしまい本当に申し訳ない。相手のチャンスらしいチャンスは失点のシーン、あとは1、2本あったくらい。自分たちが圧倒的に決定機があって決められないのが今季を象徴しているのかなと思う」松原健

「あとは僕やミロシュ、テルといったところが連戦でなく、比較的みんなよりフレッシュな部分があったので、もっと右サイドで起点を多く作れても良かった。今日だけに限らず右サイドで結果を残さないと『左だけのチーム』と言われてしまう。そのあたりの精度をもっと高めたい」松原健

松原健は試合前から「連戦でない自分たちが」と言ってくれてて、その意気や良し! なのですが、やはり今のチーム本来のやり方、機能性は何かと言うと肝はやっぱり「正しい距離感バランス、位置関係」なので、1人2人がまわりをカバーするという考えが、そもそもそぐわない

だから15連戦の頭の方でも既に指摘したかと思いますが、このスタイル方向性だからこそ連戦は厳しい。何より選手のフィジカルコンディションにバラつきが大きくなるのは不可避だが、どんどん機能性が落ちるよと。極論、ポジショナルプレイは連戦に弱い。極論つーか暴論だな…

うーん。だから「結果論」で言えば、後半はもう割り切って間延びさせて、全体的に動き落ち始めてんなと感じた後半20分までに前線に、スピードあって縦ポンからウラ取り狙えるオリバー、隙間見つけてパス引き出しキープできるユンユン、2人を入れて相手陣内で時間つくるのが、目先の勝点3を考えれば上策

「結果論」では思いますけども。でもボスの気持ちも分かるんだよ…。選手たちは短い修正時間で、ホントよく理解し前半正しくゲームとリスクをコントロールした。後半も、動き落ち押し込まれ始めた時間帯もフルチン相手にチャンス作ってたし、なんとか修正しようとはしてた。タコ殴りにはされてなかった

後方リスク度外視したフルチン相手なら、大津祐樹はゴールを決められそうな予感もあった。それは渓太やテルも同じ。彼らにここて取らせ自信を付けさせる事にどれだけ大きな価値があるか。何より、難しい局面展開を「監督の交代采配なく」ピッチの選手たちの判断で乗り切る事に、どれほどの価値があるか

分かる、分かるよボス!
完全妄想世界だけど俺には分かるよ!

ボスは凄く選手たちの自主性というか「選手が自力で目の前の壁を乗り越える、問題を解決する」その姿勢をまず尊び、求め、そこに価値を見いだす理想主義者でロマン主義者。エリクとはまた異なる教育、指導観のある人

だと思う

だからね、なんつーか適当な表現かわからんけどボスの選手への視線やアプローチって凄くゴール裏のサポータとかに近いものがある。部分的に

ハーフタイムや会見でキレる時のキレ方や発言内容も「それ試合で負けた時に選手がゴール裏から浴びるヤツやん」ってのが結構多いよ。姿勢を求める

「チャレンジしてのミスは全然オッケー、俺は絶対せめないよ」とか「でもオマエらビビらずやったか? やってねえよな?」とか「怒鳴られてからやるとか舐めてんの?」「サッカー好きでマリノス好きなら、それをプレイに表現しろよ!」とか、もう全部モロですやんw

だから俺、そんなボス好きだよ。選手たちには、そんなボスの期待に応えてポジティブなチャレンジを続けて、ボスが「もう限界だ…仕方ない」とアレコレ細かくルールで縛って手綱をにぎり鞭を振るう前に、目指すスタイル方向性の中で自主性を発揮して、自分たちの力で壁を壊していって欲しいと思うよ

それが出来たら、ホントそれはマリノスが25年の歴史でずっと抱えてきた課題から脆さからの脱却になる――本当に強いクラブ、チームのメンタリティを獲得することを意味するから。5レーンとかポジショナルプレイとかそんな小さな話じゃないよ。超レボリューション、マジなパラダイムシフトだよ

ボスがやろうとしてる、選手たちに求めてるのはそれくらい大きな価値ある改革だよ。ハンパないよ。だから難しいよ。今はそのために小手先の修正もしてないよ。あんま結果でないとさすがにやり始めると思うけど。だから結果ほしいよ。でも結果以上に、選手たちに自力で壁を壊して欲しいと思うよ

マリノスは、マリノスの選手たちは25年なんやかんやレジェンド級の影響力ある選手や、監督の提示するルールに依存してきた。自分たちで考え判断し決断し責任取るより、ラクだからね。手っ取り早く結果に結び付くシーズンもあった。暗黙含むルールの内側で、その範疇で自分がやりやすいようにやってきた

たぶん学生でもなんとなく分かる、社会人ならもっと分かると思うけど「暗黙含むルールの内側、範疇で」「その枠を外れないとこだけはキッチリ抑えつつ」「のびのび自由にやる」「怒られない程度にしっかりマジメに、適当に、手を抜いてやる」のが一番ラクなんだ。ルールの中に自分のルールをつくる

でも「ルールの中にルールを作って」「のびのび自由にやる」のは本当の自由や、自主性ではない。とても限定的な自分のためのものだし、組織のルールには責任を持たない。決定的な部分では組織のルールのせいにする。安全地帯にいる。責任を負ってないし、本当に組織をチームを動かし変える事はない

――いやあ深夜の連投は話が大きくなるというか、厨二ライクに捗りますね!

えーとアウェイ名鯱戦の振り返り?

だから矮小な結果論でラインが低いだの交代が遅いだの、もうチンコ小さすぎて嫌になるよねと。もう少し局面より展開を、プレイより状況を、結果より内容や背景を見たらどうかしらと

決定機9:3でも負けることもある、それがサッカーだ。以上

もちろんディテールも大事だし「悪いなりにも勝ちきる、勝点拾う」とか強かさも大事。でもアウェイ名鯱戦この1試合については、直近数試合からの文脈から見てかなりポジティブな内容だったと思う。後半押し込まれた時間帯があり1ー1という結果も、足りなかった部分にも意味や背景があるよねと

とりあえず現地でバクスタアッパーから観戦して、深夜のバスでいろいろ考えて思うのはそんなとこです

また家で映像を見たら、また違う印象と感想はあるとは思うけど。観直す心の余裕があるかはわかりません

お疲れさまでした

『Brave and Challenging ~勇猛果敢~』

とりあえず今季↑このスローガンが「ラインを高く保つこと」や「GKがゴールを無人にすること」ではないと理解するところからはじめようぜ!