横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【金井貢史、私的マンオブザマッチ。俊輔のドリブル縦突破を巧みにヒールでブロック。そしてオマケと言うには見事過ぎる落ち着いた決勝ゴール。実に誇らしい by 蒼井真理】 about 選手評 of [2017-J1-6] 横浜 2 v 1 磐田

aoi_mari.png蒼井真理



誇らしい金井貢史、ホーム磐田戦2ー1の選手評を連投。後半48分CKの被決定機のマークミス問題の解答もあわせてどうぞ

GK飯倉大樹。磐田の枠内シュートは失点シーンのみで、直接的にセーブする機会はほぼ皆無。あれを止めてくれとは言わないが、後半48分のCKのマークミスはGKとして気付いて修正して欲しかった。パントフィードは良いものと悪いものが混在。ウラ抜けできる駒は揃っているので更に質の向上を

…ハイここで昼間に連投した後半48分CKの被決定機、SB5櫻内渚にドフリーヘッド許したマークミスの正解発表。櫻内渚をマークすべき選手はCBミロシュでした! 後半、磐田のCKは2本。26分の担当役割と33分の磐田選手交代(高橋祥平櫻内渚)を見ても、マーク引き継ぎ責任は明らか

CKの守備スタイルは大雑把に分けて3つ

1.基本フルマンツー。ニアにストーン2枚ほど

フルマンツーのメリットは責任所在が明瞭。最後まで付き切ればセカンドもフリーな選手は生まれない。ニアへの低く速いボールはストーン役がケア、ファーへの山なりボールはGKがキャッチを狙う

フルマンツーのデメリットは(マリノスがよくやられる)スクリーンプレイでマークを剥がされると簡単にフリーな選手が出来る事。またセカンドに対しボールウオッチャになると、ポッカリとスペースやフリーな選手ができてしまう。これも既視感あるある

2.フルゾーン。選手をゴールエリア近辺に均等に並べ(1列7人とか、5・4の2列)入ってきたボールを跳ね返す

フルゾーンのメリットはマーク剥がれがなく、遠目のシュートやセカンドも密度の壁で跳ね返せる可能性が高い。デメリットは、人と人の狭い隙間にピンポイントで合わせられると無力

フルゾーンのもう1つのデメリットは、ゴールエリア近辺が味方選手で埋め尽くされるので、山なりのボールに対してもGKがキャッチに出にくい事。またエリア内にフィールドプレイヤをほぼ全員入れるため、クリア後の押し上げや速攻がやや困難

逆に基本フルマンツーは、GKのクロスキャッチ能力を信頼し生かす(だからゾーン担当するストーン役はニアのみ、ファーは置くならポスト内側に)という見方もあり。飯倉も、それなりに頑張ってると思いますよファーサイドのキャッチング

3.基本ゾーン+2人ほどマンツー

マンツーとゾーンの折衷案。相手にストロングヘッダがいる場合、1~2人ほどマーカを付けて身体を当てさせ打点高い自由なヘッドを許さない。シモビッチとかにフルマンツーでヘッド許されたら無力化されちゃうから。他の選手は人でなくゾーンを見る

マリノスは伝統的に「基本フルマンツー」高さ強さある選手が多かったから。ニアにストーン2枚も、最近ずっと同じ。ただボランチ天野純と喜田、前線ウーゴとダビ⇒磐田戦みたいな陣容だとミスマッチも生まれやすい。マルティノスも長身だけど空中戦守備は苦手。仲川輝人を使い難い理由でもある

ちなみに磐田戦では後半、ストーン役はウーゴとダビに変更。同点ゴールでニアのストーン役としてヘッドで弾き返せなかったマルティノスは、ペナアークのこぼれ球拾い役になってました

さて後半48分CKの被決定機。映像を見返すとミロシュがCKの直前、自分がマークすべき選手(既に交代で退いた高橋祥平)を探しキョロキョロ挙動不審w で、なんとなくストーン2枚の延長線飯倉の前で3枚目のストーンに。飯倉なり勇蔵が気付いて、櫻内渚のマークに付かせてやって欲しかった

――まあミロシュが自分のマーク担当が交代した事を確認できてなかったミスなんだけどね。でもやっぱチーム全体で、こういう小さな穴を埋めていって欲しいよねと。アレをあの時間帯に決められてたら、メチャメチャダメージでかかったよ。マジで

「自分が出場してからのセットプレイの守備で櫻内をフリーにしてしまった。自分のマークではなかったが、なぜか余ってしまった。そのあたりのマークを自分が明確にできれば良かったが、結果的に失点にならなくて良かった」栗原勇蔵

CB中澤佑二川又堅碁らに背後を取られたように見えるシーンが何度となくあったが、実は多くはミロシュが前に食い付き過ぎて空けてしまったスペースケアの結果。尻拭い。自身のコメント通り、チームとして前から奪いに行く守備をやるなら練習から連携を深める必要がある。ダビへの縦パスは意欲的

CBミロシュ。前に食い付き過ぎ背後を空けるシーンは散見、最後にCKで致命的なマークミスはあったが、とっさの反応や球際の守備、また自陣ビルドにおける長短のパスや持ち上がりに貢献は大きく、よりアグレッシブにチャレンジするチームに本領特徴を発揮。着実にJ1とマリノスに適応しつつある

右SB松原健。相手の守備ブロックを「右に寄せて左へ展開」「縦横に間延びさせる」ゲームプランの中で大きな貢献と存在感。縦方向のフィードのバリエーションは良。守備でも1度アダイウトンにぶっちぎられた以外は堅実対応。松原も着実にフィット傾向。あとはクロス精度、ターゲットとの関係性

左SB金井貢史私的マンオブザマッチ。俊輔のドリブル縦突破を巧みにヒールでブロック。逆サイドからのクロスにも絞り寄せ川又堅碁松浦拓弥にフリーのシュートを許さず。攻めでは高橋祥平に自ら寄り引き付け、学の負担を軽減。そしてオマケと言うには見事過ぎる落ち着いた決勝ゴール。実に誇らしい

「やっと貢献できた。今日は前半から自分のところでチャンスがあって、その場面でシュートを打たなくて心残りがあった。その後のチャンスでもトラップミスしていた。得点の場面は偶然いたのではなく点を取れると思ってあの位置にいた。自分の中でゴールはオマケ。それより失点した事が悔しい」金井貢史

「でも自分がゴールを決めて勝てて、めちゃくちゃ気持ちいい。今日はホームで勝点3が必要なゲームだった。創設25周年記念試合で、会社が勝つために企画してくれた部分もあると思う。会社と一体感を持って戦えたことが大きい。これをベースに頑張っていきたい」金井貢史


ボランチ喜田拓也。地味ながらダビや天野純と共に内を締めて、中村俊輔らに自由を与えぬよう厳しく寄せ当てる。アラート高くセカンドへの反応は絶品。ブロック内側への縦パスも再び意欲を見せる。しかし足下に奪い収めきる力、セットプレイでのマンツー対応はまだまだ物足りない。更なる精進を期待

「(俊輔に)最初は『いけるか? 外に出る?』って聞かれた後『何つってんだよ』って笑いながらw なんかこういうの懐かしいなと。もちろん早く試合を再開したかったと思うけど、そんな雰囲気でもなかったんですよね。冗談な感じでペシってやられて『すいませんジャンプした時に』と伝えて」喜田拓也

ボランチ天野純。中央を締める守備意識、学を生かす左サイド遅攻関与に実効性。高く張り出す金井の後方スペースも地味にケアし続けた。特筆すべきは「3手先で自らフィニッシュに絡む」ためのプレイビジョンを持ち、自分の動きだけでなく周囲への要求も増えている事。まだ結実せずとも、続けて欲しい

トップ下のダビ・バブンスキ。左サイドを生かすビルドの「ひと手間」で地味に貢献。守備でも執拗なプレスバックで中村俊輔を気持ちよくプレイさせず献身的なプレイを継続。ただボールタッチや球際のプレイに、開幕当初のキレがない。代表帰りの疲労もあるか。ゲーム体力と高いキレの維持は課題

右WHマルティノス。貴重な先制ヘッドは、SB宮崎智彦の背後を取り前に出るタイミングが絶妙。決して学のクロスが全てではないシンクロ・プレイ。ウラ狙いのスプリントは、それだけで脅威となり戦術の一端を担う。少しずつ松原健を使う余裕もでてきたのは好材料。あとは痛がり癖をなんとか

左WH齋藤学。旧10番の眼前でチームを勝利に導く2アシスト。覚悟を見せつけ、証明した。自らの決定機は打ち切れず初ゴールはまたもお預けとなったが、C大阪の不甲斐ない結果を受け選手ミーティングを開き、ゲーム中は声を枯らし周囲を叱咤鼓舞し続けた。実に頼もしきキャプテン、俺たちのエース

「(2アシストの)齋藤学選手はなかなか止められないところもあったし、相手を褒めるべきだと思う。そういう中でもみんな必死に身体を張って、1人抜かれてももう1人が行く事はできていた。でも(学を)完全に抑えられたとは思わないし、早く代表で活躍する姿を見たい」CB3大井健太郎

CFウーゴ・ヴィエイラ 。91分までプレイ、シュート2本。巧みなシュートフェイクから惜しい決定機もあったが、ダビと同様にボールタッチや球際におけるキレや力強さは三ツ沢での札幌戦をピークにやや鈍化。ゲーム体力と高いレベルでのコンディション維持に課題。蒸し暑い日本の夏に適応できるか

あとウーゴはシミュレーションとか、DFとの駆け引きでの手癖はかなーり審判団にマークされてるから(札幌戦のゴールシーン検証)今後はやるならバレないように気をつけて巧くやってね

後半32分からトップ下に入った扇原貴宏マリノスではリーグ初出場。前線の守備圧力と限定を回復維持するための起用に応え、賢く献身的にガツガツ感をだして守備を頑張った。今の置かれた状況は移籍を選択した時のイメージと乖離しているかもしれないが、腐らず貢献しようとする姿勢はとても好感

後半38分から右WHの遠藤渓太。僅かな出場時間ながら、44分には縦方向の出足鋭いインタセプトからカットイン、シュートモーションに入ったところを中村俊輔に潰されて好位置でのFKを獲得。確かな存在感とガツガツ感、闘争心を示した。下がり眉でもメンタル強め

後半46分にウーゴに代わり5バック形成した栗原勇蔵。後半48分CKの被決定機では「なんでコイツフリーなんだろう」隣にいた櫻内渚にドフリーのヘッドを許し、マーク担当じゃないのに見栄え悪く、危うくとばっちり。でも気付いてさり気なく修正してあげて欲しかったよ勇蔵先輩ベテランの味~