横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【「前半は耐える、後半勝負」を即席Bチームでイメージ共有できたのは素晴らしい。ベテランも若手も、それぞれの立場で良い仕事をした by 蒼井真理】 about 選手評 of [2016-ナ-予選] 横浜 0 v 0 川崎

aoi_mari.png蒼井真理



――今更ながら、ちゃんと備忘録を残しておかないとリーグ戦に出られてない選手たちの記憶、プレイイメージが残らないからコメントを絡めつつナ杯アウェイ川崎戦を振り返る深夜の連投

「非常に強度の高いゲームだった。前半は良いプレイが出来なかったが、選手を全て入れ替え難しいゲームになる事は予想できた。後半はチームのメンタル、戦術面も改善され良いプレイができたと思う。若い朴正洙や新井一耀が初めての公式戦で、よくやってくれた。希望の持てる内容だった」エリク監督

「(リーグ戦から選手全員を入れ替えた理由は?)俊輔や喜田、学など回復させたい選手がいた。そしてチームには沢山の質の高い若手がいる。彼らを信頼し、自分のクオリティを示す機会を与える必要がある。今日の私の選択と結果に、後悔も残念な気持ちも無い」エリク監督

「ナ杯の初戦で勝点1を獲れた事はポジティブに受け取りたい。新たに補強したカイケも次の公式戦から出場できるはずだし、ナ杯でもGLを突破できるように、次のゲームに向けて更にチームを改善していきたい」エリク監督

「前半は正直、これが全く初めてと言っていいメンバ構成のためチームとしての自信を欠いていたと思う。ハーフタイムはポジティブな話をして、組織的に効率良くプレイしようと言った。前半はウラを取るプレイが不足していたので修正し、また交代で入った選手がよく補ってくれた」エリク監督

「相手からプレッシャを受ける中でのビルドアップも、後半は改善された。しかしまだ十分なレベルではない。もっと上手くできるようになる」エリク監督

――エリクにしても、また選手たちも「ポゼッションを許し押し込まれる展開」はある程度、想定内だった模様。波戸さんは「DFのライン設定が低すぎたんじゃ」と言いますが、スタートは高くしようと細かく上げ下げもしてたんです。でも前線の限定がアレでは、押し込まれズル引きは止むなし

ある意味「マリノスらしい」開き直り、耐えて跳ね返すだけの守備。前半はカウンタやセットプレイのチャンスも少なく、本当に「耐えるだけ」だったが「後半勝負」なイメージは選手たちにもあった模様。昨季リーグ戦、アウェイ川崎戦のイメージもあったか――

「このメンバで試合するのは初めてで不安はあったが、前半は何とか耐えるぞ、と意思統一できた。こういう我慢の試合に勝ち切れば成長できる。勝てるチャンスは十分あった」兵藤慎剛

「選手内で、守っていればチャンスがあるという話はしていた。本当に勝つチャンスはあった」栗原勇蔵

「押し込まれるのは多分みんな分かっていたと思う。上手くいかないのは当たり前だと思って臨んだ。みんなで声を掛けて辛抱強くできたので良かった。ただ、結果を出さないといけないメンバだったと思う」三門雄大

「ピンチもありましたけど、完全に僕らの狙い通りのサッカーができた。見ている人にはフロンターレのゲームだと映るかもしれないけど、僕たちの中ではマリノスのゲーム。チーム一丸となって意思統一ができた」天野純

「後半、相手の足が止まった時がチャンスだから、しっかりつないで攻撃しようという考えは、チームの中で意思統一できていました」新井一耀

――後半は勝てるチャンスもあった。前半は「耐えるだけ」だったがゼロに抑え可能性を残した。その頑張りが素晴らしかったし「前半は耐える、後半勝負」を即席Bチームでイメージ共有できたのは素晴らしい。ベテランも若手も、それぞれの立場で良い仕事をした

三門が言う通り「結果を出さないといけないメンバだった」のも確かだし、ナ杯GL突破のためにも勝点3は欲しかった。だがメンバ構成を考えると「十分以上」の内容と結果であったと思うし、個々がプライドを示してくれた、スタンドのファンの胸に響く印象的な良いゲームだったと思う


――以下、主観に満ちた選手評

GK榎本哲也私的マンオブザマッチ。前半19分、森本貴幸のヘッドを阻むビッグセーブで試合が「壊れる」のを阻止。自陣に押し込まれる時間が長く、ルーキ2人を含む急増DFラインにも、不安定なプレイは皆無

序盤は高いラインとコンパクトな布陣を保とうと試みるも、前半6分以降は完全なハーフコートゲーム。押し込まれ自陣深くで奪ってもハーフウェイをボールが超えて行かない展開。「前半は耐え忍ぶ」が前提、19分で失点してたら高確率で試合は壊れていた。哲也、今季初の公式戦で本当に大きな仕事

「みんな頑張ったとしか言いようがない。前半からボールを回され皆つらかったと思うけど、自分たちの仕事を怠らず頑張った。たぶん今日は誰も、出来の悪い選手は1人もいなかった。今日の試合で自信を得て、次もプレイできると思う」榎本哲也

「チームの底上げといっても、オレも全然試合に出ていないからアピールしなきゃいけない。でもウチらが若手を引っ張っていければと思う」榎本哲也

CB栗原勇蔵。74分に「両太腿裏とふくらはぎをつった。頑張ってやろうと思ったけど無理だった」ため交代。エリク非情采配! と思ったが負傷交代かw ルーキ2人を両隣に抱え、可能な限りラインを高く保とうと奮戦。クロスへのアラートも良。地味ながら冷静に、強い気持ちを示してくれた

――この試合の勇蔵、チーム全体のパフォーマンス、特に集中力や戦う気持ちを見ると、エリクの「Bチームの練習試合」でなくカップ戦で若手やリーグ戦に出てない選手のテスト&ガス抜きを行う施策の意図は強く伝わる。大学やJFL相手に、今日のプレイは絶対的に不可能

勇蔵が両足をつったのも「90分の公式戦を久しく経験してない」理由も大きいだろうが、大きな責任感と緊張(2人のルーキを両脇に抱える)もあっただろう。あしがつる、痙攣や疲労は肉体的な要素だけでなく精神面、ストレスからも起こる

――2012シーズンアウェイ鹿島戦、久々のリーグ先発となったGK榎本哲也がそうであったように。GKという走行距離の少ないポジションでも、緊張とストレスから全身をつって交代… まあ給水を忘れたのがいけないのだけどw それも緊張とストレスが原因

「若い選手はメチャクチャ頑張ってた。勝ちに等しい引分けと言っていいかも。サポータも凄く盛り上げてくれた。最初にテツが危ない場面を止めてくれて助けられた。守ってればチャンスがあると思ってたし、勝ってたら100点満点だけど、試合に出てないメンバが力を合わせできたのが良かった」栗原勇蔵

大学相手の練習試合なら「なんで俺がこんな若造たちと一緒に日曜の昼間から…」で流して終わりだけど、この日の栗原勇蔵は両足つるくらいの緊張と責任を感じプレイしてくれた。プライドを示した。それが嬉しい

試合前のアップからゴール裏は、この日デビュ戦となるルーキ達よりも勇蔵ら中堅・ベテラン陣へ大きなコールとチャントを送り「We are Marinos!」を繰り返し、背中を押した。Bチームじゃない、ピッチに立ったお前たちが俺らの「マリノス」なんだ、と

ハーフタイム明けの「プライドに懸けて」も含め、そういったメッセージは選手たちに、少なくとも勇蔵には正しく強く響いていたと思います。…まあゴール裏のセレクト意図も含め、バクスタアッパーからの妄想だけど。勇蔵はそういうの気付き・汲み取ってくれる選手だから愛される

哲也と勇蔵、この試合2人の大きな役割は自分のアピールより「若手をリードしフォローしつつ、ゲームを壊さない」事。とても難しい、特にかつての勇蔵には不向きな役回りであったが、2人共ベテランらしく、マリノス愛を感じさせるチームのためのパフォーマンスを見せてくれた。実に誇らしい

哲也と勇蔵が、育成時代も含め何年ずーっとマリノス一筋でプレイしてるかって話ですよ。昨季レギュラを奪われて残り少ないキャリアの中で、何のために今季もチームに残ったんだって話ですよ

CB朴正洙。この試合最大の発見。ほとんど「ストッパらしい」前傾姿勢を取らない。守備対応時もエリア近辺でのボール保持時も、とても落ち着いている(ように見える)立ち姿が美しく、エレガント。視野が広い(ように見える) 被クロス局面でも、ボールや人にフォーカスし過ぎない印象

CB朴正洙。無駄にガツガツしてないが、クサビの縦パスには結構長い距離を詰め激しく寄せる。奪い切る力は未知数、やや不十分か。エリア侵入した相手にも不用意に飛び込まず、最後のタイミングでスライディングし阻止。ルーキらしくない落ち着きを感じた。188?の長身だがモッサリ感はない

CB朴正洙。最終ラインのビルドアップに積極的に関与し、よくボールが集まった。多少のプレッシャにはバタつかず、両足で狭いコースにもパスを通すし、僅かでも局面を前進させようとする意図が見える。頻度は低かったが、長い対角フィードも1本精度の高いものがあった

CB朴正洙。最後尾からのビルドアップ、散らす、局面を前進させる意味のあるパスという視点からは、現有CBの中で最もセンスと可能性を感じる。左足のパスを躊躇なく多用するところも良い。エリクがアンカーでテストする理由も分かる

CB朴正洙。細身のスタイルに端正なルックス、落ち着きや立ち姿の美しさ、総合的なエレガントさにネスタを重ねて見たが、これは過大評価だろうw この日の川崎の攻撃陣のクオリティも一線級ではない。対人守備、単純な跳ね返す強度は未知数。あとニックネームが「MAX」なのが気になる

CB朴正洙。あと単純に「前半押し込まれっぱなし」をバクスタのアウェイ寄りで観戦したから、プレイが目に留まりやすかったのもある。和田昌士なんて何もできなかったから注目しようがなかったし俺の金井は反対サイドだし。でも結構一目惚れ。次はいつ公式戦でプレイを見られるかな

「最初は緊張したが、サポータの大きな応援に力が溢れ最後まで戦う事ができた。川崎は守備より攻撃が強いチームで、サイドのケアも含め周囲とのコミュニケーションを大事にした。CBとして失点ゼロは嬉しいが、デビュ戦なので勝ちたかった。また次に良いプレイが出来るよう頑張りたい」朴正洙

右SB新井一耀。本職でないSBで、内に絞った際のエリア内で相手選手を捉まえ寄せて制限するストッパとしてのセンスやパワーに少し不足感も(前半19分、森本貴幸のヘッド等)、押し込まれる展開に集中力を絶やさず無失点に貢献。自陣深くからのビルドで、それなりに特徴を発揮

右SB新井一耀。大学時代から疑問視してた「単純な跳ね返す強さ、しなやかさ」は判断保留。前半に1つ逆サイドからのクロスに上手く絞り身体を寄せたシーンもあった。右SB適正も保留。隙間に縦パスを入れていく感覚は最も評価できるポイントだが、持ち上がりには特に美点を感じず

左SB金井貢史。朴正洙に夢中であまり注視できず。担当サイドからの被クロスが多かったが、あれだけ押し込まれる展開ではSBだけの責ではない。「らしさ」は後半、エリア内のタックルでの決定機阻止。「人より早く気付く」センスを発揮した。まずはゼロ封に貢献できたのが何より

ボランチ兵藤慎剛三門雄大。個々の評価が難しい。組合わせの妙がなかった。ハーフコートに押し込まれ、自陣深くからビルドがスタートする展開で、交互にCBの間に入り起点となり、もう一方が相手FWとMFの間で自陣ゴール方向を向いてパスを受ける役回りに。が2人とも、2つとも上手くない

兵藤も三門も「展開を前進させる気の利いたパスの出し手」にはなれない。できる選手に簡単に預け、自分はフリーランで味方のパスコースを増やす、ラスト1/3で受け手になるのが遅攻時の彼ら本来の役回り。前半、一方的に押し込まれたのはボランチ2人の責が大きいが、ほとんど組合せ選択の問題だ

自陣寄りミドルサードで「相手FWとMFの間で自陣ゴール方向を向いてパスを受け」ても、兵藤や三門は「半身で受けて、相手選手の圧力をいなしつつ前を向く」とか不可。「ガッツリ後ろ向き、前を向くのに3タッチくらいして旋回」時間が掛かり過ぎ、テンポアップができないし次の選択肢がなくなる

ミドルサードで「半身で受けて、相手選手の圧力をいなしつつ前を向く」スキルは、現有ボランチなら喜田拓也が最も得意…という程でないが、取り組みが意欲的で伸びシロを感じる。奪い切るスキルと同じで、まだピタリと足下に納められないのが大きな課題だが

レシーバとしては、兵藤であれば「ガッツリ後ろ向き」でも、より圧力の厳しい相手エリア近辺でDFを背負ってキープする強さは、ハブ役としてブロック攻略のポイントになれる。三門はハーフカウンタなど縦にスピードある攻めで「前に長い距離を走りながら」ボールを受けるセンスが、意外と高い

この「前に走りながら」パスを引き出し連続的にプレイする(そこからのドリブルやラストパス、シュート)センスは、三門はチームでも上位で稀有な存在。部分的に、特に縦に速いスタイルでは俊輔よりトップ下の適性が高い。技術的についていかない部分があり、本人に自覚が乏しいようだが

――既に川崎戦の選手評でも何でもなくなってるが、選手それぞれに得意なプレイと役回り・苦手なソレがあり、それらの特徴と役回りをゲームプランに合わせて上手く組合せ補完させ合う事でチームは機能するんだけど、川崎戦のボランチコンビには全くソレが無かったという話。事実上のBチームだからね

兵藤と三門も、守備における頑張りは素晴らしかった。ハメられず押し込まれる中でのポジション修正、寄せとカバーの繰り返し。しかし自陣深くからの遅攻ビルドは「できる事できない事」を見極め、朴正洙や天野純、和田昌士らを上手く使って修正して欲しかった

兵藤慎剛の良かったところ。フワリと曲げ落とすインスイングの左CKの精度は悪くなく、終盤にファビオの決定的なヘッドを2度導いた。あと試合序盤から凄く周囲への声が出ており、遠くバクスタアッパーにも聞こえてきた

右SH天野純。前述の「自陣寄りミドルサードで、相手FWとMFのライン間で」半身でパスを受けて局面を前進させる選手が皆無のため、前半途中から自らがコレを買ってでる。センタサークル付近に絞って、マークを外しながら斜め右サイド自陣寄りに落ちて受け、左斜め前に展開

右SH天野純。地味だけど、この川崎戦の「チームに足りない動きは自分がやる」判断と主体性を、私は非常に高く評価している。それは過去の先発起用で不足していたモノだから。天野純がやるべき仕事に、頭脳的に取り組んでいたと思う。打開の精度と実効性は不十分だが、取り組みと方向性は正しい

右SH天野純。前半36分のバイタルでこぼれ球を拾った左足ミドルは決めて欲しかった。ポッカリと眼前スペース空いて、シュートコースもあった。少し遠いが、決定機。ルーズボールへの反応、シュートまでの思い切りも振り抜く速さも良かっただけに! 決めたかった

「前半のミドルは冷静になれてたし、決めなきゃいけなかった。日々練習で高めていくしかない。戦っていてチームが1つになる感覚があって僕も嬉しかったし、満足感を覚えた。ただ勝てなかったことは事実なので、これに満足しないでやっていきたい」天野純

右SH天野純。ポジティブな試合後コメントは良。できなかった反省も大事だが、できた事にも目を向けて前向きに次に進まないと、常時試合に出られていない選手は気持ちを作るのが難しくなる。守備の意欲と責任感も悪くなかった。トップ下における限定は、まだ課題が大きいが

右SH天野純。後半10分に和田昌士がアウトしてトップ下に入ったけど、最初は「身に付いたSHの守備」でタッチ際まで寄せに行こうとして「あ、ダメだ真ん中に残ってボランチへのパスコース塞がないと」気付いて戻る動きが見えて微笑ましかったw 使い分け、身に付けてね

左SH前田直輝。2節アウェイ福岡戦でハーフタイムに交代させられて以来、約1か月振り、2度目の公式戦先発。自陣に押し込まれる展開ではサイドの守備もあまり上手でなく多くのクロスを許したが、ロングカウンタや相手陣内サイドでボールを持つ展開では、縦への推進力とゴリゴリ感を発揮

左SH前田直輝。攻守にオンザボール以外の関与意識が低く消える時間が多い事、SHとしての必要最低限の守備、単騎ゴリゴリ突破だけでなく周囲と連携した局面打開――この3つの課題を修正していかないと、リーグ戦はベンチ入りも難しい。運ぶ、突破のドリブルに素地は感じられるので、期待したい

トップ下の和田昌士。ほとんど何もできず後半10分に足をつって遠藤渓太と交代。「ボールを追い過ぎて無駄に体力を使ってしまった。反省しないといけないし、変えないといけない。練習から体力もつけていかないと」試合後のコメントは反省しきり。かなり苦い公式戦デビュとなった

MF14和田昌士。ユース時代からトップ昇格後も一貫してSH起用で守備の理解ベースが高い遠藤渓太に比べ、和田昌士は1トップ、トップ下、SHと複数の前線ポジションを与えられ、実戦での守備のやり方やペース配分の理解が十分でなかった。その上に川崎というポゼッションに優れた相手との対戦

MF14和田昌士。「ボールを追い過ぎて無駄に体力を使ってしまった」限定のやり方が賢くなかったのも確かだが「前半は押し込まれても耐える」のはチームの共通理解であり、和田昌士が下手なりにも懸命に追わなければ、伊藤翔さんみたく「のらりくらり」だったら、前半のゼロはなかったかもしれない

MF14和田昌士。前半はチームとして反攻の道を標せなかった。そんな中でも足下にボールを呼び込み、前を向いて違いを生み出すプレイも見せて欲しかったが難しかった。致し方無い部分も大きい。課題は沢山抽出できた。これを如何に次に生かすかだ。下を向かず、前を向いて欲しい

1トップ伊藤翔。前半は「のらりくらり」で足を温存し、試合終盤に2つゴール方向を向いて可能性あるシュートを放った。勇蔵が「自分のアピールより若手のサポート、チームのため」奮戦し途中で両足をつり交代したのとは対照的だが、どちらもプロとして正しい選択。中途半端でないのが良かった

「デビュ戦となるルーキの和田昌士に割を食わせた」感すらあるが、伊藤翔富樫敬真の台頭とカイケ加入でリーグ戦のベンチ入りも危うい状況。和田昌士にとっても悔しいだろうが「あの展開なら、のらりくらりで後半に足を残すのもFWのスキル」という良い見本になったであろう

1トップ伊藤翔。カウンタから距離があるミドルも「自らの結果、アピール」に拘ってのもの。右サイドにスペースと、追い越してくる選手がいたから開いても良かったが――立場的に、ストライカとしての判断も理解できる。ATの決定機は相手DFのミスからだが、決めていれば英雄だった

後半10分から右SHに入った遠藤渓太。ラスト6分は左に入り、ドリブルによるエリア侵入から三門の決定機につながる低いクロス。限られた機会でも好機に絡んだ。連続したプレイで「最後のやり切るパワー」と結果は欠いているが、高卒ルーキとしては十分。継続の中で、最後のパワーも身に付くハズだ

後半29分からCBに入ったファビオ。短い時間だが朴正洙とのCBコンビには大きな可能性を感じた。クロスに対するマークがルーズだったり小さいミスはあるが不思議とあまり致命的なミスにならない。CKからのヘッドの高さ強さは驚異的かつ不可欠、今や勇蔵が挑むべきはファビオでなく中澤である

後半39分からボランチに入った中町公祐。単純に勝点だけを考えれば、ハーフタイムにあって良かった交代。際立った仕事はなかったが、この僅かな出場時間でチーム唯一の警告を獲得するあたり、さすがマチさんだぜ!