蒼井真理
加入1年目はリーグ戦12試合、1066分出場。シーズン中盤以降、木村浩吉監督に3バックの一角で起用されるようになった小椋だが、先発として出場し始めた頃は攻守に渡り単純な技術・判断ミスが多く、ファンの中には本職でないCBでの起用を疑問視する声も多かった
小椋はボランチ・CBのどちらで起用されても、相手のクサビ縦パスに対し厳しく潰しに行く果敢なプレイに特徴が見られた。しかし一発で入れ替わられる事も多く、リトリートする粘り強さやマークの受け渡しには脆さが目に付いた。水戸時代からの課題である展開力も大きな問題があった
『小椋の素晴らしい所は、ミスも課題も山積状態であった先発起用当初から一貫して、積極性や激しさといった自分の良さを全面に押し出し続けた事だ。26節の川崎戦で2枚の警告を受けて退場するなど、それがマイナスに働く事もあったが、どんな時も小椋は自分のベースとなるスタイルは失わなかった』
『自分の良さ・武器・特徴、監督や周囲が自分に何を期待しているのかを明確に理解した上で、足りない部分を少しずつ修正・補完して行く。プロとして非常に大切な事だ』
『シーズン終盤には鋭いタテパスから攻撃の起点となるシーンも散見されるようになった。しかしボールを持ってから迷うシーンも多く、判断力や展開力を中心に攻守に渡り課題はまだまだ多い。しかし自分の長所と短所を理解している小椋にとっては、それすらも大いなる伸びシロと言えるだろう』
『練習中から闘志を剥き出しにする小椋は、大きな声で周囲を鼓舞し、時には大先輩である松田に怒鳴り散らす事すらある。彼のようなキャラクタは近年のマリノスには異質で、貴重な存在だ』
松田はたぶん、嬉しかったのだと思う。感情や自分のプレイの特徴を表に出さない、大人しく従順な若手が多いことに物足りなさを感じていた中で、自分に正面きって噛みついてきた加入1年目、22歳の小椋という存在が
――マリノス1年目の小椋評を、私はそう結んだ。プロとして高い自主性を持ちチームを先導する選手として、小椋のパーソナリティに対する期待値はとても高かった
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――小椋との7シーズンを振り返る、2年目。 hamatra.SNSに投稿した「2009選手評」の文字数を調整するだけの簡単なお仕事
4バックに移行後は、3ボランチの一角で出場。中澤を代表で欠き松田がCBに下がった試合ではアンカーを務めた。タテに強い守備が持ち味の小椋のアンカー起用は不安もあったが、最終ライン前での身体を張ったカバリングなどこれまでとは違った守備の良さも発揮し、それなりに機能して見せた
8月までは公式戦で先発出場を重ね、昨季に続き目覚しい成長を見せ続けた小椋だが、河合が復帰しシステムが 4-4-2になるとボランチは松田と河合で固定されるようになる。同時期には今季2度目の累積警告で2試合の出場停止も重なり、シーズン終盤は先発出場機会が激減した
――奔放な選手起用が特徴だった木村浩吉監督でしたが、2年目のシーズン中盤を過ぎても優勝争いに全く絡めず「来季の続投」が怪しくなってきた(おそらく嘉悦社長から順位的なノルマ提示があった)ため、松田、河合、清水ジローら計算できるベテラン偏重に傾いた背景がありました
それでも2009年の小椋は公式戦35試合に出場し、出場時間はフィールドプレイヤ9位の数字を記録。 26節の鹿島戦では千真とのワンツーから左サイドを抜け出し、倒れ込みながら左足で絶妙なクロスを上げて坂田の先制点をアシスト
2009年11月29日 33節 清水戦@日産スタジアム
71分から途中出場。75分に意外性あるロングシュートがDFに当たり、GKの頭上を越す絶妙なコースに。2-0勝利の決勝点
■2009年33節清水戦:ヒーローインタビュ
光邦さんの「選手たちが返答に困るグダグダな問いかけ」は、この頃から何も変わってないぜ
『昨季から課題としていた展開力は「意識高くチャンスに繋がるパス」にトライ。以前よりボールを持ってから躊躇するシーンは減り、サイドチェンジもグラウンダのパスもパススピードの高さが際立った』
『前年に続き、相手の決定機につながりかねないパスミスも毎試合のように1、2本あったが、それもチャレンジし続ければこそ。そこでミスがあっても落ち込んだり、周囲の評価や叱責を恐れて挑戦を止めてしまわないのが、小椋の素晴らしいところだ』
『プレスにしろ奪ってからのパス・攻撃参加にしろ、小椋が入るとチームに「タテ方向の推進力」が生まれる。マリノスというチームは半ば伝統的に、試合の中で流れが悪くなると攻撃では皆が足を止めて足元への横パスが多くなり、守備では誰もボールホルダに行かずズルズル下がる悪癖がある』
『小椋の攻守における積極的でシンプルな「タテへの意識」は坂田大輔の前線でのフリーラン&チェイシングと並び、その逡巡や停滞感を打開する「スイッチ」となる』
『課題はまだまだ多い。先制し周囲の選手は受身になる中で、1人猪突猛進を繰り返し、中盤にギャップを作り相手にスペースとチャンスを与える事もしばしばあった。より冷静にゲーム展開を見極め、周囲とコミュニケーションを図り、試合のペースを握るためプレイのリズムを変える必要がある』
『しかし2009シーズン前半の小椋は素晴らしい勢いで成長しているのが見て取れて、本当に楽しかった。まだまだ判断力に問題はあるが、自分で考えて実行しようとする自主性は非常に高い。試合経験を重ねれば、ゲームをコントロールする能力や周囲への影響力も伸びて行くはずだ』
『私は次代のマリノスを中心となって担うのは、兵藤・裕介・小椋の3人だと思っている。来季以降も今の高い成長意欲を失わず、近い将来よりチームに強い影響力を持つ存在になって欲しい。大いに期待している』
――以上が、マリノス加入2年目の小椋にたいする選手評
田中裕介は、その次のオフに移籍して2011年からは川崎の選手になってしまいましたけどね!――それはまた、別の話
――小椋との7シーズンを振り返る、今夜は2年目までで限界。
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2008 12試合 1066分
2009 26試合 1866分 1得点
2010 31試合 2706分
2011 34試合 2968分 1得点
2012 4試合 289分
2013 17試合 566分
2014 19試合 1346分
2008年5月31日 ナ杯GL5節 大分戦@九石ドーム
アーリアとボランチを組み先発、フル出場。2-2ドロー
※より正確にはサテライトリーグ
2008年4月20日 柏戦@日立台
兵藤とボランチを組み先発、フル出場。2-1で勝利
……2010から2014シーズンまでを、さてどう振り返るか。明日以降、その時間を捻出できるのか。2011年以降は、twilogのTweet検索「小椋祥平」でサーチしてもらうとイイ感じです
(第1夜:加入1年目2008年~2年目2009年)