横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【「樋口マリノスの集大成」とはならず。 藤本淳吾はまだチームにフィットしない。今日の齋藤学には本当に失望した。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-33] 横浜 1 v 0 新潟

aoi_mari.png蒼井真理



2014シーズン最後のホームゲーム。最後の日産スタジアム 

雨はやみ曇天の日産スタジアム。2014ホームゲームでの発見は、メイン指定2階席は来場タイミングやらあれこれメチャクチャ楽だという事 

フィールドプレイヤがアップ開始。スタメンは前節から、左SB下平匠(右手甲骨折)→奈良輪のみの変更。ボランチはファビオと兵藤。俊輔はベンチスタートで、トップ下は藤本淳吾 

最近の新潟がどんなサッカーやってるのかチェックする時間は取れなかったけど「カウンタからポゼッションへスタイル一新」とか「相手がどこでも自分たちのスタイルを」とか、樋口マリノスにしてみれば美味しくいただける大好物でしかないと思うのですが

特に試合前にチェックポイントとか展開予想だとか考える事もないですが、選手個人で期待したいのは藤本淳吾。来季こそは、期待に応える働きを。そのための足掛かりを掴む残り2試合であってほしい。あと優平、学も含め2列目に得点に絡む貢献を期待。それが今季コンセプトだから

神戸戦を「樋口監督の積み上げでなく、選手たちの趣向。個の総和で上回っただけ」とぬかす人もいるが、私は決勝ゴール決めた兵藤の「今年ずっと取り組んできた形を、この試合で出せて良かった」という言葉に強く共感する。まさかその「今年ずっと取り組んできた」のも、選手たちの趣向なのかしらw

樋口監督のホームラストゲーム。樋口マリノスらしい、能動的なサッカーで勝利してほしい。適切な距離感、高いセカンド奪取率でハーフコートに押し込み2次、3次攻撃。そして今季積み上げた中央とサイドに斜めのパスで起点作りボールホルダ追い越し、相手DFラインを背走させる流動性高い遅攻を

アップ終了近く、ゴール裏からは「小林慎二」コール。試合後のセレモニ、場内一周ではぜひ小林慎二ヘッドコーチにも、暖かい感謝の声掛けをお願いします。樋口マリノス3年間の積み上げは、慎二さんなしでは有り得ないものでした

そうか、樋口監督のスタメン紹介マニフェストは「最後の最後まで戦い抜く」だったか

さあ見せてくれ、樋口マリノス3年間の集大成を! 

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試合序盤、藤本淳吾がとても良い入りを見せ存在感。中央の高めで受けて、運び、チャンスにつながるパス供給。精度高いCK。大事なのは、90分の継続性

下平匠の不在でポゼッション効率が落ちるか」と心配したが、左SBが走力と運動量、アラート意識高い奈良輪になった事で、右SBパンゾーが高い位置で仕事ができるようになっている。やはり下平匠は攻守に功罪ある選手であり、サッカーは1人の選手、1つのポジションの違いが全体を左右する

20分経過。10分まではマリノスが、10分から20分までは新潟がボールとゲームを支配。守備ではファビオが今日も異質な「当たり判定の大きさ」で貢献度大

遅攻において「上手い」プレイはあるが、その後に「正しい」プレイセレクトが続かない。本来スイッチが入るタイミングで入らない。こういうシーンが続くと、俊輔の不在を強く感じてしまう

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前半終了、横浜0-0新潟。シュート10:6(枠内3:3)決定機2:3。CK6:2。ポゼッション志向で「相手陣内でのセカンド奪取からの2次攻撃」に特徴と強みある、似通ったチーム同士の対戦。立ち上がり10分過ぎまではマリノス、15分以降はほぼ新潟がボールとゲームを支配した

マリノスは俊輔と下平匠を欠く事で、局面を前進させチャンスに繋げる「正しいパス、意味あるパス」が圧倒的に少ない。意味のないパス、チャレンジの末のミスパスが重なりリズムが生まれない。終了間際、藤本淳吾から学へのパスは素晴らしかったが、もっとビルド&チャンスメイクで絡まないとダメ

藤本淳吾は、もっとチャンスメイク寄りでビルドに絡む力は弱いのかな? であれば左SB下平匠も欠くなかでファビオと兵藤のボランチコンビは少し苦しい。兵藤は実に兵藤だ。受けに回り、チーム効率が下がると途端に彼も存在感が低下してしまう

藤本淳吾トップ下で自陣からのビルド&遅攻を成立させるには、良い状態の富澤がボランチで配球しないと厳しいか。やっぱり下平匠の不在も大きい。彼は「正しいパス、意味あるパス、局面を前進させるパス」を高頻度で出せるから

自陣からのビルド&遅攻は難しい。ここは勇気をもって高い位置からプレッシャをかけて押し込み、相手陣内ハーフコートで2次、3次攻撃を繰り出すしか。そもそもの樋口マリノスのスタイル、コンセプト。今トライせずにどうするか

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58分、奈良輪の苦し紛れ右足クロスから伊藤翔が今季7ゴール目。アシストは新潟のレオ・シルバ

この先制点を守ろうとせず、より積極的になって欲しいなあ。樋口マリノス3シーズンにおいても、失点数が課題であった事があるか? 常に課題は、トライすべきは「更なる得点力」だったではないか

俊輔がスタンバイ。今日の出来ならば、
替えるのは藤本淳吾でなく何の仕事もできていない学だと思うが

66分、優平→俊輔。学じゃないのか

藤本淳吾が右SHにスライド

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試合終了、横浜1-0新潟。2014ホームラストは「樋口マリノスの集大成」とはならず。らしさ無く酷く低調な、残念な90分。レオ・シルバの形をした気紛れなサッカーの神様が伊藤翔の前にボールを零し、哲也がゲームの崩壊を防いだ。トータル決定機は3:6。0-1か0-2が妥当なスコア

マンオブザマッチは問答無用でGK榎本哲也。38分、65分の完全な決定機阻止だけでなく、90分通しシュートストップに絶大な存在感。完封勝利に貢献、試合が崩壊するのを防ぎ、樋口監督のホームラストに華を添えた。…樋口監督は、この内容では満足できないだろうけど

CB中澤と勇蔵はライン押し上げやクサビ潰し、シュートブロック、そして勇蔵はフィードにも存在感。パンゾーとファビオは高い責任感を発揮。特にパンゾーは36分のエリア内シュートブロックが白眉。後方選手のパフォーマンスそのものは悪くなかった

ヒーローインタビュは決勝ゴールの伊藤翔中澤佑二マリノスはJ1ホーム通算200勝を達成 

藤本淳吾はまだチームにフィットしない。彼の良さがほとんど伝わってこない。セットプレイ精度と、たまにチャンスに繋がるパス出すだけ? 相対的にミスパスとロストが多すぎる。もう今季はあと1試合だし、監督の替わる来季に期待するか…。求められるモノが変われば、プレイも変わるだろう

ホームラストのセレモニ。嘉悦社長の挨拶。メインスタンドでなく、ゴール裏を向いての挨拶は好感。「全てのタイトルで早々に敗退して申し訳ありませんでした」 

樋口監督からの挨拶。相変わらず糞真面目な言葉の数々。ゴール裏の段幕は「共に勝ち獲った天皇杯優勝の喜びを忘れる事はない」 

今日の齋藤学には本当に失望した。スペシャルなドリブル突破は、好不調の波あって仕方ない武器。しかし学の良さは攻守の切り替えの早さ、守備の献身にもある。全くやらない。遅い。ただいるだけで本気で寄せない奪いに行かない。パッキングに遅れる。露骨なアリバイ守備

ボールを呼び込む動きの質と量も同様。やれない、やった末のミスでなく、できる事をやってない。試合に、プレイに気持ちが入ってない。本気じゃない。全く酷い、観ていて不愉快だ

コンディションの問題だけではないはずだ。「できてない」でなく「やってない」を通り越し「やろうとしてない」から。なんでやらない? クラブがドイツ移籍へのハードルを下げてくれないから? もうマリノスでは本気で真剣にはプレイできない?

できないのは仕方ない。トライの末のミスは完全なる無謀でない限り賞賛したい。でも過去に可能であることをピッチで実証済みの「できるのにやらない」は許せない

新潟は質の高い良いチームだった。ヤンツーさんの趣味趣向は樋口監督に似てるのかな。今日のマリノスと新潟、目指す方向性や強みはかなり似通っていた。正しい距離感、複数のパスコース確保&セカンド奪取。ボールを大事にし、中央と左右で間あいだ斜めのパスで食いつかせギャップ作る

新潟とマリノス、現状の戦力課題も似通ってる。最前線でターゲットとなる、最後の仕上げをする決定力あるFW。ビルド&遅攻の質向上にもつながる、そして何より得点力、試合結果に影響するラストピース

FWが「遅攻において、周囲を助ける地味な貢献もたくさんあるんだけど、やっぱり物足りない」「マルキーニョスとかムルジャがいたら、今季の順位も大きく変わったかもなあ」ってのは新潟もマリノスも同じ。どちらも失点は少ない。ビルドの型も、少しずつ丁寧に積み上げている

ただヤンツーさんは樋口さんより仕事が早いみたい。せっかちさんかしら。1シーズンでここまでスタイル変貌し機能させるとは…。そりゃ川又堅碁も干されるわ。昨季までも水面下の積み上げとか、先を見越した補強とかもあったハズだけどな。余所のことは分からない