横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【個の力も、それを補い掛け合わせる組織も不足。意図をもって最後まで結果の見えない競ったゲームにできた事は、ある程度評価できる。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-27] 横浜 0 v 1 鳥栖

aoi_mari.png蒼井真理


俊輔は100%でないという樋口監督の判断で、横浜に残りテレビ観戦。パンゾーも万全ではなくベンチスタート。奈良輪は今季最後のアピールチャンスか

怪我人やコンディション不良者続出のため、6週前の川崎戦@三ツ沢から6人がスタメンから外れちょっとアレな感じだけど、ぶっちゃけ一番痛いのはラフィーニャが再離脱した事であり、他はゲームプラン・役割分担を明確にできるか次第

ラフィ …得点を逆算できる唯一の存在
齋藤学 …個の打開。最近はできてないが
中村俊輔…良くも悪くもいるといないじゃ大違い
小椋祥平…チートな奪取力と意外性のパス
中町公祐…縦に強い球際とバランス維持
小林祐三…攻守に最も計算できる存在
栗原勇蔵…ファビオのやる気と試合勘次第

ぶっちゃけ伊藤翔+俊輔の組み合わせ(と学の不調)では「流れの中から得点できる気がまるでしない」ので、ラフィが不在で1トップを貫くなら、兵藤やら優平やら藤本淳吾が、少しでも伊藤翔の近くでプレイしたり追い越したりした方が、まだマシかもしれない

なので今日は2列目3人の動き、伊藤翔との距離感や関係性に注目してみたい。特に、藤本淳吾が「使う側と、使われる側」どっちでも存在感出せると、ラフィと俊輔が不在の今日のスタメンに価値が出てくるし、未来が見えてくるんだけど…

前目4人の構成で不安なのは「みんなが脇役」になってしまう事。2人も3人もフラッグめがけてサイドに流れ、エリア近辺に誰もいないとか想像でき過ぎて怖い。即興の判断になると思うけど「ゴールのための逆算」は、ゲームプランで約束事として持っておいた方が無難だと思う

前線の動きに関して、脱線した話題。昨日の関東大学2部、日体大vs平成国際大。日体大はCBとボランチ、サイドにもボールを受けて持てる・繋げる選手がそこそこいるのに、ロングボールを多用する志し、内容的にはかなりアレなチームであった

面白いなと思ったのは、1トップFW14藤井貴之のプレイ振り。中盤3枚がそこそこ繋げる選手なんだけど、彼らがボールを受けた際も、パスコースを増やすための動き直しとかしない。常に「相手DFラインと駆け引きし、自分がウラで受けるための予備動作」しかしない

それが多分にゲームプランに従ったもので、彼の特徴であるのも理解できたが「それにしても、もう少しパスコースに顔だして中盤を助けても良いんじゃないかなあ」と思った。しかし彼は愚直にウラを狙い続け、後半2分にシンプルな縦パス1本に抜け出し、決勝ゴールを奪った

「ああコレはコレでいいのか」と。スタイルやゲームプラン次第ではあるが、それが狙いなら1トップは「自分がゴールを奪うため、良い形でボールを受けるため」の動き直しを愚直に繰り返すべきであり「後ろを助けるためパスコースに顔を出し」ても、そこで手詰まりになったら、結局意味がない

マリノスを思う。伊藤翔は凄く頑張り屋さんで、サイドに流れてパスを引き出すが、大概コーナ付近で手詰まりになる。中央でCBに囲まれながら受けてキープする強さがない、ウラ取るスピードもないから仕方ないかもしれないけど、局面を前進させないと1トップがパスを受ける意味がない

サイドに流れてパスを受ける事が悪ではない。だが「そこからどうする」をチームとして、ゲームプランの中で、他の前線選手たちと意識共有して実践していかなければ。…さて今日の鳥栖戦、個の強さはなく流動性で崩さなければならない前目4枚で、何をしようとするか・何ができるか

15分経過。決定機0:0。互いに「下で繋ぐ」と「長いボール」を状況により使い分ける戦い方を選択。どちらか一方が長い時間ボールを握る展開にはならない。ゲーム支配は45:55。こぼれ球への反応の早さで、やや鳥栖が優勢か

30分経過。鳥栖の前線からの寄せが速い&俊輔不在で、思った以上にボールが保持できず自陣に押し込まれる展開。ゲーム支配は40:60で鳥栖。しかし決定機はまだ0:0。ボールを持てない事が、必ずしも悪いとも限らない。「奪ったら縦に速く、人数かける」意図は見える

35分過ぎから、この試合初めてオープンな展開&マリノスが押し込む時間帯も。最初の決定機×2はマリノス。優平の仕掛けから兵藤シュート、こぼれ球を優平がヘッド。これを凌いだ鳥栖が、ここからの速いカウンタから豊田が仕上げる。「ゲームを動かした」中で、決めきれないと厳しい

逆に言えば35分までの「ボールも持てないし押し込まれるけど決定機は与えず、のらりくらり」は、そんなに悪くなかったし、おそらく想定内。欲を言えば、もっとカウンタから相手を自陣に走らせる展開を増やしたかった(疲弊させたい)

ここは焦らず、前半0-1で。後半、相手の運動量が落ちて中盤を削っても五分以上に戦える展開を待って、矢島卓郎を投入しゴール前の迫力を上げる。…たぶんそんなゲームプラン。先制点を与えたのは痛恨だが

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前半終了、横浜0-1鳥栖。シュート7:9(枠内1:1)決定機2:1。押し込まれる時間帯も多いが鳥栖の完全な決定機は、カウンタからの失点シーンのみ。今日のメンバ、ゲームプラン的に悪くない展開だっただけに失点は痛恨。後半、鳥栖の運動量がどこから落ちてくるかが鍵

鳥栖の運動量が落ちて2トップにするまでは、粘り我慢しつつ「奪ったら縦に速く人数かける」←これで決定機、45分には伊藤翔クロスから藤本淳吾シュートの惜しい形も作った。ただ人数もかけるため「カウンタのカウンタ」が一番怖い。分かっていても、避けようないリスク

伊藤翔がボールを引き出すためにサイドに流れるのは変わらないが、そこで優平がサポートしたり、藤本淳吾が中に入ってフィニッシュに絡んだり。ある程度イメージ共有し形にはなってる。ただ「速い攻め」でタメが作れない展開では、両SB特に下平匠のパスやクロスを活用できないのは少し痛い

まあ下平匠は攻撃参加したら、相手のカウンタに戻り切れないから、2トップにして完全にリスク賭けて獲りに行く時間帯までは自重するがよろしい

カウンタからの失点シーンは、鳥栖を誉めるべきではあるが、クロスを上げた水沼への下平匠の寄せの甘さ、最後ボールを見て大外で2人をフリーにしてしまった三門雄大や中澤らエリア内の守備は、ちょっと残念

鳥栖の運度量を削るには「ボール持てて押し込んでるけど、ゴールも決定機も作れないなあ」って展開にして、時々カウンタから相手を全力で自陣ゴール方向に走らせるのが一番だったんだけど…。良い時間帯に先制して、気持ち的にもラクにさせた。HT三門→喜田で、中盤ガツガツ混戦に持ち込めるか

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49分、エリア前で振られて自陣右サイドを抉られて被決定機もマイナスのクロスは中に合わず。決まったてたら試合終了だった。51分にも、安田理大のアーリクロスに水沼が飛び込むがわずかに届かず

「後半になり、追い風のマリノスがボールを持ち押し込めるようになった」というより「鳥栖が自陣に呼び込み、ロングカウンタでトドメを刺そうとしている」と見た方が正しい後半10分まで。マリノスは今のメンツでは、保持し押し込む事が優位性にはならない

鳥栖は「自陣引きこもり」ではなく、ボールは回し保持しマリノスを押し下げるが、マリノスボール時は前半のように前から積極的には追わずブロック形成→カウンタ狙い。こうなったら、もう矢島卓郎を入れて前線の厚みと迫力を出さないと苦しい。今のメンツで、ブロック攻略は困難

後半、鳥栖のチャンスや決定機は軒並みカウンタやマリノスのミスから。完全にゲームをコントロールされている。…ようやく、藤田祥史がスタンバイか

65分:藤本淳吾藤田祥史。矢島でなく藤田か。鳥栖は自陣ブロックでもベタ引きではなくラインは保っているので、瞬間的にはスペースはある…ハズ。あとは出し手との関係性

人型決戦兵器、矢島卓郎の稼働時間は10分が限界よ

82分:佐藤優平矢島卓郎。あとはもう、如何に下平匠(あるいはアングル付けて富澤)に良い形でクロスを上げさせるか。中央で矢島卓郎を中心にタイミングを微妙にズラして飛び込むか

さすがヤジさん、いきなり決定機つくったぜ!!

でも明らかに、前に出場した時より身体にも顔にも贅肉がタプタプついてるww 10分が活動限界なのも、さもあらん

哲也のビッグセーブと、鳥栖が完全にゲームコントロールできているのに「1点で逃げ切る」意識になるのが早すぎたため、最後までゲームになってる。まだ全然、可能性はある

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試合終了、横浜0-1鳥栖。後半の決定機は1:3。ボール保持時間は増えるも、ほぼ鳥栖がゲーム支配。ラフィに俊輔、学ら前線の個の力を欠く布陣で、それなりに狙いの見える戦いをしたが、前半のカウンタ一撃に沈む。鳥栖吉田恵監督就任以来初、9試合振りのゼロ封を献上

後半とにかく点を取らないとダメな状況、ボールも前半より持てるようになって、鳥栖の前線からの圧力も幾分低下。それでも決定機は途中出場した矢島の前にこぼれた1度のみ。他枠内シュートも、相手DFラインミス絡みの伊藤翔ミドル、優平のミドル。個の力も、それを補い掛け合わせる組織も不足

ただ今日の鳥栖は(最後に逃げに入るのが早かった以外)アプローチの早さやカウンタ、球際の迫力を中心に凄く良かったと思うし、マリノスは離脱者が多く練度の低い布陣にしては、意図をもって最後まで結果の見えない競ったゲームにできた事は、ある程度評価できる

試合の分岐点は、前半35分から37分の攻守の入れ替わり、双方にあった決定機。優平のドリブル、パスから兵藤がエリア内でGKと1対1。シュートの跳ね返りを優平がヘッドでGKの頭上を越し狙うも、DFにカバー、クリアされる。そっからのカウンタで失点。鳥栖は前半唯一の決定機だった

しかし矢島卓郎はなんで、またあんなブヨブヨになってるんだw 今季始動当初より顎まわりとか肉ついてんじゃねーか。ほんの1ヵ月前はあんなじゃなかったと思うんだけど…。天高くヤジ肥ゆる秋、か