蒼井真理
今夜の川崎戦に向けて、妄想連投
・今の川崎、基本は「ボールを握る時間を長くし主導権を握る⇒守備機会(リスク)を減らす」スタイル。が、浦和戦に支配率42.4%で逆転勝利したように「ポゼッションのためのポゼッション」ではないし、現実的に「引いてカウンタ」も…つーか、カウンタの切れ味もリーグ屈指。遅攻・速攻兼備
・フィールドプレイヤ全員が一定以上の「ボールを引き出し、保持し、パスを出す」能力を有す。どの場所・どの局面からでも繋いで崩す意欲と能力をチームとして持つ。C大阪戦の解説、木村和司はベタ褒めだった。きっと和司さんもこんなチームを作りたかったんだろう
・大久保嘉人、小林悠、レナトの3トップ。ボランチは中村憲剛と大島僚太の「トップ下系で軽量」ボランチコンビ。右WBに森谷賢太郎、左CBに小宮山尊信。名前だけ並べれば「…これ誰が守備すんの?」な3-4-3布陣
・しかも右WBの森谷賢太郎は頻繁に中央~逆サイドに進出。マイボール時はかなりフリーポジション。攻→守の切り替えも、成長著しいものの、まだ遅い。左WBの登里も「レナトにスペース提供&パスコースを増やす」ため、サイドから中央へダイアゴナルに入る動き多し
・なので「ボールロストした瞬間」は、特にサイドに広大なスペースを相手に提供する。そこを起点に左右に揺さぶられ失点するケースも多い。ボランチ2枚は低め残りで配球役となる事が多いが、そもそも下がりながらの守備が強いタイプではない
・DFラインも3バック・4バックに関わらず「足元、ビルド能力」優先の人選(C大阪戦のベンチには田中裕介、井川祐輔、ジェシ)。「人を捕まえる」「はね返す」を中心に対人守備系の強度は低く、駆け引きでクサビを潰せれば良いが、下がりながらの守備はバッタバタ
・「悪い奪われ方をした際の備え」「下がりながらの守備の強度」を考えるより「悪い奪われ方をしければいい」「そのために出し手としても受け手としても秀逸な選手を並べ、常にパスコースを複数確保」という考え方
・ただし前述した通り、相手のポゼッション能力やプレス強度によっては高いボール保持率に拘らない。相手に握らせ「下がりながらの守備」の脆さを見せぬよう、5バック気味に自陣ブロックの密度を高め枚数で守り、レナト、大久保を使った高速カウンタ狙いも。この切り替え判断が向上し、現在の順位
・最も脆弱なのは「前掛かりになっている中で、悪い失い方をした」時であるのは間違いない。ハーフコートに押し込み、DFライン高くコンパクトにセカンド回収できてる時は強いが、下がりながらの守備を強いられると、本当にとんでもなく脆い。そこは前提で「捨てて」るとこだから
・俊輔は「ボールを奪って速く攻めるだけでなく、相手の2シャドウを下げさせるような攻撃も必要。打ち合いになったら相手はカウンタが一番巧いチーム」と言うけれど、慎重な遅攻の応酬になっても、おそらく今は川崎の方が一枚も二枚も上手
・「ボールをロストした瞬間」が川崎の最大の弱みであるのは間違いない。「早めにサイドに展開→アーリクロス」や「シンプルにDFラインの裏を狙うボール→そのセカンドがバイタルにこぼれて」からの失点が多い。両WBのウラ、DFラインの「人を捕まえる力」の脆弱性は、本当にアレなレベル
・なので、俊さんの趣味趣向は重々承知していますが、今日ばっかりは良い形で奪ったら横パスで落ち着かせ(相手に引く時間を与え)ず、早めに縦方向にボールと人を走らせ、川崎のDF陣が背走するシーンを多く作ってほしい。小椋と中町も、俊輔に預けずラフィや学にポンポン入れていいと思うよ
・マリノスの守備は、左SB下平匠が鍵になりそう。川崎は遅攻時、対面の森谷賢太郎は中に絞り、空いたペナ角を小林悠がフラフラ。CFの大久保も前線に張り付かず、バイタル浮遊。少し引いて受けてのミドルも強烈。←これにCBが食い付き空いたスペースに、小林悠が入る… のが最近の鉄板
・大久保は今のリーグで一番ミドルが巧く強烈。だからCBは引いて受ける大久保との距離を詰めざるを得ない。でギャップが出来る。そこを小林悠が使う、ゼロトップ的なアレ。ついでに森谷賢太郎、中村憲剛も「間で受けてミドル」がある。知ってても止めるのは難しい
・中町もキクマリで指摘してたけど、今の小林悠はちょっとヤバい。もともとストライカとして、ピンポイントで点を獲る力は優れていたけど、チームが熟成する中で「消える、現れる」能力が凄く伸びてる。自分だけでなく、味方にスペース提供もできる。あと両脚で、ゴール角に蹴り分ける。相当ヤバい
・今の小林悠を、下平匠の淡白な守備意識、アジリティで抑えられるか? 今日ばっかりはアラートする力の強い奈良輪がいいのでは…。あるいは下平には森谷のウラを使う事に専念させて、中町あたりに徹底的にケアさせるか。森谷のウラ、下平のアーリクロス。悪くない
・右FW小林悠は頻繁に右WB森谷賢太郎とポジションを入れ替える。つーかフリーダムな森谷の空けたスペースを使って消える。あと攻→守の切り替えでは、森谷が不在の右WBスペースを小林悠がかなり埋めるため奔走。この頻度を高め、小林悠を疲弊させるのも上策か
・「マリノスはボールを握れる」「ラフィーニャと学の打開力もリーグ屈指」とし、今日の川崎は4-4-2でスタートするかもしれない。小宮山が左なら3バック、右なら4バック。レナトをベンチに温存してきたら、相当ガチに「リーグタイトルのため重要な一戦」と意識している事になる
・今のリーグで最も「第三者的に観ていて楽しい」サッカーをしている川崎だが、マリノスをリスペクトして現実的な戦い方をしてくると案外、とんでもない塩試合になるかもしれない
・塩な展開になると、やはり気になるセットプレイの守備。水曜の北九州戦も映像を見直すと「アウトスイングのCK」「スクリーンプレイ」「マーカを外されると終わり」…結局、同じパターンからの失点を繰り返している。「誰が」という話ではない
・遅攻・速攻兼備の、今の川崎は強い。しかし右WB森谷賢太郎の対人守備力が羽毛レベルである事、長期離脱から復帰後の小宮山尊信は両足を巧く使えるため左CBで起用されているが、往年の馬力なく対人守備、特に「人を捕まえる」力が致命的に低い事は間違いない
・2人とも、今の「風間フロンターレ」だからレギュラを張っている。ストロングポイントを高く評価され、優勝争いするチームで貢献を続けているのは素晴らしい。個人的には彼らが居場所を見つけられた事を嬉しく思う。だが彼らが大きなリスクになる展開も当然ある。それをチームとして作っていきたい
・今の「風間フロンターレ」は、極端に振れた特殊なチーム。理想を追い求めるだけでなく、現実に擦り寄る事もでき、その局面判断の共有も素晴らしいが、「攻→守の切り替え」には「極端故の不可避の穴」がある。……なんとなく、今日の川崎は「超現実的」に来そうな気もするけどw