横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【ここまで勝ちや引き分けでもおかしくない試合で勝点を落とし過ぎてるけど、34試合やれば帳尻は合うって by 蒼井真理】 about [2014-J1-11] 横浜 2 v 0 G大阪

aoi_mari.png蒼井真理


2トップはそろそろスタートから試すかなと思ってたけど、その際にボランチから富澤を外したのは少し意外。遅攻時は4-1-3-2にすると思ってたから。…4-4フラット気味なベタ引きでないブロックからの速攻? 本来コンセプト通りの「前から」な守備は、この陣容だとイメージ難しい

4-4フラット気味、コンパクトな自陣ブロックは「マリノスのDNA」に刷り込まれた堅守速攻を最もシンプルかつ効果的に示すスタイル。2011年序盤だけではない。樋口監督1年目のアウェイ鹿島、木村浩吉監督時代ホーム鹿島戦、アウェイG大阪戦。毎回、準備期間ゼロで抜群の機能性を見せた

…というかぶっつけ本番で、2トップ+俊輔&藤本淳吾の2列目。しかも富澤抜きで「前から」行ったらスカされまくって自滅の可能性が高いような。困った時のマリノスは4-4ブロックだよ! 前から追っかけるなら、まあそれはそれで面白いけど…

甲府相手に4-4ブロックで待ち構えても仕方ないけど、G大阪なら必ずブロックの中に入ってくるだろう。刈り取れ、小椋! 実は小椋の狩猟能力は、追い回す守備より「待ち構える」ブロック守備でこそ生きると最近気づいた

待ち構える4-4ブロックにパスを入れてくるG大阪。激しく刈り取る小椋と三門。カウンタでついに本来の持ち味を発揮する伊藤翔と藤田の2トップ。万が一そこで取り切れずとも、ベンチに控える齋藤学。おお、なんだか今日は凄く勝てそうな気がしてきた!

゙実は小椋の狩猟能力は、追い回す守備より「待ち構える」ブロック守備でこそ生きる゛に追記。私も長らく「小椋は前線からのプレス戦術にハマる」と思っていた。たぶん樋口監督も、同じように考え就任1年目から、守備コンセプトの中心として期待していた。たぶんそれは、少し間違いだった

小椋がボランチとして、その狩猟能力(ボール奪取力)を発揮したのは2011年序盤、4-4ブロックで谷口博之ボランチを組んだ時。あの時の2人は素晴らしかった。谷口の「当たり判定の大きさ」と、小椋の「鋭い予測と思い切り良い刈り取り」。細かい約束事は不要だった

小椋の最大の武器は「鋭い読みから、ここしかないタイミングでボールホルダに噛み付くインターセプト」瞬発力やフィジカルコンタクトに特別優れる訳ではない。居合いのような、一瞬の切れ味。予測力と思い切りの良さ

小椋の狩猟センスは動物的とも言える。狩りをする獣は、獲物を追い掛け回すか? 否、自らのテリトリに「ここまでなら大丈夫」と安全を装い巧妙に誘い込み、その一瞬の隙を見て襲いかかる。特に小椋のそれは個人のテリトリを活用したソロプレイ。故に、担当ゾーンで待ち構える守備でこそ生きる

さて想像通り「4-4ブロック形成で待ち構える」をベース戦術とするか? あくまでコンセプトに拘るならば「失った瞬間、全員が奪い返す意志を示し前に出る。そこで去なされたら、即座にブロック形成」これが樋口監督1年目序盤に確立した約束事。最低「追う振りだけでも見せて遅らせる」か

あとはキックオフ直後のみ奇襲的に、あるいはタイミングを共有して「ここは前から!」でゾーンを押し上げ圧力高めてハイプレス&ショートカウンタ狙いの時間帯を作るか否か。なんにせよ大事なのは意識共有、足並みを揃えること。縦にコンパクトに、横はズレたら即スライドして埋める

4-4ブロック堅守速攻で、一番キツいポジションは間違いなく両SH。俊輔と藤本淳吾。守備担当ゾーンは明確にあり、奪ったら2トップをサポートし少しでも攻撃に厚みを出すため縦に長い距離を走らなければならない。堅牢さなら兵藤だろうが、2012アウェイ鹿島戦は、俊輔も本当によく走った

4-4フラットな自陣ブロックは決してベタ引きと同義ではない。ゾーンをコンパクトに保ちつつラインの上げ下げで、より高い位置でのボール奪取も狙える。相手がハーフウェイを越え下で繋いでくれば、ショートカウンタを狙える。ボール保持放棄されたり蹴られたら、ちょっと考えないといけなくなる

…と試合前に考察しても、蓋を開けたら連動性の欠片もない神風プレスだったりするのも、よくある話だけどw …いや、いくらなんでもそれは無いと思うんですが

つー訳で、今日の注目&期待選手は小椋と三門のボランチコンビ。そして伊藤翔と藤田の2トップ。4人の特徴、強みがどれだけ展開に反映されるか? 鍵は「ショートカウンタを、どれだけ発動できるか」
立ち上がり15分までは勢いで圧倒…しかけたが凌がれた。オープンな展開から被カウンタで決定機も。攻撃も「シンプルに」縦やクロスの意識付けを感じる。付け焼き刃な感はあるが、とにかく全員が同じ方向を向き惜しみなくファイトしてくれている。勝ちたい!

小椋祥平の絶大な存在感! 何度となく刈り取りカウンタの起点となり、ギリギリで脚を出してピンチを潰した。2トップの2人は上手く収まりきらないが、縦パスとカウンタの芽が増えているのは2トップにしたから

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伊藤翔のクロスから中央で藤田のワンタッチゴール。これが! これが見たかったんだよ!!

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試合終了、横浜2-0G大阪。監督、選手チーム全員の勇気と執着が掴み取った勝利! 決定機2つで2点入る試合もあるんだよ。2トップによる先制点が決勝ゴール。勝点3以上の、大きな大きな価値ある勝利! さあ、ここから巻き返す

手元集計の決定機数は、前半0:3。後半2:5。トータル2:8。客観的にみて決定機の数だけで言えば、0-2あたりが妥当な結果。でも俺は「運が良かっただけ」だとは思わない。チーム全員の勇気、勝点3への執着が生み出したダイナミズムが呼び込んだ勝利だと思う。そう信じたい

練習中から、いつもいつも中澤にイジられ、しかも上手い返しができずちょっと迷惑そうな藤田祥史

正直、ヒーローインタビュもかなりやりにくそうw

「今のウチに2点取る力はないから」「先制点が大事」とか言うけどさ、ずーっと無得点でも、決定機2つでも、2点入る時は入るんだよ。サッカーって面白い。だから言ったでしょ? ここまで勝ちや引き分けでもおかしくない試合で勝点を落とし過ぎてるけど、34試合やれば帳尻は合うって

まだ貸しはこんなもんじゃねーからな! 帳尻が合うってのは、34節終わった時に一番上にいるって事だかんな

マンオブザマッチは哲也。正直、他にもっと褒め称えたい選手はいるけど、やっぱり「勝点3に最も貢献した」のは、試合序盤から何度も決定機をストップした哲也だから。彼のビッグセーブがなければ、0-3でもおかしくない試合。正に横浜の守護神!