横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【前半キッチリと甲府戦から「反発」してくれた。後半はもっとやりようはあったろうに。なぜ受けた。拙い幼い by 蒼井真理】 about [2014-J1-5] 横浜 1 v 3 鹿島

蒼井真理


鹿島戦、スタメンは予想通り。学は左ふくらはぎ痛でベンチ外。少し意外なのはベンチFWに藤田でなく矢島卓郎の名前がある事か。途中出場で流れを変えられるとしたら、優平か

左SBは今日も下平匠。まあね、今日マリノス通算100試合目となる小林祐三だって、移籍1年目は対人守備がそこそこ手堅い以外に何が良いんだか分からなかったのが、3年目の昨季飛躍的に存在感高めた訳だし。もう少し気長に見守ろう。話し方とかキャラは嫌いじゃないしw

でも少しでも早くフィットしたい下平匠としては、パートナとなる左SHが毎試合変わるのは小さくないハンデ。そこは評価の際に、少し考慮する必要あり。周囲との連携の中で「生かされる」タイプの選手だから

うーん甲府戦のウンコ試合を受けて、監督も選手も「もっとアグレッシブに戦います!」って言ってくれてるのは予想通りだし嬉しいけど。相手が鹿島となると、必要以上に「甲府戦の内容を受けて」やる必要ないような。連敗しないのは大事だけどね、鹿島戦なら勝手に適度にスイッチ入るっしょ?

俊輔も「ウラに抜けたり間で受けるイメージで。ボールに触れなくても我慢する」と。甲府戦は、昨季は皆無だった「俺の大嫌いな、ブロックの外でしか受けない、ブロックの外にしか入れない俊輔」だった。やってくれると嬉しい。安全地帯の配球役は、2人も3人もいらない

----

前半終了、横浜1-0鹿島。これぞ樋口マリノス! 「全ては能動的な良い守備から」「距離感保って押し込めばセカンドも拾える、次のプレスも掛かる」アグレッシブにボールとゲームを支配。何より、見ていて楽しい誇らしい! そして勇蔵の高い打点のヘッド、久々のエアウォーク

下平匠もかなり積極的、位置取り高くオーバラップのタイミング早め(その分、ダヴィも警戒しパンゾーが控えめ)。惜しいチャンスに絡めている。守備でもまずまず貢献。だが35分の、流れを悪くし決定機に繋がるパスミスはダメ、絶対。次やったら奈良輪と交代な!

俊輔は有言実行、相手守備ブロックの中やウラでボールを引き出すポジショニングとランニング。兵藤も。そこにパスが出なくても、相手守備のラインを下げさせたりギャップを作る。これが主体的な攻撃。伊藤翔も、絡みは少ないがよく身体を張ってる。こんなに闘えるFWだと加入前は思ってなかった

さあ後半、守りに入るのは残り7分切ってからで良し。前半と変わらず、能動的で楽しい、マリノスらしいサッカーを!

----

試合終了、横浜1-3鹿島。後半立ち上がりから圧力と勢いを高めた鹿島に対し、前半のように上回ろうとするでもなく、上手く去なすでもなく。ただ「受けて」しまった。藤本淳吾の状態が悪く期待した貢献がほぼなかったのは痛かったが、もっとやりようはあったろうに。なぜ受けた。拙い幼い

後半は鹿島が高い位置から果敢なプレス、プレスバック。マリノス伊藤翔、俊輔へのロングボールが増える。更に同点に追いつかれてからはビビって押し上げられず→間延びしオープンな展開。距離感悪くセカンド拾えず、プレス掛からず悪循環。前半の良さは、見る影なくなってしまった
昨季から、このチームの本質的な弱さは変わらない。無心に攻められている時は良いが、一度得たアドバンテージを失う(あるいは失いそうな危機感を感じる)と、途端に臆病になり、チームとしての主体性や挑戦を失い、ただ無闇に「守ろう」とする。受けてしまう

鹿島の圧力に対し、前半の姿勢を貫き勢いで上回ろうとすべきだったのか、老獪に去なすべきだったのかは解らない。ただチームとして意思統一できず混乱した時間帯に「鹿島の若さ(!)」に押し切られた。土居聖真あたりは大きな自信を得ただろう。勝点3以上のものを与えてしまった。痛恨

甲府戦の反省があったから、俊輔は後半も「引いて繋いで去なそう」とはしなかった。主審が一貫してやや激しいコンタクトを流す傾向にあった事も、後半の鹿島の勢いを助長した(判定にブレはなかったと思う)諸々、裏目に出たのも確かだ。しかし…。今はまだチームに自信や阿吽の統一感がない

またこの敗戦を、ケーススタディとするしかない。厳しい連敗であるし、若い鹿島に自信と勢いを与える結果となったのは痛恨だが、ここから巻き返すしか、反発するしかない。甲府戦に比べれば見るべき点も挑戦も沢山あった。逆転負けという結果だけに悲観しても仕方ない。さあ、次だ

例えば今日は学が不在の中、遅攻は「サイドに人を集めるペナ角崩し」でなく、ワイドに距離感を保ち少ないタッチのコンビネーション&幅を使う攻撃、今季始動からの取り組みも見られた。66分、右サイドのパス交換起点、左に振って下平匠が仕掛けたシーンは良い崩しだった。光明も確かにあるのだ

無闇に悲観、自信喪失しない事。疑心暗鬼やブレこそ最も忌避すべきもの。その点については、樋口監督とチームを信じている。「昨季と全く同じ」は無理だし、学がいない・いなくなるケースも想定していかなけらばならない。リーグタイトルを穫る条件が、昨季より厳しいのは分かりきっていた事だ

鹿島戦は残念な結果となったが、個人的にはそんなには落ち込んでない。最も嬉しかったのは、前半キッチリと甲府戦から「反発」してくれた事。樋口監督と俊輔を始め「チーム全体が同じ方向を向いて」アグレッシブなサッカーを見せてくれた事だ

樋口監督の求心力への疑問、あるいは「俊輔が実質的には監督だ」的な事を言う人もいるが、決してそうではないのだ。「全幅の臣従」などでは決してなくとも(そもそもそんな関係などほぼ有り得ない)互いに果たすべき役割を認め合い、尊重し合っている

至極当然の事だが、「ピッチ上の監督」は、監督ではないのだ。それぞれに異なる役割と果たすべき責任がある。俊輔がこれまでのどのチームよりも「樋口監督のマリノス」で、過去最大のキャプテンシを発揮している事実、その意味はもう少し皆に深く考えられるべきだと、私は思うのだが

個人で言えば、鹿島戦は栗原勇蔵が抜群に素晴らしかった。CKからのヘッドだけでなく、守備では集中力高くクサビ潰しもカバリングも高精度で力強い。ビルドも平時より縦パスに意欲。甲府戦の後、攻撃陣に厳しいダメ出しをした分の責任感の発露か

下平匠も、甲府戦の不甲斐なさを払拭せんと、これまでの公式戦どの試合よりも攻撃参加の頻度は高くタイミングも早かった。ハイボールの競り合いも上手さはないが高さはある。やはり、彼の良さが出るのは「押し込み圧倒する」展開であると再確認。味方との距離感も近くなり、パスワークを生かせる

今季の中町公祐は本当に地味だ。今日も、富澤より低い位置取りも多く、前半の押し込む展開もバランス維持に注力。自陣エリア内で決定機カバーも。地味に巧みなプレイ多く本来のケレン味なし。貢献度は非常に高いが、もう少しチャンスにも絡んでくれないと、チームの得点力向上は難しい

昨季から今季にかけての富澤の評価も非常に難しい。「不在時にこそ分かる高い貢献」それは十分に承知しているつもりだが。微妙なパスのズレ、奪い切れそうで取り切れない球際、本当に「あと少し」兄貴が足りない部分を埋めれば、攻守に圧倒できる局面、試合は大幅に増えると思うのだが…