蒼井真理 |
今日の練習試合でも「相手のDFラインをひっくり返して(自陣ゴール方向に走らせて)」「ボランチやSBの選手が、相手SBのウラを取る」2、3人が連携したサイド攻撃が、明確な狙いの下で何度か見られました。そこに新加入の下平匠が絡めてるのが素晴らしい! …帰ってまた書きます
関東学院大との練習試合(45分×1本、35分×2本)を、チーム始動から木曜の群馬との練習試合の内容も踏まえつつ、選手短評を中心に連投。ちなみに今日の布陣は全て4-2-3-1。群馬戦でテストした5-2-3は使用せず
GK哲也は1本目の45分間プレイ。守備機会は少ないがDFからのバックパスを蹴り出した際のキック精度に難。昨季シーズン中も気になった。イーブンボールならともかく相手へのプレゼントパス多し。2本目の飯倉は、この点で大きなアドバンテージ。六反は、哲也よりややマシなレベルか
現在のチームの方向性とCB陣の足元のスキルを考えると、DFからのバックパスを正確に処理できるかはGKの見過ごせない評価ポイント。再びマイボールで攻撃の起点となるか、相手ボールとなり耐える時間となるか、その差は小さくない。GK陣は積極的に取り組むべき課題
CBの中澤と勇蔵は始動から高いコンディションと集中力を維持。共に過去数シーズンと比べ仕上がりが早く、ビルド関与も意欲的。中澤は元日から高い状態を維持したとして、特に勇蔵が関東大学2部を相手に高い集中力とプレイ強度を示したのは好感。ベテラン、中心選手としての自覚向上ならば嬉しい
第3のCBファビオ。相変わらずリーチの長さで「守備の当たり判定」が大きく、少し不利な状況でもボールを絡み獲る。5-2-3では中澤・勇蔵+ファビオでなく、1stチョイスは富澤。後方からのビルドアップを考えれば妥当な判断。過密日程下の第3CBとしては、十分に信頼置ける選手
右SB小林祐三。天皇杯決勝で右足首を捻挫した影響からか昨季レギュラ陣の中ではやや仕上がりが遅い印象はあるが、もともと練習試合と実戦ではパフォーマンス、本気度に差がある選手。この時期このクラスの相手に「そこそこ」やれていれば何も問題ない。今やチームで、最も計算できる選手の1人
なんか今日の練習試合の内容があんま反映されてない選手評中心の連投になってますが。続けます
左SB下平匠。2タッチ縛りの人。ゲームの中でも3タッチ以上プレイする事は極めて稀。そのための事前の状況把握とポジショニング、パスを出されてからの判断も極めて早く正確。1タッチの技術精度もまずまず高い。ここまでの相手の守備強度も考慮する必要はあるが、ミスやロストは少ない
現在の下平匠は同サイドの齋藤学との連携・意思疎通向上に紅白戦や練習試合でも意識高く取り組んでおり、また学も非常に周囲が見え・使える選手なので、その成果は日増しに向上中。関東学院戦では、群馬戦より左サイドの崩し、2人で打開したり質の高いクロスを供給するシーンが増えた
ビルドアップ、攻撃面に良さがあるのは同じでも、ドゥトラとは明らかに異なるタイプ。ドゥトラが円熟の判断力と選択肢の多さで、とりあえず足元に受けてから相手の動きを見てプレイを決められる選手であるなら、下平匠は事前に決め打ち(選択肢を確保)するタイプ
ドゥトラは苦しい体勢で受けても相手をいなす術があり、良くも悪くも局面的に「自分で何とかする」「持ちたがる」が、下平匠は厳しく寄せられてキープする強さはない反面、シンプルにボールを叩き周囲との連携を大切にする。周りとの意識共有と距離感が良くなるほど、どんどん彼の良さが出る
下平匠の左足精度、クロスやアーリクロス気味の浮き球で学やFWにウラを取らせるパスの質は高い。今のドゥトラには無い武器。一方、相手の守備強度が上がり寄せが厳しくなる中、味方からのパスが雑になったり周囲が1タッチで叩くためのパスコースを作らなければ、ボールロストは急激に増えるだろう
つまりドゥトラに対するような「苦しい時のお任せのパス」を下平匠に出してはならない。あくまで現状のイメージだが、ポゼッションで圧倒できる相手なら下平匠、相手の前線からのプレスが厳しく「苦しい時の預けどころ」が欲しい戦況ならドゥトラが適しているのではないか
相手の守備強度、プレスの圧力が高まったとしても、それを上回るだけの周囲とのコンビネーションを構築できれば、下平匠は常にレギュラを張れる。個人の問題よりも、とにかく周囲との関係性。現状、学との連携が急激に向上しているのは好材料(学が夏に出て行ったら…今は考えまい)
先週火曜の練習で膝に違和感を感じ離脱したドゥトラだが、今日の練習試合は70分間出場。昨季より筋力の低下はあるかもしれないが、一定の計算が立つ選手。ACLで寄せの厳しい相手にドゥトラ、リーグ戦に下平匠が上手い使い回しか? 今季は間違っても週2試合起用などあってはならない
両SBのバックアップとなる奈良輪雄太。スピードと思い切りの良さを生かしたアタッキングサード侵出は、下平匠や右SBの2番手候補、三門雄大に無い武器。展開によっては両者より優先的に起用されても良い。そのためにもクロスや決定機での精度を高め、常にベンチ入りを目指したい
右SBとボランチでテストされている三門雄大。何度か指摘している通り、堅実で献身性は高いが、右SBとしては個の打開力やクロス精度は有さない。どちらかと言えばボランチで、守備でスペースを消し、マイボール時はパスコースを作る動き直しを真面目に繰り返す姿が好印象
ボランチ富澤。仕上がりは普通。昨季リーグ終了から、再び相手ボランチを食いに行く高い積極性をキープ。昨季は俊輔と中町に自由を提供するため「後方に余る」事が多かったが、現在は機を見て攻守に高い位置取り。ミドルシュートも意欲的。兄貴の積極性が吉と出るか空回るか、チームの浮沈を左右する
ボランチ中町。昨季に続き仕上がり早くキレっキレ。三門、アンドリュー、あるいは藤本淳吾とライバルは多いが、中町の球際における存在感を超えるのは至難の業だろう。後はリーグ戦で3点(5点とは言わない)勝点に関与するゴールを決めてくれれば、チームはタイトルにグッと近づくだろう
ボランチの2.5番手アンドリュー。昨季終盤から好調維持、ここまで樋口監督や俊輔の評価も高い。球際の守備にも力強さが戻った。しかし攻撃面での思い切りがまだ不足。もっとチャレンジして欲しい。練習試合でも周囲への遠慮が見られる。失うものなど無い。挑戦や要求をしない事こそ、機会喪失だ
小椋。5バックのストッパでもテスト。ボランチとしては現状、アンドリューより序列は下か。ブロックの中で細かなパスを繋ぐ意欲と技術の向上が見られる一方、自陣での不用意なロストも変わらず。意図的にリスクトライを試みる嫌いもあり、評価は難しい。サイドチェンジは間違いなく上手くなってる
右SH兵藤。仕上がりは順調。パンゾーと並び最も計算が立つ選手で誰とも合わせられる選手なので、逆に練習試合の出場時間は少な目。全体練習後に居残り、新加入選手や若手と対話を増やす。課題は俊輔不在時にピッチで存在感を発揮できるか、そしてマルキ不在でも昨季同等の得点を決められるか
右SH、インサイドハーフ藤本淳吾。確かに技術的には巧いが、フィジカルコンディションで出遅れ気味。キレやコンタクトプレイでの強さ、運動量や攻守の切り替えを欠いて存在感が希薄。少しずつ上向きチームにフィットしているように感じる。焦りは見えず、マイペースなタイプ? いろいろ未知数
俊輔。仕上がり順調。今は自主練を控え風邪をひかない事に専念。今日の練習試合では長めにピッチに立つも、自身の打開は控え後方から周囲の選手、全体の調和を観察。今季も俊輔がピッチ内で展開を見極め方向性を決め、俊輔を中心にチームが回る事は疑いない。ただ長期離脱がない事を祈るのみ
…現状、平日のACLと週末のリーグ戦が続く連戦でも、俊輔を外したチーム構成は考えられないし、樋口監督もそのためのオプションに着手しているように見えない。コンディションが明らかに落ちたら、その時に考える――か。藤本淳吾には早めに仕上げていって欲しいが
左SH学。手術によるコンディションの遅れは感じさせないキレある動き。練習試合でも頻繁にゴールに絡む。現在は左サイドで下平匠との連携構築に意識を割いており、日々関係性は向上。互いに使う意識高く、良いコンビを築けそう。リーグタイトルのためには、得点+アシスト=20を期待したい
ACLと連戦を見据えて、オフにまずまずの補強は為されたが、学と俊輔と富澤。3人の代役は現状、見当たらない
優平。始動からハイペースで猛烈なアピール。攻守の切り替えと運動量は随一。飛ばし過ぎが心配だが、立ち位置的に正しい取り組み。今日の2ゴールは収穫だが、あと1つ完全な決定機も。ゴール前の落ち着きは繰り越す課題。プレイスタイル的に、そこまでに足を使い切ってるのは仕方ない気もするが
優平が昨季中盤から、チームの中でも最も継続的に右肩上がりの成長を続けている選手である事は疑いない。準レギュラ格の一歩手前。あとは公式戦で確かな結果と存在感を。その仕事は決してゴールに限らないと思う。底上げや世代交代という意味でも、目下の期待値は最も高い。若手の旗手
天野純。まずはプロのフィジカルコンタクトに順応するところから。狭い局面でのアイデアやパス精度は悪くないが、それをトップの公式戦で活かすためのベース作りを早急に。本当ならば大学最後の1、2年間でもう少し伸ばしておきたかった部分
松本翔。ブロック内で受ける、あるいはダイアゴナルにブロックを貫きDFの注意を混乱させつつ受ける、味方にスペースを与える動き出しは秀逸。だが今のチームはそこまで狭く・細かいサッカーを志向してない。試合終盤、相手を混乱させる切り札となれるか? まずは紅白戦で結果を出し続けること
矢島卓郎。現状1トップのスタメン候補筆頭。練習試合で着実にゴールを重ね、始動時に比べるとかなり動きのキレと運動量も上がってきた。まだ2度追いは出来ず守備の貢献も限定的ではあるが、浮き球に対し競れているし、他のFWに比べ怪我なくこれているのが何よりのアドバンテージ
端戸。1トップでもトップ下でも、ここまでレギュラ組での起用は少ない。現状中央でプレイするには球際の強さとJ1レベルでの経験が不足、生きる相手と状況は限られる。昨季後半は、右SHから中央→逆サイドに入り込む役割で良さは十分出せていた。今は中央のプレイに拘る必要は全くないと思う
高い流動性が求められる今のマリノスの2列目において「オリジナルポジション」は然程重要でない。トップ下の俊輔も、1トップもサイドに流れたり1列落ちて、SHが入り込むスペースを提供する。最後に仕事をする場所が中央なら、それで良いではないか。無駄な拘りで出場機会を減らすのは勿体ない
現状の端戸が目指すイメージとしては「より狭いスペースで細かな足技が使えて攻撃に変化を付けられ、ミドルシュートという選択肢もある兵藤慎剛」で良いのではないか。あくまで個人的な見解ではあるが、自分の理想を追うだけでなく「チームが求めるピースとなる」思考法も必要では?
伊藤翔。キャンプ2日目に負傷し、ようやく今日の練習試合で10分間プレイ。1アシストでゴールに絡む。キャンプ初日の1トップ起用には大きな手応え、可能性を見せたと伝え聞く。とりあえず再度の負傷離脱を回避しつつ、コンディションを上げて行ってほしい。まだゲームでの観察少なく、未知数
藤田祥史。紅白戦での負傷離脱は不運としか言いようがない。CKからシュートを試みた際の接触プレイで、筋肉系の怪我ではない。本人の身体作りに問題があったとかいった話では全くない。むしろ他のFW陣より仕上がりは早くキャンプ中の練習試合でも結果を出していた。早い復帰を祈るばかり
鈴木椋大。今季始動から痛みは残るものの、他GK陣と同じトレーニングを続ける中で、対外試合にも出場できるところまでこぎつけた。あとはコンディションと試合勘を、ゲームをこなす中で高めていくだけ。まだスタートラインに立っただけだが、椋大は我慢の末に再び「戦う」権利を手にした
喜田拓也。ここまでは他選手がほぼ本来のポジションで起用される中、数合わせ的にCBでの起用が多かった。しかし昨季に比べると課題であった「ファウルなく」「奪い切る」部分に、少しずつ進捗も見られる。群馬戦で腕部を負傷し離脱中だが、対人プレイができるようになれば早々に復帰できるだろう
北谷史孝。高校選抜に帯同中。ゼロックス杯、前座試合でのプレイが楽しみ。3月には静岡のフェスティバル、4月はデュッセルドルフ国際ユース大会に参加予定。高卒1年目からトップ公式戦に出場する可能性は極めて低く、こういった形でチームを離れ試合経験を得られる事は、むしろ恵まれている