横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【起用法(天野と優平)&樋口監督擁護に傾倒し過ぎてる自覚はあるw by 蒼井真理】 about [J1-4] 横浜 3 v 2 F東京

土曜のガス戦を振り返る。前半の序盤から、予想通りハイレベルなミドルサードの攻防。互いにフィニッシュに至らず、マリノスの1stシュートは32分俊輔のミドル。前半まともなシュートは39分富澤のミドルを加えた2本のみ

前線からDFラインまで複数パスの起点を有するガスのタテに早くテンポ良いパスワークに、マリノス自慢のプレスは狩場を設定できず。加えてルーズ&セカンドボールへの反応速度もややガスが上回り、中町が語る通り転がる先の運も前半はガスの流れ。その中で27分に先制を許す厳しい展開

前半は1トップ藤田へのパスとボールタッチ数も、先週のナ杯甲府戦から半減。単純にボールを握る時間が減った上、ガスの中盤のアプローチも早く、相手陣内でボールを前に運べない。先制後はガスのカウンタからの好機が増え、前半の決定機は0:3

HTに優平→端戸。少し意外な、樋口監督の早い動き。先制されるまではピッチ幅広く動きパスを呼ぶ動きをしていた優平だが、先制後はガスが引いて、ボールは持てるがブロックの中に入れられない展開の中で消えていた。端戸が入り中で受ける動きが増え、交代はプラスに働く


後半序盤は押し込むも、ガスはカウンタからより多くのシュートを放ってくる。後半の決定機数はイーブン、苦しい展開。しかし61分に俊輔のFKが壁に当たってゴール。今季はセットプレイで点が取れてしまう。俊輔は今季いずれも「イメージ通りでない」3点目

こっからはイケイケのスタンドも選手を後押し、前半押し込まれ萎縮していた天野も躍動。68分の天野のクロスから藤田の逆転ヘッドは、バクスタ2Fで感情爆発しましたよ。何か試合前から「天野の右SBはー」とかいろいろ言う人いてイラついてたし。前半は「案の定」な展開だったし

確かに82分の失点はマズかった。端戸のアレはやっちゃダメ、絶対。でもそのおかげで90分に極上のカタルシスが生まれた。天野→端戸→兵藤→藤田! ファーサイドポストに当たって、ニアサイドネットに転がるボールの軌道が美しい。あれBS中継の俊さん、それって比嘉ポーズ?

――この試合の起用法に絡め選手評。試合前は「学が軽傷で、優平をSHでテストできるし学は終盤のカードに置いておけるし、樋口さん今季も"状況"が後押ししてくれるなあ」と思ってたら、この試合後半存在感を発揮したのは端戸で、これも嬉しい誤算

端戸は2失点目のミスはアレだったけど、開幕戦から1試合ごとに良くなっている。どんどん自分の良さを出して、周囲に周知させてフィットしてほしい。ただ藤田のように「分かり易く自分の良さ・使い方をデフォルメして日々の練習から告知展開する」工夫も必要だよ

あと端戸は「自分の良さを周囲に引き出してもらう」「使ってもらう」要求ばかりでなく「どうやったら自分の良さを"今のチーム"に落とし込めるか」も考えた方が… でもそうやって小さくまとまるより、今は貪欲に図々しく要求するくらいでいいのかもね。天才肌の選手は本当に難しいわ

天野はやっぱり互角以上にポゼッションできる相手にスタートから起用するのは難しいのは確か。押し込み、やり切ることができる・その意思を貫くならアリだけど。後半イケイケの展開では特徴を発揮して、2度の勝ち越しゴールに絡んでいるのだから、起用の是非はゲームプランと展開次第

だからと言って天野の先発起用が完全な失敗と断言はできないと私は考える。まず今のチーム状態・そもそものコンセプト的にも相手がガスだから受けて立とうと思ってゲームに臨んだはずもなく、もちろん主導権を握ろうとしたが、思惑通りにいかなかった

次に最も大きな要素が、チームスタッフ以上に選手の(今回の場合は小林祐三の)コンディションを把握している人は外部にいない訳で。「ベンチに入れるならパンゾー使えよ!」つっても、無理をさせて今後の試合への影響とかその辺のリスクも監督は負わないといけない訳で

「天野起用は失敗」「パンゾー使えよボケ」「優平起用も失敗」「最初から端戸で良かったんだよ」とかもう全部結果論だし、選手のコンディション等ベンチの背景知らない外野の無責任な意見つーか願望じゃねーかと

なので私は基本、スタメン起用や選手交代の是非についてあーだこーだ言う事はあまり好みません。もちろん友人とそういう会話もしますが「無責任なファンの妄言」という前提の下、観戦の前後の遊びの一環という認識で行ってます。いやまあ書いてることの全てが無責任な妄言ですが

良さが目立った端戸のプレイも「1点リードされた後半開始から」だったから、端戸もチーム全体も積極性ある中で攻撃的な良さが出せた面もあるのでは。イーブンな状況、スタートから起用した場合、守備の運動量などで優平と比べてどうだったか…それも全部結果論とifの話

天野にしても端戸にしても、現状では彼らの良さ・特徴が生きるゲーム展開や起用法は限られている。なればこそ絶対的なレギュラに至ってない。監督の仕事はそれを見極め、適宜起用し上手く個を組織に落とし込み連動させチームとして機能・補完関係を成立させる事

ただその見極めのために公式戦の場、よりプレッシャのかかる様々なシチュエーションでテストしなければならない。だがら厳しい試合になったガス戦で、天野が厳しい展開・生きる展開が明確に見えた事、端戸や藤田が良さを出せるシチュエーションを確認できた事は、大きな収穫

樋口監督は、臨機応変な即断や勝負勘の能力はあまり高くないかもしれないが、分析能力と論理的な対応能力はかなり優れていると思う。毎試合後の会見コメントは理路整然としていて分かり易く、破綻がない。昨季の積み上げも、分析→実践の地道な繰り返しの成果ではないか

だが昨季の樋口監督は公式戦でレギュラ以外の選手をテストする勇気をなかなか持てなかった(という評も無責任な外野のry)。富澤や中町、序盤のアンドリューの「発見」は主力の怪我や出場停止といった「状況」が大きく背中を押した

樋口監督は昨季リーグ戦終了後、その辺りの反省と共に監督業について「改めて学ぶことが多かった」と口にしている。今季、少しずつ選手起用や交代に変化が見られるのは、そういう事なんだろうと私は解釈している

…どうも昨季中盤以降、樋口監督擁護に傾倒し過ぎてる自覚はあるw 就任前から変わらず懐疑的な部分、ダメだなーと思う部分はあった上で、でも良い部分をあんまり皆が評価しないから… あ、これは上野や遠藤や吉田孝行を擁護してるうちに好きになったのと同じパターンだw

例によって大幅に脱線しましたが、今季の兵藤慎剛は本当に凄いですよ、奥さん! ガス戦前半のウラに抜け出す動きだしの質、決勝ゴールをアシストしたパスの判断速度&精度。昨季終盤からのバイタルでハブになる動き、DFを背負ってボールを隠す重心の低さ… 全般的に質が向上してます

今季は始動から動きにキレがあった俊輔、中町、兵藤の3人が開幕以降もずっとキレキレつーか、更に動きが良くなっててシーズン最後まで持つのか不安になってしまうほど。とりあえず6月の中断まで、大過なく突っ走ってほしいものです