蒼井真理
いーつのことだか思い出してごらん
あんなこと こんなことあったでしょ
嬉しかったこと 悔しかったこと
いつになっても忘れない…
――でも17歳にもなるとすっかり物忘れが酷くなるから、Twilogに「天野純」って入れて検索していろいろ思い出してる
□https://twilog.org/aoi_mari/search?word=%E5%A4%A9%E9%87%8E%E7%B4%94&ao=a&order=allasc
プロ3年目までの歩みを過去の tweetを編集して振り返った
『2016シーズン終盤、大きなブレイクスルーを果たした天野純について連投する』(214 tweets)
https://twilog.org/aoi_mari/date-170108
2017ー19も編集すべきかと思ったが、量が多過ぎ14秒で諦めたw 3年目までは出番が少なかったからできたこと
「(鳴り止まないアマジュンコールに)…喋っていいですか?(笑) ――実際にここに立つと、自分がマリノスから旅立つのだと実感がすごく沸いてきました」天野純
「マリノスに加入した6年前のことを思い返してみると、まさか自分がマリノスで100試合出場を達成して、10番をつけさせてもらい、さらにキャプテンまでやらせてもらえることなんて想像できませんでした。それはファン、サポータの皆さんも同じだったと思います」天野純
「最初の3年間は試合に出られず、紅白戦ですら入れてもらえず、ピッチの外で走っている日々が続きました。しかし、そんな時に支えてくれたのが、この三ッ沢に集まってくれているファン・サポータの皆さんでした」天野純
「その時に温かいメッセージや、時に厳しい言葉をかけてくだり、その言葉に僕は救われました。僕をここまで一人前のサッカー選手に育ててくれたのは、ファン・サポータのおかげです。本当にありがとうございます」天野純
「このマリノスに僕のすべてが詰まっています。皆さんと会えなくなるのは本当に寂しいし、今年から一緒に戦っている最高の仲間と別れるのはつらいです。ただ僕も27歳になり、この海外移籍はラストチャンスだと思っています」天野純
「僕がまだ知らない新しい世界を見たいと思いましたし、ここで行かなければ絶対に後悔するという思いが勝り、移籍を決断しました。ここで学んだすべてをベルギーでぶつけて、ベルギーで一旗揚げてきます」天野純
「そしてまたいつか、自分が海外の舞台で活躍して、一回りも二回りも成長して、このマリノスの10番にさらにふさわしい選手になって帰ってきたいと思います。本当に本当にありがとうございました。――それではベルギーへ、行ってきまあす!」天野純
「アウェイでは大分に負けていたので、今日は借りを返そうという思いでプレイしていた。皆の出足が速かったし、身体が動いていた。こういう試合を毎試合やれれば間違いなくタイトルに近づけると思う。僕はベルギーに行くけど、監督のサッカーを信じて続けていってほしい」天野純
「今日が最後なので、全てを出し切ろうという思いで試合に入ったので、最後までその思いが身体を動かしてくれた。よりファン・サポータとの一体感が生まれるスタジアムなので、ラストゲームが三ツ沢というのは感慨深かったし、三ツ沢でやれて良かった」天野純
Q.チームメイトからはどんな声を?
「頑張ってこいよ、とか。寂しいっていう声は聞かなかったw あとは『成功するまで帰ってくるな』とか。笑顔で行けるので良かった」天野純
「まさか自分が海外移籍するような選手になれるとは6年前は想像がつかなかったし、これは本当に一歩一歩積み上げてきたものだと思うので、海外でも1つひとつ積み上げて活躍して、またいつかマリノスに帰ってきて、その経験を還元して、マリノスのために戦いたいと思う」天野純
「(移籍すべきか)2~3ヶ月悩んで、お腹も痛くなって。メチャメチャ腹を下しながら考えたこともあったし、昨日も緊張し過ぎて腹を下した。ただ、自分の中に停滞感を感じてる部分がある。数年前に自分が感じていた成長速度ではないし『もう一皮むけたい。何か変えないとな』と思っていた」天野純
「行かないで後悔したくなかった。もっともっと相手にとって怖い選手、前で違いを作れる選手になりたい。まだ27歳という言い方が正しいか分からないが、アンパイなプレイでなく危険な選手になりたい。海外は結果が求められると思うし、自分にはそこが足りない」天野純
「英語は少しずつ勉強してきたし、英語を話せたら格好いい。サッカーだけでなく人間としても成長したい。ホームシックになるかもしれないけど、頑張って生きていきたいw」天野純
『もっと相手にとって危険な選手になりたい。前で違いを作る。それが本来の持ち味だと思っている。今が一番脂がのっている時期。安パイなプレイでなく、危険な選手、見ていて楽しい選手になりたい。ベルギーでそういう自分を見せていきたい』
簡単ではないと思うよ。でもなりたい自分があるのなら――
――昨夜の挨拶だったり、あるいは過去の試合後コメント読んでたまに「あれもしかして天野純は俺のtweet読んでる?」と思うこともあったけど、それは自意識過剰というか観察者バイアスなんだろうな…。ユースから10年以上、天野純を見続けてきたけど直接しゃべったの東伏見で偶然遭遇した5分間だけだし
自分の書いたことが選手に影響とかしてほしくない。プロが素人女子校生の意見に耳を傾けてほしくない。どこまでも観察者でいたい。でもひょっとしたら一度くらいは、俺の書いたポエムで天野純が前を向けたことがあったりしたら素敵かもと妄想はする。選手とファンの距離感は、きっとそのくらいでいい
俺にとって天野純は、ユース時代から別に特別な思い入れある選手じゃなかった。高円宮杯優勝メンバの1人。だから順大の4年間も試合を観にいったのは2回だけだったし、プロとしてマリノスに戻ってきた時も「こんなモヤシっ子! 大学4年間で身体つくってこねーとか舐めてんのか」としか思わなかった
ただプロ2年目の2015シーズン、エリク1年目。天野純がカップ戦で少しずつ、本当に地道に積み木を積むように1つずつ課題と向き合い、もがきながらも乗り越えていく姿に気づけたことが、私の中で大きな喜びだった。選手のパーソナリティと成長を観察するのが大好きな積み上げ厨なので
そして天野純、プロ3年目の2016シーズン。あと一歩届きそうで届かないレギュラへの扉、破れそうで破れない殻。あとは結果だけなのに結果が出ない――それをブレイクしたシーズン後半。あの日立台、ル杯準決勝1stの落ち着き振り、天皇杯での決勝FK、ミドルシュート。
ものすごい脳内麻薬ドバドバ出たw
過去には小椋祥平、また天野純の後には中島賢星という「その成長を見ているだけで楽しい」存在はあったが、この2015ー16シーズンの天野純ほどに、焦らされてヤキモキさせられ、でも地道に正しく課題と向き合い続けてるのは伝わるから信じたい、応援したいと思わせてくれた選手は、他にいなかった
これからも多分、いないと思う。
もう今のマリノスでは難しい。クラブとチームに明確な方向性があり、監督の求める資質を持つ選手が補強され、足りない選手はサヨナラだ。
そもそも天野純なんて、強化責任者が下條さんじゃなかったら2年目で片道切符のローン、いやそもそも獲得しねえ。あんなモヤシ
2016シーズンの最後は長居で終わり、マリノスは1つの時代の終焉を迎えた。新横浜に帰り着き、こんな事を書いた
“心にきめた愛するクラブがあって「あいつはチームにとっての未来そのものだ」と思えるような期待を抱ける選手が1人か2人もいたら、それだけで俺はもう結構お腹いっぱいだよ”
年が明け2017年の正月に、天野純の2016シーズンまでをまとめたキチガイ連投。その最後に、こう記した
喜田拓也と天野純は、私にとって「マリノスの未来そのもの」になっていた
――あれから2年半。さっきまで Twilogで振り返っていたが、まあレギュラになったもんだか褒めたり貶したり忙しいw 最近感じていたほど「チャレンジが足りない成長スピードが足りない停滞してる」わけでもなかった。ある意味で、それまでの3年間と同じ。課題と向き合い、もがきながら少しずつクリアする
でもマリノスは、特にこの1シーズン半で大きく変わった。それはクラブが、チームが強くなるために強く正しいベクトルを獲得する変革であったが、それまでの時間の流れから考えるとあまりに大きな変化で――その話はまた別の機会にするか。 あの中澤佑二でさえ、幸せなラストシーズンを許されなかった
俺は天野純に、マリノスを強くするリーグ優勝をさせる、そのために自分が試合を決める選手になると約束して欲しかった――
少しずつもがきながら前に進もうとしていたが、中心選手になりチームの勝敗に責任を負うようになると時にエゴを抑え地味なサポート役も果たさねばならない
別に「俊輔に変わるトップ下像、10番」を天野純に投影していた訳ではない。これは間違った伝わり方をしている気もする(誰に?)
エリク2年目終盤のボランチ「喜田の斜め前」は悪くない適所だと思っていた。▽のインサイドハーフはアリだが、△での「ザ・トップ下」はちょっとないなと
ボスもクラブも、天野純はチームにとってほぼ不可欠な中心選手として考えていたハズで「天野純の代わり」を補強はしていない。三好康児をローンで獲得しポジションを追われたのは大津祐樹だった。今季の天野純の「迷い」は主に左サイドのメンツが固まらず、それを回す事に苦慮奔走したことが理由だった
だがエジガルと李忠成の負傷が重なり、左WGストライカとして3年契約で獲得したものの今ひとつパッとしなかったマルコス・ジュニオールをCFでゼロトップ起用したことが、全ての始まりだった。
予定調和ではない。様々な偶然や見込み違いが重なった末に、マルコスの変態セカンドトップ資質が発見された
そしてエジガルが復帰するとマルコスをトップ下に置き中盤を△にした「マルコス・システム」が誕生。奇しくも神戸、磐田と組織的にユルい対戦相手が続いた事もあり、破壊的な効果を見せた
「マルコス1人で天野純と三好の2人よりゴールを作り出せる」「ボランチ2枚になるから守備も安定する」
「扇原を使えるから高さも補強できる」「ティーラトンも起用しやすくなる」「和田拓也は右でいいな――」
チーム作りにおいて時に、こういう予定調和でない奇跡的な「組み合わせの妙」が発生する。1つのピースが偶然ハマると、後は全てが用意されたパズルのように組み合わさる…
岡田武史2003シーズンの那須大亮アンカー起用も同じ。大学生CBの那須を中盤の底、CB前のフィルタに据えたら、左右非対称で歪なシステムは抜群の補完関係を発揮した
そして上野良治は弾かれた
https://twilog.org/aoi_mari/date-141106
つまりそういう事だ。天野純が、そして三好康児や広瀬陸斗が「シーズン開幕時に比べてパフォーマンスを落とした」とか「チームのためやるべき事をやってない」訳ではないし、別にボスもクラブも「彼らが物足りなく新たな選手を補強した」訳でもない
全ては「偶然発見されたマルコス・システム」のため
チームにおける選手の序列や優劣は相対的なものである。あたり前だ。そしてシステムや組み合わせ――あるいは誰を中心にして配置を決めるか、によっても求められる選手の質とパラメータ、アビリティは変わる。絶対的な序列や、選手の優劣はない。凄くあたり前の話だけど
小さい頃からピアノを習っていて、小学校で毎年音楽会になるとピアノの伴奏という花形ポジションを任されていた女の子がいた。彼女はそれが自慢で誇らしく思っていた。5年生の夏、転校生がきた。彼はその女の子よりピアノが上手でその年の音楽会から、彼女は違う楽器を担当した。ピアノを弾けるのは1人
彼女はピアノが下手になった訳でも練習をサボった訳でもない。ただ彼女よりピアノが上手い転校生がやってきただけ。木琴の上手な子が長く病気で休んでいるから、木琴をやってみないかといわれ練習した。そこそこ上手くなり褒められもした。でも音楽会の前週に、木琴の上手な子がクラスに戻ってきた――
例によって下手な喩え話をすれば、天野純におこった出来事はそういう事だ。確かに、マルコス・システムが「偶然発見されるまでに」2列目のポジションで出場できてる間に、もっともっとゴールに直結するプレイに挑戦しレベルを上げていれば、こうならなかったかもしれない――そんな仮定にどんな意味が?
このタイミングでのオファーが偶然だったのか渡りに船か、あるいは代理人から求めたものかは、もはや問題ではない
長い間、夢に描いていた海外からのオファーがあって、天野純はそれを選んだ。それだけだ。そして海外でのプレイだけでなく、譲れないプライドや矜持が「なりたい自分」があった
それは誰にも否定できない。
『マリノスで地味かもしれない、レギュラではないかもしれないけど皆から愛され応援される中で一緒にリーグ優勝を目指した方が幸せだよ』
――それが正しい事か、本当に「なりたい自分」なのか、決められるのは天野純だけだ。周りの意見なんて関係ない
ぶっちゃけて言えば、俺だって天野純が『俺はボランチじゃなくトップ下の選手』とか言うのは、えー? って思うことあるよ! いやでもやってねえじゃん! 隙間で前向かないし! 絶対的にSAQはユース時代から足りねえし!
2ボランチの前寄りか、インサイドハーフ2枚のやや引き気味じゃねえ? と
でも天野純の「なりたい自分」が、イメージがソレなら仕方ない
あの2016シーズン、ル杯アウェイ吹田戦1stで見せた「周りの動きが全部見えて」「少しボールを置く場所をズラしたり1つ間合いを入れるだけで」「囲まれてもボール奪われない」「余裕もって次のプレイに展開する」天野純も、俺は知ってる
喜田拓也だってユース時代からプロ2年目まで足下スキル細かなタッチセンスとか奪ってから最初のパスとか全然ダメで、でもエリクは何を気に入ったか喜田を使い続け、彼も得意でないプレイにも実戦の中でチャレンジと失敗を重ね続けた。足りない時期もあったが、止めはしなかった――そして今がある
だから天野純も、もう一度「それをやらざるを得ない」「やらなきゃピッチに立てない一歩も前に進めない」状況に自分を追い込むことで、過去6シーズン僅かに見せた輝きを、自分のものにできるかもしれない。もうすぐ28歳だけど
遅すぎる事なんてない。本当になりたい自分があるなら、なろうとすべきだ
「本当になりたい自分ある」こと、その自分に嘘や言い訳をせずに、なれるかどうか分からない難しいとか無理だとか人に言われても「でも俺はそうなりたいんだ」と言える人は…なんだろうな、きっと幸せだと思う。俺には特にそういう強い「なりたい」はない。ただ、そういう人を見ていたいだけだ
だから俺は、天野純を見つけられてとても幸せだった。天野純がプロになってからの5年と半分、特に2015ー16シーズンあの苦しんだ末に壁を打ち破った瞬間とか。至福だったねえ。2017シーズンから2年半の中も、全部が停滞だった訳じゃない。何度も満たされるシーンはあったよ
違う場所での挑戦を選んだ天野純を、今までみたいに観察したり「こうしたらいいのに」とか「素晴らしかった!」と評することもできなくなる。無理やり映像探したりベルギー行ったりもしない。いやなんせマリノス、収穫期ですし!
悪いけど天野純どころじゃないんだよね
でも本当に、天野純を観察できて良かった。こっそり勝手に一方的に応援したり憤慨できて良かった。楽しかった。プロ2年目の2015シーズン、苦しみながらも課題にちゃんと向き合ってる天野純に気付けて本当に良かった。あの頃の自分を褒めてやりたい
だから天野純、もう十分なんだ。俺はお腹いっぱいになるくらい天野純から、いろんな感情を与えてもらった。なりたい自分に、なれるよう頑張れ。もう観察はしないけど、天野純は俺のヒーローだからあんまり弱音は吐かないように
じゃあね。行ってらっしゃい
――大学生になってはじめて1人暮らしをはじめる息子を見送る母親の気持ちは、ひょっとしたらこんなものなのかな、と思ったw
追伸:向こうでチームに合流したらチームメイトと食事にいって会話してる様子をインスタ等で「きょうのあまじゅん」としてアップし、「ボッチ耐性◎」コミュ障キャラ克服に努める姿を伝えるように。最低月2でやれよ
Q.天野純選手がこの試合を最後にチームを離れるが?
「純くんか……。5年半一緒にやってきて、似たような境遇というか、すごく近いものがあって。最初は全然試合に出られなくて苦しんで、それも2人で乗り越えてきて、メンバ外の練習も一緒にやったし、残って筋トレだって一緒にやった」喜田拓也
「2人でいろんな話もして、あの時の俺らが今マリノスのキャプテンとしてチームにいるっていうことには当然感じるものもある。ずっとあの人の夢は聞いてきたし、逆にチームに対してどういう思いで、どんなものを背負ってやってきたかっていうのも一番近くで見て分かっている」喜田拓也
「チームにとってもちろん痛いけど、そういうのを見てきた自分としては背中を押すだけだった。最後の試合で(ボランチで)組めて、あの人も楽しんでプレイしていたし、それが勝利につながった。それには周りの選手の姿勢も欠かせなかったと思うし、それは純くんも感じていたと思う」天野純
「そういった仲間に囲まれて旅立てるのは彼も幸せだったろうし、それは僕らが言わなくても分かっていると思う。あっちでその覚悟した気持ちを見せるつもりでいると思うので、僕らはそれを楽しみにしつつ、マリノスも良い結果を届けられるように。それも彼の刺激になると思う」喜田拓也
「今までもそうやって高め合ってきたし、チームは変わってもその関係性は変わらないと思う」喜田拓也
――喜田さんからはプロ1年目のBチーム練習試合での周囲への叱咤激励からして「パイセン」風しかなく、ずっと「喜田パイセン」と呼んでたのをこの度晴れて「喜田キャプテン」と辞書登録も改めたのですが… この天野純へのコメント、天野純との包容。
やっぱ絶対に喜田がパイセン