横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【もう一度「新しいスタイルへの挑戦」の意味を中身を、問い直して欲しい。ホント今は形骸化も甚だしい。今のマリノスの問題は、扇原が間違っているのは「ミスは起こり得る」ことを前提とした思考とボールとは直接関与しない振る舞いだ。 by 蒼井真理】 about 「スタイル本来の方向性や原則」と現状 ([2018-J1-12] 横浜 1 v 3 磐田 を受けて)

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

ホーム磐田戦は酷い試合だった。あまり個人批判はしたくないが、あの軽い対人守備だけは看過できない。マークに付いてたのに簡単に振り切られた。責任持って、ファウルしてでも止めるべきだった鈴木秀人(磐田ヘッドコーチ)

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少しマジメな話をすると、ホーム磐田戦1ー3をマジメに振り返る気分にはならない。失点シーンを映像で振り返るとため息しかでない……試合前の連投で指摘したことを「過去形」に換えて読んでもらえば、それで磐田戦の振り返りはおしまい

連戦に入る前から「コレおかしくね?」「選手の “自主性” がどんどん本来の方向性から違うとこに行ってね?」「プレイ原則って何だっけ」と指摘してる部分は、改善傾向よりむしろ悪化してるし勝利した鹿島戦でも変わってないし、磐田戦も同じ問題から同質の失点を繰り返してる。でも修正されない…

「三角形の底辺をタッチラインに作って密集しちゃダメだよ」「ポゼッション時には相手ゴール前を底辺に、ゴール前フィニッシュ局面の選択肢とネガトラに備えた中央の密度を保たないとダメだよ」ちょっと映像見返せば、今季ここまで上手くできてた時間帯とダメな時間帯、何が違うか明白じゃないか…

なんでこの問題が放置され続けるのか、それでいてボスや選手たちは「内容は悪くない」だの「ブレずにこのスタイルを貫く」だの「メンタルの問題」だの繰り返すのか意味がわからない…。ここ数試合の問題の多くはポジショニング位置関係バランスとリスク管理、心身コンディションじゃないかしら…

左右中央バランス良く攻められてはいない。ゴールや決定機の起点とアシストは左サイド、山中亮輔とユンユンと天野純の3人に偏っている。そこに過剰に4人目が絡む事でネガトラ時のバランスを崩してるし、山中やユンが疲弊するとシュートや決定機の数そのものが減る

左に寄り過ぎ細かく繋ごうとするからタッチ際での変なロストも増える――とまでは言わない。多少はあるかもしれないが、単に個々のスキルと判断が稚拙なだけな理由がほとんど

ただ直接ロストした本人だけでなく、パスの出し手が下手くそ&無責任なケースも多い

「ちょっと分からない。相手はたぶんボールを持たせていいと思っていて、ボールの取られ方が悪かった。でもちょっと分からない」山中亮輔

…悪いこと言わないから怪我する前に一度休め、山ちゃん。山ちゃんいないと左サイドの攻め手も半減だけど、逆に一度そうしてチーム全体のバランスを見直すべきだ

「同じ失点の仕方をしているので修正しないといけない。ビルドアップの時は大樹があまり上がらないほうがいいかもしれない。相手は迷いなくシュートを打っている」中澤佑二

ホラこうやって選手たちはスタイルへの疑問を募らせて、“自主性” を発揮して修正しはじめるよ

「ビルドアップの時はGKは高い位置を取らない方がいい」「そうすると背後をケアする選手いなくなるから、CBも無理にハイラインはやらない方がいい」

半年後のマリノスが目に見えるようだ。そうじゃないだろと。問題の前提部分、定義が間違ってるんだよ。プレイ原則守れてないでしょと

ハイラインも、GKのゴールを無人にする高い位置取りも「相手ボールホルダに圧力が掛かっている」ネガトラ時、即座にゴール方向正面にファーストディフェンスが入るのが大前提でしょと。そうすれば精度あるウラ狙い縦ポンもロングループも打たれない、蹴られても精度はお察しレベルだよねと

そのために必要な、ネガトラ時ボールに圧力掛けるための「リスクを考えた位置関係バランスに基づくポジショニング」できてないのが、止まらない「安い失点」の最たる原因でしょ? 同サイドに4人目5人目が寄り集まり、中央をスカスカにしたり相手が狙ってるスペース空けてるのが問題でしょ?

いやもう何度も何度も何度も同質の、似たような安いロストからの安い失点繰り返してるんだから、いい加減に気付けよ修正しろよ…

2007早野スクランブルも大概ざっくりした戦術で対応されたら終了だったけど、それでも「失った瞬間ボールホルダに食い付く」のは徹底されてたぞ

ロストした瞬間の位置関係バランスも考えない同サイドに偏るオナニーポゼッション&ハイラインとか、そりゃ自殺行為以外の何ものでもない訳で

それを延々やり続けながら「勇気を持ってスタイル貫く!」とか言われても

俺らも腹を括って看取るべきですか?
その自殺行為を?

だから決してボスと選手たちが取り組む、今季の挑戦的なスタイルそのものに不信も不満もないよ。やり切って欲しい。目先の結果には惑わされず信じて見届けたい

でも、そのスタイル本来の方向性や原則が「とっちらかったまま」なのを、いいよいいよこのままで信じてやろうぜ! とは思えないんだよ

「手段と目的を履き違えるな」「本来手法でしかないものを目的化するな」

マリノスの選手は真面目でピュアな選手が多いから、すぐに手段を目的化して「やってる」気分になるよね。もちろん褒めてないよ。バカだと言ってる

ハイラインは目的? ポゼッションは目的か? 違うよね。エリクに何を教わった? 大前提は何だ?

エリクも「ラインを上げるな」とは決して言わなかっただろ? 大前提として「内を閉めろ、背後を取られるな」「それを満たした上で可能な限りブロックを押し上げボールに圧力を掛けろ」と

「ハイライン」は「より高い位置でボールを奪う」「受け身の守備でなく主体的に圧力を掛ける」「相手陣内でのプレイ時間を増やし主導権を握る、圧倒する」それにより「勇猛果敢に勝利する」ための「手段」だ。目的ではない

その手段を採用活用しリターンを得るため、守らねばならない原則がある

守らねばならない原則「ネガトラ時は即ボールホルダに圧力掛ける」「奪えないまでも味方ゴール方向正面に立ち塞がり精度ある縦ポン、ロングループを打たせない」「バイタルやその前中央のスペースに(相手の陣容に合わせた)最低限の選手を適切な距離感で配置する」

それを満たした上でのポゼッション

「ハイライン&ハイプレス」は

「勇猛果敢に勝利する」目的のための

1つの手段であり、それを採用しリスク相応のリターンを得るには

「満たさねばならないプレイ原則」が前提としてある

もう一度整理しよう。そこが満たされてないから、今は「やってるフリ」でしかない。勇猛果敢でなく、猪突猛進

――問題にしてるのは方向性、そもそものスタイルとプレイ原則。それらが言葉や上っ面だけでなく貫けて闘えてるなら、敗戦にも拍手する。こんな鬱々とした気持ちにはならない。選手たちが新しいものに挑戦しようとする中で結果がでない時に信じて支えて後押しするのはファンの本懐だよ。でも今は違うよね

例えば最近は「プレイ原則が」とチームや理解度の低い選手に批判的な一方でユンユンを凄く評価してるけども。逆にチーム全員がプレイ原則をバッチリ理解し遂行できるようになったら、ユンユンは今のままだと「左足のクロスが貧弱ポンコツ」だと叩かれる存在になる。…言ってる意味伝わるかしら

自主性。自主性ってなんだろうね。難しい。マリノスと指導者には永遠のテーマ

さて中2日でアウェイ名古屋戦。反省したり修正する時間はありません!

ただ、喜田パイセンが先発復帰する可能性は高い。本来ボスが、チーム皆で解決すべき問題で誰かに頼るべきではないけれど

それでも鬱々とした俺は、喜田拓也天野純の2人に期待してしまう。とりあえず2人でチームが進むべき方向と採るべき修正を話し合って、それをチームに上手く落とし込んでみて欲しい。喜田と天野純ならできる、もう既にやるべき立場にあると俺は思う

喜田 喜田 喜田 喜田 おー喜田拓也
やり切れハマの舵取り おー喜田拓也

――ビビったり遠慮してる場合ではない。舵を取れ。自分が正しいと思う指針を示せ。チームをまとめろ


「主導権を握ることが成功する攻撃者となるための鍵であることは既に述べた。動いているのが自分たちであればそれはアクションであり、リアクションではない。つまり試合の流れをコントロールしている訳だ。我々の相手のリアクションは限定され予測もできる」ガリー・カスパロフ

「我々は有利な立場から前を見て、自分たちの動きをコントロールし続けられる。脅威を与え押し込み続けることで主導権を維持できる。ポジティブなサイクルが生まれることに加え、状況把握には有利なポジションにいるし、勝利にも近い。これが攻撃者のアドバンテージである」ガリー・カスパロフ

「主導権を握ったら休みなく使い続け、養っていかねばならない。ビルヘルム・ステインベッツ(最初のチェス世界王者)は『アドバンテージを持っている競技者はそれを失いたくないなら攻撃し続けなくてはならない』と言っている」ガリー・カスパロフ

「それは動的なものであっという間に失われてしまう。主導権を支配し続けることは大きなアドバンテージになる。主導権を強化していけば相手はそのリズムについて行けなくなり、敗北を認めざるを得なくなる」ガリー・カスパロフ

「それは我々の勢力を唯一の強大な武器に集中することを意味しない。そうしてもいいのだが、人生には(チェスにも)スター・ウォーズデス・スターのようにどんなものも破壊する武器は存在しない。我々の競争相手はリアクションし、守りの準備をするだろう」ガリー・カスパロフ

「だからこそ我々は主導権をクリエイティブなやり方で使い、成功への視点を維持しなくてはならない。攻撃は一か八かでなくていいし、電光石火である必要もない。重圧を掛け続けることは相手を弱体化させ長期的な勝利へ導く効果的な方法になり得る」ガリー・カスパロフ

「偉大な攻撃者というのは不可能なことをしようとせず、優位から最高の結果を引き出す者だ」ガリー・カスパロフ(元チェス世界王者)

「私はウインガが大好きで、バイエルンにはもの凄いウインガがいる。だが彼らを有効に使うには事前に最初のボール出しの時点から、そのアドバンテージが生かせるような状況を用意しておかなくてはならない。その事前準備は簡単ではなく、複雑で長いプロセスとなる」ベップ・グアルディオラ

「一歩前へ踏み出すことは相手を崩し、動かして弱みを晒すことに繋がる。守備者は空いた穴を塞ぎに行かなくてはならないが、圧力を掛けられ続けてそれをやるのはいずれ不可能になる。1つの穴を塞ぎに行くことは別の穴を空けることを意味し、その内に何かが壊れ攻撃が遂行する」ガリー・カスパロフ

「チェスには『2つの弱点の原則』がある。1箇所を攻撃するだけでは強敵は倒せない。1箇所に集中せず、圧力を他の部分に分散させて弱点を見つけださねばならない」ガリー・カスパロフ

「主導権を握るための主な手段は、動き、柔軟性、陽動である。唯一のポイントに全精力を注ぎ込むことは守備時には弱点にもなる。ノルマンディ攻略戦ではナチスに作戦を知られ防御準備させないよう多くの陽動が事前に行われた」ガリー・カスパロフ

「サッカーには導きの糸があり、全てが発明済みで全ての状況に適応済みであるかに見える。違うのは過去のシステム、方法、役割をいつ、どのように、どの選手にやらせるかということ」ノエル・サンビセンテ

「サッカーの奥にあるのはアイディアをめぐる討論でありディベートである。だから本当に大事なのは勝ち負けでなく、どんなアイディアをなぜ選ぶかだ。サッカーの豊さは、常に起こっているアイディアの交換にある」ノエル・サンビセンテ

「文脈は変わる。変わらないのは不可能だ。80mを続けて上下運動できないSBならそれに合わせないといけない。ウインガが中に入ればSBが追い越しサイドを上がらなければならないが、それができないSBなら彼を中に入れてウインガを開かせる」ベップ・グアルディオラ

「私のSBが上下運動を繰り返すマシンなら、上がらせてシュートさせる。だがポジショナルプレイの考えから言えば80mの上下運動を1シーズン継続できる野獣はいない。あるいは1シーズンは耐えられても翌シーズンは苦しみ、3シーズン目はもうできなくなる」ベップ・グアルディオラ

…おお、なんたる山中亮輔

グアルディオラ総論」第4章『主導権を握る(カスパロフによる)』に書かれたカスパロフやベップの言葉は、現在のマリノスが見つめ直すべき、掲げるスタイルの意味や主導権を握るための手法、その在り方や思想の背景がある

なぜ、なんのために、どのように、それを行うのか。もう一度「新しいスタイルへの挑戦」の意味を中身を、問い直して欲しい。ホント今は形骸化も甚だしい

『一か八かでなくていいし、電光石火である必要もない』『1箇所に集中せず、圧力を分散させて弱点を見つけださねばならない』

カスパロフは、アンジェが掲げる「アタッキング・フットボール」主導権を握り我々がアクションし続け、相手をリアクションさせ続け疲弊させ敗北を認めざるを得なくさせる――思想背景とそのために採るべき姿勢を示している

成功する攻撃者となるために、主導権を支配し支配し続けるため主導権を強化する

人生にもチェスにも、そしてサッカーにも「デス・スター」絶対的な武器や戦術は存在しない。相手は必ず我々の強みに対しリアクションし守りの準備をする(それが相手にとっては攻撃のための準備でもある――昨夜の磐田のように!)

故に主導権を握るには唯一の強大な武器(左サイド)に依存すべきでない

リアクションする相手に主導権を握り続けるため必要なのは、動き、柔軟性、陽動

ポゼッションも、バックパスや「やり直し」も選手たちのポジション交換も、全ては相手の守備者に「1つの穴を塞ぐため別の穴を作る」ことを強いるための陽動である

なぜリアクション要素の強かったマリノスの強みやスタイルを棄て、新たなスタイル「主導権を握るアタッキング・フットボール」を目指すのか

その意味、そのために採用するハイライン&ハイプレス、それを機能させ実効性とするためやるべきこと、周知し守るべき原則――今一度整理し、考え直そう

「私はリスクを最小限に抑え、メリットを最大化するプレイ原則を選手に伝えようとしているだけだ」ベップ・グアルディオラ

「ベップがバルサバイエルンにもたらしたのは素晴らしい守備組織を作り上げたこと。人は攻撃こそメリットだと言うがそれは間違いだ。ポジショナルプレイを使った攻撃ま良かったが、輝かしかったのは守備の組織だ」エネスト・バルベルデ

「ポジションもシチュエーションも既に起きたことと、プレイを支えるために今後君がやろうとすることと関連付けられていないといけない。ポジションとシチュエーションの両方の意味を持ちしかも戦術的な意図も込められた言葉とは『配置』である」ファンマ・リージョ

「人は簡単で限定的な定義で理解することに慣れている。だが我々の提案は違う。ラインごとにシンプルに見るのではなく、より複雑な見方、全てのことは全てに関係し起こり得ないことは起こらないが、選手間のアクションはアクションでなく相互アクションである」パコ・セイルーロ

「プレイのアクションという言い方をするが、そうではなく相互アクションだ。何故なら私のやることが君に作用し君をを変え、君は私のことを変えるからだ」パコ・セイルーロ

「守備者は受け身で攻撃者は能動的であるように見えたのは、攻撃対守備という軸で考えていたから。サッカーは常に単純な二律背反で考えられてきた。良し悪しとか実践とロマンとか。複雑なプレイの隅々を見ていくことをしなかった」パコ・セイルーロ

「我々はサッカーにプレイはないと言っている。普通はあると言っている。テレビが『メッシのプレイ』とか使うが、まるでメッシ以外に選手がいないかのように、メッシが世界中と戦っているように聞こえる」パコ・セイルーロ

「あるいは『このプレイはあのプレイと似ている』とも言う。しかしサッカーとはプレイの連続でなく複雑な状況の連続だと理解すべきだ。メッシがボールを持ち、ある状況にいるのは事前に何かが起こったからだ。そしてメッシがそうしている間にもそれを可能にしている何かが起きている」パコ・セイルーロ

「サッカーにプレイはない」「サッカーとはプレイの連続ではなく複雑な状況の連続である」「メッシがそうしている間にも、それを可能にしている何かが起きている」

この一連の言葉の意味を、中町や扇原や大津は噛み砕き咀嚼し理解して欲しい

左サイドで山中やユンや天野純がチャンスを構築し、同時にチームが守備時のリスクも担保できるのは、彼らがミスなくプレイするからではない。ボールには直接関与せずとも、彼らから離れた場所で君たちが適切な振る舞いをしているからだ。それがなければ、必ず何かが何処かで破綻する

「このサッカーをしている以上、ミスはしちゃいけない」扇原貴宏

そうではない。トラップやパスのミスを「してはいけない」のではない。メッシでさえもミスはする。今のマリノスの問題は、扇原が間違っているのは「ミスは起こり得る」ことを前提とした思考とボールとは直接関与しない振る舞いだ

磐田戦の1失点目。天野純の受け方、ボールを置く位置が間違いだった。同時に相手守備者が狙っているタイミングで丁寧でないパスをなんとなく付けた中町にもミスがあった。直接ボールに関与してない扇原も、あと1m後方に備えあと1秒ネガトラが早ければ磐田の速攻に置き去りにされなかったかもしれない

2失点目も、3失点目も、繰り返す「安いボールロストと安い失点」には、全て同じような背景と問題がある。選手もファンも、ついボールのある場面と直接関与した選手にばかり目が行く。しかしサッカーはプレイの連続でなく状況の連続。何か1つ誰かのプレイのミスで、失点に直結することは、ほぼ無い

そこの部分を「プレイでなく状況に問題があった」という視点を持ち込まなければ、このスタイルを貫きつつ問題を修正するのは、おそらく不可能だ。ミスが起こっているのは個人のプレイではなく、チーム全体の不協和がもたらす「状況」にある

「アタッキング・フットボール」を貫くために必要なのは「無闇やたらにラインを高く保ち」「ボールサイドにより多くの選手が関与し」「誰も1つもミスせずパスをつなぐ」ことではない。ミスは必ず何処かで起こる。主導権を握り続けるためには、できるだけ早く、高い位置で奪い返さなければならない

そのために、何をすべきか。適切な距離感やピッチ上の選手「配置」は如何なるものか。「我々のサッカー」を表現するためには、相手の意図を正しく読み取らなければならない。我々がアクションすれば必ず相手はリアクションする。サンドバックではない

相手のリアクションを我々の想定内のものとし「1箇所の穴を塞ぐため新しい穴を作ってしまう」状況に追い込むためのアクションを考え準備しなければならない。サッカーは複雑な状況の連続であり、我々のスタイルや個人のプレイはそれだけで完結することは決してない。1つの結果には無限に近い背景がある

…いやまあ3失点の中でも扇原のミスはズバ抜けてヤバいミスで、アレを織り込んで周囲も準備しろとは言えないけど。でも単純なスキルミスなのか。受ける準備、次のプレイのイメージなく「なんとなく受けちゃった」から起こったミスじゃないのか

喜田のプレイ、ビルド関与にはずーっと「とにかく予測を磨け」「足元スキルや閃きセンスが爆発的に伸びることは多分ない」「でも判断の精度と質に限界はない」と言い続けてきた。停滞期、無難なプレイしかしない時期もあったが、喜田は止めなかったからこそ今季開幕2戦の輝きがあった

トレーニングのロンドを見ても、扇原の「止める蹴る」の柔らかさと技術的な精度はチームでも屈指。しかし予測し判断を磨いた喜田は「ボールに触らなくても」ビルド関与し、相手を動かせる。ボールや人だけでなく、それらが作りだす「状況」を見て関与する質を高めたからだ

扇原にはサッカーの見方、関与の仕方をボールを中心としたものから「状況」にシフトしていって欲しい。でなければ頭打ち、扇原はここまでだ。しかし変わることができれば、扇原の遠くを見てそこにボールを正確に送り届けられるセンスとスキルは、数倍輝く。復活や再生でなく、マリノスでメタな変革を

扇原はホントこのままだと厳しいと思う。でも2017シーズン「おいおいマリノス大丈夫かよw」と周囲から言われる中でオファーに応え「メディアはそういうのが好きでニュースになるが残った選手が1つになって戦うだけ」と言ってくれた扇原には、マリノスで輝いて欲しい。俺は扇原貴宏を諦めない