横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【切り替えやボールサイドなどのインテンシティを必要とするコンセプトワークと個々のスキルやアイデアによるクオリティが良いバランスになってきたことは喜ばしいこと by いた】 about [2015-J1-2nd-9] 横浜 4 v 0 浦和

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浦和戦。 これまで苦労させられていた「ミシャ式」への対応の解を携え、磨いてきた鋭いカウンターで脅威を与え、魔法のキックで風穴を開ける。そして、機を逃さず加点して大差での勝利。1stステージチャンピオンを攻守に圧倒しての完勝。言うことないです。

安定したポゼッションで相手を押し込みつつ、アウトサイドがトップ気味にポジションを取ることで選手間の距離を開かせる、そしてスイッチとなるキーパスから連動した攻撃でそのギャップを突く。時にはストッパーが攻撃参加して守備組織の破綻を誘う。 ミシャ式は相手に困難な対応を強いるメカニズム。

そんな相手に対して、エリク体制の横浜はその対応策を見いだせず、押し込まれては守勢に回り、攻撃へのエネルギーを失って、なすすべもなく破れてきた。 しかし、数回の敗戦を経てようやく対ミシャ式に対して明確な策を携えて試合に臨み、機能させることが出来た。これが一つ目の勝因。

内訳としてはこんな感じ。 高い位置を取るウイングバックに対しての対応はサイドバックが対応、サイドハーフはストッパーのオーバーラップに対して責任を持つ役割分担を明確に(サイドハーフはこれにより高い位置を維持することが可能に)

キーパスを出す柏木陽介に対してはトップとトップ下が警戒する。少し低めのライン設定で前から追うことは断念してでも、彼の前を塞いでキーパスをバイタル中央へ通させない。

チームとしても、サイドに展開されることは許容した。その分中央バイタルへの侵入は厳しく管理。楔に対してのアプローチはシビアに、その前ではボランチコンビがコースを消す。相手が一番やりたいことをケアしつつ、サイドハーフを高い位置に残すことで攻撃のエネルギーを保つ。これが嵌った。

守備で浦和の手を抑え、攻撃は前残り気味のアタッカーを使ってシンプルかつ少ない人数で攻めきる、また切り替えて前が狙える、奪いきれるシーンではボール奪取を狙う、リズムが出来てきた中で魔法のキックで先制点。最高の形。

ボランチコンビで高い位置で前を狙って奪いきった所を起点に、素早くアデちゃんを経由して相手陣中央の俊様へ、俊様は仕掛けつつ、右に三門、左にまな、中央翔さんと選択肢を携えつつも、後ろから来ていた阿部勇樹のファールを誘ってペナアーク付近でのFKを得る。

そのFKを素晴らしいコースに抜群のボールスピード、魔法のような軌道でサイドネットに突き刺す。日本代表のGKを屈服させるキックで先制点をゲット、魔法!

公式球との相性、芝と土との相性、色々とアーティストには繊細な感覚があって、それとフィットしたということなのだろうけど、細かいことは抜きにして、「すげぇ」としか言い様がない。浦和の人が羨ましいと思った、そちら側のサイドであの軌道を見られたんだもん、本当に幸せなこと。

風穴が空いた後も、良いリズムは変わらず。浦和がビハインドで前に出てくるも、俊様・中町さんを中心にスムーズに細かいパスを繋いでプレスを回避、その流れで翔さんのスペースパスからまなが宇賀神を振りきってGKとの1on1の決定機、冷静に届かない位置へ流し込んで追加点。素晴らしい。

後半は浦和がズラタンを投入して2トップに、右サイドの関根を使ってサイドからの突破で打開策を見出そうとガンガン来られるも集中力高くクロスを跳ね返し、時折カウンターで得点機を伺う。そして、その我慢比べに勝った横浜が更なる追加点。起点は翔さんのプレスバックからのカウンター。

奪った瞬間俊様、アデちゃんは攻撃に切り替え、俊様に繋ぐと前を走るアデちゃんへスルーパス、後ろからボール奪取に絡んだ翔さん・まながゴール前へ、翔さんの存在でラインが下がり、ペナアークでまながフリー、アデちゃんこれを見逃さずにグラウンダーの折り返し、ずばっと左足!4枚で完結。

練習の甲斐があった、というまなのシュートは凄く力の抜けたいい振り。奪ったところから60mぐらいの長い距離を走った後にこれだけいいシュートが打ててるのは練習によるところが大きいのかな。これで2ndステージ5点目、自らに課した課題で悩んだ時期を超えてここから一気に!良かったよ!

そして俊様、鋭い切り替えからのスルーパスに彼のこのチームへの関わり方が見えたかな。 その他のエスプリ効いたボールコーディネーションからの繋ぎにしても、スピードアップ、カウンターへの寄与というリクエストに対しての「ようやくわかってくれたかな?」という彼の矜持、プライドが見えた。

そして、交代前に更なる一仕事、CKで2節連続のファビオヘッドを導き出す。このキックもボールスピード伴った鋭く曲がり落ちるボール。この日の中村俊輔は魔法使いだったね。

戦略的にも、個々のパフォーマンス的にも、文句なし。だからこそこの結果だと思う。後手にならず、主体性と意図を持って守る。耐えるべきは耐えて。そしてスペースを有効活用して速く攻める。それがぴったり嵌った。

切り替えやボールサイドなどのインテンシティを必要とするコンセプトワークと個々のスキルやアイデアによるクオリティが良いバランスになってきたことは喜ばしいこと。どちらかだけでは足りないけれど、両方が伴うことで結果が導き出せる。

今後に向けての自信になる勝利。 後は継続して、クオリティを高めるのみ。相手の特徴が変わるので、対策する部分はあるにしても、変質してはいけない。正直なところ天皇杯で2週空いてしまうのが惜しいけれど、疲労もあると思うので、しっかり休んでまた次に向かってほしいな。 本当にありがとう!