横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【アホみたいにずっとこの繰り返し浦和戦の反省が何も生かされておりません。 by 蒼井真理】 about [2015-J1-7] 横浜 1 v 2 広島

aoi_mari.png蒼井真理



マリノスのスタメンはエルゴラの予想通り。右SBは比嘉さん。パンゾーが累積ツモった時点で「ああ次は右SBに三門で、ボランチはファビオを戻すか中町か富澤かな」といった大方の予想を簡単に覆すエリク。そこにシビれる憧れる

なぜナ杯でも相当アレなパフォーマンスだった比嘉さんを、このタイミングで右SB起用なのか? 普通じゃないぜエリク。その決断力に至る思考をトレースしてみたい

推測その1.比嘉さんを起用したかったのでなく「とにかく三門をボランチから動かしたくなかった」今の三門雄大は輝いている。地味ながら素晴らしい貢献度と献身性。「エリク横浜の象徴」と言っても過言ではない。その三門のポジションを変えるのは「比嘉さんの右SB起用よりリスクが高い」

推測その2.エリクの比嘉さんに対する評価が私たちの想像を遥かに超えて高い。比嘉さんは「ボールホルダとの距離を臆する事なく詰める」度胸とセンスは、確かにちょっと並み外れる。「球際の迫力と勇気」を重視するエリクの趣味に、比嘉さんのプレイスタイルが意外なほど合致した可能性も微レ存

推測その3.エンド変更がなければ、前半マリノスベンチの目の前で自陣を中心にアップダウンするのは右SB。俊輔は前半、慣れない退屈なベンチ暮らし。俊さんがモチベーション落とさず前半45分を過ごすのに、何が必要か……実に策士だな、エリク・モンバエルツ

でもマジメな話、比嘉さんは守備者として「ボールホルダとの距離を臆する事なく詰める」度胸とセンス、勇気と「ちょっと日本人DFらしくない」距離感(懐に飛び込む、まあスコーンと外される事もありますが)は、なかなか異質で真似できない業ですよ。そこは本当、エリクの趣味に合うのかも

普通の日本人DFの距離感、指導者の1対1の教えは「飛び込むな!」なんです。飛び込んでスコーンとかわされるリスクをとにかく嫌い、「相手の懐に入り、スキあれば突っつき奪う」チャレンジが凄く少ない。比嘉さんは、結構それをやっちゃうDFです。まあスコーンとかわされる事も(以下略

広島のスタメンもエルゴラの予想通り。さて今回の対戦のキモは「シャドウ2人の機能性、打開力」かな。あと1トップは結局また佐藤寿人が不動になったのね。皆川佑介はどうしたのかしら

ホーム広島戦の注目ポイント

・比嘉さんのボールホルダとの距離感
・フォローでワチャワチャする中澤と兵藤
・エリク横浜の象徴、三門と喜田のボランチ
・2人の「カウンタの起点となるボール奪取」
・学とアデミウソン、連続ゴールへの期待
・「俺はラフィの前座じゃない」伊藤翔の意地

ゴール裏から繰り返される三門チャントに、何度も手を上げ頭を下げて応えるストレッチ中の三門雄大。それを指さしイジる兵藤ら周りの選手たちw 微笑ましい

コールを忘れたんじゃない。俺たちの秘密兵器だからヒミツにしただけだ!

アウェイ広島のゴール裏。平日前の19:00キックオフの割には、遠方アウェイに沢山来ていただいたほうではないでしょうか? 最終の新幹線には間に合うのかしらん

---

「俺はラフィの前座じゃない」

伊藤翔の意地が、前半4分に早くも炸裂! 左サイドで学⇒アデミウソン伊藤翔、流れるようなワンタッチのコンビネーション・プレイ!

---

前半終了、横浜1ー1広島。シュート3:6(枠内2:2)決定機2:3。電光石火の10分までと、互いにミス多く退屈で眠たい凡庸極まりない残り35分。「ミスが増え縦へのチャレンジが減る」前節の湘南みたい。序盤に縦のスイッチ入れていたのは学。ミスで流れ悪くするはボランチの2人。難しい

ラフィーニャ待ちとなるのか、自分たちでチャレンジして再び「ゲームを動かし」チャンスを作るか。さて後半

---

広島の遅攻に対し奪い所が作れない⇒DFラインがズルズル下がる⇒奪う位置が自陣深く⇒間延びして距離感悪い(コンパクトでない)⇒縦パスが繋がりにくい⇒ロストする⇒広島のターン

アホみたいにずっとこの繰り返し

「間延び、距離感がよくない」とにかくコレを改善しないと。浦和戦の反省が何も生かされておりません。奪い所をどこに設定するのか。行くとこは行く。引くとこは引く。メリハリ

広島もアホちゃうから今のこのマリノスの強みが「三門と喜田がミドルサードで球際激しく奪って縦に速くシンプル速攻の起点」なのは分かってるから、そこでロストするようなビルドはやらんですよ。とにかく外、外一辺倒。主に比嘉さんの右サイド

コンパクトな距離感を保たないと、三門と喜田を起点としてアデミウソンがスパイシーな魅力を放つカウンタは発動いたしません。

後半20分、比嘉さんに代えて俊輔を投入

右SBは三門、ではなく「存在の耐えられない軽さ」兵藤慎剛。うーん、兵藤も今日は繋ぎでミス多いネー

後半22分、自陣深くでの広島セットプレイから失点し逆転を許す。マリノスはまだ後半、シュート無し

いちおうオリジナルポジションはトップ下だけど、遅攻時の俊輔は喜田や三門と入れ替わりボール受けて捌く起点役。かなりピルロレジスタ色の強い役柄、かな

アデミウソンと俊輔の初共演。2人の距離感やプレイビジョンの共有に注目してみよう

アデミウソンがハーフウェイまで引いて受けて起点役になる際は、シュートは前線に残ります。最低限の約束事はあるみたい

うーん。奪い所を作れないままだと、どうにも厳しいなあ。広島はノーリスクでサイドに開く、マリノスをタテに間延びさせるの繰り返しでOKな訳で

間延びしてるから、カウンタも単発で厚みがでないし、本当に最高ギリギリの精度でないと成立しない。…ラスト10分で、ラフィーニャがスタンバイ。たぶん予定通りの限定起用

コレね。見ての通り、縦の距離感が遠すぎて一発のロングパスによるカウンタ狙いだけど、そんなのなかなか通るもんやないですよ

---

試合終了、横浜1ー2広島。スコア展開が示す以上の完敗。スカウティング、相手の強み消す対策、ゲームプランの部分で8割がた勝負あり。それを修正する采配、戦術的変更もなし。ラスト5分「個々のクオリティで何とかシナサーイ」には僅かな可能性

主たる敗因は、後半の途中にtweetした通り

広島の遅攻に対し奪い所が作れない⇒DFラインがズルズル下がる⇒奪う位置が自陣深く⇒間延びして距離感悪い(コンパクトでない)⇒縦パスが繋がりにくい⇒ロストする⇒広島のターン

広島もアホちゃうから今のこのマリノスの強みが「三門と喜田がミドルサードで球際激しく奪って縦に速くシンプル速攻の起点」なのは分かってるから『そこでロストするようなビルドはやらない』ですよ。とにかく外、外一辺倒。主に比嘉さんの右サイド。中を使うのは、縦横に間延びさせてから

その「今のマリノスの強みを消す広島の明確なゲームプラン」に対し、まるで無策で修正できず。トータル決定機は2:5。後半のマリノスは枠内シュート無し。シュートらしいシュートが、ほぼゼロ。スコアはともかく敗戦は妥当な結果

ちょっと工夫が無さ過ぎたし、浦和戦の反省(奪い所が作れずズルズル下がるだけ)が何も生かされなかった、試合中の修正もなかったのは大いなる失望。無理くり光明を探すとしたら、最後の5分間の「タレントの共演、その中の即興」ラフィのターゲットとしての秀逸さの再確認、か

いやまあ広島も、質の高いゲームプランだったとは思わんけどね。「今のマリノスの強みを出させない」が主たる目的で「サイドに開いて、さあどうする」は『柏ガンバレ』だったし。まあでも、負ける可能性は低い現実的なプランでした

エリクは「樋口さんができなかった事ができる」けど「樋口さんにできた事ができない」んだよなあ。おもしれえなあ監督交代。…とサーマー先輩と試合の感想を語りあって日産スタジアムを後にする。メシ食って帰るべ

樋口さんの「対ミシャ戦術ver.3.0」は凄い機能性と勝率だったなあ。でもあの「ボランチがバイタル捨てて相手ボランチに食いつく」のは、エリクの哲学ではぜーったいにNGなんだよね。もともとの「失った瞬間、一歩前へ」からして真逆なんだが。おもしれえなあ