横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【選手たちがゲームプランと一体感の元に出し切り、闘い、高い集中力を発揮し責任を果たした、大きな意義あるエリク横浜の初勝利! by 蒼井真理】 about [2015-J1-3] 横浜 1 v 0 鳥栖

aoi_mari.png蒼井真理



2015シーズン初の三ツ沢開催。キックオフ30分前にスタジアム着。自由席とSB席は完売のはずも、かなりの人出、天気いいからな

アップ中の選手を鼓舞するビッグフラッグ。今日こそ今季初勝利、エリク横浜に初勝利を!

マリノスのスタメンは、ボランチなファビオと三門雄大。2列目に兵藤、アデミウソン藤本淳吾。1トップ齋藤学。中町と富澤は揃ってベンチ行き、負傷から復帰した喜田も加えSUBはボランチ天国。…天国?

鳥栖はCB36菊地直哉がメンバから外れ(怪我?)開幕2戦ボランチでスタメンの谷口博之がCBにスライド、ボランチには28高橋義希。右SHは磐田から加入した9ペクソンドンがレギュラに定着、8水沼宏太は試合終盤の活性材料に

マリノスの現在のチーム状況、チームの個々の課題はこの3戦で明確になった。今日のチェックポイントは

・学とアデミウソンの絡み、関係性
・どちらがより高い位置で前線の起点となるか
・三門とファビオりのボランチコンビ
・約束事の中で、如何に果敢に奪いに行くか

学の1トップ起用も、おそらくラフィーニャ復帰までの期間限定。その中で何か新しい発見、可能性を見いだせるか? ボックス幅で、間あいだで前を向いて仕掛けるプレイを、どれだけ頻度高く出せるか

三門雄大とファビオのボランチコンビは今日の最注目ポイント。今のチームに「自陣からの手数かけた丁寧なビルド」は期待できない。彼ら2人が如何に「守備の約束事の範疇で、より高い位置でカウンタに繋がる果敢なボール奪取にトライし体現するか」が、マリノスのゲーム支配を左右する


単なる自陣引きこもりではダメだし、エリクの狙いもそこにはない。「不要なリスクは排除した上で、(ショートカウンタに繋がる)効果的で能動的なアプローチ」が、特にボランチ2人には求められている。富澤と中町は外され、ファビオと三門が起用された。その意味は2人とも理解しているハズ

三ツ沢でのホーム鳥栖戦、選手入場時のビッグフラッグ

間もなくキックオフ。アグレッシブな中盤守備から、鋭いカウンタでエリク横浜初勝利を!

GKが西日を嫌ってか、コイントスに勝ったマリノスがエンド変更してキックオフ

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鳥栖がボールを握る展開。むしろ好都合。谷口博之とキムミンヒョクのCBコンビは、特に被カウンタ対応のターン、旋回能力やアジリティとボディシェイプに難がある。カウンタから、マリノスタウンアデミウソンが如何に巧みにウラを取れるか

アデミウソンと兵藤の使いたいエリアが被っていて、少しアデミウソンがイラついてる印象。鳥栖のブロックセンターがガチムチなので、かなり左サイドに流れているのは、さてゲームプラン通りか。学の言う通り「ゼロトップ」になっとる

前半の塩展開は想定済み。とにかく今のマリノスは、鳥栖に対し先制点を与えてはお話しにならない

もっと露骨にボール保持を捨てて、鳥栖に握らせ引き出してのカウンタ狙いでもいいのに

はいはいイラつかないイラつかない。良い位置でのFKを何本も「与えてくれてる」んだから、ちゃんと生かさないと。流れの中からせめ手ないんだし

アデミウソンが上手くファウルをもらい谷口博之に警告。これで後半は、学とアデミウソンがボックス幅でどんどん仕掛けられる。布石は打った

下平匠の見切りの早さww

あとは学のゲーム体力、最後のキレが大事なゲーム終盤までキープできるかだな。前半は半分死んだフリでも良かったんだけど

45分、鳥栖がこの試合初シュート。ミドルレンジからの可能性ないもの

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前半終了、横浜0ー0鳥栖。シュート5:1(枠内2:0)決定機1:0。CK&FK9:1。ボール保持はやや横浜。塩漬けな45分も想定内。マリノスは「自陣からのビルドスキーム」「前線のターゲット」を著しく欠く現状で、ゲームプランに従い戦えている。鳥栖にシュートらしいシュートを許さず

欲を言えば、全体の守備ブロックをジワリと押し上げファビオと三門雄大はハーフウェイ付近でカウンタに繋がる果敢なボール奪取を! あとは CK&FK9:1、これをもっと有効活用しないとダメ。シュートに繋がったのは3本。もっと精度と工夫を、単調に過ぎる


アデミウソンがかなり谷口博之のハードコンタクトを嫌がり、左サイドに流れる時間帯多く、なおさらボックス幅で縦パスを引き出す存在が不足。まあコレはラフィーニャが復帰するまで諦めるか…。しかしメンタル、パーソナリティ的に言って少し「不安、不満要素」になるかも

ファビオはボールを足下に置くとダメ。シンプルなプレイを。少しでも迷ったら、絶対にダメなプレイしかでてこないw まあこれも経験を重ねれば…良くなる…といいな

勇蔵は前半、地味に質の高いプレイ、良い働きをしている。相手が豊田陽平だからかな、やっぱりw

さあ今日はとにかく無失点で、したたかな勝利を! 今はエンタテイメント性は求めないよ

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藤本淳吾、今のチームで流れの中で仕事できないのは仕方ないと諦めるから、せめてセットプレイで給料分の仕事してくれ…

アデミウソンがもう足腰にキテるな。水曜日も50分以上プレイしてるしなあ…。つーかこういう展開は予想の範疇なんだから、前半はアデミウソンと学のどっちかを温存していいと思うんだけどなあ

アデミウソンが動けなくなったので大人しくボックス幅で待ち、かわりに学が左サイドに流れる後半の序盤。両SBの遅攻における高い位置での関与は、前半にはなかった材料

27m、しかし逆風か…

今日はセットプレイで取り切れるか否か、ほぼそこが勝負の分かれ目

もうちっとエリア近く良い位置でFKを取れれば、逆風も好材料になる。藤本淳吾の見せ場を、学やアデミウソンが用意できるか

60分までは、これ完全にマリノスの狙い通りの試合展開で鳥栖は特に何もできとらんですよ。今のチーム状況のなかで、出来る事をやれてるのはマリノス

後半の時間経過と共に、相手陣内でのボール保持が増えているが、これは多分にメリットよりリスクの方が大きい。とにかくシュートで終わるプレイを心がけましょうね

はい三門雄大、それで良いです

66分、鳥栖は右SHペクソンドンに替えて水沼宏太。少し雨が降ってきてスタンド観戦の選手たちは撤収

アデミウソンが今日も完全にガス欠ですが、どうしますかねエリク監督は

オープンな展開になるのは、むしろ鳥栖の望むところ… ガス欠したアデミウソンのとこでロストする頻度が高くなる… それは必然

先制直後のタイミングで、三門⇒喜田。エリク監督の喜田への評価は本当に高いな

アデミウソン、脚をつって完全に稼働限界を超えてます

41分、アデミウソン伊藤翔

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試合終了、横浜1ー0鳥栖トータル決定機4:2。質やエンタメ性はさて置き、現状のチームに為し得ることを選手たちがゲームプランと一体感の元に出し切り、闘い、高い集中力を発揮し責任を果たした、大きな意義あるエリク横浜の初勝利!

勝利の「オイ!」は3回!

手元集計ではシュート横浜8:8(枠内3:4)後半はシュート数や決定機数、ロングスロー含むセットプレイなどスタッツは劣勢。展開的にもチャンスよりリスクはむしろ高まっていた。よくワンチャンスをモノにした

マンオブザマッチは決勝ゴールの兵藤慎剛、ヒーローインタビュは兵藤と最後の決定機を阻止したGK榎本哲也

決勝ゴールを振り返ると、アデミウソンは最初のキープとサイドチェンジ、エリア前と2回起点として絡んでおり責任を果たした。しかし疲労は明らかで、彼のクオリティより、あの一連のプレイ下の鳥栖のボールホルダへの寄せと圧力の低さが全面的に著しかった。もうユルユルのガバガバ

アデミウソンが2度、ハーフウェイ付近とエリア前で起点となった事。更に意味のある事は、パンゾーと下平匠の両SBがボックス脇で、得点に効果的に絡んでいる事。フィニッシュしたのが、タイミング良くエリア侵入した兵藤であった事。鳥栖のガバガバっぷりを差し引いても、この3つは意義深い決勝点

ハードワーク、ハードコンタクトがウリの鳥栖が、得点シーンであれだけユルユルだったのは心身の疲労か、一瞬の緩みか。ただ、前半から(ハードルは下げつつも)最低限のゲームプランを完遂し、鳥栖に気持ちよくプレイさせず疲労させ、その一瞬の緩みを着いて強かに決勝点を奪ったのは非常に良かった

個人的なマンオブザマッチは右SB小林祐三。地味ではあるが、堅実な守備で完封に貢献。後半9分、中澤が被ったシーンのカバー&シュートブロック、43分のドリブル突破への冷静な対応からCKでなくマイボールに。そして決勝点に繋がる低く強いクロス。3つの高い価値、実効性あるプレイを評価

兵藤はゴールシーン以外では、ビルドスキームや奪い所の設定に難あるチーム状況的に大きな役割は果たせず。これは藤本淳吾らにも言える事だが。彼らの特徴は出しにくい状況とゲームプランで、頑張ってはいたが我慢のプレイの連続。でも、よく我慢してハードワークしたと思う

エリクの志向的には、本当はもう少し守備ブロックを押し上げて、バイタルやウラのスペースは消しつつもよりハーフウェイ付近で激しくアプローチし奪い所、カウンタの起点を作りたかったと思うが。豊田陽平を擁する鳥栖に、チームとして現実的なより守備的な戦い方となった、それは現状、仕方ない

自陣からのビルドスキームと、ボックス幅でDF背負って受けられるファーストトップを欠く現状で、ブロック守備の堅固な鳥栖に先制されたら厳し過ぎるから。とてもリアリズムに満ちた戦い方の中で、強かに勝利した。その中でもセットプレイの精度と工夫には課題を残したが

注目ポイント、期待した三門雄大とファビオは、前述した理由から彼らにこの日最も期待したプレイ(ハーフウェイ付近でのカウンタに繋がるボール奪取)は出なかった。が、ファビオはアンカーとしてエリア付近でCBを助け、三門もよくハードワークした。ビルド関与の稚拙さは、想定内

決定機の質と数から見ても、スコアレスか1ー0の勝利が妥当。だが後半のゲーム展開は、やや鳥栖のストロングポイントが出やすい展開ではあった。マリノスはよく我慢し集中を保ったし、運もあった。鳥栖には致命的な緩みが出た。が、試合通したゲームプランと采配的には少し疑問も感じる

ガス戦も、今日の鳥栖戦にも共通して言える事だが、前半の塩漬け展開はチーム状況を考え戦前に予想できる。加えて50分でガス欠になるアデミウソンのコンディションを考えれば、彼はベンチスタートの方が試合全体を考えた起用法、実効性ではより現実的ではないか?

アデミウソンのプレイで気になったのは、前半の早い時間帯から谷口博之のハードコンタクトを嫌がり、左サイドに流れようとし兵藤とプレイエリアが被る事をベンチに訴えていた事。その後は、兵藤とポジションを交換しつつプレイ。鳥栖のような相手に、ボックス幅でのプレイを期待するのは難しいかも

選手にはスキルや資質的に「できる・できない」以上に「好む・やりたくない」役割やプレイエリアがある。問題は、アデミウソンだけでなくラフィーニャや学にも、同じ「激しくコンタクトされるとサイドに流れたがる」傾向、プレイ資質が高いこと。上手く折半し、交互に役割分担してくしかないが…

ボックス幅でDFを背負って縦パスを受けられるファーストトップの不在、補強したアデミウソンもそのタイプでなかった事は、間違いなく今後もマリノスの大きな課題となるだろう。ラフィーニャ復帰後は、彼にソレをやってもらい、孤立させないようスキームを作りつつ、ラフィが壊れない事を祈るしか

アデミウソンにはもっとパフォーマンス、フィジカルコンディションとゲーム体力を上げてもらうと同時に、彼が好まないボックス幅でのコンタクトプレイにも時には我慢してこなすようチームたして要求していかねば。でなければ彼の課題克服にもならないし、補強の意味が薄れてしまう

今日の谷口博之のハードコンタクトを嫌う素振りで、アデミウソンサンパウロの109試合で15得点であった理由、マリノスにローン移籍に出された理由の一端や彼の課題が見えたような気がした。技術的に素晴らしくマジメだが、ボックス幅でFWとしてプレイするための心身の強さを欠くかもしれない

今日の鳥栖戦は「現状のチームに為し得る、かなり上限に近い現実的な戦い」をチームとしても、選手個々も奮闘し結果を出した。ただ、大きく課題が改善された訳ではなく、ラフィーニャと俊輔が復帰すれば、またチームは再編成される。中町や富澤にしても、彼らの可能性が潰えた訳では全くない

全てはこれから。エリク横浜の挑戦は始まったばかり(なんかジャンプの打ち切りマンガみたいだな)ただ、その中でも勝点は拾っていかねばならないし、サポータは勝利を要求する。選手とエリク監督は、鳥栖戦でとても良い準備、良い仕事をしてくれたと思う

明日はオフ、エリク監督はBチームの練習試合は設けないつもりなのかな? レギュラでない選手たちのゲーム勘やモチベーションという意味で、少し心配