横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【限られた陣容で素晴らしい試合を見せてくれた。負けてこんなに悔しいと思えるのは、いつ以来だろう。優平の惜しみない頑張りと、兵藤のバランス感覚、そして2人のリスクに挑戦する勇気だった。良い試合をありがとう。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-31] 横浜 0 v 1 浦和

aoi_mari.png蒼井真理



三連休の最終日、月曜日。リーグ31節ホーム浦和戦。浦和は勝点58で首位。マリノスは前節のしょっぱいドローで、安定の10位に逆戻り。優勝もACLも降格もなく、優勝争い&残留争いするチームを邪魔する暗い悦びのみ。勝てば賞金圏内7位に返り咲きだよ!

浦和にとってFW興梠慎三の離脱は大きな痛手。30節まで全試合に先発、チーム最多12得点。ゴールが勝点に絡まなかったのは28節の仙台戦のみ。2シャドウとの流動性の中で前線の核となる「消えて・現れる」知性を求められる1トップ、ミシャ浦和に昨季(33試合13得点)から不可欠な存在

浦和はリーグ直近5試合で1勝2分2敗。C大阪と仙台に敗れ、甲府に引分け。「この時期に残留争いをしているチームと対戦したくない」のはマリノスだけではないのだよ。2位G大阪は昨日、仙台と引分けたが勝点差は2と詰め寄られている

ミシャ・ペトロヴィッチはJで指揮を執り8年目。その間、タイトルを得たのは広島3年目のJ2優勝のみ。天皇杯とナ杯で3度の準優勝。浦和就任1年目で3位となりACL出場権を得るも昨季は6位。広島は退任後リーグ2連覇。とにかくタイトルと縁がない、勝負弱い。往年のハンス・オフトみたいだ

今季リーグ終盤の失速を見るに「ああやっぱりミシャは勝負弱い」「リーグタイトルは、G大阪か鹿島か」と思う。しかし興梠慎三の負傷離脱、彼がリーグ最終戦に間に合わせようとリハビリに励む姿がチームに「ミシャのタイトル縁の無さ」を超えるプラスの効果を与えるかもしれない

本当に自分だけのため、目標のために最後に手が届くギリギリのプレッシャに完全に打ち勝つ(中田英寿本田圭佑のような)選手は多くない。ゼロ杯でマリノスを打ちのめした広島のように「自分でない、しかしチームにとって共通の誰かのために」は、時として強烈な一体感とモチベーションをもたらす

一体感やモチベーション「動機付け」ってホント大事。試合におけるチームの戦闘力は「(個々の能力+連携・戦術)×コンディション」だけでなく「×モチベーション」だから。それが「目標意識乏しい」0.8なのか「ひとつの目標にチーム一丸となった」1.3か、その差は結果に大きく影響する

ベースとなる「個々の能力+連携・戦術」値に大差がないJリーグでは、特にモチベーション(とコンディション)は大きく結果に影響する。今季マリノスが優勝争いに絡めず低調な試合が多いのは「優勝争いに絡めてないから」という一見すると訳の分からんような理由も少なからずある

――マリノスは元来リーグにおける「空気を読めない」チームの代表格なハズなのですが、最近はそうでもなかったり。優勝争いを盛り上げるという意味では、勝利か最低でも引分けが求められる試合でもあり。さて今日のマリノスはどうなんでしょう

ちなみに浦和はミシャが来季も指揮を執る事、契約更新を10月6日という早い段階でリリース済み。まあこの時点でACL圏内はほぼ確実な情勢でしたし。さてさてマリノスは…「情報が出ない=決断を先送り」とは限りませんし、近年は情報統制がよくできてるしw

逆にネルシーニョが今季限りと公式発表あった柏はともかく、神戸とかアレどうなんでしょうね。話題作りの一環なのかしら…

閑話休題。今日の浦和戦の注目ポイントを考えてみる。まずはゲームプラン、特に浦和と広島が相手の場合は「対ミシャ戦術のverが幾つになるか」つまりボランチに求められる役割がどうか、という所が大きな見所になる

「樋口マリノスのミシャ系チームへの相性の良さ、より能動的に勝利するための戦術進化の歩み」については、9月のホーム広島戦の一連のTweetを参照のこと


どうやら土曜の紅白戦を見る限りは、勇蔵がCBに復帰。ファビオは加入後初の「ボランチでスタメン起用」となる模様。相方は兵藤か。……うーんどうだろうこの決断は。個人的には「ちょっとどうかしら」と思うが、樋口監督のここに至る論理思考はトレス(推察)できる

まず前提A.「対ミシャ戦術ver.3.0」以降は、相手の1トップ+2シャドウをDFラインの4人で見る。ボランチはシャドウに付かない。SBは「2シャドウ+同サイドのWB」に対し状況に応じた「見る・捨てる」瞬時の判断を要求される。4バックの高い戦術理解度、阿吽の呼吸が大事になる

この前提A.を満たすため「直近4節にCBで先発し上々のパフォーマンスが続いたファビオ」をDFラインから外す。ファビオは「個の身体能力やリーチ、守備範囲の広さ」で相手を止めているのが現状。視野や連携判断はまだ拙い。加えて下平匠も、昨季のドゥトラに比べ守備の信頼度は低い

前提B.9月の広島戦「対ミシャver.3.1」では、ボランチの主たる役割は「2シャドウへのパスコースを限定する、隙あれば相手ボランチに食い付き奪いカウンタの起点に」というもの。しかし小椋と三門のプレイは、高萩と石原の仕事を限定したというより、彼らの不調に助けられた感が強かった

…ホーム広島戦は、小椋と三門の両ボランチとDFラインの間のスペース(バイタル)は大きく、2シャドウの石原と高萩はかなーり浮遊、彼らへのパスコース遮断も十分ではなかった。しかし広島は2人を使い切れず。1トップ先発が佐藤寿人でなく、若い皆川佑介であった事も流動・連動性を下げたか

つまり「対ミシャver.3.1」でも、ボランチはバイタルを締めるより相手2シャドウはDFラインに任せ「相手ボランチやDFから2シャドウへのパスコース遮断」が守備における最優先タスク。視野の広さと状況判断力が求められ、富澤や中町、兵藤が最適任。今日ピッチに立てるのは兵藤のみ

前提B.からボランチは兵藤+誰かになる。俊輔を最初から3列目起用する選択肢もあるが、対ミシャ戦においては、トップ下の俊輔は相手ビルドの起点である「中央で遅攻起点となるボランチ」に圧力を掛ける重要な役割を担う。浦和戦では、主に阿部勇樹からの効果的なパスを遮断、限定する事

前提C.藤本淳吾の直近数試合のパフォーマンス、守備能力や運動量を考えると、兵藤とボランチを組む候補は優平しかいない。しかしC大阪戦を見ても、優平が高い位置で絡まないと今のチームは攻撃にダイナミズムが生まれない

C大阪戦後に優平が「最後は4-1-4-1のような形になり、監督もそれが理想だったと思う」と語るように、今の伊藤翔を1トップとした形では、2列目の厚みと流動性を高めないと厳しい。しかし対ミシャ戦術で、ボランチを1枚削るのは無理だし、2枚とも役割として守備から入る

前提C.を「守備面のみから考えると」現状ボランチとして最適なのは兵藤+優平。しかし、優平は2列目で起用したい→対ミシャ戦でファビオCB起用は不安→広島戦の小椋と三門も決してパーフェクトではなかった→ファビオは謎の守備範囲の広さを有する→ファビオには実戦経験積ませたい

→とまあ様々な思惑が絡み合いつつ樋口さんなりの結論と致しまして「ファビオにはボランチであっても実戦経験積ませたいし謎の守備範囲に期待。いろいろ至らぬ点もあるだろうけど、気の利く兵藤がカバーしてくれるだろう。ダメでもともと、広島戦の小椋と三門も結構アレだったし」…な感じかと

樋口さんの思考パタンは概ねロジックに忠実で、前提に相反する要素が現れた場合は「えいやっ」とどちらか捨てるより中庸の道を選ぶ。たまーに「えいやっ」があって予想が裏切られる事もあるけど、大概その裏には「そうせざるを得ない」状況の後押しがある。主に中心選手の離脱とか

会見コメントを見ても分かるとおり、樋口監督の発言は理路整然としていて判りやすく読み易い(予想もつきやすい)↑ここまでの推察にも大きなズレはないと思う。結果として正しいかどうかは、試合をやってみないと分からない

中庸だけに中途半端な感はある。ぶっちゃけ勇蔵も「見る捨てるの判断」や中澤との受け渡し連携は(こんだけ長くコンビ組んでるのに)未だに怪しい。なら中澤+ファビオでも… でも「先を考えて」なら勇蔵+ファビオか。いや対ミシャ戦術でそれはあまりにキツい。ほぼプランの放棄だ

「能動的に浦和の良さを消す」対ミシャ戦術の守備面だけを考えれば、現状ボランチは兵藤+優平しか有り得ない。が、ラフィを欠き学が不調の現前線で優平をボランチの仕事に埋もれさすとC大阪戦の二の舞… で、この布陣に落ち着くと

だから決して藤井記者が言うような『自分たちのサッカーというこだわりなどどこかへ飛んでいってしまった相手に合わせた消極的な采配、マイナーチェンジではなくスタイルの放棄』だとは思わない。むしろ「能動的にミシャ系チームに対する」ため、且つ「遅攻でも流動性を出す」ための折衷・中庸策

そこで「CBファビオ起用を継続」とか「優平はボランチ起用、1トップを藤田、あるいは矢島との2トップにして、流動的な遅攻より、学を加えた前線の個人打開に賭ける」とかドラスティックな手法は取らないのが中庸の将・樋口監督。もうそこは個性だし、どっちが正解という訳でもない

ドラスティックな手法の方が、上手くいった(抜擢した選手が得点に絡み勝利する、とか)時にインパクトがあり一昔前のスポーツ紙なら「○○マジック」とか監督の手腕を評価してくれた。ファンの印象にも残り易い。でもそれは本質的な評価ではない、単なる後付けだ

――ドラスティックと中庸、どっちが良い悪いという事はない。常に結果論。…ただし、監督が「腹を括る」明確なメッセージ・選手に伝える手段として、時にドラスティックな決断は必要。しばしば、樋口監督に絶対的に足りないと感じるもの。アウェイ甲府戦、G大阪戦、そしてホームC大阪戦然り

ゲームプラン、ロジックの組立ても大事だが、それと同等に監督には選手をモチベートし、個々に「こう動いて欲しい」チームに「こんなゲームを見せて欲しい」それをそのまま自分の言葉で伝えるだけでなく『そうする・させるための言葉』や起用法を考え、選ばなければならない

選手個々の性格、今日の布陣における組合わせや、対戦相手との力関係。様々な要素を鑑みた上で「自分(監督)がイメージするプレイを選手にさせるための言葉のセレクト」どんなにロジックが正しくとも、ピッチの結果としてイメージ通り選手が動く言葉でなければ意味がない

例えば、前節のC大阪戦の前半。優平の試合後コメントどおり、樋口監督のイメージとしては「4-1-4-1」で流動性出したいんだろうな、とスタンドからも観て感じられた。でも試合前の意識付けに失敗しているのも見てとれた。優平と兵藤がバランス維持に後ろ髪引かれ、前に出ない良さが出ない

まあ優平のコメントによれば「前半は(※監督には)流動的に動けと言われた。(※でも)変な取られ方するとカカウとか怖かったし、佑二さんからも守備から入れと言われた」…いろいろ残念な感じですが。中澤の発言も、チームにおける影響力的な意味でも (※は蒼井の補完

今季ワーストゲーム、アウェイ甲府戦の2日後の連投。『試合前、ハーフタイムの樋口監督の"言葉のセレクト"に大きな問題があった』 ↓ここでもソレっぽい事は書いた


……「強い言葉、決断を持たない」のは「中庸の人」と同じ意味で樋口さんのパーソナリティ的に仕方のない、改善は諦めるべき部分だろうか? 改めて「昨季リーグ優勝していれば」と思わずにいられない。言葉の重みや自信、決断の瞬発力に「積み上げの結実としての確かな結果」は絶対に必要だから

さあしかし中庸のセレクトが、どんな結果になるかは前節に続き蓋を開けてみなければ分からない。ただし対ミシャ系の試合展開予想・キーポイントは難しくない。双方ボールを握る時間帯があり、大量得点は考え難い

Football LABによれば、今季リーグのボール支配率1位は浦和の58.1%。2位が川崎で55.3% マリノスは3位、55.1%


試合の趨勢を左右する注目選手は、浦和の柏木陽介。彼を経由するか否かで浦和のチャンスの質は大きく変わる。樋口体制下の対戦でも、いつも柏木はバイタルで浮いていたが浦和が使い切れない事が多かった。彼の関与時間が少なく消えていれば良。躍動すれば、1失点以下に抑えるのは困難になる

浦和のファンなら皆知っている事だと思うが、柏木陽介は多くのJリーグファンが思うよりずっと優れた、スペシャルな選手。攻撃に決定的な変化を与えられる、ミシャ系に不可欠なシャドウ。今季序盤はボランチ起用、ずっとそのままの方がマリノス的には都合良かったのに

浦和の、後方から柏木へのパスコースを兵藤とファビオが上手く遮断して、更にボランチ阿部勇樹(あるいは鈴木啓太青木拓矢)がピッチ中央でボール持った際に俊輔と伊藤翔がサンドしてガシガシ潰せれば、今日は良い試合ができるハズ

マリノスの注目選手は兵藤慎剛。彼が如何にファビオをコントロールできるか。そして守備では相手2シャドウへのパスコースを消しつつ、マイボール時にはハーフウェイを超え2列目と絡めるか。慎重な守備から入るだろうが、相手ボランチからボール奪取&ボックスに飛び込む動きまであればパーフェクト

ファビオはねえ…。中盤で迷子になったりDFラインに吸収されて本来コンセプト台無しになったりしなければいいね。ゾーンで見る・守る意識、人よりむしろパスコースを消すんだという意識付けを、どれだけ消化・昇華できるか。まあ試合に出続けるのは良い事、CBに戻っても良い経験になるかなー

もしかしたら浦和の、2シャドウへのパスが全部ファビオに引っ掛かる、そしてカウンタの起点になるとか―― 樋口監督の「仕方なく組んだ布陣で謎の新適正発覚」スキルが発動するかも… いやでもボランチはもうこれ以上いらないんだよ…

ゴールを奪い勝ち切る、という意味では優平と学がどんだけ期待に応えられるか。優平は攻撃の流れを生み出す仕事、学はもちろん最後の決定的な仕事。30節まで4得点1アシストとか無いわー。あと途中から出てくる藤田、もしかしたら矢島や端戸

あと個人的な趣味では、最近存在感と実効性を高めている左SB下平匠。守備は相変わらずあゃしぃけどな! 浦和の右WBは平川忠亮? クロスは放置でOK。関根貴大の方が守備があゃしくて好都合なんだけど…。学が右、優平が左の時間を多くしても面白いかも

学が左タッチ際に張り付くと、俺の匠がこっそりジワジワ上がるスペースが無くなるんだよ。機を見て長い距離をガッと上がってこい? そんなの匠の原型とどめてないだろうが!

下平匠は「Football LAB」10月のJ1ベストイレブンに選出。『1ゴール、クロスCBP3位 3.17、攻撃CBP10位 10.38 左サイドバックの世代交代という、チームに課せられた使命を見事に果たしている』だってさ


Football LABでは「Chance Building Point」という独自の指標を使い選手を評価。平たく言うと『どれだけ相手ゴール近くでシュートに結びつくプレイをしたか&その精度』を数値化したもの。主観を排した数値による貢献評価が難しいサッカーで、それを試みたもの

この「Chance Building Point」という指標も、まあ随分ざっくりしたもので選手の本質評価だと思えないけど、主観を排した数値データで、下平匠がここ数試合コンスタントに高い数値を叩き出してるのは、まあ良い事じゃない?(個人的な趣味の話ですが

スタメン確認。…ファビオはやっぱり兵藤とボランチかあ。勇蔵がCBに先発復帰。不動の1トップ伊藤翔さん。藤田や藤本淳吾はベンチスタート。浦和はエルゴラ予想通り、リシャルデスはベンチです

藤本淳吾は本当にここまで1シーズン通しほぼ期待を裏切りっぱなしだなあ。今季の新加入では一番の目玉、金額的にも期待値は高かったハズだけど。とりあえず出た試合で「全部出し切る」感は出してほしい… ガツガツ感が足りない、とかユース上がりの若手への説教みたいに言いたくねえよ

マッチデイは中澤佑二。リーグ残り4試合、彼のプレイにも注目したい。今季は「強みと弱み」のコントラストが、より濃厚になった。トータル的にリーグ屈指のCBで、最小失点への貢献大きい事は疑いない。だが、経験で補い切れない領域も増えている

端的に言えば、アジリティ(敏捷性、反転力)クイックネス(俊敏性、最初の1歩目)無理な体制からの跳躍力などが齢相当に低下している。今に始まった事ではないが、今季は「その劣化を経験や予測でカバーし切れない」シーンがかなり増えた。特に、セットプレイ守備で相手1番手に付くのは厳しい

今の中澤は、セットプレイ守備において、例えば今は俊輔が務めているような「特定のゾーンを守る」ストーン役にすべきだ。C大阪戦でもCKから、マークに付いていた山下達也に振り切られポスト直撃のヘッドを許した。特に何のフェイクやスクリーンプレイもなく。今季は同種のプレイが少なくない

2年ほど前、俊輔は中澤を「1人でシーズン10失点くらい防いでいる」と評した。ファンの目に分かりやすい好守だけでなく、地味な限定や駆け引きも含め、今でも失点の少なさに大きく貢献している。おそらく中澤でなければ「勇蔵とファビオ」では防げなかった失点もあるだろう

ただ今季、特に夏以降はアジリティやクイックネスの低下を原因としたミス…というより限界が少なからず見られる。「中澤だから防げた」シーンもあるが「勇蔵とファビオなら」そもそもピンチにすらならなかったであろう被決定機もある。問題は、その割合を偏りなく正しく見極められるか…無理だなw

さて、試合序盤のチェックポイントはマリノスボランチ2人、兵藤とファビオの位置取り&タスク優先順位の確認。たぶん「横並びで2シャドウへのパスコース限定」だけど、もしかしたら柏木陽介梅崎司に(一方だけでも)マーク受け渡しで付くかも。あと俊輔の守備タスクも

次にボールを保持した際の、ボランチ兵藤とファビオの動き。DFラインに近づき後方ビルドは、主にどちらが担うか。ファビオがバタバタしないためにも、俊輔が一度DFライン近くまで下がるシーンも出てきそう。兵藤が、どれだけ優平らと共に遅攻で絡めるか …それは中盤以降になるかな

キックオフ15分前の、アウェイ浦和ゴール裏。個人的には、浦和戦と鹿島戦は2階席開いてドスの利いた声を響かせてほしいっス。リスペクトとかそんなんでなくスタジアムには「敵」がそれなりに沢山いないと雰囲気でないっス 

浦和では、1トップ李忠成+2シャドウ柏木陽介梅崎司の動き。流動性。それにマリノスがどう対応するか。左SB下平匠がハーフウェイを頻繁に超え好機を窺うのは後半になってからかな? 兵藤と下平匠が高い位置で仕事をする時間、それをどれだけ長くできるかがマリノスのリスクチャレンジ

さあリーグ終盤を盛り上げる、首位イジメを! 何よりピッチに躍動感を! 


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ファビオと兵藤は、やはり「2シャドウへのパスコースを切る」ポジションと位置取り。ただ9月の広島戦の小椋・三門に比べると、やや位置が深くDFラインに近い。DFラインも少し深め

自陣ビルドでDFライン近くに落ちるのは兵藤、俊輔はなるだけ高い位置キープ。兵藤はそこから、2列目に絡む縦の動きも。予想の範疇ではあるが、まずまずアグレッシブ

浦和の遅攻時、ボールサイドの2シャドウ、柏木陽介にはファビオ、梅崎司には兵藤が軽くマンツー気味に付いてるかな。守備は少し慎重、対ミシャver.2.0に近い形。ボールを奪う位置は低くなる傾向

17分まではシュート1:2(枠内0:0)決定機0:0。浦和が攻勢かけ押し込もうという展開。とりあえず現状は、守備に破綻なし。堅い入り

20分、俊輔が接触プレイで脚を傷め藤本淳吾に交代。淳吾、もうやるしかねーぞ!

20分経過、ボール支配は33:67で圧倒的に浦和。ディフェンシブサード伊藤翔含め、全員が押し込まれる時間帯も少なくない。しかし浦和もまだ前半、0-0なので後方に4人以上残す

28分、最初の決定機はマリノス。ハーフウェイ付近、右サイドでズッコケた槙野智章から優平がかっさらいドリドリ、エリア角からシュート。ニアでGK西川周作がブロック

優平のドリドリからシュートを契機に、35分までの約6分間はマリノスのターン。攻撃をリードするのは優平! ここまではファビオのボランチ、優平2列目起用は良い方に出ている

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前半終了、横浜0-0浦和。シュート8:4(枠内1:0)決定機1:0。ボール支配は40:60で浦和もチャンスの質と量はマリノス。首位・浦和を迎え緊張感ある45+3分。序盤の後方重心を、攻守に高く引き上げたのは佐藤優平! やや後方でバランスを支える兵藤と、2人がゲームを作っている

32分の中央ファビオ→パンゾーからの縦パスをエリア内、半身で引き出した優平のボディシェイプとターンは秀逸! 芸術点込みでPKねえっスかねw 長い距離、相手陣内でボールホルダを追いかけたり、優平のプレイがマリノス全体、ゾーンと勝ちに行く意欲を押し上げている。素晴らしい

ファビオのボランチが別に良い訳ではない。守備は今のところまずまず無難なだけ(当たり判定はデカいけど)繋ぎのパスもミス多く、時折思い切り良い縦パスは1年半前の小椋でしかない。ただ、優平を2列目で起用できた意味が、とてつもなく大きい。樋口監督の決断、前半は大きな成功

浦和はまだ、2シャドウがほとんど仕事をしていない。シュート4本も、1トップ+2シャドウはゼロ。注目のかしわは、41分な縦パス受けた際に勇蔵のクサビ潰しをいなしたフリックに、僅かに才覚の片鱗を覗かせたのみ。このまま沈黙させたい

マリノスは、このままのペースで良いと思う。0-0が続けば、必ず先に「首位の浦和」がジレてくる。その隙を待ち窺い、機が訪れた時を逃さず兵藤や下平匠がリスクを冒せば。学はもう少し仕事してね! 藤本淳吾は全然足りないよー

さあ後半! アイツらを黙らせろ! 泣いて帰れ!

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あとは藤田を投入するタイミングだなー。むしってで進めば絶対に、どっかから間延びして藤くんのための時間帯がやってくるんだよなー。樋口さんは今から気持ちの準備を!!

兵藤が相手陣内でパスを引き出し、斜め前の優平に当てて追い越す。後半も良いバランスと距離感でリスク挑戦できてる。素晴らしい

前半の30分までと、それ以降ではマリノスの守備ゾーンの高さが明らかに7mは上がった。優平と兵藤の貢献が大きい

後半、最初のシュートと決定機は52分、浦和の槙野智章。エリア内でパンゾーがスカされる、らしくない。哲也がビッグセーブ。次の1分はマリノスのターン。早くも下平匠がエリア内に侵入w 続く浦和のカウンタは藤本淳吾が自陣エンドまで戻りカバー。…攻守入れ替わり激しい好ゲーム!!

俺としては、もう伊藤翔→藤田でいい時間帯だと思う

かなりオープンな展開になりつつあるから。縦に早い展開に、伊藤翔のスピードはついて行けてない

試合の中で「対ミシャver.2.0」も選手たちのテンションと判断でver.3.1にver .upしてる。攻守にリスクチャレンジがある。だから互いにゴール前の攻防が入れ替わる、素晴らしいゲーム

ようやく藤田がスタンバイ。俺としては絶望的に遅いが、樋口監督としてはかなり早い部類の決断だ! さあ藤くん、こつからの時間は君のためのものだよ!!

70分、学の中央を縦にゴリゴリと割って行くドリブルからのシュート! それだよ学! そしてCKで、伊藤翔→藤田!

CKのポジション取りで、下平匠森脇良太のド突き合い

76分、浦和は右WB平川忠亮に替わり、関根貴大。学、下平匠、チャンスだぞ!! ……いきなり下平匠のクロスから、藤田のヘッドで決定機。僅かにバーを超える

そしてパンゾーのクロスはワロス

79分、バイタルフリーの阿部勇樹の強シュート、哲也が弾いたところに誰より早く詰めたのは関根貴大。なんだ交代直後とか、ミシャらしくねえよ。しかし阿部勇樹をフリーにし過ぎたし、詰めも甘かったなあ…。しかしまだ、時間は十分にある!

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試合終了、横浜0-1浦和。トータル決定機は3:4。限られた陣容で素晴らしい試合を見せてくれた。失点までマリノスの勝ちゲームだと信じ疑わなかった。アイツらを黙らせるはずだった。悔しい。負けてこんなに悔しいと思えるのは、いつ以来だろう

首位の浦和と、ホームで恥ずかしくない互角以上の戦いに持ち込んだのは、間違いなく優平の惜しみない頑張りと、兵藤のバランス感覚、そして2人のリスクに挑戦する勇気だった。良い試合をありがとう、本当に勝ちたかった。勝利に相応しい戦いを彼らはしてくれたから

樋口監督の起用、ゲームプランも素晴らしくハマった。ファビオのボランチ起用は破綻を見せず(つーか後半は、圧倒的な浮き球セカンド回収で新境地を開きつつあったw)何より、そうやって優平を2列目で起用した事が、優平の勇気と挑戦をチーム全体に還元し、互角以上の戦いに繋がった

あの失点シーンは…。なんであんだけ阿部勇樹をフリーにしてしまったか。縦のクサビ入った後のリターンだっけ? こぼれ球の反応含め、求めるモノの高さ、執念の差? まあ家に帰って映像で振り返るよ…

リーグ終盤、首位チームをホームに迎え今季最多4万超の観客の前で、本当にいい試合だった。緊張感ありつつ、攻守入れ替わり早く互いにゴール前のチャンスまで至る「お客さん」にも楽しい、素晴らしいエンターテイメント。そんな試合をしてくれた事が誇らしい。勝ちたかった。本当に悔しい

あと今日は学が、中央を縦にゴリゴリ割って入ってシュートまで行くシーンが2つ3つあったのは、とても良かった。タッチ際開きっぱでバレバレのカットインだけより、全然良い。学はもっとバイタルで受けたり、ボックス幅から縦に突っ込んで行くべき

個人的な趣味の話をすれば、今日も下平匠は決定的なクロスが2つあった(ターゲットは何れも藤田)。大宮時代より明らかに高い位置でのプレイが増え、総クロス数に対する成功率は往年の佐藤由紀彦を思わせる。来季はやっぱり、クロスに強いストロング・ヘッダーが欲しいなあ