横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【今季始動からの取り組み・スタイルをかなり明確に示す中で「2列目が」「藤本淳吾が」ゴールしての勝利には大きな価値 by 蒼井真理】 about [2014-J1-28] 横浜 1 v 0 清水

aoi_mari.png蒼井真理



『このピッチで魅せてくれた喜びは、この胸の星と共に輝き続ける。ありがとう奥大介
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ゴール裏に張られた横断幕。今日は清水戦、久し振りの日産スタジアム開催ホームゲームです

両チームGKがアップ開始。ゴール裏では伊藤翔のチャントが御披露目&練習中。今日も1トップ先発は伊藤翔です

マリノスのスタメンはエルゴラ予想通り。小椋、中町、三門雄大が揃って離脱中のボランチは富澤と兵藤。兵藤は、中盤どこでも一定の計算できるし大きな期待(計算を超えるもの、伸びシロ)もなければ、不安もない。両SHに藤本淳吾と優平。トップ下に俊輔が復帰。学はベンチスタート

あと右SBにパンゾーが右かかと痛から復帰。パンゾーと兵藤の2人は、現在のマリノスで最も一定以上のパフォーマンスが計算できる2人。組織のベースとなる選手 

清水のスタメンもエルゴラ予想通り。降格圏内16位。14位の甲府、15位のC大阪とは勝点差なく残留争いは大接戦。4連敗の後、前節のC大阪戦は8試合振りにリーグ戦で勝利。注意すべきは、ノヴァコヴィッチ大前元紀かな 

ここ数試合の清水の失点シーンや被決定機を振り返ったが、相変わらず下がりながらの守備やマークの受け渡しがヒドい。中澤&勇蔵コンビも大概だが、そんなレベルではない。局面の人数は足りているのに全員がボールばっか見て、人を捕まえない。1人でいい所に2人いて、必要な場所に人がいない

今の清水の守備は、2列目が良い形で前向いて後手を踏ませ、下がりながらの守備を強いればボロボロ崩れる。カギはボールホルダを追い越す動き、斜めな横切る3人目の動き。ボールしか見てないから。優平や兵藤に期待。藤本淳吾も俊輔いるから、出し手じゃなく動き出し頑張れ

下がりながらの守備を強いて、突っかける意味では「学最強」な相手なんだけど。ラスト20分までに、良いスコア&展開にしておけるといいね

マリノスとしては、目標や価値を見いだすのが難しい状況。でもホームなんだから、どんどんチャレンジして欲しい。そろそろ流れの中からのゴールを…。客観的には「全く打開力のないマリノス」と「守備組織がボロボロな清水」ひのきの棒と、なべぶたの盾、さあどっちが上回る? な試合か

マリノスで期待したいのは佐藤優平と、藤本淳吾。兵藤ボランチ起用とか今更すぎるわ。計算できるっつーの。優平が準レギュラ格として計算できる存在になれるか。淳吾は、もうそろそろチームにフィットして

試合開始10分前、アウェイ清水ゴール裏。チームがおかれた状況的には、もう少し埋まっても良いと思うのですが 

ホーム清水戦のビッグフラッグ&ジャイアントジャージ

キックオフ前、ゴール裏からは奥大介のチャント。選手たちは左腕に喪章を巻いて試合に臨みます。

スタジアム全体で黙祷の後、キックオフ 

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10分経過。清水は4-1-4-1、本田拓也の1ボランチ。セットした守備ではそれなりも、攻めの局面とロスト直後は前後の分断が露骨。加えて、ミドルサードのビルド時もボールより前に5人置いたりするから、ロストした瞬間はとっても脆弱。リスクの掛け方が残留争いしてるチームとは思えない

丁寧に繋いで押し込むよりも、ミドルサードで奪って横パス挟まず縦に速くやりきる方が効果的な相手。マリノスは相変わらず正直に、自分たちの攻めを展開。でも取り組みの成果、狙いはしっかり出ている。外から中央へ斜め前に起点パス入れて、今度は外へ斜め前のパスで3人目を走らせる

斜め前へのサイドチェンジ、あるいはコンビネーションからサイドを深くえぐって平行かマイナスのクロス。大外にも詰める。…これは今季始動からの取り組み。「今季の積み上げ」だって、決してゼロではない。いろんな理由から、進捗が遅かったりそれを表現するのが難しくなっているだけで、ゼロではない

30分、右に開いた伊藤翔の低いクロスから中央に詰めた優平が惜しくも届かずな決定機。美しい攻撃。キモは富澤から出た斜めに1人飛ばす起点パス、少しズレたがセンタサークルで相手をブロックしながら受けてきっちりターンした兵藤のプレイの質と安定感、強さ。これが「計算できる」という事

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前半終了、横浜0-0清水。シュート6:3(枠内4:0)決定機2:0。ボール保持とゲーム支配は61:39でマリノス。少し評価の難しい前半。攻撃面、チャンスビルドで取り組む姿勢は明確で形になっている。が「対清水」という面では、もっと効果的な手法があるが、そこは遠回り。効率的ではない

43分、2度目の決定機も美しかった。右SBパンゾーからエリア前の伊藤翔へ。スルーわ受けた藤本淳吾が左サイド駆け上がった下平匠へ。下平のピンポイントクロスをファーで優平がヘッド、ミートせず枠外。中央を横切る、手数かけ丁寧にサイドを深く崩す攻め。これもまさに今季始動からの取り組み

伊藤翔はサイドに開いたり、中央ではダミー役で機能。違う意味で「偽のCF」 樋口監督は始動からずっと、マルキーニョス不在を補いチーム全体で(特に2列目の3人が)点を取るための取り組みは続けてきた。今日の清水戦は、ようやく形が見えてきた。下平匠がフィットしてきたのも大きい

ACLも降格もない現状を受け入れれば、対処療法・処方箋的な手法で清水に勝つ事を追求するより、「自分たちの目指すスタイルを追求するなかで、それを体現して勝つ」ほうが価値があるのかもしれないな。その心意気や良し。でもしっかり結果にも拘らないとね。勝つ中で積み上げてかないと

前半はファビオが素晴らしかった。残りは全部先発でいいと思うよ。優平は、サイドに流れたり最後の局面で飛び込んだり、要求される仕事はほぼできている。あとは精度、結果!

前掛かりに厚みを出すマリノス、奪って速攻の清水。望んだ展開とは真逆だけど、サッカーとはそういうもの

展開としては0-0か、0-1のゲームか。マリノスは自分たちのスタイルを貫くが最後の詰めの精度が絶対的に不足。ボールとゲームは支配し続けるが、それは清水のカウンタの機会や精度を高める事になる。清水には「仕上げ」を務められる選手が少なくとも2人いる。マリノスは、セットプレイと学次第

もちろん優平や藤本淳吾が決めて勝てれば最高なんですけど

今季の取り組み、やろうとしてるスタイルは、2列目がゴール決めてナンボです。そういう意味で、やっぱり藤本淳吾と学の得点数や貢献度が、一番の誤算だった

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58分、縦パスをギャップで受けた藤本淳吾がエリア外から思い切り良い左足シュートで先制! DF吉田豊に当たりコースが変わってGK反応できず。コースは限られ左サイドには下平匠もフリーだったが、シュートを打った勇気が素晴らしかった

60分、61分と2つ続けて俊輔起点の決定機も、優平のフィニッシュはいずれも枠外。優平なあ、確かな信頼と自信を得るためのドアは目の前にいるんだけどなあ

今日は伊藤翔も「偽のCF」としてスタイルの中で効果的にイキイキと活躍中。やっぱり「偽のCF」としては良い貢献できる翔さんに、マジなCFの役割を望んでいたことが間違いだったと思うの

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試合終了、横浜1-0清水。後半は清水にシュートらしいシュート無し。トータル決定機は7:0。最後の精度に課題は残すも、今季始動からの取り組み・スタイルをかなり明確に示す中で「2列目が」「藤本淳吾が」ゴールしての勝利には大きな価値 

マンオブザマッチ藤本淳吾。スタイルへの適応、特徴の落とし込みや関与はまだ低い。しかし今日は「2列目が点を取る」事に大きな意味のある試合、その中での決勝ゴールには大きな価値がある。これを契機に、もっと存在感を高めていって欲しい 

ヒーローインタビュは藤本淳吾と、兵藤慎剛。「開幕戦以来のお立ち台で… すみませんw 今日は兵藤選手のおかげです」と淳吾 

優平は、スタイルへの適応や関与意欲、自らの特徴の落とし込みは藤本淳吾よりずっとできていた。サイドに流れ受けて、中央でフィニッシュに絡み素晴らしかった。でも大事なとこで精度、肝心の結果が足りない。前後半、2つずつの決定機を1つでも決めれば状況はガラッと変わる可能性もあるのに

たとえば28分、ファビオからの素晴らしいカウンタ起点となるパスをセンタサークルで受けるも、研磨を続けたはずのトラップ&ターンでタッチミスが出てロスト。局面を左右するような場面、よりプレッシャがかかるプレイでミスが出るか普通にこなせるか。兵藤にあって、優平にたりないもの

兵藤はボランチで出ても、当たり前のように兵藤慎剛だった。30分の富澤のパスからのターン、藤本淳吾の決勝ゴールをアシストする何気ないワンタッチパス、そこからコースを作るため外をまわるランニング。一見、何でもないようなプレイ1つひとつの精度と信頼性。「計算できる」とはそういう事だ

チーム全体としては、パスを斜めに繋いで中央とサイド、どちらか一辺倒にならず、追い越す動きもそれなりに。43分の決定機は象徴的で、右SBパンゾーから、中央の伊藤翔藤本淳吾を経由して、左SB下平匠のクロスに中央に飛び込んだ優平ヘッド。このシーンは優平だけでなく、4人がエリア内に

流れの中から決定機を作る、マルキのような「収まる」「決定機ある」選手を欠いても、サイドの崩しに一手間かけてチャンスの質を高める中でゴールを生み出す今季の取り組みが(清水が良くはなかったのも確かだが)1試合を通じて出せたのは、中心選手をスタメンに多数欠いた中でポジティブな要素

下平匠のフィット、高い位置取りは大きなキーワード。…まあこれも、ボールをしっかり握れてこそではあるけど。前半途中から清水は、かなり現実的なカウンタ狙いになってボール保持に拘らなくなってたから

優平は「2列目がボールホルダを追い越しサイドに流れ起点を作る」「クロスに対しエリア中央で絡む」部分での貢献、存在感はとても高かった。あとは本当に大事なとこでの精度だけ。だから今日は評価できないけど、継続して使って欲しい。今の取り組みの不可欠なキーマンとなる可能性だってある

少し「良いとこ探し」な感はあるけど、今日の清水戦1-0は、今季の積み上げや今後への可能性を感じるポジティブな内容と結果だった。仮に来季スーパーな1トップを獲得できたとしても、崩しの質とバリエーションを高める事、2列目が点を取れるチームとなる施策は絶対無駄にならない訳だし

個人評としては、ファビオが安定して良いプレイを見せた。16分カウンタ起点パスもそうだし、ロングシュートも意欲的。ボール保持が高まり全体的に前掛かりになる中で、相手のクサビ縦パスを高い位置で確実に潰す、カットする判断精度も。最後方ビルドは、まだパス精度に難あるけど伸びシロはある

世代交代を考えても、今季残りリーグ戦は全部ファビオ使うべきだと思うけどなあ。前も書いたけど。使えば絶対に伸びる、計算できる選手になる。もしかしたら中澤や勇蔵を超えていくかもしれない。公式戦の中でしか得られない経験は沢山あるし、使わないと勿体ない。今のチーム状況的にもね

俊輔は休養十分で、かなりキレあるプレイ。後半2つあった優平の決定機も、俊輔の絶妙ループパスから。試合間隔あって今の自分の100%を完全に把握仕切れてないためのミスもあったけど、身体のキレは今季の中でも上のほうだと思う。守備で昨季みたく追い切れないのは、チーム状況的に仕方ないか

学は20分の限定出場、やっぱり清水に対し下がりながらの守備を強いれば無敵だったけど、カットインからのシュートはミートせず。フリーな選手も生かせず。もう今から4ヶ月長期計画で、心身バランス整えて来季以降コンスタントに活躍できる準備した方が良いんじゃないか。試合に出ながらでいいけど

スペ体質の改革改善は、学と藤本淳吾至上命題。「2列目が点を取る」ためには、やっぱりこの2人が安定してスーパーな活躍して攻撃をリードくれないと、ほぼ無理ゲー。開幕前には「学が得点+アシストで20オーバーしないと、優勝は難しい」って書いたけど。やってもらわないと困るんです

別に「スーパーなFWはいらない」とは言ってない。「いない中で、上を狙うためにどうするか」という話。現在の取り組み。今季残りとオフで、その上積みを確かなモノにして、なおかつ間違ってスーパーなFW穫れたら、来季は(俊輔が常時活躍できなくても)優勝争いできるかもしれないよ