横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【価値ある勝利だと思う。特に前半においては、樋口マリノス本来のスタイルに挑戦し、一定以上の成果も見せた。後半は、とにかく勝った事。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-25] 横浜 1 v 0 広島

aoi_mari.png蒼井真理


火曜日、祝日の日産スタジアム。2014リーグ戦も残り10試合。優勝も降格もなく、ACLも鹿島戦に敗れ遠のいた。目標を見失ったまま、何も積み上げる事なく8~13位あたりで終わるか。「ただ目の前の一戦に」それは正義。しかし、その一戦に集中し一体となるために大義名分や旗印は必要なのだ

スタメンは土曜の鹿島戦から、右SH藤本淳吾→兵藤のみ変更。右SB奈良輪、1トップ伊藤翔は変わらず。パンゾーとラフィが怪我なのです。特にラフィは鹿島戦の途中出場で再離脱とかもう…。スタメン予想された富澤はベンチ。あの鹿島戦のパフォーマンスでは、小椋やスタンドのファンに対し失礼

鹿島戦では齋藤学も、ベンチに置かれた兵藤に失礼な出来だった。最近の学は得点に絡めないだけでなく、仕掛けの回数が少ない。鹿島戦では良い位置・形で受ける事すらままならなかった。今の学をスタメン起用する価値は? チームとして崩しの形が作れない、学お願い! な思いは理解できるが…

学は一度またベンチに落とした方が、本人のためにもいいと思うけど。逆に藤本淳吾は、鹿島戦でも全然パッとしなかったし特に守備では周りに迷惑かけたけど、来季を考えたら今は我慢してスタメンで使うべきじゃないかしら。ダメなら交代、は全然いいと思うけど

広島は2-0で勝利した土曜の新潟戦からスタメン変わらず。1トップはリーグ戦5試合連続、皆川佑介が先発。佐藤寿人は19節からスタメンを外れている。一時代の終焉、森保一監督の未来を見据えた大いなる決断。…マリノス&樋口監督では、これが大変難しい。つーか出来ない

マリノスとしては最近の対戦時は不在も多かった青山直晃ミキッチの2人が揃っているのは凶報。ひとつの課題は、青山や森崎和幸を小椋&三門雄大が潰せるか。もうひとつはミキッチ番。いやー下平匠じゃ全く止まらんだろw ああそうか、だから学は外せないのか。今も守備の頑張りは素晴らしい

「ただ目の前の一戦」それ以外に価値や見所を見いだし難い残り10試合。では今日は『ミシャ系チーム(広島と浦和)に抜群に相性の良かった樋口マリノス、その強みまで消え去ってしまうかの分水嶺』として観戦してみては如何でしょうか?

2014 対ミシャ系:
ゼロ杯vs広島●0ー2
J10節vs浦和●0ー1
J12節vs広島○2-1

2013 対ミシャ系:
J5節vs広島○3-1
J17節vs浦和○3-2
J23節vs浦和○3-0
J29節vs広島○1-0
天皇杯vs広島○2-0

2012 対ミシャ系:
J9節vs浦和○2-1
J11節vs広島○3-1
J25節vs浦和●1-2
J28節vs広島△0ー0

2012~13対ミシャ戦績:7勝1分1敗:18得点7失点

樋口体制1、2年目は「ミシャ系への対策のver.up」を重ね、結果と上積みを得てきた

2013は全勝! 浦和と広島は近年リーグの上位強豪で、ここの直接対決で内容と結果で上回れた事が、昨季のリーグ2位、天皇杯優勝に繋がったのは疑いない。単なる一つひとつの勝利でなく、順位と自信を確かに向上させた。「ミシャ系に強い」は樋口マリノスの大きな強みだった

しかし今季は、ゼロ杯の大敗はコンディションの問題としても、リーグ戦で浦和に敗れ、アウェイ広島戦も勝ちはしたがAT2発。90分は広島のゲームだった。実質・内容的には、今季3敗と言ってもいい。「ミシャ系に強い」その強みまで消え去るのは、樋口マリノスにとって大変キツい

というのも「対ミシャ系◎」特性は、決して「なんか相性いいよね」なんかじゃなく、樋口監督の掲げた「リアクションでなく、攻守に能動的」を勇気持って実践した結果、ver.upを重ねて内容伴う「自分たちのサッカー」で勝ちと自信を積み重ねた。樋口マリノスの象徴的な勝利が、そこにはあった

対ミシャ系戦術の肝は「ミシャ系の攻撃キーマン、2シャドウを如何にケアするか」樋口マリノスver.1.0は「ボランチ2人がほぼマンマーク」相手に合わせる完全なリアクション。2シャドウが1トップを追い越すと、DFラインは5バックや6バックになる事も

対ミシャ系ver.2.0は、2シャドウを「ボランチ2人がゾーンで見て受け渡す」もの。マンマークではなくなり、ボランチ同士やCBに受け渡す事も。受動性、相手に合わせ自分たちの距離感を崩す頻度は大きく低下した→セカンド拾える&守→攻の切り替えが向上

対ミシャ系ver.3.0は、樋口マリノスの究極形。ボランチは2シャドウを捨てて、相手ボランチを食いに行く。自由なポゼッションを許さない。2シャドウ+1トップを2CBで見る。SBは、相手2シャドウとWBの両方を見る(!)つまり、どっちかを捨てる。素晴らしく挑戦的な2013ver

樋口マリノスの究極形、対ミシャver.3.0に今こそ再挑戦! 残念それはロスト・テクノロジ。「SBが2シャドウとWBを両方見る、どっちかを捨てる、受け渡す」は、ドゥトラ&パンゾーの経験に裏打ちされた判断、中澤&勇蔵との阿吽の呼吸あってのもの。奈良輪と下平匠では再現不可能

改めてドゥトラは偉大だった。キープとか持ち運びとかそんだけでなく。ポゼッションにせよ守備にせよ、経験値による判断力や引き出しの多さがとんでもないレベルであった。個としての対人守備は、最後まで問題あったよ。凄みはそこではなく「見る、捨てる」判断とか、駆け引きとか

ドゥトラはさすがにもう帰ってこないので、パンゾーがいてもver.3.0は不可能。今日の広島戦は対ミシャver.2.0「ボランチ2人が、ゾーンで2シャドウを受け渡す」になると思います

今日の注目ポイントは、小椋と三門の2人が如何に2シャドウを消せるか。2シャドウへのパスコースを消しつつ、青山にもプレッシャを掛けれたら最高。2シャドウに張り付くだけでDFラインに吸収されるのは、あまり良くない。それでも高萩洋次郎石原直樹に決定的な仕事をさせないのが最低限

小椋と三門のボランチ2人が
「如何に能動的に」役割を果たし、主体性ある守備から勝利を得るか。それが今日の課題、テーマ。ただ勝つだけではダメ。アウェイ広島戦とかウンコ。対ミシャ系への強み、そこまで消えたら樋口監督のマリノスもいよいよ終焉

何はなくとも小椋と三門の働きがキモ。ただ、青山敏弘に食いつくには、伊藤翔と俊輔がどれだけ高い位置から限定できるかも鍵になってくる

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試合序盤、小椋と三門雄大は「2シャドウに付く」のではなく、かなりゾーン寄りで「パスコースを消す」入り。2シャドウはバイタルで浮いてる怖い。ただし、青山敏弘に食いつくほどアグレッシブではない。CB2人と、SB含めた広島の前3枚への対応や如何に

青山敏弘を見るのは俊輔のタスク。…10分まではかなり対ミシャver.3.0に近い能動的、挑戦的なスタイルで入った

マリノスは右と左でかなり守備のアプローチが異なる。右の奈良輪はアグレッシブに高い位置で寄せる。左はミキッチに対し、兵藤(あるいは学)がかなりヘルプ。…15分までは凄く良い入り。小椋が相手陣内で、青山敏弘に圧力かけてチームで奪うシーンも

石原直樹高萩洋次郎、2シャドウにはかなり自由を与えている。ここはリスクトライ、ホームに相応しい試合を見せるためのトレードオフ。ぶっちゃけ2人が「当たり」の日でない事を祈るのみ。…それにしても今日も小椋祥平・改は凄まじい存在感と実効性だなあ

マリノスは前4人のコンディションも含めた総合力が不足。やはりセットプレイが鍵か? 広島は、石原直樹高萩洋次郎の2人次第

今日は学が右、兵藤が左の時間帯が多いな。右と左、攻守のアプローチの差異か。右はイケイケ、左は守備重視。で、広島は左WBの柏好文も結構浮いてるなあ

学それは試合を壊す独りよがりな選択だよ。マジ勘弁して

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前半終了、横浜0-0広島。シュート5:4(枠内1:1)決定機1:1。ゲーム支配とチャンス構築では62:38でマリノス。対ミシャver.3.1勇気ある挑戦。再開後、たぶん一番良い。ホームに相応しい面白い試合を展開。俊輔、伊藤翔、学のとこが少しパワー不足。あとは決定的な仕事だけ

「前で」「相手陣内でハメ込んで奪う」アプローチを実践、そして実際に何度か奪い切れている! こういう試合で結果が欲しいなあ。広島は石原、高萩の2シャドウがまだ仕事ほとんどしてない。このまま沈黙してくれ。あとミキッチ衰えたねえ。連戦だから? 下平匠1対1あったけど、普通に止まった

奈良輪雄太が素晴らしい。「ホーム広島戦」は相性が良いのか。ゲームプランにもガッチリ適合、高い位置でアプローチ、奪い切りドリドリからクロス。攻→守、守→攻の切り替えも激速。あとはファーストタッチ、クロスの精度だけ…

小椋祥平・改が素晴らしいのは最近じゃ当たり前。攻守に異次元。6分、左ワイドに開いてエリア内に奈良輪を走らせる低い弾道のサイドチェンジ。11分には、勇蔵から左の下平匠へ深いサイドチェンジ。広島のWBを押し込む策か

ラフィを欠き、俊輔と学のコンディションが70%に満たない現状では、ベタ引きし食い付かない広島を遅攻から崩すのはほぼ不可能。高い位置でのボール奪取から、ショートカウンタを決めきりたい

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ハーフタイムに俊輔→佐藤優平。優平はそのままトップ下に

優平はあそこで奪い切れたらレギュラ取れるんだけどなー。今日の青山敏弘は、かなり良い狩場だよ

高萩洋次郎は沈黙したままベンチへ。森崎浩司がイン

マリノスは決め手、広島は攻め手を欠く試合。0-0濃厚な展開。勝利のためには、やはり学が仕事するしかないのか…。今日もアレコレ酷い出来だけど。前へ押し込むのも、だんだん厳しくなってきた。カウンタからの伏兵は、三門か奈良輪か

学も限界か。単純に前線運動量で、伊藤翔→藤田を予想してたけどな。2トップにして、前から圧力掛けられるか? 伊藤翔はどこまで動けるか

やっぱり中央の密度と圧力が下がって、青山敏弘がラクになって配球し始めた。これは悪手だと思う。あとは藤田が決めて、結果オーライとなるを祈るのみ

伊藤翔さんが空いた中央に落ちて受けて、トップ下的な仕事。これ面白いと思うよ。藤田と横関係でなく、縦関係で。あとその流れで守備でも青山敏弘を見ていただけると、大変助かりますがそろそろガス欠?

お願いだから、2トップはどっちか1人が青山敏弘を見てください。最低、彼へのパスコース切ってください。樋口監督は2トップにするなら、そういう指示付けて藤田を入れてください。つーか伊藤翔と藤田も、自分で気付いてください。広島の遅攻起点はほぼそこです

広島は満を持して佐藤寿人か。ぶっちゃけオープンな展開で、カウンタから間あいだに入れられヤラれる危険性は高まってる。0-0か、0-1な展開

PK先制、逃げ切りに備えて富澤がスタンバイ

PKゲットして、PKネットに突き刺しベンチに下がる伊藤翔。素敵!

藤田の1トップにして、小椋と富澤のボランチ。1つ前に浮いた三門雄大が、懸念の青山敏弘をケア。迅速かつ的確交代策で、穴を塞いだ。これは樋口監督素晴らしい

三門雄大はいまいち自分の責任を理解してないw

最後のアレで、俺の三門雄大への評価が7ポイントほど下がった

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試合終了、横浜1-0広島。前半は勇気ある挑戦、対ミシャ系ver.3.1相手陣内でハメ込む。後半は俊輔と学を下げざる得ず2トップ、失点リスク高まるも、優平の球際の頑張り、伊藤翔の執念でPK獲得→逃げ切り! 前後半趣異なる、価値ある勝利

広島の不出来(特に2シャドウ)はいくらか差し引く必要あるが、良い試合だったし価値ある勝利だと思う。特に前半においては、樋口マリノス本来のスタイルに挑戦し、一定以上の成果も見せた。後半は、とにかく勝った事。優平が存在感を見せ、決勝点にも絡んだ事。それも彼の課題「球際の守備」で!

試合展開としては、ラスト20分くらいは「2トップにして真ん中空いて青山敏弘がフリーで配球始め」「前からプレス行く気配も中途半端で、間延びした間あいだで繋がれて(広島が一番得意な事)」「相変わらずバイタルで2シャドウは浮いてるし」オープン気味展開から失点しそうな雰囲気は十分だった

後半の流れの中からの決定機は0:3。マリノスの得点チャンスはPKのみ。選手交代、システム変更の中で失点リスクだけが高まり、手詰まり状態だった。まあ交代策より、俊輔と学のコンディション問題だから多分に仕方ない。個人的には、学→藤田2トップはどうかと思うけど

マンオブザマッチは、いません。決定的にマリノスの勝利に貢献した選手がいるとしたら広島のGK林卓人。彼が本来0-0で終わるゲームを壊した。個人的には、なかなか公式戦で起用されず辛い時期を凌ぎ、僅かなチャンスでアピールに成功した優平を評価してあげたい。でも、まだ全然決定的ではない

奈良輪雄太も素晴らしく頑張った。攻守のトランジションと予測集中力は、常に極上。今日は縦に仕掛けるだけでなく、フェイクやワンツーで中に切れ込む仕掛けも。ただ、ファーストタッチやクロス、シュートの精度は絶対的に不足。「頑張ったね」とレギュラを分けるのは、その部分

個人のパフォーマンスという意味では、小椋祥平・改はひとつ抜けていたと思うけど、あれが今の小椋のアベレージだと思いたいから、特に誉めない。「小椋は凄くて当たり前」とんでもないインタセプト連発とか、当たり前。次に誉めるのは、超絶ミドルをゴールに突き刺した時かな

あと今日は、ドゥトラもパンゾーもいない、前目の選手のコンディションも揃わない中で対ミシャ系ver.3.1に挑戦するにおいて、中澤佑二は縦方向のクサビ潰しを中心とした対人守備で、素晴らしい集中力と気迫を見せ、ほぼノーミスでした。良かった時は、ちゃんと評価してあげてください