横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【ラフィーニャを軸に「絶対に孤立させない」を徹底して続ければ、あとはどんどん即興の局面打開バリエーションは増えて、精度も上がるはず。 by 蒼井真理】 about [2014-J1-20] 横浜 3 v 0 徳島

aoi_mari.png蒼井真理


スタメンはエルゴラ予想通り。小椋とパンゾーが出場停止明け、負傷の学も先発。ベンチはGKに飯倉。喜田と天野純が外れ、富澤が中断明け初のメンバ入り

今日の徳島戦は、前節までの流れ踏まえても悲観はしてない。課題のセットプレイ守備も、3節の三ツ沢での対戦ではCKも2本しか与えてないし、何もやらせてない。戦力拮抗のリーグとは言えさすがに徳島は、2つ落ちる相手。変に慎重過ぎる入り方とかしない限り、ちゃんと勝ちきれると思う

立ち上がりの注目ポイントは、

・俊輔は今日も「ほぼ2トップ」で守備の圧力とラフィーニャとの距離感を保つのか
・プレス始動位置、ハメ所
・マイボール時の下平匠のポジション

あたりかな

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前半終了、横浜2-0徳島。シュート7:4(枠内2:1)決定機5:1。CK0:1、FK2:0。8~10分ズルズル下がり押し込まれるも、11分以降ほぼ安定しゲーム支配。PKとラフィーニャのゴールで2点先制。ブロック内への縦パスを食いつかせ、左サイドを非常に上手く活用。内容伴う前半

1点目は中町の縦パス起点。エステバンが触り、ラフィーニャにこぼれる。2点目は小椋の左サイド前残りからの、素晴らしい狩猟センス。ボール支配以降、左サイド偏重で下平匠、学、開いた小椋が交互に受け厚みある遅攻。中央で、中町が捌き役として機能

11分以降、樋口監督の「ラインを上げろ」の指示通り全体を押し上げ、セカンド回収&前4枚のプレスバックも秀逸。樋口マリノス本来の良さが出ている前半。与えたセットプレイもCK1本のみ。徳島は3節同様に攻め手なく、4-0以上の圧勝を期待したい

ラフィーニャのターゲットとしての強さ、しなやかさ。完全に収めずとも上手くDFと入れ替わる。この繰り返し、信頼性が縦パスを引き出しているのは間違いない

学は39分、小椋の完璧なアーリクロスからの1対1を外しちゃダメ! 後半、1ゴールは最低のノルマ

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試合終了、横浜3-0徳島。後半はスローテンポ、シュートらしいシュートはラフィーニャの2本。やや退屈な内容もATに藤本淳吾の良ターン、縦仕掛けからラフィのダメ押し。「前掛かりな相手から、2トップだけで点を取る」良形。徳島のCK2本も、哲也が守備範囲広げ対応。まずまず収穫ある勝利

最大の収穫は、ラフィーニャが前線のターゲット&軸としての期待値を確かな結果で更に高めた事。このポジションがハマれば、いろいろ捗る。逆算できる。孤立させずサポートさえあれば遅攻にも対応、リードした際のカウンタ要員としても秀逸。想像を大幅に上回る、良い補強効果

後半がスローで縦パス少なく退屈な内容になったのも、ある程度仕方なし。樋口監督は本気で「後半もアグレッシブに、追加点を」と思うならば俊輔を下げるしかない。俊輔は2点リードしたら、絶対ああなる。それ自体は悪ではなく、趣向やサッカー観の問題。実際、リスク管理は出来ていた訳だし

中町が前半から中央で捌き役として機能し、ラフィーニャや俊輔らが相手ブロック内で引き出す動きを見せた事もあり、積極的に勝負の縦パスを入れていたのも好感。先制PKと、86分の決定機は中町の縦パス起点。守備でも、前半前掛かりな中では存在感。あとは球際バランス、一歩目の勢いが戻れば

ラフィーニャを孤立させるな」という約束事が徹底されて、俊輔も相手ブロック内で受けるし、ポスト的な仕事もする。タイミングをズラし学や兵藤も入ってくる。ラフィは自分から動き出すから、スイッチ役にもデコイにもなる。何よりボール付ければ、無理くりでも前向いちゃう技術とセンスと強さ

ラフィーニャを軸に「絶対に孤立させない」を徹底して続ければ、あとはどんどん即興の局面打開バリエーションは増えて、精度も上がるはず。「ラフィーニャ頼み」ではないから。兵藤も生きる。…上積みという意味では、今日は少し早めに俊輔下げて藤本淳吾+富澤のセット入れて欲しかったかな

試合前の注目ポイント確認:
・俊輔は柏戦の「ほぼ2トップ」を継続。守備ではラフィと並列でコース限定しつつ圧力(強度は少しセーブ)。マイボール時も捌き役は中町に任せ、基本は「ラフィの近く&ブロック内」2点リード後は、2.5列目に落ちてスローテンポにしてリスク管理

・プレス開始位置は「奪われた瞬間、一歩前へ」のオリジナルコンセプト尊重。ただし柏戦の神風プレスはやめ、取り切れなかったらブロック形成。しかしズルズル下がらずラインキープ、前4枚がプレスバックし圧縮し奪い取る。前半は樋口マリノスらしい、良い距離感からの能動的な守備

・遅攻時の下平匠の位置取り。ボール&ゲーム支配できた11~45分は高いポジション、良いタイミングで顔を出した。決定的な仕事は少なく、学や周囲との連携はまだまだ改善が必要。前半の左サイド偏重、学と下平匠、小椋が交互にライン際で起点となる形は興味深かった。徳島は全く捕え切れず

課題のセットプレイ守備だが、予想通り徳島はCK3本、FK2本と機会そのものが少なかった。後半、2本のCKに哲也が幾分守備範囲を広げ「出て弾く」のは、チームとしての修正か? FKではスクリーンされないような配置を行った気配も、中継映像では確認しきれず。次節以降も経過観察事項

直近3試合の4失点の振り返りでも、哲也の守備範囲(全然出ない)は気になった。ただ、そもそもJには守備範囲広いGKは稀少だし「ノイアーと比べてもなあ」と。達也と競ってた頃は、ハイボールの安定感は、哲也が上だったんだけど。ポジション取り戻して以降、基本「待ち」のスタイルだから

柏戦と徳島戦、決してラフィーニャが単体で素晴らしいのではない。昨季後半のマルキーニョス、今季前半の伊藤翔が孤立無援で得点力が上がらなかった反省を生かし、初先発から2戦続けて周囲のサポートがしっかり出来ている(そしてラフィーニャが結果で応えている)事が素晴らしいのだ

実際、後半になって俊輔が2.5列目でリスク管理を始めるとラフィーニャにボールは入らないし、たまに可能性の低いロングボール入っても、1人でゴリゴリって訳にはいかず。とにかく、得点が欲しい展開ならば、孤立させてはダメ。「ラフィーニャなら」とか勘違い絶対ダメ。サポート継続、必須

だから伊藤翔さんの、今季前半の孤立無援の頑張りも決して無駄じゃあなかったんだよ…!

伊藤翔が不憫でならない。しかし、伊藤翔ラフィーニャのような「無理くり前向いてDFと入れ替わる技術とセンス、強さ」や「決定力」が無かったのも、事実なんだよ…

思うにある意味「ラフィーニャが純然たる1トップタイプ“じゃなかった”」「どっちかっつーと2トップ向きだよね、と誰もが思った」事が、なまじ半端な1トップタイプを獲得するより、ずっとチームにプラスの効果を生み出しているのではないだろうか? …少なくとも、今のところは

そうそうラフィーニャがPK獲得して、多分チームの決まり事として俊輔がボール持ったんだけど、ペナルティスポットに置く前にラフィーニャにボール見せて「蹴る?」ってやってたなあ。俊さんの優しさと、ラフィーニャの奥ゆかしさで、今夜はまだあと3杯は呑めるな!