横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【全北のアプローチを体感したことで、選手達の圧力の感じ方に変化があった by いた】 about [2014-J1-1] 横浜 2 v 0 大宮

いた



改めて、開幕戦。
ゼロックス広島戦、ACL全北戦と希望を見出しにくい内容での連敗に不安な気持ちを抱えつつ迎えた試合。しかし、蓋を開けてみれば、新戦力が結果を出し、失点が続いた守備もクリーンシート。いい形で今季初勝利を上げることが出来ました。めでたい。

連敗となった2試合は、相手の高い位置からのプレッシングに苦しみボールを前に運べない、前線にポイントが出来ない。結果、攻撃の形が作り出せず、守備頻度が増えてしまった。ただ、このゲームに関しては、しっかりとボールを繋いで攻撃構築した上で相手を押し込めた。その違いが大きかったかな、と。

押し込めれば、例えチャレンジの中でロストしても、切り替えて高い位置からプレスに行ける、プレスが嵌ればショートカウンターで二次攻撃に出れる、守備頻度も減らせる。時間と共に実効性に変化はあったにしても、概ねコンセプトを表現できたのかな、と。ま、大宮があれだったこともあるけど…

樋口監督就任以来、後方から繋いで攻撃を構築する事、ボールを落ち着かせ攻撃時間を増やし守備頻度を減らす事、プレスを掛け高い位置で奪う事、ショートカウンターで攻めきる事、と複数のコンセプトを持っているけど、一つの出来不出来によってチームの出来が左右される傾向にあるかな、と。

攻守が繋がっているこそ、なんだけど、個人的にチームのバロメータとしてるのは、後方からのビルドアップ時のロストの有無。顔だしの頻度とかで判断の質、コンディションなどの良し悪しもある程度わかったり。何より距離感とか角度で出来が目に見えやすいというのもある。

もちろん相対的な要素もあるので、一概には言えないのだけど(全北のアプローチは調子良くてもあれを何とか出来たかというと…)、広島戦・全北戦から比べると大宮戦はロスト自体が大幅に減った。そこから見ても、個々の状態は上向いたと思う。特に富澤さん・中町さんの動きは明らかに良化した。

そう、全北のアプローチを体感したことで、選手達の圧力の感じ方に変化があったのは凄くポジティブなファクター。距離を詰め、奪いきる意思と勢いを強烈に味わった事で、「前を塞ぐ」「コースを切る」程度の寄せに圧力を感じなくなってたそうな。

正直なところ、Jであれだけの出足、勢いというのはなかなか体感できない。怪我するかも、みたいな恐怖感すらある迫力。それを実感し、Jでの戦いで活かせたのは凄くポジティブだと思うし、今後も体感したものを忘れないでいてほしいな。

というのも、進化の糧にしてほしいと強く思ってたり。あのアプローチをいなすために何が出来るのか。受ける際にデコイの動きを混ぜる、より次のプレーに移行しやすいディティールにこだわる(ボディシェイプやパスの付ける方向)、周囲の顔だしを早くする、とか、努力の過程に更なる質の向上がある。
チームが良化した中で、淳吾と翔さんという二人の新戦力が結果を出してくれたこともチームにとって凄くポジティブなファクター。
「チームの一員になれたかな」という翔さんの言葉が示す通り、新環境で認められる、信頼関係を構築する上で結果というのは一番わかりやすい。精神的にも落ち着くだろうし

既 存戦力が彼らを積極的に「活かそう」としたという事実も見逃せない。俊様がポジションを下げたり外に開いたりと動いて、淳吾が活きるバイタルエリア中央を 開けた事はその最たる例。チームとして彼らの力を必要とし、彼らが活きる道、能力を発揮できる術を積極的に見出そうとしている。

結構この 事実は面白い。チームにとってプラスになることを積極的にやる、って当たり前だけど、これまでの形を崩して受け入れる形を整えるのは結構珍しい気がする。 どちらかというと新加入選手がチームの約束事を覚え、相互理解を深め、溶け込み、+αとして個性を…というのが普通な気がするので

馴染む のを待つのではなく、自ら受け入れる体制を整えている、というところにチームとして彼らが馴染むこと、力となることを強く求めてる。それは新加入選手も感 じるはずで、凄くやりがいのある職場と思ってくれるんじゃないかな。淳吾が桐光の後輩だから、って訳でもないだろうしw

俊様と淳吾の関係 は、今は俊様が動いて相手を引き寄せ、空いたスペースを淳吾が使う形となっているけれど、このスペースメイク&ユーズが相互になるといいかな、と 思ったり。俊様が落ちてゲームを「作る」形が今は多いけど、テンポの作り方は違うにしろ淳吾も出来る。今と逆というのも可能なはず。

この 二人の関係を見て思ったのは、俊様が「二人」になった、という感覚。攻撃のスイッチを入れるキーパスを出す俊様、バイタルで仕上げのパスやらフィニッシュ に絡む俊様、みたいな。これまではゲームの流れを汲みとりつつやっていたけど、淳吾が入ったことで「役割分担」が可能になるのかな、と。

これは攻撃のクオリティの向上という面で凄く利があると思うし、俊様の負担軽減にも繋がる、と。ポジティブよね。
で、淳吾の存在感が高まることで兵藤さんが更に頑張るのかも。淳吾は違う特徴を持つとはいえ、ポジションは一つしかない。現状、兵藤さんは割を食ってる。

競争ってそういうものだとは思うけど、兵藤さんの去年の数字の面でも数字に表れない面でも貢献度もまた非常に高く、割を食うような存在ではないのも確か。そういう意味で、兵藤さんの逆襲にも期待したいところ。トップ含めて競争が活性化するのは良いこと。

個 人的に、安定してポゼッションが見込める相手は淳吾、高い位置に1トップ以外にもポイント作りが必要、もしくは中盤のプレスでハメたいときは兵藤さんとい う使い分けもありかなぁ、と。兵藤さんの場合スコアも期待できるし。嬉しい悩みではある。まな含めてレベル高い争いバリバリしてほしい。

翔さんも結果が出てよかった。終盤、疲労感が出ていたので交代早めでもよかったかな?と思ってたけど、おみそれしました。素晴らしいミドルシュート
流れがある中でのプレーを見て思ったのは、ターンする意思を常に持ってる、スペースで受ける意識が強く、仕掛ける姿勢もあるということ。

縦 の推進力を付けれるのがまなぐらいしか見当たらない中では翔さんのプレーは貴重かも。元々はワイドプレーヤーだったからその辺はお手の物、か。守備も頑 張ってくれた。セットからのヘッドも惜しかった。出来は良かったと思う。細かいコンビのずれがあるのは時間が解決してくれると思いたい。

ち なみにマルキがスーパーマルチアタッカーだったので、マルキと比べると帯に短し襷に長し、みたいな状態に思えちゃうのは致し方ない。この辺も可能であるな ら相手やコンディションによっての使い分け、かな。マルキみたいなのを見つけてこいといっても難しいしねー。過去は忘れ、今を生きたい。

その他、ビルドアップの形の変化は小さなファクター、かな。富澤さんが最終ラインに落ちてセンターが開きサイドバックを高い位置に上げる形から、富澤さん落ちず、4枚が低い位置で幅を保って前にボールを動かす形になったように見えた。

下 平君にとってはポジティブ、かな?付けるパス、スペースのパスと縦に流すのがうまくて、周囲との関係性として縦(サイドハーフ)と横(ボランチ)、二つの パスコースを常に確保するという意味で。虎様は持って味方を寄せる時間を作るタイプ(相手引きつけつつパスするのが上手)これも使い分け、かな

「使 い分け」という言葉をたくさん使ったけど、それだけ「幅」が出来る可能性を備えていると思ってる。使える駒が多くなることで選択できる幅になると思うし、 それがどのような効果を生み、どのような相手に有効なのかを見出せば、効率的に使い分けられるのかな、と。試合展開によっても、だし。

後はてっちゃんがスリッピーなピッチでもノーミスとか、センターバックコンビ復調して集中力維持とか、ボランチ読みとか反応速度あがってボール回収できてよかったよ、とか触れたいところはたくさんあるけどきりがないのでこの辺で。
何が言いたいか?勝ってよかった!(断言)