横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【さて今季、リーグで優勝争いするためチームはどうあるべきか。 by 蒼井真理】 about 学インタビュ雑感・今季サポーターがなすべきこと・FWに求められるもの

蒼井真理



日産ギャラリのスタバへ移動。とりあえず今日発売の週刊サッカーダイジェスト齋藤学インタビュ3ページを読んで時間を潰す



「(天皇杯)優勝の実感は…正直、あんまりない。゙広島に勝っただげという感じ」「いずれにしても、リーグ戦と天皇杯でのサポータの熱さは凄かった。いつも本当に感謝しているけど、あの熱さこそが優勝するチームの゙温度゙なんだと思いました」齋藤学

「優勝争いをしていればサポータの数も増えて、応援にもさらに力を入れてくれる」「アウェイの磐田戦がまさにそう。敵地なのに、ほとんどホームの雰囲気だった」齋藤学

…だから私たちサポータは今季、優勝するために「優勝するチームの温度」をスタンドに表現していかなければならない

昨季のチームはリーグ優勝するに相応しい素晴らしいチームだったと今でも思うし、あらゆる環境も後押してくれていたと思う。今季、目指すのはリーグ優勝しかないけれど、あらゆる面から条件的には昨季より数段難しくなるのは間違いない

だからこそ「優勝争いできるだろう」ではなく「もう一度、優勝争いするために」何をすべきか、マリノスに関わる全ての人が「与えられた環境で」できる事をこなすだけでなく「より自主的に昨季よりプラスαの」行動をしなければ

「優勝争いをしていればサポータの数も増えて」は正しいけれど、それがそのままスタンドの力になるとは限らない事は、新潟戦で多くの人が学習した。最後の優勝争いの局面で「単純な数を力に変える」ために、シーズンを通したボトムアップが必要なのはチームだけではない。スタンドの応援も一緒

「(残留を決めた)一番の理由は、去年いろいろと無理をしたから。つまり身体の状態を考えての結論」齋藤学 …W杯を意識しての「出る、残る」ではなかったと。学は学が思ってるより天才肌な選手だと俺は思うんだけど、自分と自分のキャリアに対する考え方は、かなり前から地に足ついてるよね

リーグ戦終了後、いろんな映像とコメント、シーズン中に自分が書いたことも見直し「何が足りなかったか」考えた。もちろん様々な要素があるけど、小さくない1つの理由に「途中出場で流れを変える、攻撃のスイッチを入れる、ドリブル突破できる選手(試合終盤のカード)の不在」があったと

例えば昨季序盤の連勝は「学が負傷で出遅れベンチスタートだった」ことがプラスに働いた面もあったのではないか。相手守備陣にとって、足が止まり始めた時間に学が出てきて、いきなりトップギアで「1対1は全部仕掛ける」とか、悪夢でしかない

三門雄大エルゴラのインタビュの中で、対戦相手の立場から「マリノスはカウンタで出て行く動きが後半になって少なくなってくるイメージがある」と指摘した上で「そういうときでも自分は走れることが特徴」と自己アピールしている

富澤は、私の解釈では俊輔と2人で昨季シーズン後半のチームを「リトリート、ポゼッションに傾いたスローテンポ」に導いたチームの頭脳。2人の志向と判断がスタイルに大きく影響力する。「崩し切れなくても、前半からポゼッションして相手を動かせば、後半相手は落ちてくる」との発言も多かった

ただ翻って昨季後半のゲームを見直すと、確かに富澤がイメージした通りボールとゲームは支配するも「後半に足が止まり始めた」相手に決定的なダメージを与える突破力とカードを欠いた。ロースコア決着が多くなった理由の多くを、私は「スローテンポへの傾倒」と「ドリブラ不在」の2つに求める

樋口監督とチームは、足りないものも理解し、膠着した展開を「セットプレイ」で打開しロースコアゲームでも勝点を積み重ねようとした。しかし俊輔のFKでのゴールは増えた一方、アシストが激減した。セットプレイは「水物」感がある。勝ちきるための唯一絶対的な武器にはならない

…などと思考した結果、たどり着いた結論は「小野裕二が移籍せず、左SHのポジションを学と争い、常にどちらかが試合終盤の切り札となっていれば(小野裕二もゴリゴリ独力で突破仕掛けられる)昨季の優勝ラインなら余裕もって優勝できてたんじゃねーの?」という身も蓋もないものでした

そんな事を今更言っても仕方ない。さて今季、リーグで優勝争いするためチームはどうあるべきか。やはり「学が残留しても、もう一枚ドリブラは必要(どちらかはベンチに置きたい)。その有無で難度は大きく変わる」という結論に

「学クラスのドリブラを獲得してベンチに置きたい? サカつく脳乙」いや、その通りなんスけど。そもそも学はリーグ屈指のドリブラだし…。藤本淳吾もドリブルあるけど、欲しいスキルは「剥がす」じゃなく「こじ開ける」ドリブルで。そもそも国内にそれ系の人材不足してるし

また勝手に自己完結してますが、でも俊輔と富澤が志向するスタイルに今季も傾いた場合は、ドリブラ(終盤の切り札)いないと厳しいし、夏に学が出て行ったら絶望的。もちろん樋口監督も、その辺も考えて始動から「ワンタッチを多用したコンビネーションの崩し」を練習で増やしてるんじゃないかなーと

あとマルキーニョスがいなくなって、ターゲットタイプのFWも獲得できなかったので、システムは同じでも昨季と同じスタイルは絶対に再現不可能。何か変えていかなければ、トライしなければならない事は間違いない

昨季のマルキーニョスは「ゴール数などから多くのファンがイメージするほどのプレイ貢献はなかった」「対戦相手や展開により、手を抜くとこは露骨に抜いて純粋な稼働率は低かった」というのが個人見解。前線のターゲット役も、シーズン通せば兵藤が務めた回数の方が多いはず。だがしかし(つづく

だがしかし、マルキーニョスの貢献や存在感は「純粋な稼働率」だけで測れない部分がある。例えば兵藤が、前線でハブ役を務めたりゴールが増えたのも、相手守備陣が「マルキーニョスに注意を割かれた」ことに起因する面は絶対ある。ストライカとCBは、実績と名前が大事。周囲に対する貫禄や威圧感

ストライカに必要な実績と威圧感。これは彼らにパスを供給する味方選手にとっては、そのまま「信頼感」になる。ゲームじゃない、ロボットじゃない、人間がやってる事だから。信頼があればこそ、何度かミスを繰り返しても次のパスを送る。厳しい言い方をすれば、昨季の藤田になかったもの

なので「矢島卓郎伊藤翔、藤田と端戸がリーグで4点ずつ取ればマルキーニョス16点を埋められる」とは絶対ならない、それこそ「サカつく脳乙!」な訳で。誰かが頭角を現しFWの軸にならないと、リーグ優勝を争うのは厳しい

なんかネガティブに思うかもだけど、「埋められてないピースがあるよ」「昨季と同じは無理だよ」と言いたいだけで。そもそも、完全にピースを揃えるなど金満ビッグクラブでも不可能。巡り合わせや個々の相性もある。足りないピースを、監督とチームが如何に考え補完するか。それがサッカーの面白さ

昨季タイトルに届かなかった小さくない理由として指摘してた「シーズン後半はリトリート、ポゼッションに傾き過ぎ挑戦者としての姿勢を失った」について。振り返って検証すると、確かにその傾向はあるものの、樋口監督とチームは何度もその度に「本来のスタイルへの振り戻し」を試みてました

記憶とイメージは上書きされるから、私は「夏過ぎから少しずつ継続的にスロー(リスクを避ける)に傾いた」とシーズン終盤に感じてました。でも実際はそういった試合の次のゲームは「もう一度前から行こう」という姿勢をチーム全体で示せたケースがほとんど。これは振り返り検証して良かった発見

だからね、樋口監督も「選手(俊輔や富澤)の判断任せ」じゃなくて、最低限外郭となるチームコンセプトを維持するため、ちゃんと試合内容を検証して練習で修正してたし、選手たちも一定レベルそれを尊重して取り組んでたのは間違いない。上書きされるイメージだけで語らず、振り返り検証は大事