『近年のマリノスは残念ながら「若手それぞれの個性に応じて長所を引き出し、短所を補う」指導がなされる環境にない。自分で気づいて改善・対応できない者は、ほとんどチャンスを得られない』
…コーチングスタッフに喧嘩売ってるような言いまわしだなw 最近は「そんなの当たり前」という考え
プロの世界は基本的に「誰かが教えてくれたり」「成長させてくれたり」する場所ではない。それをちゃんと言う人が少ないし、何かと加入やら移籍に際し「成長したい」「成長のため」とか言う選手がいるから、誤解してしまう人が多いのだと思う
プロの世界は「同僚と競い合い、試合に出るチャンスを掴み、そこで結果を出す」ことにより自分の価値を証明し、金をもらい、自己実現を果たす場所。基本は弱肉強食の生存競争の場所
プロとして戦うための術のベースはプロになるまでに修得しなければならないし(これも考えてみれば当たり前の話。でなければプロになれない、なってはならない)、足りないものは自分で考えて身に着けていかなければならない
出場機会にしても「与えてもらえない」と不貞腐れるとか意味が分からない。なぜチャンスが得られないか、自分で考えて得られるよう努めるしかない。誰の目にも明らかな能力、チームを勝利に導ける力があるならば、それを練習の場で示せば良いだけの事。監督は必ず試合に起用してくれるだろう
もちろん、監督以下コーチングスタッフには、適切な言葉とタイミングで選手に「気付きを与える」事が求められる。その有無で、選手がチームの戦力となるか否か変わるからだ。基本はまず「チームの勝利ありき」であり、戦力拡充のための、選手の成長。極端な話、選手の成長は「手段」でしかない
育成組織の指導者とトップチームの監督では、ベースとなる目標や価値観が異なる。…もうさっきから当たり前のことしか書いてないw でも時々それが「当たり前」だと確認しなければ、サッカーファンは若い選手の「才能やポテンシャル」を愛でるあまり、おかしな監督・チーム批判をしてしまいがちだ
"極端な話、選手の成長は「手段」でしかない" 成長しなくても戦力となる選手を獲得・補強する手段もある訳で。どちらかと言えば最近のマリノスはこっち寄り。昨季のベスト布陣11人で「プロ生活マリノス一筋」なのは兵藤と勇蔵、哲也の3人だけ。近年の強化部は、かなり良い仕事してる
「人と違った技術やセンス」はあるけど、プロ意識や闘争心が低くなかなか芽が出ない新卒を「育てきれなかった」マリノスは、近年は「他所のクラブでキャプテン経験がある」とか「J2降格や昇格など痺れる経験のある」選手、「言われなくても自分で考えられる」選手を獲得するようになった
富澤や中町はその筆頭だし、マルキは鹿島で数多くのタイトルを経験したカンピオーネ。ドゥトラもマリノスで連覇を経験した大ベテラン。今オフに新潟から加入が決まった三門雄大も、2011年から3年間選手会長、昨季はゲームキャプテンを務めた
マリノスは俊輔と中澤の二大重鎮が、チームを上手く取り纏めるキャプテンタイプでない。周囲を「気遣いできる大人の」「手間のかからない」選手で固める必要がある。昨季、俊輔が素晴らしいキャプテンシを発揮したのも、周囲のサポートがしっかりしており、彼を引き立てた事が大きい
移籍市場の評価や年俸にあまり反映されなくても「価値が高い」「チームに対しプラスの効果が見込まれる」そして何より「手間がかからない」付加価値、スキルに注目して補強獲得するその方向性は素晴らしい
「チームに不足しているポジション」と「プレイスタイル(最近はポゼッション適正、足元重視)」そして「自主性、キャプテン経験・適正」。獲得を目指す上での方向性がシンプルで明確になった。ほんの数年前まではかなり場当たり的、ネームバリュや代表実績などブランド志向だったのに
樋口監督がしっかりと「マリノスのスタイルを確立する」として、その方向性・コンセプト、チームに必要とされる選手像を、ざっくりとではあっても提示して、細か過ぎないために方向性がブレてない事が大きい。強化部もリストアップ、話し合いの中で「この選手は合う・合わない」の解を出しやすい
樋口監督と近年の強化部の仕事は、もっと評価されても良いと思う。特に方向性をちゃんと設定できたという面で。監督の仕事の、いちばんベースとなり大事な部分。長くサッカーを見てマリノスのファンを続けても、この意味を理解できず樋口監督を正しく評価できない人たちは本当に残念