横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【納得できること、できないことがある & 移籍に関するビジネスマネジメント by 蒼井真理】 about 金井貢史のレンタル移籍

※本文は、年末にあげられたものになります。金井選手のレンタル移籍発表に伴い公開します。

金井貢史鳥栖へローン移籍。おそらく今日、両クラブからもリリースが出るのだろう。シーズン終盤の金井の様々な発言から、ある程度覚悟していたが…。納得できること、できないことがある

納得できることは、金井がマリノスを出る決断をしたことだ。個人的にはユース2年から惚れ込んできた才能であり、今季後半のプレイは現在のコンセプトへの適合度も極めて高く、今のタイミングで出られるのは非常に寂しく、残念でならない
シーズン序盤、ドゥトラが復帰すると無条件に左SBのポジションを奪われた。結果的にドゥトラの特にポゼッションにおける貢献度は、シーズン前半の金井よりもずっと高かったのは間違いない

39歳のドゥトラを獲得するという判断、そのドゥトラに合流直後からレギュラポジションを与える判断は、その当時から大きな疑問を感じた。今季の結果的には、正しい判断だった。ドゥトラは私の想像を遥かに超える貢献を見せた

昨季の金井は波戸とポジションを争いながら最後はレギュラを獲得して終え、今季こそレギュラとして盤石の立場を築く1年だった。しかし昨季の「ベテランを獲得しレギュラを争わせながら成長を促す」ことの繰り返し、ドゥトラが合流直後からレギュラに収まった

シーズン後半、ようやく得たチャンスで右SBとしても左SBとしても質の高いプレイを見せたが、パンゾーやドゥトラが復帰・復調するとまた無条件にポジションを奪われた

これらの金井の処遇を見るにつけて「遠からず歴史は繰り返されることになる」と思った。田中隼磨小宮山尊信田中裕介とレギュラSBが3季連続で自ら移籍を選択した歴史だ。彼らも自らへの処遇、信頼度に疑問を抱きマリノスを出た

強化部や樋口監督のやりように、金井貢史のファンとしては不満があるが、彼らはチームが目標を達成するために彼らが考える最善の手を尽くしたのだから仕方がない。それで一定の成果も出している。文句を言われる筋合いもないだろう。金井がチームを出るのは巡り合わせの問題

一方で金井の選択も、今季の処遇を考えれば非難できるものでない。プロなのだから、出場機会を得られる場所、自らの良さを認めてもらい、出せる場所を求めるのは当然のこと

しばしば自ら移籍を選んだ選手に対し「マリノス愛がない」などと言う人を見かけるが、彼らはプロとして自らの人生を決断しただけだ。趣味でクラブを応援している私たちとは違い、彼らは職業としてサッカーに取り組んでおり、マリノスは職場だ

移籍を選んだ選手にとって、マリノスよりも魅力的な場所があったから移籍しただけ。それを口汚く罵るような行為は、自分を捨てて新しい男に走った女を未練たらしく中傷するに等しい。自らの魅力のなさを省みず愛を強要する行為ほど見苦しいことはない

納得できないのは、トレーニングコンペンセーション(育成補償金)が発生しないローン移籍でリーグ4位のクラブから5位のクラブへ移籍させること。お人よしにも程があるわボケ。2014年の1月1日を過ぎてしまえば、金井にはTCが発生しなくなる

鳥栖にしたら「今、完全移籍で獲得すると下部組織出身の金井くんのTCを支払えないからローン移籍で! 来季(か次のシーズン)TCが発生しなくなったら完全で!」って思惑が丸見えじゃねえか。水沼宏太の問題も一緒

ユースから良い人材を輩出しても、必ずしもトップで使い切れる訳ではない。しかし取るもの取らないと投資が回収できない。それをやらずして何が育成クラブか。感傷的に選手ファン目線で移籍承認を非難することはしないが、ビジネスマネジメントは上手くやってくれ。経営もラクじゃないんだから

参考資料:JPFA「移籍制度問題」3.TC(トレーニングコンペンセーション:育成補償金)制度問題 p.tl/6ylj-

(特に自クラブで成長した若手選手の)移籍に関するビジネスマネジメント問題は、マリノスに限ったことでなくJリーグ全体の問題だけどね。近年のC大阪、清水などの抜かれっぷりは半端ない。清水は半ば、それを認め受容することによって若い才能を集めチームを回している節もあるけど

Jリーグ全体で、有能な強化部やGM、代理人ら有識者を集め「いかに下部組織への投資や、若い才能を開花させた実績を回収するメソッドを構築するか」を検討し開示共有すべき。でないと、Jの育成能力は遠からず低下するよ。バカバカしくてやってられなくなるか、その前に経営がショートする

本当は各クラブが自助努力すべき問題だろうけど、日本には優秀なクラブ社長や強化担当(GM)、ネゴシエータが圧倒的に不足している。協会やJリーグが投資して、これらの質を上げるための施策を行うべきだと思う。Jリーグと日本サッカー全体のために

こんなド素人の書き込みでも多少なりとも影響力あったり、自分の発言を無批判に飲みこんじゃう人や、読んで良い気持ちになったり嫌な気分になる人がいることも承知してる。でもそれを気にしだしたら、何も言えなくなっちゃうよ

自分と異なる意見に対し腹がたったり、反論したり批判したり、無視を決め込んだりは全然構わないと思う。当然、俺もそういうことはいくらでもある。でも「そんなことを言うな」っていうのや「1つの事象について見解がことなると、その人を全否定」ってのは、ちょっとどうかと思う

「クラブ愛か、金や出場機会か?」って二元論にしちゃうとたぶん議論は平行線。どっちも必要で、そのバランスの問題。その狭間で、悩む選手は悩むんじゃないの。完全にどちらかの価値観判断だけで、移籍や残留を決める選手はほとんどいないと思うよ

「仕事と私、どっちが大事なの?」って迫る、少し頭がお花畑な可愛い彼女に、男はどう答えるべきだろう。本音は「どっちも大事」。でも口に出すのは「もちろん君だよ!」 選手が口にする「一生マリノス」は、この類のものだと私は理解しているが。クラブへの愛が、ないわけではない

移籍してきて初ゴール決めてゴール裏に駆け寄りながらエンブレムを叩きキスをし、ヒーローインタビュで「横浜最高!」って言う大黒将志を見て、「それ行く先々でやってるやろw」って思うけど、本物のプロの姿だと思うし俺は大好きだけどな