横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【脆さを炙り出された & 健太・裕二・CBについて by いた】 about [天皇杯-準決勝] 横浜 0 v 1 柏

何も出来なかった、させてもらえなかった。それが歯痒くて仕方ない。ただこれもサッカー。勝つ方法、勝つためのアプローチは1つじゃない。それをネルシーニョに示され、打ち破れなかったということは受け止めなきゃいけない。偽らざる横浜の現在地を示していると思うので。

脆さを炙り出されて、クオリティを発揮出来ずに、相手が狙いとする土俵で勝負せざるを得なかった。カードトラブル、ナイーブなレフェリングもあって、その土俵で後手に回った。その時点で相手に主導権が言ってしまうのは自明の理。ここにこの日の勝負の綾があったかな。

柏の採った策は、

1.徹底したロングボールによる中盤省略(横浜の高い位置からのプレッシングを回避してショートカウンターのリスクを軽減)、
2.横浜最終ラインへのマンマーク的アプローチ(攻撃構築段階での攻撃制御、ポゼッションの破壊)、
3.セカンドボールの回収(ロングボールを蹴る、蹴らせる、その後のボールの回収による攻撃頻度向上)

ネルシーニョの思考をトレース出来るほど、彼のことを知っているわけではないけれど、横浜に対してリスペクトと評価をしていてくれたのかな、とは思う。だからこそ、横浜のサッカーを「壊し」に来た。これ自体は「評価」として受け取りたい。
結果はご存知の通り、横浜はプレッシングからショートカウンターも、ショートパスを紡ぎつつ連動した動きで外を崩す形も出せなかった。ロングボールを蹴られることで高い位置でのボール奪取が出来ず、低い位置からの攻撃構築もままならずロングボールを蹴り合う。そしてセカンドボールを支配される。

横浜は積み上げてきたクオリティを発揮出来ずにサッカーをさせてもらえなかった。サッカーを壊された。この時点で、横浜は後手に回らざるを得ない。周辺状況も横浜にネガティブに作用した感があり、主導権を手繰り寄せられない。修正も出来ず、90分間柏の手の中で転がされた。

勇気を持ってプレッシングをかわしパスを紡ぐことが出来れば、横浜の土俵でサッカーが出来たかも知れない。ロングボールのこぼれ球を拾えれば、再度押し込みハイプレッシングに移行出来る形が作れたかも知れない。でも、現実は出来なかった。

質の高いサッカーの根底にあったのは、コンセプトを理解し、コンセプトに準じ、意識を共有し、必要なことを1人1人が献身的に実行してきたからこそ。しかし、そのピースが1つでも揃わなければ実効力は落ちる。そうなったときの対応力はまだなかったかな。やり切る、というところが今の精一杯。

これが現段階の横浜の偽らざる力、なのだと思う。これは真摯に受け止めたい。その上で、今回の結果を受け今後の指針として何を考えるか、これが来期に向けての宿題。貫けるぐらいの更なる質の向上、先鋭化を計るのか、対応力を付け幅を作る作業に移るのか。

どちらにしても、日進月歩。相手も対応してくる。横浜も進歩していかなきゃいけない。歩みを進めることで、見えてくるものはきっとある。だからこそ続けて欲しい、決してこれまでの過程は否定されるべきじゃない。皆に希望を抱かせるぐらいのサッカーだったのだから。

この敗戦をもって2012年シーズンが終わりました。凄く濃密な一年だったと感じてます。タイトルに手が届かず、負け方としても悔いが残る形で気持ち的には晴れないけれど、実のあるシーズンだったとは感じています。皆で耐えて花開いた「成功体験」、これを掴めたことが最も大きい。

そして紆余曲折ありつつ、積み上げられた事で来期の糧になる。それもまた喜ばしい。又、苦境に陥ることもあるかも知れないけど、そんな時に開幕からの数節を思い出して、のち来るであろう成功を信じてあげられたらいいなって思ってます。ローマは1日にしてならず。失敗は成功の母。

健太のこと。プレー内容としては凡庸、チーム状況鑑みると致し方ない交代だったかな。完全燃焼とはいかなかったけれど、彼には感謝しかない。08年にチームを救ったこと。挨拶を済ませ、見送るような健太のコールの時にはこみ上げるものがありました。ありがとう。次の道に幸多からんことを。

裕二のこと。改めて、壁にぶつかった年。彼が出来ること、そして出来ないことが凄くハッキリ見えたはず。ボールを蹴ることに喜びを感じているような練習大好きっ子には、この壁はきっと楽しいはず。この日破って欲しかった壁、来年こそ越えて欲しい。その背番号は「エース」の番号だしね。

センターバックのこと。まずはお疲れ様、工藤くんのように非常にタフな相手を向こうに回し、プレー頻度も高かったけれど、凄く頑張ってくれた事には感謝。カウンター対応での味のある対応も素晴らしかった。後はビルドアップ。改めて暴かれた。更なる進化を。うん。

今シーズンも沢山の方々にお世話になり、又新しくお話しさせて頂くようになった方が増えたりと、非常に楽しい横浜生活でございました。自分の殻をちょっと破った1年だったのかも知れません。それも皆様のおかげです。来期もまたよろしく御願い致します。ありがとうございました。