横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【ボールを握り、押しこむ展開の中、横浜がチャンスを生み出すシチュエーションは浦和の攻撃移行時だったのが興味深い。横浜のネガティブトランジッション時の反応と守備が浦和の攻撃移行を阻むだけでなく、攻撃の起点となっていた。 by いた】 about [2019-J1-19] 横浜 3 v 1 浦和

f:id:harukazepc:20170419104133p:plainいた

浦和戦。

様々な事象が「起こってしまった」試合ではあったけど、ピッチでは起こったことは判定云々を除けば想定内の試合。
ともあれ、浦和相手にシーズンダブル!素晴らしいこと。

横浜の特徴的なサッカーに対して浦和がどのような対策を講じてくるのか。
これが一つの注目点ではあったのだけど、浦和が選択したのは守備時は前線に興梠を残した5-4となる撤退守備。
ポゼッションを許容し、ボールサイドに蓋をしつつ、中央を締める。スペースを管理できる阿部勇樹の起用は納得。

守備に力点を置いたことで、浦和の攻撃は興梠の裏への抜け出し、ファブリシオの単騎突破のみ。選択肢は大きく限られた。
となれば、試合の入りの時点で横浜がこのゲームの主導権を握ることは約束されていたのかもしれない。

となると、試合の争点は「横浜が崩すか/浦和が守り切るか」。
ボールを握り、押しこむ展開の中、横浜がチャンスを生み出すシチュエーションは浦和の攻撃移行時だったのが興味深い。
横浜のネガティブトランジッション時の反応と守備が浦和の攻撃移行を阻むだけでなく、攻撃の起点となっていた。

・浦和の守→攻の切り替えがおざなりなところを逃さずにボールサイドへ収縮
・興梠へのパスコースはボランチが切る
・狙われると思われたサイドへの対角フィードは献身的なテルくんのプレスバック、ティーラトン・広瀬くんのオリジナルポジションへの帰陣で塞ぐ

その結果、相手陣でボールを奪い、人数を揃えていたはずの浦和の陣形が崩れた隙を突けていた、と。
先制点はまさにその形。タカくんがよく長澤を追った。追ったから橋岡への横パスを選択させ、すってんころりんの呼び水となった。

【37分:遠藤渓太先制点】
橋岡の転倒が起点、逃さずピックアップしたティーラトンが素早く岩波-マウリシオ間にポジションを取っていた渓太くんへ。渓太くんは(少し浮いちゃったけど)素早くターンし、思い切り左足振り抜く!鋭いシュートはマウリシオの股を抜けて、サイドネットへ!
やった!

今シーズン初ゴール!よくやったぞ後輩!←
アンジェも凄くエモーショナルなガッツポーズだったし、皆が待ってた一発。膠着してもおかしくない試合を動かすという意味でも凄く意義の大きなゴールでした。
よく前を向いたし、よく振り切った。数字は必要だからね、結果を出せてよかった。

何よりも素晴らしかったのは「受けた位置」。
岩波-マウリシオの間にポジションを取ったことにより、ターンできたしフィニッシュ出来た。
渓太くんだけじゃなく、マルコスも阿部-青木間を意識していたり、テルくんもエジガルもそう。人を多く並べてもギャップはなくならない。

そのギャップで受けることで複数の選択を相手に「強いる」。
この日はウイングが意図的に5バックのギャップにポジションを取ろうとしてた。意図をもって、ギャップで受けて崩すことを狙っていたのだと思われる。
そんな「意図」のある位置取り、こういう形で結果が繋がると手応えになるね。

余談ではあるけれど、誰かが下りたりすると入れ替わるようにその位置に誰がが入ったり、内に入ったら幅を取る選手が出てきたり、というシーンがちらほら。
エジガルとマルコスの関係、マルコスとタカくんの関係、エジガルと渓太くんの関係…有機的な入れ替わり、意思共有が進んでいるのかも。

【61分:(オフサイドなんだけど)仲川輝人
右サイドをエジガルとのワンツーで渓太くんが打開し、ボックス内に侵入。
右サイドの打開を見てテルくんは大外から中央へ進出、渓太くんはパスなのかシュートなのか強いキックでゴールを急襲。宇賀神のブロックをすり抜け、テルくん押し込む。

この後あれこれひと悶着ふた悶着して、10分ぐらいゲームが止まってオフサイドのゴールがゴールとして認められる訳ですが、このシーンはちゃんとJリーグジャッジリプレイでお話しがあると思うので割愛。

このシーン、是非は置いておいて判定がひっくり返ったときのアンジェのリアクションがスーパーかわいい。アンジェはキュート。
でもって、大槻組長が相当シメオネっぽくなってる。
フラッシュインタビュー後に審判を「殺りにいく」と思われるヤバイ雰囲気とかたまんねぇ…

問題は、この後。
ビハインドメンタリティに燃える浦和の勢いをもろに受けてしまい、実際に取り返されてしまったこと。
レフェリングであったり、その他もろもろ、全ての事象を予測するのは難しく、予想外の事象が起きた時に、どうしてもメンタル的に揺れ動く。

その中でいかに普段と変わらずプレーできるか。
相手の変化を感じ取り、必要な対処が出来るか、という点。
後半頭からではあったけど、宇賀神と橋岡が高い位置に張り出す、とか、マウリシオがマルコスを捕まえようとラインブレイクをする、とか、前から追い始めた、とか、変化の予兆はあった。

浦和がかなりリスキーに仕掛けてきたことで横浜はスペースを得てカウンターを何本も打てたわけだけど、その攻撃が不発に終わると、相手も返す刀でスペースを得てチャンスを作る。
要はオープンな打ち合い。オフサイドになったけど同点になっていても不思議ではない展開に「なってしまった」。

エキサイティングな攻防で見ている側は楽しいのだけれども、オープンな打ち合いはどちらに転がるかわからない。そして、それは少なからず望んだ展開ではない。
アンジェもフラッシュインタビューで話していたけれど、後半はコントロール出来なかった。

理想とすれば、前半同様にコンセプトに沿ってずっと自分達のターンでサッカーがしたかった。
安定したポゼッションとネガトラからの即時回収で押し込み、試合のテンションを落とす。そして相手の気勢を削ぎ、静かにゲームを終えたかった。

結果として3点目を奪い、勝ち点3を得れた。事なきを得た訳だけど、カウンターアタックでのイージーミスでロストして反転攻勢を喰らう、というのは、少し幼い。
アタックするな、ではなく、ネガティブトランジッション及び守備に転換した際の準備の問題。プッシュアップして陣形を圧縮したかった。

まあ勝って反省できることはいいこと。
山雅、大分、浦和と同じように完全にゲームを握ってプレーが出来ているのは素晴らしいこと。これをより長い時間して、勝つ可能性を高めたい。
相手の手を抑え、相手を真綿で締め落とす。理想に一歩ずつ近づいてるのも間違いないから。

【だから天野純を観察できて良かった。こっそり勝手に一方的に応援したり憤慨できて良かった。楽しかった。プロ2年目の2015シーズン、苦しみながらも課題にちゃんと向き合ってる天野純に気付けて本当に良かった。だから天野純、もう十分なんだ。俺はお腹いっぱいになるくらい天野純から、いろんな感情を与えてもらった。なりたい自分に、なれるよう頑張れ。もう観察はしないけど、天野純は俺のヒーローだからあんまり弱音は吐かないように by 蒼井真理】 about 天野純のロケレンへの期限付き移籍

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

いーつのことだか思い出してごらん
あんなこと こんなことあったでしょ
嬉しかったこと 悔しかったこと
いつになっても忘れない…

――でも17歳にもなるとすっかり物忘れが酷くなるから、Twilogに「天野純」って入れて検索していろいろ思い出してる
https://twilog.org/aoi_mari/search?word=%E5%A4%A9%E9%87%8E%E7%B4%94&ao=a&order=allasc

https://pbs.twimg.com/media/D-z5jFfVUAAIiXd.jpg

プロ3年目までの歩みを過去の tweetを編集して振り返った

『2016シーズン終盤、大きなブレイクスルーを果たした天野純について連投する』(214 tweets)
https://twilog.org/aoi_mari/date-170108

2017ー19も編集すべきかと思ったが、量が多過ぎ14秒で諦めたw 3年目までは出番が少なかったからできたこと https://pbs.twimg.com/media/D-z-Os-UwAEdUG_.jpg

「(鳴り止まないアマジュンコールに)…喋っていいですか?(笑) ――実際にここに立つと、自分がマリノスから旅立つのだと実感がすごく沸いてきました」天野純

マリノスに加入した6年前のことを思い返してみると、まさか自分がマリノスで100試合出場を達成して、10番をつけさせてもらい、さらにキャプテンまでやらせてもらえることなんて想像できませんでした。それはファン、サポータの皆さんも同じだったと思います」天野純

「最初の3年間は試合に出られず、紅白戦ですら入れてもらえず、ピッチの外で走っている日々が続きました。しかし、そんな時に支えてくれたのが、この三ッ沢に集まってくれているファン・サポータの皆さんでした」天野純

「その時に温かいメッセージや、時に厳しい言葉をかけてくだり、その言葉に僕は救われました。僕をここまで一人前のサッカー選手に育ててくれたのは、ファン・サポータのおかげです。本当にありがとうございます」天野純

「このマリノスに僕のすべてが詰まっています。皆さんと会えなくなるのは本当に寂しいし、今年から一緒に戦っている最高の仲間と別れるのはつらいです。ただ僕も27歳になり、この海外移籍はラストチャンスだと思っています」天野純

「僕がまだ知らない新しい世界を見たいと思いましたし、ここで行かなければ絶対に後悔するという思いが勝り、移籍を決断しました。ここで学んだすべてをベルギーでぶつけて、ベルギーで一旗揚げてきます」天野純

「そしてまたいつか、自分が海外の舞台で活躍して、一回りも二回りも成長して、このマリノスの10番にさらにふさわしい選手になって帰ってきたいと思います。本当に本当にありがとうございました。――それではベルギーへ、行ってきまあす!」天野純

「アウェイでは大分に負けていたので、今日は借りを返そうという思いでプレイしていた。皆の出足が速かったし、身体が動いていた。こういう試合を毎試合やれれば間違いなくタイトルに近づけると思う。僕はベルギーに行くけど、監督のサッカーを信じて続けていってほしい」天野純

「今日が最後なので、全てを出し切ろうという思いで試合に入ったので、最後までその思いが身体を動かしてくれた。よりファン・サポータとの一体感が生まれるスタジアムなので、ラストゲームが三ツ沢というのは感慨深かったし、三ツ沢でやれて良かった」天野純

Q.チームメイトからはどんな声を?

「頑張ってこいよ、とか。寂しいっていう声は聞かなかったw あとは『成功するまで帰ってくるな』とか。笑顔で行けるので良かった」天野純

「まさか自分が海外移籍するような選手になれるとは6年前は想像がつかなかったし、これは本当に一歩一歩積み上げてきたものだと思うので、海外でも1つひとつ積み上げて活躍して、またいつかマリノスに帰ってきて、その経験を還元して、マリノスのために戦いたいと思う」天野純

「(移籍すべきか)2~3ヶ月悩んで、お腹も痛くなって。メチャメチャ腹を下しながら考えたこともあったし、昨日も緊張し過ぎて腹を下した。ただ、自分の中に停滞感を感じてる部分がある。数年前に自分が感じていた成長速度ではないし『もう一皮むけたい。何か変えないとな』と思っていた」天野純

「行かないで後悔したくなかった。もっともっと相手にとって怖い選手、前で違いを作れる選手になりたい。まだ27歳という言い方が正しいか分からないが、アンパイなプレイでなく危険な選手になりたい。海外は結果が求められると思うし、自分にはそこが足りない」天野純

「英語は少しずつ勉強してきたし、英語を話せたら格好いい。サッカーだけでなく人間としても成長したい。ホームシックになるかもしれないけど、頑張って生きていきたいw」天野純

『もっと相手にとって危険な選手になりたい。前で違いを作る。それが本来の持ち味だと思っている。今が一番脂がのっている時期。安パイなプレイでなく、危険な選手、見ていて楽しい選手になりたい。ベルギーでそういう自分を見せていきたい』

簡単ではないと思うよ。でもなりたい自分があるのなら――

――昨夜の挨拶だったり、あるいは過去の試合後コメント読んでたまに「あれもしかして天野純は俺のtweet読んでる?」と思うこともあったけど、それは自意識過剰というか観察者バイアスなんだろうな…。ユースから10年以上、天野純を見続けてきたけど直接しゃべったの東伏見で偶然遭遇した5分間だけだし

自分の書いたことが選手に影響とかしてほしくない。プロが素人女子校生の意見に耳を傾けてほしくない。どこまでも観察者でいたい。でもひょっとしたら一度くらいは、俺の書いたポエムで天野純が前を向けたことがあったりしたら素敵かもと妄想はする。選手とファンの距離感は、きっとそのくらいでいい

俺にとって天野純は、ユース時代から別に特別な思い入れある選手じゃなかった。高円宮杯優勝メンバの1人。だから順大の4年間も試合を観にいったのは2回だけだったし、プロとしてマリノスに戻ってきた時も「こんなモヤシっ子! 大学4年間で身体つくってこねーとか舐めてんのか」としか思わなかった

ただプロ2年目の2015シーズン、エリク1年目。天野純カップ戦で少しずつ、本当に地道に積み木を積むように1つずつ課題と向き合い、もがきながらも乗り越えていく姿に気づけたことが、私の中で大きな喜びだった。選手のパーソナリティと成長を観察するのが大好きな積み上げ厨なので

そして天野純、プロ3年目の2016シーズン。あと一歩届きそうで届かないレギュラへの扉、破れそうで破れない殻。あとは結果だけなのに結果が出ない――それをブレイクしたシーズン後半。あの日立台、ル杯準決勝1stの落ち着き振り、天皇杯での決勝FK、ミドルシュート

ものすごい脳内麻薬ドバドバ出たw

過去には小椋祥平、また天野純の後には中島賢星という「その成長を見ているだけで楽しい」存在はあったが、この2015ー16シーズンの天野純ほどに、焦らされてヤキモキさせられ、でも地道に正しく課題と向き合い続けてるのは伝わるから信じたい、応援したいと思わせてくれた選手は、他にいなかった

これからも多分、いないと思う。

もう今のマリノスでは難しい。クラブとチームに明確な方向性があり、監督の求める資質を持つ選手が補強され、足りない選手はサヨナラだ。

そもそも天野純なんて、強化責任者が下條さんじゃなかったら2年目で片道切符のローン、いやそもそも獲得しねえ。あんなモヤシ

2016シーズンの最後は長居で終わり、マリノスは1つの時代の終焉を迎えた。新横浜に帰り着き、こんな事を書いた

“心にきめた愛するクラブがあって「あいつはチームにとっての未来そのものだ」と思えるような期待を抱ける選手が1人か2人もいたら、それだけで俺はもう結構お腹いっぱいだよ”

https://pbs.twimg.com/media/D-0RRjXUcAAnezY.jpg

年が明け2017年の正月に、天野純の2016シーズンまでをまとめたキチガイ連投。その最後に、こう記した

喜田拓也天野純は、私にとって「マリノスの未来そのもの」になっていた

https://pbs.twimg.com/media/D-0SaVHVUAA8P4B.jpg

――あれから2年半。さっきまで Twilogで振り返っていたが、まあレギュラになったもんだか褒めたり貶したり忙しいw 最近感じていたほど「チャレンジが足りない成長スピードが足りない停滞してる」わけでもなかった。ある意味で、それまでの3年間と同じ。課題と向き合い、もがきながら少しずつクリアする

でもマリノスは、特にこの1シーズン半で大きく変わった。それはクラブが、チームが強くなるために強く正しいベクトルを獲得する変革であったが、それまでの時間の流れから考えるとあまりに大きな変化で――その話はまた別の機会にするか。 あの中澤佑二でさえ、幸せなラストシーズンを許されなかった

俺は天野純に、マリノスを強くするリーグ優勝をさせる、そのために自分が試合を決める選手になると約束して欲しかった――

少しずつもがきながら前に進もうとしていたが、中心選手になりチームの勝敗に責任を負うようになると時にエゴを抑え地味なサポート役も果たさねばならない

別に「俊輔に変わるトップ下像、10番」を天野純に投影していた訳ではない。これは間違った伝わり方をしている気もする(誰に?)

エリク2年目終盤のボランチ「喜田の斜め前」は悪くない適所だと思っていた。▽のインサイドハーフはアリだが、△での「ザ・トップ下」はちょっとないなと

ボスもクラブも、天野純はチームにとってほぼ不可欠な中心選手として考えていたハズで「天野純の代わり」を補強はしていない。三好康児をローンで獲得しポジションを追われたのは大津祐樹だった。今季の天野純の「迷い」は主に左サイドのメンツが固まらず、それを回す事に苦慮奔走したことが理由だった

だがエジガルと李忠成の負傷が重なり、左WGストライカとして3年契約で獲得したものの今ひとつパッとしなかったマルコス・ジュニオールをCFでゼロトップ起用したことが、全ての始まりだった。

予定調和ではない。様々な偶然や見込み違いが重なった末に、マルコスの変態セカンドトップ資質が発見された

そしてエジガルが復帰するとマルコスをトップ下に置き中盤を△にした「マルコス・システム」が誕生。奇しくも神戸、磐田と組織的にユルい対戦相手が続いた事もあり、破壊的な効果を見せた

「マルコス1人で天野純と三好の2人よりゴールを作り出せる」「ボランチ2枚になるから守備も安定する」

「扇原を使えるから高さも補強できる」「ティーラトンも起用しやすくなる」「和田拓也は右でいいな――」

チーム作りにおいて時に、こういう予定調和でない奇跡的な「組み合わせの妙」が発生する。1つのピースが偶然ハマると、後は全てが用意されたパズルのように組み合わさる…

岡田武史2003シーズンの那須大亮アンカー起用も同じ。大学生CBの那須を中盤の底、CB前のフィルタに据えたら、左右非対称で歪なシステムは抜群の補完関係を発揮した

そして上野良治は弾かれた

https://twilog.org/aoi_mari/date-141106

つまりそういう事だ。天野純が、そして三好康児広瀬陸斗が「シーズン開幕時に比べてパフォーマンスを落とした」とか「チームのためやるべき事をやってない」訳ではないし、別にボスもクラブも「彼らが物足りなく新たな選手を補強した」訳でもない

全ては「偶然発見されたマルコス・システム」のため

チームにおける選手の序列や優劣は相対的なものである。あたり前だ。そしてシステムや組み合わせ――あるいは誰を中心にして配置を決めるか、によっても求められる選手の質とパラメータ、アビリティは変わる。絶対的な序列や、選手の優劣はない。凄くあたり前の話だけど

小さい頃からピアノを習っていて、小学校で毎年音楽会になるとピアノの伴奏という花形ポジションを任されていた女の子がいた。彼女はそれが自慢で誇らしく思っていた。5年生の夏、転校生がきた。彼はその女の子よりピアノが上手でその年の音楽会から、彼女は違う楽器を担当した。ピアノを弾けるのは1人

彼女はピアノが下手になった訳でも練習をサボった訳でもない。ただ彼女よりピアノが上手い転校生がやってきただけ。木琴の上手な子が長く病気で休んでいるから、木琴をやってみないかといわれ練習した。そこそこ上手くなり褒められもした。でも音楽会の前週に、木琴の上手な子がクラスに戻ってきた――

例によって下手な喩え話をすれば、天野純におこった出来事はそういう事だ。確かに、マルコス・システムが「偶然発見されるまでに」2列目のポジションで出場できてる間に、もっともっとゴールに直結するプレイに挑戦しレベルを上げていれば、こうならなかったかもしれない――そんな仮定にどんな意味が?

このタイミングでのオファーが偶然だったのか渡りに船か、あるいは代理人から求めたものかは、もはや問題ではない

長い間、夢に描いていた海外からのオファーがあって、天野純はそれを選んだ。それだけだ。そして海外でのプレイだけでなく、譲れないプライドや矜持が「なりたい自分」があった

それは誰にも否定できない。

マリノスで地味かもしれない、レギュラではないかもしれないけど皆から愛され応援される中で一緒にリーグ優勝を目指した方が幸せだよ』

――それが正しい事か、本当に「なりたい自分」なのか、決められるのは天野純だけだ。周りの意見なんて関係ない

ぶっちゃけて言えば、俺だって天野純が『俺はボランチじゃなくトップ下の選手』とか言うのは、えー? って思うことあるよ! いやでもやってねえじゃん! 隙間で前向かないし! 絶対的にSAQはユース時代から足りねえし!

2ボランチの前寄りか、インサイドハーフ2枚のやや引き気味じゃねえ? と

でも天野純の「なりたい自分」が、イメージがソレなら仕方ない

あの2016シーズン、ル杯アウェイ吹田戦1stで見せた「周りの動きが全部見えて」「少しボールを置く場所をズラしたり1つ間合いを入れるだけで」「囲まれてもボール奪われない」「余裕もって次のプレイに展開する」天野純も、俺は知ってる

喜田拓也だってユース時代からプロ2年目まで足下スキル細かなタッチセンスとか奪ってから最初のパスとか全然ダメで、でもエリクは何を気に入ったか喜田を使い続け、彼も得意でないプレイにも実戦の中でチャレンジと失敗を重ね続けた。足りない時期もあったが、止めはしなかった――そして今がある

だから天野純も、もう一度「それをやらざるを得ない」「やらなきゃピッチに立てない一歩も前に進めない」状況に自分を追い込むことで、過去6シーズン僅かに見せた輝きを、自分のものにできるかもしれない。もうすぐ28歳だけど

遅すぎる事なんてない。本当になりたい自分があるなら、なろうとすべきだ

「本当になりたい自分ある」こと、その自分に嘘や言い訳をせずに、なれるかどうか分からない難しいとか無理だとか人に言われても「でも俺はそうなりたいんだ」と言える人は…なんだろうな、きっと幸せだと思う。俺には特にそういう強い「なりたい」はない。ただ、そういう人を見ていたいだけだ

だから俺は、天野純を見つけられてとても幸せだった。天野純がプロになってからの5年と半分、特に2015ー16シーズンあの苦しんだ末に壁を打ち破った瞬間とか。至福だったねえ。2017シーズンから2年半の中も、全部が停滞だった訳じゃない。何度も満たされるシーンはあったよ

違う場所での挑戦を選んだ天野純を、今までみたいに観察したり「こうしたらいいのに」とか「素晴らしかった!」と評することもできなくなる。無理やり映像探したりベルギー行ったりもしない。いやなんせマリノス、収穫期ですし!

悪いけど天野純どころじゃないんだよね

でも本当に、天野純を観察できて良かった。こっそり勝手に一方的に応援したり憤慨できて良かった。楽しかった。プロ2年目の2015シーズン、苦しみながらも課題にちゃんと向き合ってる天野純に気付けて本当に良かった。あの頃の自分を褒めてやりたい

だから天野純、もう十分なんだ。俺はお腹いっぱいになるくらい天野純から、いろんな感情を与えてもらった。なりたい自分に、なれるよう頑張れ。もう観察はしないけど、天野純は俺のヒーローだからあんまり弱音は吐かないように

じゃあね。行ってらっしゃい

――大学生になってはじめて1人暮らしをはじめる息子を見送る母親の気持ちは、ひょっとしたらこんなものなのかな、と思ったw

追伸:向こうでチームに合流したらチームメイトと食事にいって会話してる様子をインスタ等で「きょうのあまじゅん」としてアップし、「ボッチ耐性◎」コミュ障キャラ克服に努める姿を伝えるように。最低月2でやれよ

Q.天野純選手がこの試合を最後にチームを離れるが?

「純くんか……。5年半一緒にやってきて、似たような境遇というか、すごく近いものがあって。最初は全然試合に出られなくて苦しんで、それも2人で乗り越えてきて、メンバ外の練習も一緒にやったし、残って筋トレだって一緒にやった」喜田拓也

「2人でいろんな話もして、あの時の俺らが今マリノスのキャプテンとしてチームにいるっていうことには当然感じるものもある。ずっとあの人の夢は聞いてきたし、逆にチームに対してどういう思いで、どんなものを背負ってやってきたかっていうのも一番近くで見て分かっている」喜田拓也

「チームにとってもちろん痛いけど、そういうのを見てきた自分としては背中を押すだけだった。最後の試合で(ボランチで)組めて、あの人も楽しんでプレイしていたし、それが勝利につながった。それには周りの選手の姿勢も欠かせなかったと思うし、それは純くんも感じていたと思う」天野純

「そういった仲間に囲まれて旅立てるのは彼も幸せだったろうし、それは僕らが言わなくても分かっていると思う。あっちでその覚悟した気持ちを見せるつもりでいると思うので、僕らはそれを楽しみにしつつ、マリノスも良い結果を届けられるように。それも彼の刺激になると思う」喜田拓也

「今までもそうやって高め合ってきたし、チームは変わってもその関係性は変わらないと思う」喜田拓也

https://pbs.twimg.com/media/D-1O0yfUIAEGBC5.jpg

――喜田さんからはプロ1年目のBチーム練習試合での周囲への叱咤激励からして「パイセン」風しかなく、ずっと「喜田パイセン」と呼んでたのをこの度晴れて「喜田キャプテン」と辞書登録も改めたのですが… この天野純へのコメント、天野純との包容。

やっぱ絶対に喜田がパイセン

【「自分達がこうすればいい試合が出来る」というベースを揃えた上で、「自分達がこうされると困る」という相手の特徴に対しての対策を施していくことでこういう試合が出来る、ということがよくわかった。 by いた】 about [2019-J1-18] 横浜 1 v 0 大分

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大分戦。

改めて見返しても、素晴らしい。
完敗を糧に、ウィークポイントから目をそらさず、必要なファクターをシビアにやり切る。ロジカル、かつ、タフに。
その結果、相手の疑似カウンターを封殺しつつ、自分達が常にゲームを支配。

この試合はなんといっても、前回対戦時の完敗を喫した大分相手のプランニング。
・ネガティブトランジッション時の反応とアプローチ強度
・オリジナルポジション準拠な位置取り
・ハイライン維持、コンパクトな陣形
・狙われるDF背後のスペースをケアするGKの飛び出しによるケア

コンセプト通りの要素ではあるにせよ、大分の疑似カウンター、スペースを使った速い攻撃への対応も各所に。
特にSBが常にウイングバックに蓋をしたこと、逆サイド展開時のウイングのプレスバック、喜田くん・あまじゅんのセカンド回収は、非常に効果的で相手の加速及び攻撃移行を阻み続けた。

それでも裏に出されたときには高い位置にポジションを取りつつ勇気をもって飛び出すパギさんがDFライン裏をカバー。
穴を空けないこと、穴となりえる箇所へのマネジメント、全てよく練られていて、抱えていたリスクを覆い隠した。

相手に与えたチャンスは片手程。守備で相手の手を抑えた上で、攻撃構築は致命的なミスなく。長い時間相手を押し込んで、圧力を掛け続ける。
相手の得意とするオープンな展開を作らせずにゲームをコントロールできたこと。前回対戦と全く違う試合が出来たことは大きな進歩かな、と。
(スタッツ明らか)

https://pbs.twimg.com/media/D-3RSq1VAAA1Zpz.png

https://pbs.twimg.com/media/D-3RVUaU0AEkebu.png

【先制点:エジガル・ジュニオ】
オナイウの前をティーラトンが塞いでカット、粘り強くみよっしーに繋ぐ。みよっしーはすぐさま低いクロスをテルくんへ、テルくんのキープの間に陸斗くんがロングスプリントでオーバーラップ!そして「らしい」ワンタッチでの折り返し(!)

受けたエジガルがコースを開いて強烈シュート、一度は三竿のブロックに阻まれるもリフレクションが幸運にも再度エジガルの元へ、これを振り抜き、相手に当たってコースが変わり、決まる。
きたーーーーー!

ゲームプランの責を担ったSBの二人が絡む、このゲームの象徴的なプレー。
ティーラトンの守備が起点、体力的に厳しい時間でもタスク完遂。加速させず蓋をした。
その上で陸斗くんが同様にタフな仕事をこなしつつ、このシーンでは長いスプリントからのエスプリの効いたワンタッチパス、センスだなぁ…

圧力を掛け続け、攻め続けた結果、相手にも負荷が掛かる。相手もギリギリ。そこでミスも出る。それをエジガルが仕留めてくれた。
こういう膠着した試合を動かせるスコアラーがいるのは大きな強み。
好機を逸していても一つ仕留めれば勝ち。応えてくれたエジガル、オブリガード!

この試合に限らず、だけど。
「自分達がこうすればいい試合が出来る」というベースを揃えた上で、「自分達がこうされると困る」という相手の特徴に対しての対策を施していくことでこういう試合が出来る、ということがよくわかった。凄く大きな手応え。

一回りして、相手にも情報があるのと同じように、自分達にも蓄積がある。それをうまくゲームに反映させていくことで勝つ可能性を高めていく。
この試合だけじゃなく、札幌やセレッソ、東京といった完敗した相手にもしてほしいし、名古屋や川崎、浦和、鹿島といった強い相手にもしていければ。

いい試合でした。
あまじゅんとイッペイちゃんの門出を勝利で飾れたという意味でも凄くよかった。
本当によかった。

補足として。
シュート数以上に相手のパス数が増えたことに注目。
大分のパスは『カウンターシチュエーションを作るためのパス』。
イージーにカウンターに出れていた最初の試合は少なかったけど、この試合はカウンターに出れないから繋がざる得なかった、と。繋ぐことを強いた、うん。

【繋ぎの質、テンポ、攻守のトランジッション含めて積み上げてきたものが出せて、個人のクオリティも出て、競争意欲も高まり、と凄く意義のあるゲーム。 by いた】 about [2019-J1-13] 横浜 4 v 0 磐田

f:id:harukazepc:20170419104133p:plainいた

磐田戦。
スペースを得て、圧力も感じずにプレーが出来ると、こんなにも圧倒できる。その上で、トランジッションのタスクをしっかりやることで、試合を支配できる。理想に近い試合だった。

何故このような試合になったのか。
何より磐田のプランが全く嵌らなかった、という事に尽きる。
横浜のビルドアップに対してプレスを掛けて高い位置で奪いたい意図を持ちながら、人数足りない状態でプレスを掛けて空転、結果として中盤に大きなスペースを与えた。

というのも、横浜のビルドアップはDF4枚+ボランチ2枚の6枚、磐田は中盤と前線合わせて5枚、常に数的不利な状態でどこかにフリーが出来る。
更には追い込み方も整理されず、誰が誰を捕まえる、というのも整理されているようには見えなかった。となれば、横浜の選手達は余裕をもってあっさり外せる、と

ボールホルダーにプレッシャーがない状態であればいいボールが出る。
田口・山田の周辺にはおいしいスペースが常にある状態でマルコスが自由を謳歌できる。そのマルコスが攻撃を彩って次々とチャンスを作る。
相手のプランを根底から覆せたことで優位にゲームを進めることが出来たのかな、と。

得点シーン

【40分:マルコス・ジュニオール

バイタルで前を向いたマルコスがテルくんへスペースパス、阻まれるも自ら鋭い反応でピックアップして右ペナ角からボックス侵入、DF前で角度を変えて左足を素早く振り抜き、逆サイドネット。
ブラインド、コンパクトな振り抜き、抜群のコース、技術の詰まったゴール。

後はカミンスキーの牙城を崩すだけ、という状況でまたしてもマルコスがやってくれました。今季7点目。
セカンド回収時の反応の速さはネガトラ意識の表れ、タイミングを計らせない素早い振り抜きは彼のスペシャリティ。
彼の研ぎ澄まされたシュート感覚に痺れた。フュージョンも決まったね♪

【60分:仲川輝人

CKからのロングカウンター。
相手のシュートミスを喜田くんがカット、マルコスに渡った時点で既に3vs2。
左に渓太、右にテルくんが走る状態でマルコスは相手のギャンブルアプローチの一寸先でラストパス、このパスが走るテルくんに寸分狂いなく届き、テルくんは相手を外してゲット。

決めたテルくんも立派、長い距離を走った渓太くんも選択肢となり貢献、フォーカスするならマルコスのラストパス。
相手の浅はかなアプローチまで引き出したという点とテルくんの走るコースに寸分狂いなく通して、テルくんの勢いを殺さなかった点。
優位性を作り、優位性を保ったクオリティに乾杯。

【74分:エジガル・ジュニオ】

渓太くんがドリブルしつつ左に流れた中でタカくんが右タッチ際に開くところからスタート。
ティーラトンとマルコスが絡む中で裏を取ったタカくんがマルコスからのパスを受けてエンド際に切れ込み、最後はマイナスのクロスをエジガルに通し、エジガルが武田フィニッシュ。

何故、タカくんが外に開いたのか、渓太くんが逆サイドに行ったから、なんだけど、その位置に選手がいる意味をチームとして把握しているからこそのローテーションだったのかな、と。
幅を取ることで選手間の距離が開く、だからこそ、幅を取る役割を買って出た。その後は出来すぎ、にせよ、意識に巧。

おわりに

繋ぎの質、テンポ、攻守のトランジッション含めて積み上げてきたものが出せて、個人のクオリティも出て、競争意欲も高まり、と凄く意義のあるゲーム。相手が余りに…という部分は差し引く必要はあるにせよ、自分達がいいパフォーマンスを出来たことは凄くよかった。
この勢いを続けていきたいね。

【チームの課題その論点争点は明確にすべきだ。俺は昨季終盤の停滞、今季序盤のアウェイ大分戦や昨日の札幌戦に見えるチームの(ボスも含め)課題や問題、進歩の乏しさは全く同質のものだと感じている by 蒼井真理】 about [2019-J1-8] 横浜 0 v 3 札幌 の振り返り

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

0730発ANA50便で横浜に帰ります。その足で工学院グラウンド⇒追浜ハシゴの工学院AとB両チーム観戦だよ!

札幌にはファミマとろろ蕎麦を食べにきただけ。他には何もなかった。何も

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あのさあ…

チームとして前に進んでいかなきゃ。3歩進んで3歩下がるの延々繰り返し。同質の失敗の繰り返し繰り返し繰り返しリピート・アフター・ミー。昨季の終盤から何度も何度も何度も「いやあ上手く対応されたね良さを消されたね」相手の対策を予測して対策の対策した上で応用問題クリアしろや

なんで極端にマンツー寄り&カウンタからの両サイド裏狙いの相手に対して、中央に人を集めて殴ろうとしますか?

相手の守備組織の密度と強度を高めて「人に付く故のギャップできちゃう問題」を解消してあげつつ、サイドにカウンタのためのスペース提供しますか?

バカなの? 死ぬの?

前半10分までの2失点はまあ仕方ねえよ。重いビハインドだけどそういう事もあるよサッカーと人生には。でもまだあと80分、修正対応して挽回する時間とチャンスあったわけじゃん?

お前ら修正できたか? 挽回するため知恵と勇気をありったけ振り絞ったか?

なんもできてねえじゃん進歩ねえじゃん

なんもできてねえのに、やってねえのに「先制され引かれると厳しい」だの「早い時間帯の2失点はゲームプランが崩れる」だの、ホントお前ら何なの?

マジで何なの。本気でリーグタイトル争うつもりあんの? なんで序盤の2点ビハインドで「コンチクショー」感が出ずにズルズルいっちゃうの?

昨季終盤アウェイ鳥栖戦の翌朝にオムライス食べながら指摘したチームの不足は、オフと補強とキャンプと手痛い失敗と反省を経ても、ほぼ進歩が見られない。残念過ぎる程に変わってねえんだよ本質的に「不足と失敗の質」が

https://twilog.org/aoi_mari/date-181125

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このクソみたいな札幌戦を振り返り課題抽出して反省して修正して次は「中途半端なマリノス対策してくる相手」にまあまあ良い内容で勝利して、そしてまたキッチリ対策してくる相手に相手の狙い通りの舐めくさったサッカーやって完敗。その繰り返し繰り返し繰り返し

そして10位くらいでシーズン終了

・どんな相手に対しても
・自分たちがどんな状況でも
・けが人が続出していても
・甘えた言い訳とかいらないから
・試合に向け最大限の準備をしよう
・もっと相手のことを考えよう
・相手の対策も想定しておこう
・それを上回る応用力を備えよう

・相手は関係ない
・俺たちのスタイルを貫くだけ
・そう言いたいのなら
・それだけの殴る力を身に付けよう
・現状のマリノス
・その力も覚悟も足りないくせに
・相手を知ろうとも考えようともせず
・やるべき事をやってないのに
・言い訳や理想論だけは立派な
・明日から俺は本気だす
ニート野郎

・試合開始までの準備は大事
・でもピッチ上のリアルとの対峙も
・それに向き合い乗り越える
・修正力や応用力も大事だよ
・試合の中で選手たちが
・相手の狙いや嫌がることを
・観察して読み解いて
・解決方法を見つけ実践しなければ
・そこがまだ全然足りてない
・勘違いしないでね

アウェイ浦和戦のアレは典型的「中途半端なマリノス対策」で監督と選手の志向ミスマッチ。幅を利かせてピッチの方向性を作ってるの相も変わらず「往年のミシャ・チルドレン」で完全過渡期の浦和ですから。ほぼ基礎問題でした。アンジェ横浜2年目、もう応用問題クリアしてく力をつけてかないとダメだよ

ダメなんだよ繰り返してたら。マリノスはチームの方向性・編成における「過渡期」ゴチャゴチャ面倒くさいヤツはほぼクリアしたから。「縛り」にもなってたレジェンド2人もいなくなった。多くのベテランや適性の低い選手たちはチームを去った。方向性に基づく補強編成も成された

もう言い訳なしだよ

リーグタイトル争うのはマストにして当然の目標。そのために、いろんな痛みも経験したし限られた予算の中で合理的な編成もできたアンジェ横浜2シーズン目

こんなの繰り返してたら、もう全然お話しにならないんだよマジでお前ら分かってんの?

ただいま羽田。京急横浜線を乗り継ぎ工学院グラウンドへ

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めったにない出来事「分母の無視」による過大な評価――はサッカーにおいて頻繁に起こる。選手にもファンにも。得点が少なく、そもそも通常は「めったにない出来事」ゴールが試合の結果を、1週間の準備や時にシーズンの趨勢を左右する(ように思える)からだ

もう少し「平均への回帰」を学習しよう

例えば直近3試合、被CK10本で4失点。チームのセットプレイ守備に構造的な欠陥がありそれを対戦相手に看破され狙われているに違いない――人は結果に対して「分かりやすい原因、理由説明」を求める。それが「たまたま」とか「偏り」だとか「平均への回帰が起こる」とは、その時には考えない

――似た例は数年前のマリノスに実際あった事例であり、柏戦でCK3本から3失点した際はいろんな指摘と批判があった。しかしその後、シーズン終えた時のマリノスのセットプレイからの失点数は18クラブで2番目に少なかった。典型的な「偏り」からの「平均への回帰」だ

さて昨日の札幌、前半10分で2失点。畠中槙之輔の凡ミスと福森晃斗の鮮やかなFK(それを与えた凡ミスと微妙な判定)守備から入ったミシャの札幌が首尾よくシュート2本で2点先制。これは構造的な欠陥からの必然的2失点だろうか?

前半10分までにシュート2本で2失点は「めったにない出来事」だろう

めったにない出来事は「絶対にあり得ない出来事」ではないので、サッカーと人生においてしばしば遭遇する。構造的な欠陥や「これさえ準備しておけば回避できる」問題ではない。ミスをしない選手もいないし、完璧なFKは防ぎようがない

では私は前半10分で席をたつべきだったのだろうか?

「たまたま早い時間帯に2点先取できたから」札幌の守備がハマったのではない。それはオマケ要素であり、ミシャの会見コメントからも、強度の高い守備から入る札幌のゲームプランは対マリノスに用意されたもので早々の2点ビハインドは直接の争点ではない

あのミシャがここまで割り切ったゲームプランを選択した。4節からの3連敗で割り切った。0ー0のまま推移しても、あるいは後半15分までの1点ビハインドまでならゲームプランに変更はなかったのではないか。そして2点先取されたマリノスは、試合を通し札幌を攻略できなかった。決定機2つはセットプレイ

チームの課題その論点争点は明確にすべきだ。まあサッカー論議においてそれは全て虚構ではあるが、それはやらないと文字通り「話にならない」ので。俺は昨季終盤の停滞、今季序盤のアウェイ大分戦や昨日の札幌戦に見えるチームの(ボスも含め)課題や問題、進歩の乏しさは全く同質のものだと感じている

――ああ、分かり難いか。つまり「札幌の高い守備強度を軸としたゲームプラン」は仮にあの10分までの2点がなくても変わりないだろうし、そこからマリノスは最後まで攻略できてないのだから「あの2失点さえなければ…」とか「ゲームプランが崩れた」とか言う妥当性は、あまり高くないんじゃねーの? と

2点を早々に先制した札幌が、システム変えて5ー4ー1ブロックでドン引きしたとか、露骨な戦術変更があったなら話も変わってくるけど…。もちろん2点リードによる札幌の精神的な優位性の獲得と、マリノスの焦りはあるよ。それはあった上で、さあ残り80分どうするんだって話で

だから個人的にアウェイ札幌戦で一番残念だったのは、前半9分に0ー2となってから29分に決定的な3失点目をするまでの20分間のチームとしての非常に拙く幼い、頭の悪い戦い方。自滅して前半でゲームを壊した。ハーフタイム0ー2なら、全然可能性もあったのに

目先変えた布陣がハマってないどころか相手の対策ゲームプランにハマってしまっている。その事に気づくより先に2失点してしまったし、ピッチで即座の修正対応もできそうにない。じゃあ我慢でしょ。とりあえず致命的な3失点目を抑える事を最優先にハーフタイムの修正待ちも下の下策ではない

それなのにSBは内に絞り中央の密度を上げて札幌の守備強度高める手伝いして札幌がカウンタで使いたいサイド裏のスペースをホイホイ空けて、致命的な3失点。うーんこの下の下策。別に前半0ー2なら絶対逆転もあった! とは言わないよ。簡単ではない。難しい。でも0ー3は絶望的だ

可能性の問題。絶対にミスしないCBも全てのFKをストップするGKもいない(昨日の飯倉さんは「持ってねえな」としかご愁傷様)

めったにない出来事「前半10分までにシュート2本で2失点」を食らう確率をゼロにするため知恵を絞るより、致命的な3失点目を食らわないための我慢や賢さを獲得すべきだろうと

――それくらい、アウェイ札幌戦の前半9分0ー2から致命的な3失点目を食らうまでの20分間のチームとしての戦い方は拙く幼く、頭が悪すぎた

即座に最適解の修正は、今すぐ出来なくてもいい。でもせめて「我慢する」くらいは覚えていこう。できるようになろう

もしもその「我慢」でさえもボスの思想やアタッキング・フットボールの教義に反するというのなら――それは困るけど、まあそこまでボスも狂信的でも偏狭でもないと思うよ。ただ選手たちが「自分たちで考え判断する」領域があまりに今の経験値的に大きすぎる気もしないではない…

けれども選手たちにとっては自主性や思考を大きく伸ばすチャンスなんだから「もう少し枠にはめて縛ってください」なんて思わずに、もっともっと自分で考えて話し合い、大人の対応力や賢い応用力を身に付けていって欲しいよ。そして強くなって欲しいなあ