横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【是非このまま、喜田パイセンには勇気と責任感あるチャレンジをシーズン通し継続して欲しい。このまま中軸としての存在感を高め、来季こそキャプテンマークを付けて欲しい。 by 蒼井真理】 about 喜田拓也 at 2018シーズン序盤 について

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横浜FM喜田拓也、6年目の進化。アンカーで感じる「面白さ」、勇気と挑戦の体現者に
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(取材・文:舩木渉 @watarufunaki ) #fmarinos #jleague

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「(中盤が△から▽になり)今までと感覚が違うとこもある。味方が近くにいない時と、サポートがいる時の受け方は違ってくるので、そこの微調整も大事。上手くチームを回していくため、自分が(パスを)受けられなくても相手を動かす事ができる。それもアンカーの面白さかなと思っている」喜田拓也

「自分がパスを受けずとも(チームを)回すことの面白さも、ちょっとずつ出てきている。そうやって自分のポジションで相手を動かす事にもチャレンジしていきたい」喜田拓也

「単純にスペースが広い時もあるが、周りの距離感が常に良いとは限らない。もちろん常に良い状態を目指すが、イレギュラもあるし、ゲームの流れもある。いろんな意味でのバランスが難しいこともあるが、周りと関係性を作っていく事も、自分でどうにかする部分も、もっと高めていけると思う」喜田拓也

「間違いなく相手に(自分のところが)狙われたりする事もあると思う。(アンカーは)1枚ということもあるし、絶対に対策を立ててくる。そこをかいくぐって、その対策以上のものを出していきたい」喜田拓也

「仮に上手くいかなくても(監督の要求するスタイルに)チャレンジし続ける姿勢だけは失わないように。このサッカーをやっていくにはそういう姿勢も絶対に大事だと思う。勇気や自信は絶対に大事になってくるポイント。自分たちで後ろ向きになってしまったら、絶対に成立しない」喜田拓也

「それはどんなサッカーでも同じだと思うが、特に今そう実感しているので、たとえミスが起こったりしても下向かないでやっていかないと。チャレンジする姿勢だけは失わずやっていきたい」喜田拓也

「気づけばこんな感じ(トップ昇格6年目)になり、もちろん自覚や責任は持っているし、マリノスで育ってきて、色んなことを見てきた。色んな事にチャレンジしながらやってきた。今年も新しいことにチャレンジしているし、そこで良い結果を残せれば皆の自信になっていくと思う」喜田拓也

「“新しいマリノス” といったら変ですけど、アグレッシブな姿だったり、戦えるマリノスを見せていきたいし、そこで自分の力を発揮出来るようにやっていきたい」喜田拓也

――開幕から2試合の喜田パイセンは極上だった。あんなにも半身でパスを引き出しターンしつつフリック気味に斜め前にパスを付けられるとは…! もちろんそれはデザインされたプレイ、周囲のポジショニングあってのものだけれど喜田の判断精度、何より勇気と責任感がなければ成立しないプレイだ

正直、昨シーズン中盤以降の喜田拓也には凄く失望していた。パスを引き出すポジションの取り直しやアングルの作り方が緩慢で「やってるフリ」本気で呼んでるように見えなかったし、ボールを受けてからの判断も遅く(つまり準備が十分でない)迷った末に責任逃れの横パスに逃げている印象が強かった

もともと喜田はユース時代から「激しく寄せ奪う」守備に特徴ある選手で、奪ってから最初のパスは起用が増えたエリク1年目以降もずっと課題だった。でも当初はトライしてた。昨季は明らかにチャレンジが足りなかった。このまま「ボールを持たなければ良い選手」で終わるのか――とも思った

今季の喜田は違う。凄くパスを呼び込み「斜め前に付けて局面を前進させるパス」にチャレンジしているし、そのために必要な事前の状況把握と細かなポジショニング、アングルの修正が向上している。ボスやヘッドコーチのピーターにもメチャクチャ期待され練習中もたぶん一番多く名前を呼ばれている

是非このまま、喜田パイセンには勇気と責任感あるチャレンジをシーズン通し継続して欲しい。間違いなく先には致命的なミスやロストもあるだろう。でもそれでも折れず曲がらず。私たちも決してチャレンジの結果としてのエラーを責めたりはしない。責任逃れの無難なプレイこそ、成長を妨げる忌むべきもの

このまま中軸としての存在感を高め、来季こそキャプテンマークを付けて欲しい。200試合、300試合と出場試合を伸ばす中でチームにタイトルをもたらし、節目の記念の試合では自費でエリクを招き彼をプレゼンテイタに。喜田拓也こそエリクが見いだした、象徴的な大いなる遺産なのだから

【勢いでばーっと気になったことを書きたくなるぐらい面白い、考えたいサッカー。こんなにプレーの内容でワクワクドキドキしたのは久々かもしれない。 by いた】 about [2018-J1-1] 横浜 1 v 1 C大阪

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開幕戦、1-1。

色んなものが見えた試合。手応えはもちろん、目を見張るような成長や、大きな宿題も、変わらない課題も、相手が見せた「対策」も… こういうものを見いだしつつ、結果を出せるのがベスト。今回は叶わなかったにせよ。


手応え

意図したことを勇気をもって取り組んだ前半のチームパフォーマンス。
戦略、トランジッション、判断スピード…複数の要素で相手を上回り、戸惑いを与え、先制点まで取りきった。
改めて今取り組んでいることの意義や実効力を感じられたことは大きな手応えのはず。

攻撃面では少ないタッチでのパスムーブを軸に戦略的な意図(相手2トップ間でのレシーブ、アラバロールによる外側のレーンの活用)と最後の目的(相手がフォローできない状況を作り出した上でのワイドスペースへの1-2的な利用、インナーラップによるポケット攻略)を具現化出来た。

選手達は頭フル回転で敵・味方のポジションを常に把握しつつ動き直してはパスを紡いだ。これがあるから細かく繋げるし、テンポも生まれる。
ターンやスルー、スイッチといった接近時のアイデアにも意欲的に取り組み、相手を手玉に取ったシーンも。

守備は、最終ラインをかなり高く設定した上で相手陣を圧縮する形から前向きでボールを奪ったり、セカンドを回収するシーンが多々。
しっかりと追うこと、塞ぐことが出来ていたことでミスを誘えた。2度追い3度追いもざら。タフなタスクをしっかりこなせたからこそ。

45分間のパフォーマンスはここまで積み上げてきたことの成果。
妥協であったり、恐れといった要素を含んでは機能しない。自分たちがやりきることで機能する。上回れる実感を得れたことは凄く意義がある。この手応えを強い相手に対して掴めてよかった。

目を見張るような成長

この試合における天野純のパフォーマンスは出色。
行動半径の広さ、サイドの崩しにおけるフリーランニング、ショートパスの媒介となることなどこれまで出来ていたことはもちろん、コンタクトへの耐性、球際の強さ、当たられても前に進む意思…その逞しさは目を見張るもので、ひとつ階段を登ったかのような堂々たるプレーぶりだった。

PSMのときから感じていたけれどキックの質も凄くいい。
ボールスピード、変化の鋭さは何かを起こしてくれる期待感がある。今シーズンのボールとの相性がいいのかもしれない。彼に掛かる期待は大きいだけに、今後に凄く期待したい。このまま!

そして、喜田拓也のチャレンジングな姿勢にも諸手を上げて評価したい。
ボールの迎え方(ボディシェイプ)、状況判断(スルーやワンタッチパス、前に運ぶプレー)は飛躍的に進歩しており、アンジェ・ポステゴグルーが仕掛けるパストレーニングを意欲的に取り組んできたことの成果が見られた。

大きなリスクが伴うスタイルの中でアンカーの仕事はリスクマネジメントが主となるけれど(そのプレーぶりも素晴らしかった。セカンド回収、インターセプト、カウンターケア。彼のボール奪取は両手では足りないほど)、ゲームを作る仕事でも重責を担う必要がある。彼がこのポジションで意欲的に取り組み続けることが出来れば必ず一段階段を登ることが出来る。彼の成長にも期待したい。

大きな宿題

前述した前半のパフォーマンスは間違いなくチームの目指すもの。しかし、現段階ではそれが出来たのは45分だった、ということ。

断片的に後半も出来ていたとは思うが、相手を上回り、支配し、圧倒するとまでは至らなかったことを考えれば、今後の宿題はこの時間を伸ばしていくこと。パフォーマンスを維持・継続していくことになると思う。

激しいトランジッションからのプレッシング、スペースランニング、休むことなく動き続けるポジション修正、シビアな球際のプレー…負荷は非常に高く、これを90分間維持するというのは簡単なことじゃない。

その上で常にピッチの状況を感じ取り、正しいポジションを見出す、次のプレーの選択肢を予測するなど、頭の負荷も高い。より深く理解が進み、ある程度オートマティックに動けるように習慣化されれば頭の部分の負荷は軽くなっていくにせよ、強度の高いプレーは常に求められる。

大変難解な宿題ではあるけれど、こういう負荷の高いサッカーをする上での宿命。
選手たちが日々のトレーニングで正面から向き合い、少しずつでもこの時間が伸びていくことを期待したい。

変わらない課題

戦略的にプレーし、沢山のチャンスを作ったことは「チーム」としての大きな成果。

しかし、結果としてゴールはひとつだけ。大きなリスクを背負い、負荷の高いプレーをしても尚。結果に繋げなければ勝利は得れない。
その意味で、「チーム」で作ったチャンスを「個人」が生かし切れているか、ということになっていく。

例えばカウンターのシーン。
数的同数のカウンター。前はオープン、仕掛けて剥がして打つ、スルーパスを合わせる、ワンツーで抜ける、そこで「個人」としての力が示せたのか。足りなかったと思う。だから勝てなかった。

チャンスを萎ませてしまうことが多かったコンビネーションのズレはいずれ解消されるにせよ、最後の局面で個人に掛かる部分の責は変わらない。最後にゴールという形で結実して初めてチームは勝てる。チームとしては着実な進歩が見えているだけに、あとは数字に繋げる「個人」としての強さを、質を。そこが変わらなければ全ては水泡に帰す。やりきれ、決めきれ。

相手が見せた「対策」

自陣で陣形を圧縮されて強いプレスを掛けられる、内に寄せられて外を使われる、速いパス回しに翻弄される。セレッソにしてみれば、大きなモデルチェンジを遂げた横浜に対して、大きな戸惑いが見られた前半だったと思う。

しかし、後半イーブンな展開に持ち込んだ。

早めのタイミングでボールを前に飛ばすことで圧縮されたプレースペースを回避。杉本健勇のフリックと柿谷曜一朗のダイヤゴナルランで大きなスペースを活用。実らなくとも相手を押し下げられる。

動かされてしまった相手の変形ポゼッションに対しては、ある程度低いゾーンでのポゼッションを許容し、ポジショニングバランスを維持。
特徴を生かしつつ、オープンな殴り合いというセレッソの得意な試合展開に持ち込んだ。

特徴的な形だからこそ、相手も警戒し、分析してくる。大きなリスクも抱えている戦略であるからこそ、そのリスクを表面化させるような対策も進められるはず。一つのモデルケースが示されただけに、次の相手がどう出てくるか、それもまた今後のカギを握るのかもしれない。


試合を見返してもいないのですが、勢いでばーっと気になったことを書きたくなるぐらい面白い、考えたいサッカーです。

こんなにプレーの内容でワクワクドキドキしたのは久々かもしれない。この先どのような過程を歩むのか、引き続き注視していきたいし、意欲的に取り組んでくれている選手たちを支えていきたい。

新たな冒険は始まったばかり、楽しみ楽しみ。

【マリノスの決定機もC大阪の決定機も全てマリノスが作り出した。この時期にここまでのクオリティを見られるとは思ってなかった by 蒼井真理】 about [2018-J1-1] 横浜 1 v 1 C大阪

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新たなボス、アンジェを迎え臨む 2018リーグ開幕のアウェイC大阪戦。近年まるで良い思い出ない長居に向けて新横浜からぷらっとこだまで緩やかに出発

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「長いシーズンが始まる。スタートは皆ゼロポイントからだ。C大阪は強いチームで勝点3を取れれば嬉しいが、開幕戦で最も大事なのは自分たちのスタイルを貫き示す事だ。勝利も重要だが、より大事なのは信念を持つこと。勝利や結果は最後に来るものだ」アンジェ監督

「(今季の目標は)優勝しか見ていない。3位や4位を目指すのは簡単だが、それに何か意味があるか? これだけ長いシーズン優勝から遠ざかっていればサポータもタイトルを待ち望んでいるはずだ。私はクラブに成功をもたらすため、ここへ来た」アンジェ監督

「“必ず成功をもたらす” と約束はできない。だが最後の1分1秒まで選手たちがハードワークし、全てをクラブの成功のため注いでいく事は約束する。マリノスは26年の長きに渡りJ1に居続け、それだけ長く応援し続けるファンがいる。そういう人たちが良かったと思えるシーズンにしていく」アンジェ監督

アンジェが掲げる「アタッキング・フットボール」「ハイライン&ハイプレス」攻守の両面で攻撃的にリスクを負っても可能な限り相手陣内でのプレイを要求する。ラインと全体のブロックを押し上げ、前線に厚みを出す――これまでマリノスが積極的に取り組んでこなかった新たなスタイル

95年のソラリ、2007年の第2次早野体制、2012ー14年の樋口体制で「前から前へ」の姿勢は打ち出されたが、その前後に継続性はなかった。傑出した “堅守そのものによる堅守” を拠り所とし、ロースコア展開に勝機を見出す「ウノゼロの美学」 攻めは速攻やセットプレイ、個の力や閃きに依存し続けてきた

――それだけでは限界がある。実際リーグタイトルから10数年遠ざかっている。傑出した個への依存体質からも脱却を余儀無くされている。だからエリクが下地を整備し、アンジェが過去のマリノスとは全く趣の異なるスタイルを構築しようとしている。だが選手は変わってない。今季も大きな補強はない

今までのマリノスが堅守を拠り所としたのは中心選手の資質に拠る。普通に彼らがやりやすい様に彼らの強みをチームに還元しようとしたら、そこに落ち着いた――ある意味「今いる選手たちによる最適解」であり、俊輔は既にないが 40歳となる中澤は最終ラインに健在である

監督を替えて新たなスタイル構築を図る事はできるが、中澤佑二の時間を巻き戻し若返らせる事はできない。そこに最も大きな溝、齟齬がある。戦術やスタイルは手段であって決してそれ自体が目的になる事はない。だが今のマリノスは、その転換構築、パラダイムシフトが目的化している

本当に強いチーム、クラブになるため。本気でリーグタイトルを争うため。レジェンドへの依存体質から脱却するため。新たなスタイル構築は不可避の課題――それはよく解る。しかし手段は手段であり、スタイルを転換構築するための素材、選手補強が今季のマリノスには決定的に足りていない

ハイラインを実践するには反転アジリティとスピードあるCBが必要だ。4ー3ー3でポゼッションを高め前線にリソースを費やすならDFから受けターンして配球できるアンカーが必要だ。より得点王を高めるには質と市場価格の高いCFが必要だ――補強はない。今いる選手が、成長し自らの価値を高めるしかない

新たなボスの「アタッキング・フットボール」は絵に描いた餅であり今のマリノスの選手たちでその理想を体現するのは極めて困難だ。過去3シーズンも、アレがエリクの理想や要求ではなかった。与えられた選手たちで「ベターな」中庸の道を探った結果、ある意味での “最適解” だった

今までのマリノスが「取り組んでこなかった事」「苦手な事」そして今の「自分たちの強みを消して弱みを強調する事」に、今季のアンジェ横浜は取り組んでいる。要所となるポジション2つ3つに適応度の高い選手を加え「新しき酒は 新しき革袋に」とはならず、革袋だけが新しくなった――

だから普通に考えれば、今季のマリノスは 5位~10位くらいの予想が妥当だ。昨季と変わり映えしない、厚みやJで計算できる実績は低下した戦力で「現有戦力の強みを消し、弱みを強調する」スタイル構築に真正面から取り組んでいるのだから。リーグ優勝? クレイジーな妄想だ

それでも私は、2018シーズンの開幕が楽しみだ。今のチーム完成度でC大阪に勝てる気は全くしないが、それでも今日の開幕戦が楽しみだ。そうでなければ、近年イヤな思い出しかない長居に足を運ぶ事もない。全く上手くいく気がしないが、新しいボスの取り組みは全力で支持して後押したい

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【欧州では「あたり前」な監督を中心とした監督の要求に基づくセット招集、現場体制。マリノスでは95年のソラリ体制以来か。CFGとの提携で、現場の体制作りも変革・・・ by 蒼井真理】 about 2018シーズンのマリノスの現場体制

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2018シーズンのマリノスの現場体制をリーグ開幕3日前に確認&備忘録

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監督
アンジェ ポステコグルー 52歳 ★新任

ヘッドコーチ
ピーター クラモフスキー 39歳 ★新任

コーチ
松橋力蔵 49歳 2年目(前ヘッド)

フィジカルコーチ
グレゴリー ジョン キング 36歳 ★新任

GKコーチ
松永成立 55歳 12年目

エリクが3シーズンの任期を終えてマリノス25年の歴史でほぼ初となる円満退任。元オーストラリア代表監督のアンジェが新監督に就任。片腕となるヘッドコーチに親交あるピーター(元豪州Uー17代表監督)フィジコにはグレッグ(アデレードU)を招聘。オーストラリア人3名が現場首脳となる体制に

昨季フィジコのマルレスはシーズン途中退任、後を引き継ぎアシスタントから昇格した松本純一氏も退任。8シーズン分析担当コーチを務め2004年からマリノス在籍の小坂雄樹コーチも退任し今季は浦和のコーチ。前年14シーズンの長きフィジコを務めた篠田洋介氏の退任に続き、現場体制は大変革された

――篠田フィジコ、小坂コーチ、岡村コーチ、久保田&所澤&太田原 トレーナ、工藤ドクタ。この3シーズンで長くマリノスの現場を支え続けたスタッフの多くがクラブを去った。樋口さんとエリクが3シーズンずつ監督を務めるまで監督とヘッドコーチは頻繁に変わる中、現場スタッフの刷新は少なかった

篠田さんにはハマトラ紙でインタビュをさせて頂き、練習見学の際にお話をさせていただく機会もあった。小坂さんと岡村さんは工学院の監督を務めた頃から、いろいろお世話になった。それぞれ川崎、浦和、柏と在籍クラブを変えて寂しさはあるが、これも不可避の変革だろう

岡田監督以降から樋口監督までの約10シーズンの現場体制が、逆に歪だった側面もある。監督だけが成績の責任を問われてチームを追われ、監督を支える現場スタッフはヘッドコーチ以外は安泰。新しい監督が、変わり映えしないスタッフの中に放り込まれる。やり難さはあっただろう

特に第2次早野体制や木村和司体制では、現場における監督とスタッフの距離感や一体感に難があるのは、傍目から見ても明らかだった。樋口体制以降、少なくともヘッドコーチは監督自らが招聘しマシな現場体制が構築されるようになったが、それまでが結構露骨にアレだった

監督とコーチ陣がトレーニングの場でほとんど会話をしない。コーチ同士が話し合い選手に接触するが、監督を露骨に無視するとか女子校のノリ。「試合に負けて喜ぶクラブスタッフがいた」とかいうアレな話も聞いた。その監督を据えた派、それに反対する派。企業クラブあるあるですわ

監督のアンジェが親交あるヘッドコーチを招き、フィジコも同朋を指名。ボスとその両腕、オーストラリア人3名が現場を仕切る。欧州では「あたり前」な監督を中心とした監督の要求に基づくセット招集、現場体制。マリノスでは95年のソラリ体制以来か。CFGとの提携で、現場の体制作りも変革

――そんな中で松永GKコーチが留任したのは昨季に続き小さなサプライズ。…ただ個人的には、指導手腕が評価されているというよりはCFGによる変革のソフトランディングによるものかなと邪推。シゲさんは今のマリノスにおいて、中澤と同等かそれ以上のレジェンドだから

ビデオアナリスト
杉崎健 34歳 2年目

コンディショニングコーチ
安野努 39歳 ★新任

■ドクタ
深井厚 2年目

■トレーナ
日暮清(ヘッド) 2年目
佐々木康之 2年目
宮内信泰 2年目

メディカル部門は昨季と同体制。日暮さんの肩書きはヒューマンパフォーマンスダイレクタ(分かり難いw

■通訳
今矢直城(英語)⇒★新任
松崎裕(英語)⇒留任
高橋建登(韓国語)⇒留任
木下伸二(ポル語)⇒留任

新任の今矢直城氏は少年期をオーストラリアで過ごし、選手としても豪州で5シーズン以上のプレイ経験あり。2010ー17は早稲田U監督。完全に「アンジェのため」の人選

エリクの通訳に松原英輝氏を付けた前3シーズン然り、近年マリノスの通訳セレクトは「サッカー人でありサッカー言語を理解する(指導者経験もある」「通訳する言語地域のサッカー文化に直接触れている」人選が為されており、実に素晴らしい。後は監督と通訳の人間的な相性だけ

■チームオペレーションダイレクタ
袴田聖則⇒留任

■主務
山崎慎⇒留任(副務から昇格)

■副務(キット)
遠藤伸明⇒★新任

■ホペイロ
緒方圭介⇒留任

慎くんが8年務めたホペイロを卒業し主務に昇格。アウェイの荷造りは新任の遠藤氏が引き継ぎ、緒方くんの肩書きは副務からホペイロに変更

■チーム世代構成バランス

1978 中澤佑二

1983 栗原勇蔵
1984
1985 中町公祐
1986 飯倉大樹
1987 鈴木彩貴
1988 ウーゴ 伊藤翔 下平匠
1989
1990 大津祐樹 金井貢史
1991 天野純 扇原貴宏

1992 尹日録 仲川輝人
1993 松原健 山中亮輔 杉本大地
1994 ダビ 喜田拓也 ミロシュ
1995 イッペイ
1996
1997 和田昌士 遠藤渓太
1998 吉尾海夏 原田岳
1999 町野修斗 堀研太 山田康太 西山大雅 生駒仁

ベテランの退団はなかったが、93ー95年組が5名去り高卒5名が新加入。チーム平均年齢は24.7歳に下がり、吹田と瓦斯に続きリーグ3番目に若い陣容に。世代構成バランスは一見良好だが、エリク2年目に積極起用された20代前半「伸び盛り」の選手たちは多く移籍の道を選んだ

■ポジション編成

GK 飯倉 杉本 鈴木 原田
CB 中澤 ミロシュ 勇蔵 西山 生駒
SB 松原 山中 下平 金井
DM 扇原 喜田 中町
IH 天純 ダビ 吉尾 康太
WH ユン 渓太 大津 仲川 イッペイ 堀 椿(2種)
FW ウーゴ 伊藤 和田 町野

キャプテン:中澤佑二
副キャプテン:勇蔵、中町、飯倉、喜田

選手会長中町公祐
副会長:天野純、遠藤渓太

◆チームスローガン
『Brave and Challenging ~勇猛果敢~』

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◆2018強化テーマ

  • 「攻撃的」「リーダーシップ」「スピード」 3つの相乗効果
  • ピッチ内の修正と対応、最適なオプション選択自主的に行なう。プレイだけでなく判断のスピードを上げ「勝つための攻撃的なプレイ」
  • 常に自分たちのサッカーを貫く「5400秒、ブレイブ。相手は関係ない」

■IN 9名
尹日録(FCソウル大津祐樹(柏)仲川輝人(福岡※)和田昌士(山口※)山田康太堀研太西山大雅(ユース昇格3名)町野修斗履正社高)生駒仁鹿児島城西高)

■OUT 5名
齋藤学(川崎)マルティノス(浦和)朴正洙(柏)前田直輝(松本)富樫敬真(瓦斯※)

◆ローン⇒ローン
カイケ(サントス※⇒バイーア※)高野遼甲府※)

◆ローン⇒完全移籍
新井一耀(名古屋)中島賢星(岐阜)田口潤人(新潟)

2018シーズンは30名体制でスタート。昨季は27名で始動しキャンプ後にミロシュとダビが加入、開幕戦から出場。実質29名体制。シーズン中に新井一耀、高野遼仲川輝人中島賢星がローン移籍

昨季3名だった新卒加入が5名(しかも全員高卒)の今季は、戦力的に質も厚みも低下は否めず

本日発売のサッカーダイジェストにボス、アンジェ監督のインタビュ記事が3ページ。藤井さんエルゴラはアレになったけど仕事してるよ。次はアイザックや利重さんや古川社長に突っ込んだインタビュお願いします

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発売中のオフィシャルハンドブックにもなかなか濃密なボス、アンジェ監督インタビュ記事が4ページ。エリクの築いたチームの印象とその引き継ぎについての言及もあり、ボスがマリノスをどう変えていこうとしてるのかシーズン開幕前に確認するには必読テキスト

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――始動から約1ヶ月、マリノスの新しいボス、アンジェ監督ここまでの印象は「ザ・ボス」なイメージ。教育者的で合理主義的で選手たちへの育成の愛はあっても感情的な接触は避けようとしたエリクとは対照的で、その感情的な接触にも重きを置く「ロボットじゃねえ所詮は感情的な人間がやるもんだろ」と

トレーニングではグレッグやピーターに任せ少し離れた所から寡黙に観察する時間も多いが、トレーニング中も後もピンポイントで選手に声を掛ける。キレべき時はキレる。凄く「そのアプローチで受け取る側の選手はどう感じるか」「結果選手のアクション態度はどう変わるか」を考えている印象

黙ってる時間が長かったり表情を変えなかったり選手と距離を置いたり言葉を選ぶのもボスの威厳を保つ言葉に重みを出すためのイメージ作り。何考えてるか分からない、起こったら怖そう、だからこそ声掛けられたり誉められたら嬉しい。この人に認めてもらいたいと思う――そんな雰囲気は出てる

どんなに理論が正しく合理的でも「感情的な生き物である選手」の心にアプローチできなければ、その指導は届かない。おそらくエリクに最も足りない不得手な部分(モチベート、マネジメント)であったと個人的に思うので、強そうなボスが来たのは対象事例として非常に興味深い

是非シーズン開幕後でも、ボスの醸し出す雰囲気の確認にトレーニングを観に行って欲しい。凄くボス感出てる。社長や王様でなく「ゲリラ部隊の親分」って感じ――分かりやすく言えばランバラルみたいな。親父にも打たれた事ない小僧でも「あの人に勝ちたい、認めさせたい」と思わせるような雰囲気が

――ただボスがそんな雰囲気を出せていて、今は選手たちも過去に取り組まなかった不得手なスタイルに真摯に取り組んでいても、開幕から2つ3つと手応えなく敗れ続ければランバラル感とかザ・ボスの貫禄とか全部新聞紙より軽く風に飛ばされる。サッカー怖い。ホント早めに手応えと結果出るといいなあ…

【下平匠の偽SB適性、戦術理解は桁外れにハイレベル。右SB金井貢史も偽SB適性は高い。アンカーは扇原一択と言っていいと思うのだが。 by 蒼井真理】 about [2018-練習試合] 横浜 4 v 3 F東京

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

2014年9月、松本翔のCKから関東学院大3年FW富樫敬真のヘッドにより1ー0で勝利したトップ練習試合以来、3年半振りの小平瓦斯練習グラウンド。その敬真は後に瓦斯戦のゴールでプロ契約を勝ち取り、今季は瓦斯にローン移籍。不思議な縁

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選手たちがピッチに出てきてフィジコのグレッグとアップ開始。昨日のプレシーズンマッチで誰一人出場のなかったベンチメンバも帯同。今日は出場機会あるかしら

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ユース新3年WGの椿直起も帯同してアップに参加中

ピッチサイドにはアイザック・ドルSD、小倉勉氏の姿も。ボスのアンジェは不在かな? 指揮を採るのはヘッドコーチのピーターか

勇蔵先輩はサッパリした若々しい髪型に。顔や首周りを見ても昨季より絞れてる印象。今季は気持ち新たに、強い覚悟でシーズン通し怪我なく臨んで欲しい

ウーゴも金曜のトレーニングからキレある動きを見せてます(前年比)いやまあ、昨季のこの時期が問題外の鈍重さだった訳ですが。ウーゴの課題はW杯中断期間、たぶんチームがミニキャンプやる際に「ちょっと国に帰ってくる」とか言い出して脂肪を土産に戻ってこないか

ローン移籍から復帰の和田昌士は、キャンプの練習試合でSB起用されたりプレシーズンマッチでもベンチ入りしなかったり、現状はトップ登録選手の中でも序列は最下層。でも厳しい競争は覚悟の上での復帰のハズ。絶対に腐らず強い気持ちで反発していって欲しい

練習試合 瓦斯戦1本目

FW 渓太、ウーゴ、仲川
MF 海夏、ダビ
MF 扇原
DF 下平、西山大雅、勇蔵、金井
GK 杉本大地

キャプテンマークは栗原勇蔵の左腕に

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練習試合も、相手陣内のボールに対しDFライン全員がハーフウェイを越えて行くハイライン。開始3分、2つ目のGKとの1対1で先制されてます。想定内

左サイドのコンビネーション、下平が外を回って渓太をフリーにさせて、そこから中央より左サイド寄りに入ってくる右SB金井に付ける。上手く成立すれば面白い

1本目19分、ハーフスペースに侵入し渓太からのパスを受けた吉尾海夏が獲得したPKをウーゴが決めて1ー1

20分に同点、25分にもハイプレスがハマりペナ前中央で奪いダビのゴール。3ー1

杉本大地は「危ない! 危ない!」言い過ぎw

1本目45分終了、横浜3ー1瓦斯。シュート10:4(枠内3:3、エリア内7:2)決定機4:3。CK&FK5:0。昨日と同様に背後を突かれ簡単に先制を許すも、15分以降はほぼ瓦斯陣内でゲームを展開、昨日とは違いPKが決まりw 追加点まで。惜しいクロス、敵陣でのセカンド回収から2次攻撃、流れの中からシュートも多し

まあ簡潔に言えば、クソ面白い

下平匠の偽SB適性、戦術理解は桁外れにハイレベル。ハーフスペース、ボランチの位置からの落ち着いたキープと配球、WGに預け外を回ってのクロス、絶妙なポジショニングと高さを生かしたセカンド回収率。被カウンタ対応でのスピードの無さを除けば、これ以上の適合性はないほどに戦術にマッチ。極上だ

右SB金井貢史も偽SB適性は高い――もともとポジションなどあって無きが如くフリーダムだからね。でも金井なりにチーム戦術の枠内でフリーダムさを発揮。下平との両偽SBセットはエンタメ性高く楽し過ぎるww ピッチ中央にパスコースがあんなに沢山! あとはムラっ気とクロス精度をなんとかすればだね

両SBがポゼッションに大きく関与し目立つ展開も、扇原もアンカとして地味ながらシンプルなボール叩きで貢献。ヘソとして抜群の安定感。ワンタッチで止めて、叩く。淀みなく無駄がない。昨日と今日の前半を見る限りにおいては、アンカーは扇原一択と言っていいと思うのだが

吉尾海夏や渓太も含め、昨日のプレシーズンマッチ以上に戦術適合性が高く、とてもが高くて超楽しい。まあプレッシャある公式戦で勝てるかと言えば、また別の話になるのですが

さて2本目。メンバ交代なし

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2本目4分、仲川輝人のパスをフリーで受けた遠藤渓太が左ペナ角からゴール右スミに流し込むコントロールショットを決めるが直後の5分、久保建英に決められて1ー1

ドッタバタで2本目もエンタメ性高し

2本目17分、仲川⇒椿直

椿直起が左、渓太が右WGへ

たぶん椿と同じタイミングで

ダビ⇒山田康太
西山⇒生駒仁

やっぱ山田康太、フィジカルコンタクト強くなってる♡

前半24分、エリア内抜け出した相手をCB生駒仁が後ろから倒してPK献上

2本目25分、PK決まって1ー2

2本目30分、海夏⇒和田昌士

昨日のプレシーズンマッチも、今日の練習試合も「前半は極端にハイライン&ハイプレス、後半は現実的なライン設定」という縛りかゲームプランでやってる気配あり

ウーゴ様のフィニッシュシーン以外でのポンコツっ振りは今季も健在! 今日もここまでほとんど仕事してません!

金井貢史とウーゴ様の2トップタイムです

2本目45分終了、横浜1ー2瓦斯。決定機5:9。トータル横浜4ー3瓦斯。決定機9:12。「スコア4ー3」「決定機9:12」うーん今季マリノス理想のスコアと展開&スタッツ! ドッキドキ☆バッタバタの極上で誰にも分かりやすいエンタテイメント

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小平まで足を運んだ沢山のマリノスサポータに挨拶。お疲れさまでした

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小難しい戦術論とか成功の可能性とかさて置いて、今季ボスが掲げる新しいマリノスのスタイル、アタッキングフットボールは「Brave and Challenging~勇猛果敢」のスローガンに偽りなく挑戦的で、楽しい! 是非ともチームと選手たちにも、この姿勢を貫いて欲しい

単純に分かりやすく楽しいです!

――凄く雑で個人的な願望でアレですが、今日の下平匠の偽SB振りがあまりにも極上だったから、来週の開幕戦は「左SB下平匠、左WG山中亮輔」ユンユンは決定打の出ない右インサイドハーフを会長と争うとかそんな形ではダメなんでしょうかねえ

アンカー扇原は、ポゼッションのヘソとしての適性としては間違いないんだけどたまーに守備がめっさ軽かったり、変な失い方(昨季のアウェイ鳥栖戦みたいな)あるのと、1試合&シーズン通しパフォーマンスにムラっ気あるのが難かしら。クラブの期待値的には完全なる主軸になってもらわないとですが

あと練習試合中は「いっそ下平匠左CBでいいんじゃないか」説が俺の中でムクムクと。被カウンタ対応? 対人守備の粘り強さ?

そこはそれ「ボールを失わなければいい」風間八宏イズムで

左WG遠藤渓太は、守備におけるコース限定しながら寄せて行く賢さ強さの進化が著しい。サイドでも内に絞っても、プレスバックでも貢献度大。ただ相手陣内に押し込む攻めの局面では、前方のスペースが昨季のオープン展開万歳スタイルより少ない中でも違いを出す工夫を。今日のクロス精度はポンコツ

インサイドハーフに入ったダビ・バブンスキは、凄くスカイセルフ。ある意味、金井様よりずっと感覚的つーか「自分のフィーリングでプレイやポジション選択する」んですよね。今日はそれがチーム内で良いアクセントになってたけど、もう少しタスク理解徹底しないと。だから昨季のエリクも扱いに困った

インサイドハーフ吉尾海夏。とにかく運動量と攻守の関与率がハンパない。だから何度も削られ倒されるし、多くのチャンスと決定機に絡む。PK奪取のハーフスペース侵入は真骨頂。半身で受けシンプルに叩く、海夏は無意識にできる。現行スタイルにおけるIH適性は非常に高い。あとは個の強さ、特別な武器

右WG仲川輝人。左サイドの機能性が高過ぎ、右SBの金井も中央またぎ左へ進出する中、テルは右で強かにチャンスを窺い狙う展開に。なかなか関与率を上げられず。右サイド相手陣内で上手くかっさらいエリアに仕掛けるシーンもあったが、また違うセットで見てみたい。…なかなか環境に恵まれないなあ