横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

★新春★【チームは前向きにチャレンジする姿勢を取り戻し、ここからビルドアップはシーズン後半にかけ目覚まし進歩を示す。柏や鹿島を相手に、自信持って自陣深くから繋ぎ前に運べる程に。指数変化を見ると、やはり中盤期に大きく積み上がった。 by 蒼井真理】 about エリク横浜3シーズンの総括(2)

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

★新春★エリク横浜3シーズンの総括シリーズ


◾️2017新体制 補強・チーム編成

蒼井真理(@aoi_mari)/2017年02月24日 - Twilog

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  • 2010/11以来、激震のオフ。パンゾーに始まりファビオ、哲也、兵藤が移籍。中村俊輔マリノスと決別
  • 扇原、松原健山中亮輔が加入。待望のCFにウーゴを獲得し、始動後にミロシュとダビも加入。5人の外国籍枠を開幕前にフルに埋めた

■エリク横浜3年目 2017シーズン

  • 基本布陣とリーグ出場時間
    FW ウーゴ
    MF 学、天野純マルティノス
    MF 扇原、喜田※
    DF 山中、ミロシュ、中澤、松原
    GK 飯倉

ボランチ先発は喜田20、扇原18、中町17と僅差。天野純も序盤中心に13先発

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  • 2017得点上位選手とスタッツ
    ウーゴ 10
    天野純  5
    マルティ 5
    前田直輝 4
    ダビド  3

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■2017リーグ戦総括

蒼井真理(@aoi_mari)/2017年12月31日 - Twilog

天皇杯ファイナル前夜、大晦日に書いたヤツな。3年目だから3シーズンの総括に直結する部分も大

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  • チームと監督が目指す「スピード・インテンシティ・ポゼッション」を体現する編成(4-2-3-1とポゼッションをベースに両サイドアタッカにストロングポイントを置く)
  • 方向性の明確な編成により「両翼頼み、後半のオープン適性大」「先制できればやたら強い」傾向は、更に強調

――3年目は記憶に新たな部分、3シーズン総括と被る部分も多いのでざっくり以上。

さあようやくエリク横浜3シーズン総括だよ。前振りが長すぎだよ

■「エリク横浜3シーズン総括」本論の本論

□エリクが植え付けようとしたプレイモデル(原則)と、その達成度

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「考え方としては2点。1つは、継続すべきポイントと改善ポイントを整理し、新監督選出の基本スペックとする。2012年以降積み上げてきたマリノスのスタイルを継続しながら、特に弱みである攻撃面を具体的に進化させる。そういうスキルや技術、経験を持つ監督を選んだ」嘉悦朗 2015

「もう1つは選出のプロセスを変える。サッカー界で成功しているモデルを参考にする。具体的には我々が提携しているCFGが持っているノウハウやネットワークを使い、より精度の高い人選をする」嘉悦朗 2015

上記がエリク就任時の嘉悦社長の会見コメント。以下が3シーズンの指揮を振り返ったエリクのコメント↓

「日本に独自のプレイスタイルを持つクラブは多くないが、我々は自分たちのプレイスタイルを確立する事を目的にやってきた。ワイドにアタッカを置き、有効に使っていく。その中でインテンシティを保ちダイナミズムを生み出す――徐々にチームに浸透し、最初の2年より良い戦いができた」エリク監督

「この3年間でチームは戦術的に成長した。我々にはコレクティブ(組織的)なプレイモデルがあり、それを試合で表現できるようにトレーニングしてきた。その結果、ポジショニングや、プレッシャの中でもビルドアップする事や集団でのパス回し、プレイスピードが向上したと思う」エリク監督

――より具体的に、エリクがマリノスに落とし込もうとしたプレイモデル、プレイ原則を再確認し、それを裏付けるコメントを引用してみたい

過去の連投の引用も多いが、重要な部分なので

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■エリク横浜 プレイ原則の再確認
  • 両WHにストロングポイントを置く
  • 奪ってから縦に早く相手の守備が整い切らない(ブロック形成しない)間に攻め崩す
  • プライオリティは「ウラ、前、縦、ワイド」
  • 「ポゼッションのためのポゼッション」の排除
  • 横パスやバックパス「やり直し」ポゼッションはウラやサイドのスペースを生み出すためにある

「攻撃における理想のスタイルは、我々がポゼッションして、プレッシャをかけられてもしっかりビルドアップし、チャンスやゴールにつなげる。ただし、日本でポゼッションと言うとボールを回しキープするというニュアンスで語られる事が多いが、それとは異なる」エリク監督

「我々は常に前に進む事を意識している。ポゼッションにより相手をあるゾーンに引き付けて、それによって空いたスペースに展開し、前に進む。狙いはそこにある」エリク監督

「重要なのはインテリジェンスを持ちポゼッションする事。相手の守備形態がどういう状況か、スペースは何処に空きそうか。それを瞬時に判断して行動する。繰り返しになるが、ポゼッションのためのポゼッションに意味はない。意図を持ちボールを運ばなければならない」エリク監督

◇攻めのプライオリティ

1.相手DFラインの背後(CFやWHのウラ抜け)
2.A:相手DFとMFの間(バイタル)で前を向く形
2.B:WHが前にスペースあり縦や内に仕掛ける形
3.↑何れかの形を作るためのポゼッション

1.極論、エリク横浜の理想は、アジアチャレンジ・バンコク戦の3点目「自陣の扇原からピンポイント・フィードにFW仲川輝人がDFラインのウラに抜け出しGKと1対1を決めた」ゴール。シンプルかつノーリスク。1本の縦パスでDFの背後を取れるなら、ビルドアップなど必要ない

あのフィードを出せるから扇原貴宏を獲得したし、CFには常に相手DFラインとの駆け引きが求められる。故に富樫敬真へのエリクの期待値は高いし、カイケやウーゴも「そういうプレイが得意」と見込んで獲得した

2.A:しかしゲーム序盤やタイスコア、ビハインド展開では相手DFラインも背後のスペースは慎重にケアしており簡単にウラは取れない。なのでCFが相手DFラインと駆け引きしてゴール方向に引っ張り、バイタルのスペースを作り出し、トップ下(インサイドハーフ)や内に絞ったWHが活用する

なのでCF(とトップ下の選手)は、自分がウラを取れる可能性は低くとも常に相手DFラインとの駆け引きを続け、ウラ抜けの動きだしは行わなければならない。それにより相手DFにラインの上げ下げ運動量、精神的な疲弊を強いる⇒ ゲーム終盤の間延びを生む効果も期待できる

2.B:エリクが好んで使う「サイドでスピードアップする攻め」という表現。ストロングである両WHの突破打開力の活用。学やマル、渓太が “前を向き自分の間合いで仕掛け相手DFに後手を踏ませられる” 展開。そこからの縦に深く抉ってのクロス、カットインからのシュート

それを導き出すために、中央3枚のMF(あるいはSB)には質の高いサイドチェンジや「飛ばすパス」が求められる。相手の守備ブロックをボールサイドに寄せ、一気に反対サイドでフリーのWHへ。両翼WHにはスピードと、最後の1枚を剥がしきる単独の突破打開力が強く求められる

「相手が高い位置でプレスをかけてくれば、その背後には必ず大きなスペースがあるから、ショートパスで繋ぐよりウラを狙った長いボールが効果的になる。相手が自陣でブロックを組めば、よりピッチ幅を意識し使ったボール回しをしてスペースを生み出す」エリク監督

3.自陣深くからのビルドやポゼッションは1と2の前提が容易に満たせない「相手が疲弊してないorビハインドで間延びしてない、自分たちのストロングを生かすスペースがない」展開で「1や2の局面を作り出すため」に行う。目的とプライオリティは不変で、ポゼッションはあくまで手法である

「選手の中には『日本のサッカーは欧州とは違うんだから、ハイプレスをかけたり、激しくデュエルを仕掛けたり、スピードに乗ってリズムよくプレイしていく必要などない。ボールをもっと回して緩急をつけ、相手を走らせていけばいい』という事を言ってくる人もいる」エリク監督

「確かに何事にもバランスが重要だ。しかし、そんなスタイルを今のサッカー界で追及していこうとすると、国際舞台で袋小路に陥ってしまう。日本は世界から取り残されてしまう」エリク監督

グアルディオラマリノスが所属しているCFGのボスの1人だし、パスを多用したサッカーをしている。でも私は、パスサッカーばかりに偏るのでなく、最適のバランスを見つけようと努めている」エリク監督

「それに何より、グアルディオラ自身はティキ・タカ(ショートパス至上主義)を推し進めた事など一度もない。彼が目指しているのはあくまでもゴールを奪う事であって、ポゼッションを高めたりボールを回す事ではないのだ」エリク監督

「パスをするのはディフェンスのシステムに穴を見つけ、そこからスピードに乗って激しく攻撃して行くためだ。必要以上にパスを回す必要など無いんだよ。私はマリノスと日本サッカーを愛すればこそ、世界のスタンダードを植え付けようとしている」エリク監督

――実際、2年目のリーグ戦も「先制した試合」11勝3分0敗と高い勝点率を記録。シーズン後半は特に「前半はグッダグダでも、ラスト15分の互いに間延びした展開では一方的にフルボッコ」展開が多く見られた。エリク横浜の攻めのスタイルとストロング、それが生きる展開は実に明白・明快

しかし「先制された試合」は2勝7分9敗と振るわず、先制した試合14試合に対し、先制された試合は18試合。つまりエリク横浜の(2年目終了時点での)課題は「如何に先制点を奪うか」「先制された際に引いてカウンタを狙う相手を如何に崩すか」ほぼ2点に集約される

そのために「未だ間延びしてない展開で、相手の疲弊や間延びを誘い」「自分たちのストロングを活用するためのスペースを生み出す」ためのポゼッションや効果的なサイドチェンジ、対角のフィードが求められる。そのための前季天皇杯の取り組み&オフの放出と補強であった

「質の高いポゼッションをするには3つのポイントがある。『ボールの動かし方』『選手のムーブメント』『適切なポジショニング』だ。Jリーグ全般において、3つ目のポジショニングに課題があるように思う」エリク監督

「(マイボール時、敵陣に)スペースが空いているのに、そこに味方の選手がいない・入り込まないから展開できないシーンが散見される。我々もその点は、これまで以上に意識して向上させていかねばならない」エリク監督

◇守備のプライオリティ

実に単純で、攻めのプライオリティの真逆になる

1.DFラインの背後を取らせない
2.DFとMFの間(バイタル)で前を向かせない
3.サイドで縦や内に仕掛ける形を作らせない
4.↑ための制限、サイドチェンジを出させない

「ただ人数を自陣に割いて守るのではなく、個々がインテリジェンスを持ち守備のプレイ原則をしっかり理解して、コレクティブな守備をしなければならない。例えばウラに抜け出そうとする相手選手を如何にコントロールするか、などが重要になる」エリク監督

「まず相手のパサー(ボールホルダ)に余裕と時間を与えないよう寄せるのが理想。もちろん常に寄せるのは不可能なので、相手が自由にプレイできそうなら、我々は組織を作り構えなければならない。そしてウラに抜け出してくる選手は必ずケアしなければならない」エリク監督

――上記の通り、エリクの示したプレイ原則は攻守に渡り非常にシンプルかつ合理的で、プライオリティ(優先順位)も明確。教科書どおり。その現代サッカーにおける「あたり前な」プレイ原則、プライオリティを「再確認し、習知徹底させる事」がマリノス監督就任におけるエリクの大きなタスクであった

■プレイ原則の習熟度、成否

掲げたプレイ原則をどれだけ習熟させ試合で表現できたか。その成否、達成度と「できなかったもの」と「その理由」について、エリクの証言も交えつつ考察したい。エリク横浜3シーズン総括、本論中の本論でもある

・相手のプレスを回避する自陣ビルド

これは就任1年目の序盤から取り組み、GKからCBを経由したショートパスを繋ぎ、相手を自陣に引き付けて背後の広大なスペースを活用しようとする意図は見られた⇒

⇒しかしチームには「ビルド&ポゼッションは引き落ちた俊輔を経由・依存する」体質が根強く、また後方の中心選手である中澤や勇蔵、GK哲也は足元で持ち繋ぐスキルや適性を欠いていた⇒

⇒GKを哲也から飯倉に、CBを勇蔵からファビオに変えていくなど緩やかなスタイル変更への取り組みはあったが、様々な理由から元の陣容に戻ったり、俊輔も離脱と復帰を繰り返す中で、エリク横浜1、2年目は本来目指す方向性に振り切り専念する環境は整わなかった⇒

⇒加えてコレクティブな自陣ビルド&ポゼッションを徹底できなかった背景には「1人でボールを運べてしまうアデミウソンマルティノス」の加入や、マリノスの取り組みを喝破し対戦相手がハイプレスの頻度や強度を高めた事など、複数の要素がある

だが2年目シーズン終盤に、チームは針を振り切る。天皇杯で「できもしない自陣ビルド」に拘り、自らピンチを招きながらも勝ち進む中で、次第に手応えを得て急速にビルドアップの質を高めていった

3年目、2017シーズンもその自陣ビルドに拘る姿勢を貫くが、序盤は昨季から一進二退。ビルドも、そこからの両翼への展開も工夫を欠いて実効性や結果に繋がらない試合も多く、手応え進捗は乏しかった

だが2017シーズン中盤、カピタン学の叱咤や青空ミーティング、ル杯でのBチームの躍進でチーム内競争が活性化。再びチームは前向きにチャレンジする姿勢を取り戻し、ここからビルドアップはシーズン後半にかけ目覚まし進歩を示す。柏や鹿島を相手に、自信持って自陣深くから繋ぎ前に運べる程に

「(2017年9月)現時点での評価は、ビルドアップはだいぶ良くなってきている。サイドからの仕掛けもそれなりに出来ているが、中央からの連動した崩しは更に精度を上げていきたい。フィニッシュの精度もまだまだ低いと見ている」エリク監督

・サイドからの仕掛け

1年目は左WHの学、後半は右WHに定着したアデミウソン、2年目以降はマルティノスと、スピードと打開力ある個が中心となりチームの強みは明確化。加えて3年目は天野純がハーフスペースで効果的に左サイドを活性化。学が警戒・対策される中での打開の一助となった

・敵陣ポゼッションと中央の崩し

残念ながら3シーズンでの進捗手応えは乏しい。引いた相手を崩せてないし、上位クラブ相手には敵陣に押し込み厚みある攻めもできなかった。ブロック内側、中央にパスを打ち込んでのコンビネーションもほとんど実践できていない

敵陣ポゼッション、中央の崩しに進捗乏しく攻撃のパターンが両翼に偏り、その結果として試合展開や勝ちパターンまで限定されてしまった背景も1つではない。しかし端的に言って「前線で収まるCFの不在」は極めて大きく、それを補完できるトップ下(及びインサイドハーフ)の適性や強度もなかった

⇒方向性に沿った補強も成されたが、前田直輝や遠藤渓太は十分な結果を出したとは言い難い。また「サイドでスピードアップした攻め」を導くための効果的なサイドチェンジやフィードも、3シーズンでの進捗は乏しく積み残した課題である

対戦相手やゲームプランによっても異なるが、基本エリク横浜は遅攻時、ボランチの一方はアンカとして中盤の底で散らし役となり、もう一方がトップ下と並び2人のインサイドハーフとなり中央に▼逆三角形を形成。CFを加えた3名のコンビネーションが中央の崩しの肝となる

しかしエリク横浜3シーズンにおいてボールが収まるターゲット型のCFは不在。インサイドハーフを務める俊輔、三門や喜田、中町、天野純の何れも「相手守備ブロック内側で動きながらボールを受ける」スキルや強さは不十分。どうしても「違いを生み出す」攻め崩しは、両翼WHに依存せざるを得なかった

「我々は攻撃における連動性、動きながらのコンビネーションを重視しているが、天野純はそれを最も理解している選手の1人だ。動き出しのタイミングが良く、状況判断も非常に優れている。今季は素晴らしい成長曲線を描いており、チームにとって重要な選手」エリク監督

「あともう少し、スプリントのスピードと敏捷性、パワーといったフィジカル面が伸びてくれば、天野純は更に多くのフィニッシュに絡めるようになるだろう」エリク監督

エリク横浜3年目にレギュラを掴んだ天野純にはブロック内側の隙間で半身受けて前を向くプレイ指向性はあるが、単独でやり切るパワーやクイックネスはない。そして彼の不足を補うCFのポストワーク、前線で守備者を引き付けたりタメを作る仕事も、残念ながらエリク横浜にはないまま終わった

……本当にウーゴがあの希有なゴールセンスそのままに、あと幾許か前線でタメ収めるスキルがあれば――あるいは天野純に単独で1枚剥がすパワーやクイックネスが、喜田がマイボール時にも貢献できる選手であれば。2017シーズンの布陣でも、もう少しリーグタイトルに迫れたのではないかと思う

・ドリブル回数 リーグ順位

2012  6位
2013  6位
2014 14位
2015  8位
2016  2位
2017  1位

学が復帰しドリブル打開は大きな武器になるも、マルキとドゥトラを失った2014は大きく減退。エリク横浜ではマルティノスの加入が決定打に

・ボール支配率 リーグ順位

2012 8位 51.3%
2013 2位 54.9%
2014 3位 54.7%
2015 4位 54.1%
2016 7位 51.7%
2017 9位 50.2%

↑ドリブル数とボール支配率、そのリーグ順位の変遷は、樋口体制とそれを引き継いだエリク横浜3シーズンの明確なスタイルの変化、攻撃の中心が俊輔から齋藤学(やマルティノス、両翼)に変わっていった様を如実に表している

2017シーズン自陣ポゼッション時のゴール率、シュート率ともにリーグ3位。ただ去なし繋ぐだけでない実効性。ドリブル使用率3位、空中戦使用率18位。およそイメージを裏切らない数値データが並ぶ。指数変化を見ると、やはり中盤期に大きく積み上がった

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2017シーズン敵陣ポゼッション時のゴール率15位。シュート率17位。なかなか絶望的。ドリブル使用率1位、コンビネーションプレイ率17位。学とマルを抑えられると完全に手詰まり、ブロック内側を攻略できない事実はデータも実証

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これも遅攻、ポゼッションが機能しななかった事を証明するデータ。2017シーズン(珍しく)ボール支配率の高かった上位6試合で勝利なし。「引いた相手を崩せない」エリク横浜の積み残した課題の最たるもの

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――以上がエリク横浜3シーズン攻撃パートのプレイモデル成否、達成度の考察。他に攻セットプレイとかあるけど冗長になるから省略。Football LABにはいろんなデータ落ちてるから、ヒマな人は検証してみると面白いよ。守備パートは、晩ご飯たべてから

◾️守備パートのプレイモデルの成否、達成度

――さてエリク横浜3シーズン総括「守備パートのプレイモデルの成否、達成度」この考察の大テーマの1つ

“樋口横浜の最大の強み、成果であった「ロストした瞬間、一歩前へ」「適切な選手の距離感」それに拠る「セカンド回収率と2次攻撃」「敵陣でのゲーム支配」は、なぜ継承されなかったか?”

  • 樋口監督とエリクに求められたタスク、監督としての志向や資質の微妙な差異
  • マリノスが伝統的に苦手とする「ピッチ上の判断、意識共有と修正」
  • J1基準と欧州基準の差異
  • エリク初戦の惨敗、ファーストインパク
  • 求められたタスク、志向や資質の微妙な差異

樋口監督
マリノスのスタイルの確立」
「攻守に能動的なサッカー」
「ブレないチーム作り」

エリク
「樋口横浜のベースを引き継ぎ」
「足りなかったものを埋める」
「世界のスタンダードを植え付ける」
「あたり前のプレイ原則の徹底」

樋口監督は、先ず「理想のスタイル在りき」で組織のフレーム(枠組み)重視。類型的に「組織を構築する建築家」タイプだが、パーツやディテールより「理想とするイメージ」とピッチに体現される現象が優先される。「勇気や躍動感、能動性」前に出る姿勢、距離感やセカンド回収率

【過渡期を迎えたチームが新たな時代を見据え、必要不可欠な要素を積み上げるための3年間だったとするならば、この悔しい試合も必要だったのかなと、今となっては思う。この先に結実の時が来ることを信じて。 by いた】 about [2017-天皇杯-決勝] 横浜 1 v 2 C大阪

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どうして勝てなかったのか、どうしたら勝つことが出来たのか。

未だに心の整理はつかないし、その答えがわかったとしても結果が変わることはない事実は重い。

ただ、残しておきたい。この一戦も糧となるはずだから。

その中で、3つの感じたこと。


正しきプランで埋めた力量差

2017年の対戦は0勝3敗。
前回対戦はホームで屈辱の1-4、その力量差は明らか。この結果をどのように受け止め、対峙するのか。

その答えは前回の試合後のエリクのコメントにあったと思う。

「ある時期から、自分たちの守備ラインが低くなりすぎて相手にスペースを与えてしまい、失点につながっています。アグレッシブさや集中力が足りなかったりというのがあると思います。
そしてセットプレーでは、予測や相手のマークに付いていくところが失点につながっていると思います。」

このコメントの通り、前回対戦時には、先制点を守ろうとする余り自陣に引きすぎたことで相手の攻勢を受け続け、最後には瓦解した。

その反省を受け、勇気をもって高い位置からプレッシャーを掛けるプランを携え、この一戦に臨んだように見えた。中盤を逆三角形にし、相手のボランチにプレッシャーが掛けやすくする微調整を行った上で、プレスバックの意識も徹底。ボールを奪えば外に張り出すマルティノス山中亮輔による高速トランジッションからのスペースランニングを軸にしたカウンターでスピードのミスマッチを活かす。

もちろん、全てがうまくいったわけではなく、御しきれず相手の圧力に押し込まれたり、攻撃移行時のチープなミスからロストし劣勢に回ることもあった。事実、最終的にはやられてしまった。しかし、少なくとも前回のようにサンドバックになる時間は大幅に減少、チャンスも攻撃頻度も前回対戦時以上に作り出した。付け加えればセットプレーも飯倉大樹を中心に粘り強く対応し、致命傷を受けることなく、120分凌ぎ切った。

正直なところ、ビハインドを背負った相手が前掛かりになりながらもバランスを失っていた後半立ち上がりに得た何度かのチャンスでもう一度ネットを揺らせていれば、賜杯は横浜の手にあったのかもしれない。

しかし、それは叶わなかった。それが今の現在地。

ともあれ、結果こそ得られなかったが、綿密かつ正しいプランを携えたことが勇戦に繋がった。それは改めて評価したい。


持ってない男

人生の中で幸運と不運の割合を総合的に見た時に、もしかしたら半々ぐらいになるのかもしれない。ただ、ここぞというときに幸運を掴む人と不運を呼び込んでしまう人がいるように思える。

エリク・モンバエルツはきっと後者なのだろう。この日もまた「持ってない」としか言いようがない不運が降りかかった。齋藤学の長期離脱後に左の推進力として欠かせない存在だった山中亮輔が負傷で途中交代を余儀なくされた。

天野純が直前に体調不良となり、コンディションが整わない状況でのプレーだったことも、その不運ぶりに拍車をかけていた。

考えてみれば、2017シーズンの中でも勝負所で負傷者が続出したことは彼にとってみれば災難だった。紆余曲折ありながらも着実に積み上げ、ようやく形になってきたところで、想定しようもない不運が折り重なる形で積み上げたものを失わざるを得なかった。そして、チーム力を維持できずに失速した。

たまたま、偶然、そういう見方もできる。しかし、ここぞ、そんなタイミングで不運が降りかかるのだから、「持ってる」「持ってない」で言ったら「持ってない」んだなぁとふと思ってしまった。

ただ、勘違いしてほしくない。

彼は、一つの時代を終えるタイミングでのソフトランディングと新たな時代の礎を築くというテイクオフのための下準備。そんな難しいタスクを見事にこなした素晴らしい指導者である。彼の指導によって、ビルドアップも、ワンタッチパスも、プレーへの関与意識や連続性も、幅を使った崩しも、カウンターも、トランジッションも、飛躍的によくなった。主戦級の選手も、クラブを離れることになった選手も、成長の跡が見て取れ、特に次世代を担う選手たちの成長は目を見張るものがあった。相手を分析する目にも優れ、その分析結果をチーム状況を鑑みつつ落とし込める手腕もあった。この難しい時期だったからこそ、この指導者が横浜と共に歩んでくれてよかったと心から思っている。

この3年間でもこれだけの災難に見舞われたのだから、エリクの今後に幸多からんことを願わずにはいられない。


勝戦の経験

ピッチに立ったからこそわかること。その独特の空気、高揚感や緊張感、通常とは異なる特別な舞台、それは経験しなければわからない。その経験は次の機会が訪れれば活かすことができるかも知れない。

ただ、負けた経験、自分のパフォーマンスを表現できなかった経験は決して意義がある訳じゃない。それは失敗体験でしかなく、次の機会に勝利を得る秘訣や普段通りにプレーする秘訣を得たわけではなく、もう一度トライする必要があるからだ。

体調不良の影響か、精神的な問題かはわからないけれど消極的なプレーセレクトに終始した天野純、ハイテンションなゲームに入り切れないままチームに貢献できなかった遠藤渓太、逞しいパフォーマンスだったにせよ小さなミスで試合を決める失点を招いてしまった松原健飯倉大樹…、この特別な舞台でなかったら、という気持ちは正直なところ、ある。

繰り返すけれど、意義がある訳じゃない。ただ、経験したことを忘れないでほしい。この経験が彼らをより大きくさせてくれる栄養になってくれるのなら、この敗戦の痛みや損失も決して高くない。

ここまで上り詰めたからこそ得れた糧。もう一度、一つずつ勝って、この舞台に戻ってこよう。そして、次の機会で、この糧があったからこそ、と笑って話せることを待っている。


最後に。

前回対戦の経緯を考えても、セレッソが強いのはわかっていたし、力の差があることもわかっていた。相性の悪さを鑑みた時に非常に厳しい試合になることを誰もが感じていたと思う。その中で勝つ可能性があるゲームが出来たことはひとつの進歩であり、シーズン終盤のスクランブルの時期に培ってきたことが形となった成果だとも感じたり。

それでも届かなかったのは今のチームの現実。それ以上でもそれ以下でもない。タイトルを獲れなかったのは、現時点で強いチームに対して優位性を持てる要素が余りに少なかったこと、試合を決める複数の選択肢を持てなかったことの結果だとも思う。

ただ、望もうと願おうと一足飛びにチームは強くならない。過渡期を迎えたチームが新たな時代を見据え、必要不可欠な要素を積み上げるための3年間だったとするならば、この悔しい試合も必要だったのかなと、今となっては思う。

この先に結実の時が来ることを信じて。ここが到達点じゃない。もっともっとやらなきゃいけない要素も沢山あるし、突き詰めなければいけない要素も沢山ある。間違えなく礎は築かれたからこそ、沢山の宿題を伸び代にして新たなステップに進んでほしい。

一丸となって進んできた2017年、皆で進んできたからこそ苦境を乗り越えられた、と思ってます。お疲れさまでした。今はしっかり休みましょう。

★新春★【こうして振り返ると、1年目の後半から2年目、3年目と「両翼頼み、後半のオープン適性大」「先制できればやたら強い」傾向は、強調の一途だったと改めて実感。それ以外の積み上げに、なかなか着手できなかった by 蒼井真理】 about エリク横浜3シーズンの総括(1)

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★新春★エリク横浜3シーズンの総括シリーズ


「エリク横浜3シーズンの総括」エリク・モンバエルツ監督がマリノスにおける3年間の任期で果たした仕事について、主観と偏見と閑話に満ちた考察を連投する

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より具体的にエリクの仕事と成果――年間の順位や勝点、得失点、採用したシステムや戦術構築、如何に選手を起用し成長を促したか――を振り返る前に、「監督の仕事」そのものについて考察する。前振りが長いのは芸風だから気にするな

クラブにおける監督の役割、仕事

まず大前提として、監督は「現場のボスであり現場における全責任と決定権を持つ総責任者」であるが、クラブレベルで見れば「中間管理職」である

クラブ、フロントから「与えられた限定的な環境」の中で「クラブの設定する指針、方向性に基づき」要求された「タスク(仕事、目標)」達成のために最善を尽くすのがサッカー監督の役割、仕事になる。クラブ全体で見れば役割も権限も限定的なもので、決して全てをコントロールできる神ではない

およそ凡ての監督には大なり小なり「こんなチームを作りたい指揮したい」という理想や志向、趣向はあるが、クラブには予算規模があり、その中で戦力維持や補強に使える「チーム人件費」も決まっている。それを左右するのはクラブの「経営努力」で、監督にできるのは結果で貢献する事だけだ

「監督は1人ひとり、このチームをどのように機能させたいか構想を持っている。来季に向けてクラブと立てる補強計画も、それを実現するため必要な選手を揃えるのが監督の立場からすれば一番の狙いになる」カルロ・アンチェロッティ

「とはいえ現実に監督がチーム作りのプロセスに責任者として参画する事は難しい。希望する選手リストを提出するし、少なくともどんなタイプの選手が必要かはクラブ首脳に伝えるが、最終的な権限はない。監督の要請が満たされる割合は50%といったところではないか」カルロ・アンチェロッティ

「それは最終的に、どの選手を売って誰を獲得するか左右する最も大きな要因が、監督のニーズではなく、クラブが持っている経済力だからだ。そのため監督は、クラブの運営状況について基礎的な知識がなければならないし、国内外の移籍情報にも通じていなければならない」カルロ・アンチェロッティ

――最終的にどのポジション、選手を放出し補強するか権限と責任はフロント、強化編成部(現マリノスならアイザック・ドルSD)にあり、監督の要求が全て通る訳でない。またクラブ財政状況を知り「買って買って! じゃないと勝てないよ!」と駄々こねず「欲しがりません勝つまでは」精神も求められる

かつてのサー・アレックス(ファーガソン/マンU)やベンゲルアーセナル)のように強い編成権を持つマネージャ・タイプの監督は、欧州にも稀な存在。日本でも西野朗岡田武史のような存在はあったが、現在は編成権と現場のトップ(監督)は切り離され分業がほとんどである

なんとすれば監督は「運が50%」という不確実性の高い試合の最前線で戦う現場指揮官であり、正しい補強や正しい指導が(短期的には)必ずしも正しい結果に結びつかないカオスなサッカー界で、時に「自分がクビを切られる」事で最後の貢献を果たさねばならない。司令部との兼任はリスクが高すぎる

「最終的な編成権はなく監督の要請が満たされる割合はせいぜい50%」の上に、就任1年目の監督は「ほぼ100%フロントに与えられた戦力」でチームをやり繰りして、クラブのタスク要求に応えていかなければならない。これは1年目のエリクも、来季のアンジェ・ポステコグルーも同様

来季へ向けたチーム編成「今季の評価と来季への補強」の構想と話し合い水面下のアプローチは、オフでもリーグ終盤でもなくシーズン半ば(Jリーグなら7、8月)にはスタートするからだ。でなければ市場における獲得合戦に出遅れ、予算に見合った効率的な補強はままならない

――これは就任1年目の監督の不自由さと同時に、シーズン終盤ギリギリで昇格を決めた(特にプレイオフ)クラブが翌シーズン苦しむ理由の説明でもある。昇降格、戦うステージが変わる事は編成、運営面に大きな負荷と火急の対応を要求する

よって「新監督の就任決定が遅過ぎる」「もっと早ければアンジェと話し合い補強が進められた」という批判は、妥当性に欠ける。11月でも12月でも編成作業的には今更であり大きな違いはない。学さんが批判したと一部報道もあったが、それは本当に「監督決定の遅さ」についてだったのかな…

…俺が学なら、よりチーム内で自分も生きて本気でリーグ優勝を狙うため思うなら「ちゃんと金を掛けて15点計算できてもう少し前線で収まるCFを獲得してマジで」と要求してるけどな…。そういうCFがいれば学自身の得点もアシストも増え評価も上がる。現状はWHに求められるものが大き過ぎる…

――また「エリク横浜3シーズン総括」から脱線してるっつーか本論にすら入ってないが、仕様だから気にすんな。そういう雑談、あれこれ足りなかったものも含めエリク横浜3シーズンだ

閑話休題。――クラブ、フロントの強化編成の決定において「単純なチーム戦力」の枠を超えた思惑が影響する事もある。「ファンの存在」「マーケティング、スポンサやメディアへの露出」「チーム内カースト影響力」 …つまりアイコン(象徴)やスター選手、バンディエラや生え抜きと呼ばれる存在

時にクラブ、チーム、メディアやファンに対し特別な(フロントや監督以上の)発言力や影響力を持つ選手が存在する。その扱いはフロントにも監督にも極めて難しく、慎重な対応が要求される。些細な思惑違いが、ファンやメディア、選手あるいはチーム全体の猛反発に繋がる事も。実に恐ろしい

そういった特別な存在、アイコンをフロントや監督が「支配しコントロールする」のは不可能に近い。コミュニケーションを密にし「あなたの敵ではない、あなたの価値を認め信頼してます」といった姿勢を伝え上手に付き合うか、バッサリと排除するかの二択。関係を拗らせ放置すると実に面倒な事になる

サカつく」ではない。シミュレーションゲームではなく機械でもない。感情を持った人と人の集団コミュニティで、クラブもチームも社会の縮図というより、社会そのものだ。一方で、プロの契約社会であり選手も監督も皆が、それぞれの技能を売り価値を高めようとする「個人事業主」特殊な業界でもある

詰まる所、監督は「ゼロベースから」チーム組織を、自分の理想通りに作り上げる事は不可能だ。目標タスクもクラブに要求されるもので自分で設定する事はできない。結果とプロセスを評価するのもフロントやファンやメディアであり、現場の総責任者で全ての結果に責任を負うが、権限は限定的である

選手を預かり、指導しチームを運営しシーズンを戦う中でも、監督はフロントやファンやメディア、そして何より選手たち――感情をもった自尊心の強いプロ選手と上手く付き合っていかねばならない。特に内外への影響力中心選手、ベテラン、アイコンの扱いは難しい

(だから昨日の敗戦後の会見でも、エリクは最後に中澤とサポータ、メディアに感謝の言葉を残したのです)

監督もフロントも、様々な理由から「ぼくが考える理想のスカッド(選手構成)」は構築できない。単純に全ての選手を入れ替えるのはコスト面から不可能で、複数年契約してしまっている選手もいる――昨季のジェフみたいな例は希有であり荒療治だ

どこまでも監督の仕事は「中間管理職」的であり、人とコミュニティのマネジメント能力も求められる。「単なる戦術オタク」では長く務まらない。20~30名の戦力は与えられたもので、ピッチに立たせられるのは11人。選ばれなかった選手は必ず不満やストレスを抱える

それでも監督は、在任中は与えられた環境(主として選手、現場スタッフ)について不満を公には口に出来ない。なんとすれば「現場のボス」であるため、仕事が上手くいかない理由を彼らに求めては現場の求心力を失い、チームのモチベーションは地に落ちる

…この辺は普通の会社の中間管理職、現場責任者と何ら変わらない。上から与えられた環境と人材で、与えられた目標達成のためベストを尽くすのみ。「コイツらじゃ無理ゲー」とか言った瞬間、上にも下にも見放される。「評価されてない信頼されてない」と感じた現場スタッフは、最低限の仕事しかしない

監督は孤独だ。不満があっても愚痴も言えない。一般社会の中間管理職以上に、サッカー監督には言える相手がいない。エリクが「我々には3シーズン、ストライカが不在だった」と言えたのも、退任が決まった3年目のシーズン終了間際だった

――だから世の監督にエリクに同情しろ、と言ってるのではない。「監督とはそういう仕事」なのだ。それを受け入れられないなら、やるべきではない。与えられた環境の中で、求められるタスクの達成度を少しでも高め、より良い結果を残すためにベストを尽くす。監督にはある種の「諦観」が不可欠

諦観、本質の見極め。ある種の諦め。環境や選手、結果に理想通りの100点満点を求めない。追求しベストを尽くすが、それを得られなかったからと大きく失望したり投げ出したりしない。理想通りいかない事、結果は結果として受け入れる――その上で、チームと選手への情熱を失わない

実にサッカー監督とは孤独で、因果な商売だ。環境はコントロールできない領域が多く、結果には全責任を負わされる。不確実性の高い競技故にチームの指導育成はプロセスが重要だが、それが振り返り評価されるのは「結果」が出た後だけ。成功者だけが、過程を振り返り評価してもらえる

この冗長な前振りで何が言いたいか

2015  7位
2016 10位
2017  5位

こんなリーグ戦の順位だけで、エリク横浜3シーズンの仕事を正しく振り返ることはできない、もっと見るべきものが沢山あるという事だ

  • どんな状況でチームを引き継いだか
  • その時の選手構成は、クラブ財政は
  • 前季までのチームの成績や課題は
  • 何があり、何が足りなかったか
  • クラブに求められたタスクは何か
  • チームに何を成し残したか
  • 一過性か、持続可能なものか
  • 有形のものと 無形のもの

リーグ戦の順位やカップ戦のタイトルの有無は1つの結果に過ぎない。もちろん監督とは、その「結果だけで評価され責任を負う」仕事だ。その事は否定しない。だが “その前後や内側” にも見るべきものは必ずある。監督がクラブとチームに残すものはあると、私は思う

――ここまでがエリク横浜3シーズン総括の壮大な前振りである。自分としても既にお腹一杯である。本論の下書きをこれから始めるが、雑で薄っぺらい内容に終わったり、あるいは何も連投されず新体制発表の日を迎えても「ああ面倒臭くなったんだな」と お察し下さい


小学生でも5分でわかる!マリノス経営危機とCFG提携まで
  • 2014年4月
    日産から10億円の特別利益計上

  • 2014年5月
    CFGとマリノス、日産が三者提携

  • 2014年11月
    樋口監督の退任リリース

  • 2014年12月
    エリク監督就任が基本合意

  • 2015年5月
    マリノスタウンからの移転リリース

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  • ところが2008年のリーマンショックで、再び日産の業績は悪化し赤字に転落。それ以前から業績伸び悩みもあった中、ジャブジャブ経営で赤字を垂れ流していた左伴社長は引責退任

  • 2007年途中から就任した齋藤社長は日産から「コストカット、身の丈経営」を託されます

  • 齋藤社長就任から2年で、マリノスの広告料収入は26億から13億に半減。DAZNマネーもビックリな減収

  • 日産の「赤字補填」は段階的に終了して基本は「相場に色を付けた胸スポンサ」という、本来プロクラブとしてはあたり前の関係に

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  • それでも齋藤社長の2007~09年、単年の収支はほぼトントン。つまり「身の丈経営」が大前提、広告料収入が減るのは就任時に織り込み済み

  • その分コストカット、チーム人件費も半減。加入するのは高卒選手ばかり⇒ 当然チームは万年中位に

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  • そんな中で経営と成績回復のための起爆剤として中村俊輔マリノス復帰計画。しかーし土壇場で頓挫。齋藤社長は厳しく責任を追求され体を壊し退任

  • 2009年途中に引き継いだのが我らが嘉悦社長でした

  • 嘉悦社長は「身の丈だけでは先細りするだけ」「強いマリノスを取り戻す」と方針転換

  • 左伴時代ほどでないにせよ、人件費を拡充し「強くなって動員と収入を増やす」投資を断行。当然の結果として、単年の赤字は積み上がります

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  • 嘉悦社長にとって計算外だったのはJリーグが、連続の赤字や債務超過を認めないクラブライセンスを導入した事

  • まず投資して「今は赤字でも強いチームを作り長期視野で負債は返す」目算が狂ってしまった

  • 更に大震災や長引く不況もあり動員や収入も、そして成績も思ったほど伸びていかない

  • 2012年決算は6億の赤字、債務超過16億円。14年以降、単年度の債務超過でライセンス剥奪――あと2年で去年6億の赤字だった経営を毎年8億の黒字に変えなければ

  • そんなの無理ゲー。嘉悦社長は日産と話し合い、翌年10億の特別利益計上を認めてもらいます

  • 日産もポンと10億を補填してくれた訳ではなく、嘉悦社長の就任以来の経営努力、今後の経営自立への青写真など総合的に評価しての事

  • その中には「マリノスタウンからの移転」「CFGとの提携」なども織り込まれていたハズ

  • 嘉悦さんは退任時の言葉通り、自立への道筋は付けていかれた

――CFGとの提携の背景や意味なんかは過去の連投↓を参照されたし

■まとまらない思いを箇条書き

蒼井真理(@aoi_mari)/2016年11月05日 - Twilog

■CFGと日産がマリノスに求めるもの

蒼井真理(@aoi_mari)/2017年02月12日 - Twilog


……本論のハズが、全然エリクの話が始まらねえ。仕様だ芸風だ言いつつウンザリしてきた

でもホント監督の仕事って「与えられた環境」の中でだから、クラブ財政や経緯も理解してないと評価しようがない。お金がないと持続的に強いチーム作るのは基本無理

そして今のマリノスは金満ではない

マリノスは2007年からこっち、一面的には世間の人が思うようなビッグクラブであるけれど経営的には今もってカツカツで、結構ギリギリなんだって事はファンの皆さんに理解しておいてもらいたい。今季からバクスタが指定席になり値上げされるのも、生暖かく受け入れてクラブに金を落として欲しい


「エリク横浜3シーズンの総括」本論

  • どんな状況でチームを引き継いだか
  • その時の選手構成は
  • 前季までのチームの成績や課題は
  • 何があり、何が足りなかったか

昨日の続きだよ! 今度こそエリクの話するよ(たぶん

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□ 樋口横浜3シーズンの成績

2014 勝点51 7位 14勝9分11敗 得37失29+8
2013 勝点62 2位 18勝8分 8敗 得49失31+18
2012 勝点53 4位 13勝14分7敗 得44失33+11

□ エリク就任前年2014シーズン
基本布陣とリーグ出場時間

FW 伊藤翔
MF 学、俊輔、藤本淳吾
MF 中町、小椋※
DF 下平、中澤、勇蔵、パンゾー
GK 哲也

ボランチは中町、小椋、富澤、兵藤の4人で流動的。兵藤は両SHでも起用

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2014得点上位選手とスタッツ

伊藤翔  8
齋藤学  4
ラフィ  4
中村俊輔 3
藤本淳吾 3
兵藤慎剛 3
栗原勇蔵 3

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  • 37得点は樋口&エリク体制6シーズン7得で最低の数値、リーグ13位。リーグ34戦で無得点試合が1/3以上の13試合
  • 失点29はリーグ最小、樋口体制3シーズンで毎年減らし続るも圧倒的な「課題はそこじゃない」感、閉塞感
  • 7月加入のラフィーニャが3試合連続ゴールも負傷、帰国
前季までのチームの課題は
  • 何があり、何が足りなかったか

2013チーム得点王、前線で収める&限定守備で16ゴール以上の貢献あったマルキーニョスが移籍した穴を全く埋め切れず。DFラインに限らず、全体の距離感や守備への切り替えも良好。堅守ベースで中位も、絶望的に得点力が不足

攻撃回数2位、インターセプト数1位、タックル数2位。ボール支配率3位

2014シーズン樋口3年目は「全体の距離感を適切に保ちゾーンを押し上げ、ロストした瞬間の切り替えとセカンド回収率を高める」「より相手陣内でゲームを進める」目指した方向性のバランス、完成度は高まっていた

しかし前線の核であったマルキを失い、後に少しずつ適応していく伊藤翔も1トップCFタイプではなかった。トップ下の俊輔はFWを追い越すプレイは不得手、前年は「左ペナ角崩し」の主役であった学もマルキとドゥトラのお膳立てを失い、打開する型を新たに構築するため再び悩みの森へ

――方向性は明確でベテラン中堅も円熟期。完成度は高まるもCF不在、それを補い打開する個も組織もない。ゴールが絶望的に足らず、シュート打てず、チャンス構築できない

絶対的なCFを獲得するか、組織を(主に攻め崩しの部分で)再構築する≒監督交代か。強い閉塞感があったのは間違いない

□樋口体制3シーズン総括

蒼井真理(@aoi_mari)/2014年11月10日 - Twilog

□樋口退任からエリク就任まで

蒼井真理(@aoi_mari)/2015年01月02日 - Twilog

とんでもなくヒマな人でなければ読み返す必要はありません


――よし! ようやくエリク就任1年目2015シーズンにたどり着いたよ

■2015新体制 補強・チーム編成

蒼井真理(@aoi_mari)/2015年01月18日 - Twilog

↑この連投はエリク横浜3シーズン序章の振り返りとして、後半の「人格分裂漫談」含め悪くないのでサラッと目を通して欲しい

面倒な人のためにポイント部分をキャプ引用

  • 2015チーム世代構成

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  • 2015 IN&OUT

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即戦力補強ゼロ! 前年リーグ13位の37得点、無得点試合が13試合なのにCF獲得せず! ラフィーニャのフル稼動に期待! そんなエリク就任1年目

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■クラブに求められたタスク
  • 得点力、チャンス構築力の向上
    「守備はできてるから得点力たのむ」でもCF獲得せず! ラフィの復活に期待しつつ新監督に丸投げ!

  • 樋口体制ベースの引き継ぎ活用
    継続性が大事! 補強費ないし、既存の戦力と戦術フルに使って上積みよろしく!

明文化しない裏タスク的には

  • CFG提携を今後フル活用していくため現場全領域で(戦術もトレーニングも選手の評価も)欧州トレンド、手法を徐々に取り入れベース構築
  • 世代交代への準備、若手の育成

樋口3年間かなりレギュラ固定、即戦力補強の金もない。自前で若手を戦力化したい

  • 脱・俊輔&中澤依存

コレはあったか。ないかなあ。2010年末のアレがトラウマになってた嘉悦さんとしては、頭の隅にあり続けた懸案事項だったハズ

でもエリクに直接どうこうしてくれってのはなかったかなあ…。逆に「俊輔をちゃんと大事に使ってあげて」ってお願いはあったかもね

□2015シーズン開幕前の選手評

蒼井真理(@aoi_mari)/2015年03月07日 - Twilog

こういうヤツは毎年書き残すべきだと思うのです。思うのですが


■エリク横浜1年目 2015シーズン
基本布陣とリーグ出場時間

FW 伊藤翔
MF 学、俊輔、アデミウソン
MF 喜田、三門
DF 下平、ファビオ、中澤、パンゾー
GK 飯倉

※アデはCFやトップ下、三門もトップ下10試合先発

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  • 俊輔が開幕前に手術。スタメン復帰は2ndの1節から。最初の4試合はボランチ起用も後にトップ下に
  • アデミウソンが2月に加入。2節から出場し俊輔不在の穴を埋める活躍
  • 喜田と三門がエリクに重用され飛躍的に出場機会を増やす
  • 飯倉が哲也から、ファビオが勇蔵からレギュラ奪取
  • シーズン序盤は俊輔不在、トップ下には喜田や三門、アデミウソンを起用
  • 樋口時代からの大きな変化として「中央3枚はインテンシティ重視」4ー2ー3ー1より 4ー3ー3に近いイメージ
  • シーズン序盤は序列に大きな変化なく、少しずつ違うポジション、選手を試し独自色
  • 2nd9節 浦和戦、俊輔は問答無用の超絶パフォーマンス示し、トップ下に復権
  • トップ下にインテンシティ型を置いた 4ー3ー3に近いスタイルは放棄
  • シーズン後半は「右WHアデ、左WH学の両翼がゴリゴリ運ぶ」が基軸。後のエリク横浜ベースが構築される
2015得点上位選手とスタッツ

アデミ  8
齋藤学  7
伊藤翔  6
ファビオ 4
三門雄大 4
中村俊輔 3
藤本淳吾 3

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■2014⇒ 2015 比較

得点:
37⇒ 45(リーグ13位⇒6位)
シュート:
13.0⇒13.8(リーグ12位⇒6位)

課題だった得点力とチャンス構築力が大きく向上! ほとんどアデミウソン効果だが――上手く彼をチームに落とし込んだ

アデミウソンと学の2人で、チーム総シュート数の 37%を占める。決定率はアレですが

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  • エリク横浜1年目の後半には「両翼WHがゴリゴリ運んでビルド&ポゼッション省略」「チャンス構築もお任せ」「ロングカウンタ、オープン適性大」の型を構築
  • 一方で俊輔が復権し「流れの中で点に絡まないトップ下」「前線で収まり15点計算できるCF不在」の問題は棚置きのまま

――以下、2015リーグ最終戦後のエリク会見コメントを引用

『今シーズンやって来た事、その積み上げが出たゲームだった。特にプレイの連続性。遅攻からボールを失っても、すぐに奪い返す部分は出せた。これは来季にもつながると思う。だが相手の下がったブロックに対し、“取り切る” 力を付けないと、リーグでトップ争いをする事はできない』エリク監督

『もちろん、この点を取る――引いた相手から “取り切る” という部分を改善するのは、とても難しい事。しかし、ここが必要な(今のマリノスに足りない)部分だ』エリク監督

『客観的に見て、今シーズン我々を苦しめたのは、“ラフィーニャが年間を通してメンバにいない事” だった。FW、ストライカとして多くの役割と責任が伊藤翔だけに掛かった。両サイドのアデミウソンと学は、もう少し取れたと思うが、このポジションでは十分な得点数を挙げてくれた』エリク監督

『やはり、ラフィーニャの負傷離脱が大きかった。2ndステージは、ほとんど試合に出る事ができてない。確かに富樫敬真も決定的なゴールを(ホーム瓦斯戦で)決めてくれたが、FW陣の競争が今シーズンは少なかった。来季は、この部分も必要になる』エリク監督

就任1年目の終わりから既にエリク「CFなんとかしろ マジたのむ」言ってたね…

攻撃回数 2位⇒11位
インターセプト数 1位⇒ 8位
タックル数 2位⇒ 9位

  • 樋口時代の「奪った瞬間、一歩前へ」を戒め「内を閉めろ背後を取らせるな」を徹底した結果、敵陣でのボール奪取、セカンド回収率、2次攻撃は大きく低下。前体制との特徴的な大きな変化に

この守備面、ネガティブ・トランジションの変化「樋口体制に積み上げた最大の強みが継承されなかった」問題については、3シーズントータルの総括で改めて触れる。…エリクも「やらせない」つもりは決して無かったんだよなあ

――以上、2015エリク横浜1年目の振り返りでした。このシーズンは総括サボってる。オフは2ヶ月以上あったのに

でも3年間を終えた今、改めて1年目を振り返ると新たな気付きがあるね。「問題の本質はずっと変わってない」「今に至る問題の萌芽が既に」とか、そういった類の気付きだけど

■2016新体制 補強・チーム編成

蒼井真理(@aoi_mari)/2016年02月27日 - Twilog

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  • 前年の得点力、チャンス構築力↑に多大なる貢献を果たし、ビルド&ポゼッション省略可能とする「ゴリゴリ運ぶドリブル」で戦術的にも存在意義の大きかったアデミウソンが吹田にしがらみ移籍
  • CF補強またしてもゼロ! 即戦力補強は前田直輝金井貢史と超ビミョー
  • ラフィーニャが開幕前にまたまた負傷、全治6ヶ月の長期離脱
  • 長谷川スピード社長はスピーディに外国籍選手の補強に動き、迅速にFWカイケを4年契約で獲得!

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4年4億 カイケ様のオマケで、キュラソー代表の格安選手も獲得してきたよー

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■エリク横浜2年目 2016シーズン
基本布陣とリーグ出場時間

FW カイケ
MF 学、俊輔、マルティノス
MF 喜田、中町
DF 金井、ファビオ、中澤、パンゾー
GK 哲也

CF伊藤翔、左SB下平も一定数先発。俊輔はスタメン17試合、不在時は2トップ採用も

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2016得点上位選手とスタッツ

齋藤学 10
中町公祐 6
伊藤翔  5
富樫敬真 5
マルティ 4
カイケ  4
中村俊輔 3

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■2014⇒ 2015⇒ 2016 比較

得点:
37⇒ 45⇒ 53(13位⇒6位⇒5位)
シュート:
13.0⇒13.8⇒13.7(12位⇒6位⇒5位)

アデが移籍、カイケ素行不良も、学がエースとして覚醒し終盤に爆発。中町と敬真も望外のゴール数、2年連続で得点数+8

□2014⇒ 2015⇒ 2016

ドリブル数:
 14位⇒ 8位⇒ 2位
攻撃回数:
 2位⇒ 11位⇒ 11位
ボール支配率
 3位⇒ 4位⇒ 7位

樋口3年目からエリク2年目、スタイルとチームの強み、攻撃の中心選手の変化を如実に示すデータ

チームの中心は、俊輔から学へ

■2016リーグ戦総括

蒼井真理(@aoi_mari)/2017年01月03日 - Twilog

こうして振り返ると、1年目の後半から2年目、3年目と「両翼頼み、後半のオープン適性大」「先制できればやたら強い」傾向は、強調の一途だったと改めて実感。それ以外の積み上げに、なかなか着手できなかった

  • 俊輔がリーグ戦の半分不在。いるといないでサッカーの質が大きく変わってしまい、攻守に継続的で方向性ある積み上げが困難
  • カイケはフィットしないまま素行不良で謹慎。CFを固定できず、2トップのテストも中途半端に
  • シーズン終盤ようやく自陣ビルドに着手し天皇杯で一定の手応え

★新春★【タイトルの夢が潰えた終盤戦も、柏戦の前半は今季ベストの内容であったと思うし、学の長期離脱を受けた吹田戦の渓太の決勝ゴールは感無量で1人バクスタでさめざめ泣いた。首位鹿島戦の勝利も含め、3年目のエリク横浜、2017マリノスは最後まで投げ出さず、前を向き続けてくれた。私は誇らしく思う by 蒼井真理】 about 2017シーズンのリーグ戦総括

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

エリク横浜のラストゲーム、元日決勝の前夜大晦日に『2017シーズンのリーグ戦総括』を連投*1

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  • 蒼井真理
    • 【基礎的なデータ】
      • ◾前半戦 10勝2分5敗 得22失14+8 勝点32
      • ◾後半戦 7勝6分4敗 得23失22+1 勝点27
      • ◾通年
      • ◾️単純な勝敗データからの総括
    • 【2017シーズンを3つの時期に分ける】
      • ◾序盤 1~12節
      • ◾中盤 13~24節
      • ◾終盤 25~32節
    • 【直近6シーズンの比較(エリク&樋口体制)】
    • 【2017得点パターンと前年比】
      • ◾ゴール
      • ◾2016得点上位4選手
      • ◾シュート本数と決定率
      • ◾決勝ゴール
      • ◾アシスト
      • ◾ラストパス
      • ◾スルーパスと成功率
      • ◾クロスと成功率
      • ◾ドリブルと成功率
      • ◾敵陣空中戦と勝率
      • ◾自陣空中戦と勝率

【基礎的なデータ】

17勝8分9敗 得45失36+9 勝点59 5位

優勝した川崎と勝点13差。ACL圏3位C大阪と4差。4位以内DAZNマネーも獲得ならず

45得点はリーグ8位
36失点はリーグ5位
得失点差+9はリーグ7位

◾前半戦 10勝2分5敗 得22失14+8 勝点32
  • 先制できた試合○○△○○○△○○○○○
  • 先制された試合●●●●●
  • スコアレス試合なし

先制した試合は10勝2分、先制されると全敗。昨季から続く「先制点次第」な傾向は強調。8~10節に3連敗、13~17節に5連勝

◾後半戦 7勝6分4敗 得23失22+1 勝点27
  • 先制できた試合△△○○○○△○○●●△○
  • 先制された試合●●△
  • スコアレス試合△

先制した試合は7勝4分2敗。昨季から続く「先制すれば無敗」記録が終盤に途絶えて連続逆転負け。先制した試合そのものは、前半戦より多かった

◾通年
  • 先制できた試合 17勝6分2敗
  • 先制された試合 0勝1分7敗
  • スコアレス試合 1分

先制された試合は8戦勝ち無しだが「先制できた試合」を昨季の14から25試合に大きく伸ばして総勝点と順位を上げた。一方で目標に届かなかった原因は後半戦の先制できた試合での取りこぼし

◾️単純な勝敗データからの総括

昨季は先制できた試合が14戦無敗、先制された試合が18試合。昨季総括で「先制できる試合を増やしたい」「0ー0展開を主体的にコントロールしたい」と書いたが、その通り先制した試合を25試合と大幅増、勝ちパターンを確立した事が中盤戦の無敗期間に繋がる


【2017シーズンを3つの時期に分ける】

  • 序盤 1~12節
    「若さ勢い好発進も壁に直面し模索」
  • 中盤 13~24節
    「先制勝ちパターン構築し無敗街道」
  • 終盤 25~32節
    「頂に挑むも敗れて負傷者も続出」

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*1:本記事は、2017/12/31の投稿内容となります

続きを読む

【徹底的に相手に合わせて対応する采配で勝負に徹するような試合をしてもいい。こだわるべきは結果。勝負師ではないエリクだけど、勝つための采配というのを見てみたい。 by いた】 about プレビュー of [2017-天皇杯-準決] 横浜 v 柏

f:id:harukazepc:20170419104133p:plainいた

【再掲】【明日は天皇杯準決勝】

hamatra match preview 011:問われるのは、ビハインドメンタリティ。 〜 【2017 明治安田生命 J1リーグ 第26節】 vs 柏レイソル - Web Magazine hamatra http://www.webmagazine-hamatra.com/entry/2017/09/15/120000
www.webmagazine-hamatra.com

【再掲】【第26節柏戦レビュー】【明日は天皇杯準決勝】

2017.9.16|いた|note(ノート) https://note.mu/itaruru/n/n804c3eb913be
blog.yokohama-tactics.com


3週間の空白の後の天皇杯準決勝。

勢いや流れといった線は一度途切れているといっていい。

選手はオフを経て心身ともにリフレッシュした状態のはず。不安要素は「試合勘」「試合体力」。

また、相手を分析し、策を落とし込む時間もあっただけにスペシャルカスタマイズがあったとしても驚きではない。

前回対戦では積極的なプレスと左サイドのコンビネーションで圧力を掛けて優位性を保った前半は今季1、2といっていいほど素晴らしい内容。

しかし、後半は柏がビルドアップの構成を変化させたことで柏が優位に。押し込まれ、最後は劇的なFKに沈む。

両監督の采配も含め、見ごたえ抜群の好試合。

その前の日立台での試合は柏の試合。

柏の強烈なプレッシングに横浜の攻撃は地盤から瓦解、ほとんどサッカーにならず。

怪我明けの齋藤学は小池龍太に封殺され、左サイド偏重の横浜は完全に手詰まり。ゲームの流れそのままに柏が加点し、柏としては完勝。

これらのゲームを例に考えれば…

  • ゲームの趨勢を決める攻撃構築制限。日産のリピートか、日立台のリピートか。(+采配・配置の頭脳戦)
  • 齋藤学不在によるキーサイドのパワーバランスの変化
  • キーマンの攻防、山中亮輔×伊東純也から下平匠×伊東純也となることで生まれる"スピード"のミスマッチ
  • マルちゃんのコンディション(ロングカウンター、アイソレーションプランの鍵)
  • 柏の前線の組み合わせ(クリスティアーノ、伊東純也、ハモン・ロペス+1は誰になるのかでプランが透けて見える)
  • 中断挟んだ試合で余り成績が出ていない横浜の試合の入り方。

個人的な願望として。

就任1年目、日立台でやった柏戦、喜田拓也をトップ下に置き、大谷秀和に対してマンマークに近い形で起点潰しを敢行して相手のリズムを壊した試合を鮮明に覚えている
三門雄大サイドバック配置転換からの2アシストによる逆転勝利

多くとも2試合、期間にして1週間。長期的な視野に立つような状況でもないだけに、徹底的に相手に合わせて対応する采配で勝負に徹するような試合をしてもいい。タイトルのための最後の2試合、こだわるべきは結果。

勝負師ではないエリクだけど、勝つための采配というのを見てみたい。