横濱戦術四天王(仮)~マリノスの戦術を読み解く〜

横浜が誇る戦術四天王による、横浜F・マリノスについてのつぶやきをまとめます。 ちなみに、あと2人がみつかりません。

【進歩を示し、勇敢に戦ったことの価値が落ちるわけではない。そして、まだまだ改善の余地はある。 by いた】 about [2017-J1-26] 横浜 1 v 1 柏

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柏戦の記録。

ショックを振り払い、強者に対して勇敢なプランニングを立て、勇気をもって遂行した。

しかし、勝ち切れなかった。判定、相手のクオリティ、そして抱える戦力の幅、様々な要素の複合的な結果。

いいゲームだったけど結果だけが残念、そんな複雑な気持ち。


前半

ほとんど相手に何もさせずに圧倒した前半。そのパフォーマンスはパーフェクトに近いものだった。

その要因は二つ。

〇最前線からの連動したプレッシング

正直なところ、これだけ高い位置からプレスを敢行するとは思わなかった。

前半を耐え、後半の勝負所でエネルギーを懸けるプランニングで結果を残してきたチームであること、そもそもプレッシングというプランをあまり提示していなかったこと、何より前回対戦時に苦しめられた相手のプレッシングへの対応に目が行っていたこと、新鮮な驚きではあった。

そして、そのプレスが機能したことは更なる驚きでもあった。富樫敬真天野純が深い位置からでもディフェンスラインにアプローチを掛け、後方が連動して押し上げる。落ちる相手にも追随し、プレスの抜け道を作らない。柏は明らかに戸惑いを見せ、ボールを捨てるシーンさえあった。

機能した要因は、各選手がリスクを恐れず眼前の選手を捕まえに行く共通理解があったこと。繋ぐために落ちる選手にも追随してプレッシャーを掛けるシーンを見ても、そこにリスクに伴う逡巡は感じられなかった。タフなタスクを全員で遂行したからこその機能性。

勇気ある前進を示した横浜は、こうして試合の主導権を握ることに成功した。

〇"Y・M・A"による左サイドのコンビネーション

ボールを奪えば、左サイドのコンビネーションが機能してチャンスを作り出す。タッチライン際に速いパスを展開してポイントを作り、ハイサイド齋藤学が仕掛けをちらつかせて警戒を集める。その間隙を縫い、外を山中亮介が、内を天野純が走り抜けることで相手の裏を突く。齋藤学の仕掛け、二人のランニング、3つの選択肢を突きつけられると相手は絞り切れない。結果、この形で何度となくチャンスを作りだした。

特に古巣対戦となった山中亮介は出色の出来。タッチライン際でボールを引き出して齋藤学への供給源となりつつ、何本も左サイドを疾走してオーバーラップを仕掛ける。齋藤学が内側のレーンに走る天野純を使うことが多かったため、空走りとなることも多かったが、そのランニングの質はスピード、タイミング共に抜群。前半終了間際にはエンドライン際に切れ込み齋藤学に、後半にはカウンターからのクロスでマルティノスに決定機を提供、ラストパスの質も伴っていた。

また、攻撃性を示したことで伊東純也を守備に奔走させ、本来持ち得るクオリティを出させなかったことを考えると彼の仕事はチームに大きなメリットをもたらした。

そして、充実の左サイドから齋藤学の待望の初ゴールが生み出された。山中亮介のクロスボールのこぼれ球を拾うと、右足インスイングで日本代表・中村航輔も届かないファーサイドに突き刺したビューティフルゴール。このゴールの他にも3つの決定機に絡み、違いを見せつけた。ようやくのエースのお目覚め、この時を待っていた。

これだけ勇敢に、勇気をもってプレー出来たことはこのチームの大きな成長の証。

前を向く、切り替える、言葉にするのは簡単ではあるけれど、ショックを受け、恐怖心や不安を抱えながらも、その全てを振り払い、ピッチの中で表現することは簡単ではないと思うから。

前半のパフォーマンスには諸手を上げて賞賛したい。


後半

充実の前半が横浜の時間だとしたら、後半は柏の時間だった。

その一つのファクターは、主導権を握っていた要因となっていたプレッシングを抑え、低いゾーンでブロックを組む形に切り替えたこと。アドバンテージを奪ったことで現実的なプランに切り替えたのか、柏の勢いを警戒したのか(ハーフタイムのタイミングで武富を投入し、キム・ボギョンボランチに落として攻撃性を高めた)、それとも選手たちの判断なのか、その答えは分からないけれど、後半は柏の攻撃を凌ぐ時間帯が多くなっていく。

柏がボールを握り、横浜の4-4のブロックを切り崩しにかかる、が、守れないチームではない。先発起用されたパク・ジョンスは素晴らしい集中力も保ち、中澤佑二と共に身体を張り続けたし、大きな穴を空けるシーンも少なかった。相手の高いクオリティによって作られたピンチも飯倉大樹の素晴らしいセーブで凌いでみせた。

そして、機を見てカウンターを仕掛ける。山中亮介のアグレッシブな姿勢は後半も衰えず、マルティノスの決定機を演出し、その他にも中町公佑がインターセプトからチャンスを作り出すなど、矛は収めてはいなかった。しかし、75分を境に選手たちに疲労の色が見え始める。前半のハードワークの影響もあるし、雨という気候的要因もあるのかもしれない。

再び訪れる苦しい時間帯、選手を入れ替え、フレッシュな選手の運動量をもってチームを助けたかったはず。しかし、逃げ切りを図る状況下において、運動量の補てん、及び各ポジションに課される守備タスクをきっちりこなせる選手がベンチにはいない。そんな思考が透けてみえたのが富樫敬真から喜田拓也へのスイッチ。

守備タスクや献身性に関してはムラのあるウーゴ・ヴィエイラを使うのは怖さがある、だからこそ天野純を前にあげて喜田拓也を使ったのではないだろうか。天野純と共に高い位置でパスコースを切りつつ、時には低い位置に落ちて危機察知能力とボール奪取能力を活かし扇原貴宏・中町公佑を助けるという意図もあったはず。

しかし、結果としてその策は報われなかった。矛を収めてでも守り切る、そんなスクランブルな守備的布陣を敷きながら、逃げ切りに失敗し、勝ち点3を得るには至らなかった。

トップに前から追う守備タスクと前で収めて時間を作る選手を置けることが出来たなら相手の攻撃頻度を下げることも可能だったかもしれないし、序盤からコンタクトプレーで倒されることも多く、かなり疲弊していたアタッカーのところに一枚でもフレッシュな駒が置けたなら…全てはたらればではあるけれど、現実的に横浜のベンチにその駒はなかった、というのがエリク・モンバエルツの下した評価ということになるのだろう。

メンタルをリフレッシュさせ、勇敢なプランを講じて好パフォーマンスを引き出したエリク・モンバエルツの唯一の失策は、アタッカー陣が疲弊した状態でのクロージングプランを用意できなかったことかもしれない。

(後で映像で見返すと、ボールが離れたところでうまく身体を入れたように見えたけど、ね…コンタクトが激しく、相手が倒れたことの印象が強かったのかな)


勝戦線生き残りを賭けた一戦で、悔恨のドロー。

が、進歩を示し、勇敢に戦ったことの価値が落ちるわけではない。そして、まだまだ改善の余地はある。戦略的な幅を広げ、より逞しく、強いチームになることは意義のあること。

で、J1 200試合出場&2017年リーグ戦初ゴールおめでとう、まな!

「ここから乗っていけるかは俺次第」、って言葉、信じてます。貯まった"ゴールマイレージ"放出祭!

【プレスを掻い潜る、という準備に対しての「目的」の欠如。相手の出来が良かった。相手の質に屈する形で瓦解した。 by いた】 about [2017-J1-25] 横浜 0 v 3 川崎

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完敗の記録。頭の整理も兼ねて。

明治安田生命 J1リーグ 第25節
川崎フロンターレ 3-0 横浜F・マリノス @ 等々力陸上競技場
得点者:14'大島僚太 57'小林悠 75'家長昭博

試合記録

www.jleague.jp


試合の印象

〇相対的な要素
  • 川崎のネガティブトランジッションが、横浜のポジティブトランジッションを上回る。
    →試合を決定づける大きな要因。川崎の出足、収縮、強度、バランスは抜群。大島僚太セカンドボール回収とイーブンボールでのデュエル勝率の高さは出色の出来。
    横浜はその圧力に屈しミスを犯し、意図したはずのカウンターチャンスを作り出せず。結果として守勢に回らされる時間が長くなり、苦しい展開になった。

  • 川崎のポゼッションに対して、横浜のディフェンスは奪いどころを見いだせず。
    →「焦れない」という言葉が川崎の選手から出ていた通り、無理に中央に侵入せず、ボールを握る時間でも冷静にポジションバランスを崩さずにゲームを運んだ。リードして更にその傾向は顕著に。
    横浜は待ち受けつつ、中央で網に掛けたい意図を持っていたものの、相手がそのゾーンでの攻撃を回避したことで狙い通りに事は運ばず。時間帯によっては奪えないことに焦れ、散発的な守備になることも。完全に後手に回った。

  • 川崎の激しい球際、速いアプローチに正確なプレー、クオリティの高いプレーを維持できず。
    →球際での強度や速いアプローチには川崎の選手たちのモチベーションの高さが表れていた感。粘り強く対応し、横浜のストロングポイントである齋藤学マルティノスに対しても高い確率でボールを奪いとり、抑え込んだ。
    試合をする上で負けてはいけないところで負けてしまった横浜。チャンスを作ったシーンもあったが、全般的にミスも多く、仕掛けの成功率も低かった。これでは勝てない。

  • 決めるか決めないか
    →凄く端的に。
    大島僚太小林悠家長昭博が機を逃さず決めきった川崎、決めるべきシーンで決めきれず、やり切れなかった横浜。これが綺麗にスコアに反映された。
    ①左サイドマルティノスの高速グラウンダークロス→ウーゴ・ヴィエイラのスライディングシュート(キーパー正面、不運…)
    ②ラインブレイクしてボックス内に侵入するも山中亮輔のラストパスはカット(打ってよかった…打てるんだから…)
    ③相手のクリアが甘くなったところ、天野純の強烈なシュートは僅かに逸れる(大島僚太は決めたね)
    全部決まってれば3-3、サッカーってそういうものだけど。


〇主体的な要素
  • 先制点に繋がるミロシュ・デゲネクのクリアミス

  • スライディングで奪うも、マイボールにしきれずにロストしてしまった松原健の判断ミス

  • ミロシュ・デゲネクの雑かつ緩い浮き球のパスを狙われ、扇原貴宏もボールを隠し切れずロストしたミス
    →これだけ致命的なミスを低い位置で犯せば、失点に繋がる。彼らだけの責任ではないにせよ、自分たちでゲームを壊した。

  • プレスを掻い潜る、という準備に対しての「目的」の欠如
    →川崎がロスト後に強いプレスを掛けてくることはスカウティングできていたし、そのためのプレス回避を準備していたはずだけど、残念ながら回避することは出来なかった。それ以上に奪った瞬間にスムーズな攻撃移行が出来なかったことはこのゲームの苦戦の大きな要因。相手のプレスを外す、だけになっていなかったか。外した上で「前に運ぶ」、「ポイントを作る」、それが出来なかった。奪った瞬間、スムーズにボールが前に入ったシーンは片手で足りるほど。周辺状況もあるので一概には言えないにせよ、マイボールにするために後ろを向く、戻すということに大きな価値はない。攻撃を遅滞させるプレー。
    プランニングを具現化できなかった。

  • クオリティ低いセットプレーのボール
    こういう苦しい試合だからこそ、ここでチャンスを作りたかったけど、7~8回のセットプレーのチャンスでいいボールが入ったのが1~2回、というのは寂しい。大きくズレるボールもあっただけに修正が必要。


前回対戦時の反省も踏まえ、相手の意図とストロングポイントを把握し、良い準備をしてきたこと。その上で、選手たちが素晴らしいパフォーマンスをしたこと。川崎の出来は素晴らしく、ほぼパーフェクトな試合をしたと思う。

鋭いネガティブトランジッション、プレーへの反応、ボールサイドへのシビアな寄せ、球際の執着、単純な一つ一つのプレー精度、相手の致命的なミスを逃さずに仕留める決定力…欠けるものは何一つなかった。

特に大島僚太の存在感と仕事の質は凄まじかった。
クリアボールを正確に仕留めた先制点は試合の趨勢を決める大仕事。ポゼッションでゲームをコントロールしつつ、ポジショニングバランスに気を遣い、素早い反応によるセカンドボールの回収や仕掛けに対してのデュエルに勝つことで、相手のカウンターの芽を摘み続けたこと。鮮烈な出来。

彼らは勝利に値するパフォーマンスを示した。


相手の出来が良かった。相手の質に屈する形で瓦解した。個としても、組織としても、試合に対してのモチベーションにしても、全て上回られた。これは認めなければならないし、受け入れなければならない。

大一番として臨んだ試合での完敗のダメージは決して小さくない。ただ、これが現実。この試合で至らなかった要素はすべて今後高めていかなければならない課題であることにも違いない。

  • 高い位置から圧力を掛けてくる相手に対しての対処
  • チームとしてスムーズな攻撃移行をするための術
  • プラン通りに進まなかった時の軌道修正と意思統一
  • プレッシャーが掛かる中での技術精度の維持
  • より速いトランジッションと頭の切り替え
    …etc

上げればきりがないけど、取り組まなければ前進はない。これからもう一度顔を上げて、前向きに取り組んでチームとしての質を上げていく。出来ることはそれだけ。

この試合ですべてが決まる訳じゃない、試合は続く。もう一度、みんなでやっていこう。


はっきりいって、凄く落ちる。 個人的に思い入れが非常に強い相手、この試合だけは絶対に勝ちたかった。だからこそ、これだけコテンパンにやられたことのショックは大きい。身を投げたいぐらい。

ただ、今年やり返す機会は恐らくない(天皇杯はあるのか…)
この苦々しい試合の借りは来年にしか返せない。
来年、絶対やり返す。

この思いは一度心の奥底にしまっておいて、目の前のことを、という感じで切り替えていくしかないですね。

頭の整理は出来た、そんな簡単に切り替えられるものではないけれど、次に目を向けないと、ですね。

【昨季より「チームの勝利」のため考える事も、周囲にプレイで示すべき事も増えた。でももう少し、自分の閃きや感覚を信じてあげてもいいんじゃないかしら by 蒼井真理】 about "カピタン" 齋藤学

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

――主にマリノスのNo.10絶対エースにしてカピタンの齋藤学さんへ。最近すごく自陣担当サイドの守備を頑張ってますね。川崎戦の備忘録でも触れた「今のチームが勝つための勝ちパターン」的にも「やらなきゃいけない」という責任感が増しているのも解ります。攻め残りが一層少なくなった

ただチーム全体トータルの攻守リスク&リターンはそれで改善されているのでしょうか? 直近3、4試合の得点数や決定機、チャンス構築数は減少傾向で、チームは「得点があまり期待できないから尚更失点できない⇒攻めにリスクを掛けられない⇒得点力が更に低下する」ループにハマりつつあります

確かに「得点に絡めないなら守備を必死で頑張る貢献もある」とは言いました。でもそれはあくまで「どうも今日は足にボールが付かない」とか「抜ききるイメージが閃かない」試合に限った話であり、守備に追われ攻めの比率を下げる齋藤学など、相手をラクにさせ利するだけです

中澤佑二が「今季の俺はビルドアップの意欲と実効性を凄く向上させたから、対人対応やシュートブロックはそこそこでも」なんて言うでしょうか? 積み上げた強みの衰えは最小限に抑え更なる進化を見せ39歳にしてキャリアハイかと思わせる鬼神の働きには妥協や言い訳は微塵も感じません

ゴールがないから、その分もアシストと守備で貢献する。チームの勝利が最優先。ウーゴがもう少し得点パターンが豊富な万能型のストライカなら、それでも良かったのかもしれません。でもそうではない。今のマリノスはセットプレイ含め得点の逆算が極めて乏しく、少しずつジリ貧な状況にある

もっと相手の脅威となる攻めの太い柱と幅と厚み、打開するパワーが必要で、今のマリノスマルティノスの少し気紛れな個の打開に依存しがちです。対戦相手はマルティノスと同等以上に齋藤学を警戒し脅威に感じているのに、その事をフルに活用できていないように感じます

もう少し、昨季の齋藤学がそうしたように感覚的に「ここは攻め残っても大丈夫」「攻め残れば次に大きなチャンスがくる」と感じたら、大胆に攻め残ってもいいと思います。やってはいるけど、その頻度を上げてもいいんじゃないかと

昨季の特に後半の齋藤学は「来季は欧州に行く」と決めて、チームのリスク&リターン効率より自分が直接ゴールに絡む効率を優先させた。目的は単純で、それに必死だった。その結果の10ゴール8アシスト。リーグで最も打開できる怖いドリブラになった

今季はマリノスに残り10番を自ら希望して背負いカピタンにも指名され、昨季より「チームの勝利」のため考える事も、周囲にプレイで示すべき事も増えた。それはよく解るしプレイからも伝わります。ただ今の少しずつジリ貧なチーム状況で、齋藤学に求められるプレイは何なのか

単純に客観的なリスク&リターンの収支を考えても、攻め残りと守備に奔走する比率は今の値が適正でしょうか? 相手に脅威を与え、敵味方のメンタルに与える影響は? チャンス構築力が下がれば、チームの意識は更に守備に傾く。川崎戦だけでなく、ここ数試合の傾向も然り

何度となく指摘してきたことですが、齋藤学はもっと自分の感覚、閃きや天才性を信じ身を委ねてもいいと思うのです。自分は思考と試行を積み上げる努力型、端戸仁とは違う――果たしてそうなのでしょうか

本当の天才とは端戸のように意外性ケレン味あるプレイをする選手ではなく、人とは違う景色が見える選手、人にはできないプレイができてしまう選手だと思います。例えば 2人、3人の守備者の先にドリブルコースが見える。そこを実際に抜き切ってしまえる選手

「そんな簡単じゃねーよ俺だっていろいろ考えて工夫して試行錯誤してやってんだよ」と言われるかもしれませんが、対面DFを2人、3人ブチ抜くなんてのは中澤佑二にはたぶんプレイだけでなくイメージすることもできない。特別な選手にしか想像も許されないプレイなんです

サイドの守備も、そんなにチーム&ゲームプラン通りでなくとも齋藤学は以前から「ここは絶対」な局面はそれを察知して長い距離でも戻り埋めてチームを助けていました。敵味方にとって危険なスペース、タイミングを察知する感覚は思考するより早く機能して身体を動かしている

思考と試行錯誤を積み上げる、自分の感覚や天才性に身を委ねないクソ真面目な性格も、それも齋藤学の特徴であり良さであり、それ故に迷いの森に入ったり遠回りしてしまうのも齋藤学の「らしさ」でありサガかもしれません。でももう少し、自分の閃きや感覚を信じてあげてもいいんじゃないかしら

あるいは欲、ですか。W杯で日本を勝たせる選手になるために、もう一度A代表に呼ばれるために、日本一のドリブラだと認めさせるために――もう少しプレイを先鋭化させて、より直接ゴールに絡むためゴールに近い場所で、ゴールに向かうプレイを増やしてもいいのではないでしょうか

単純に今のマリノスが置かれたチーム状況からも、リスク&リターン効率からも、それは決してマイナスになる選択ではないと思うのですが。新加入選手たちの守備意識や責任感も、シーズン序盤に比べ大きく向上しています。今のチームに足りないものは何でしょうか?

攻め残りを増やす事で、それが理由で失点し負ける試合が1つ増えても、2つ勝利が増えるなら収支は大きなプラスです。まあサッカーはそんな単純な計算が成り立つものではありませんが、もう少し周りの選手たちとその成長を信じて頼ってもよいのではないでしょうか

「俺は攻め残る。守備には穴や数的不利が生まれるかもしれないが、その分必ず得点に絡むプレイをするから、ここは我慢して守って奪って俺にパスをくれ」そんな信頼が、時と場合によってはあってもいいんじゃないかしら。その頻度をもう少し高めてもいいと思います

ズルい話をするならば、スタンドの小中学生や、ピッチサイドのボールボーイは齋藤学の守備に期待して見ているでしょうか? ドリブルで2人、3人とブチ抜きゴールを決める齋藤学を見て「僕も将来あんなプロサッカー選手になりたい」と思うのではないかしら?

百歩譲ってアウェイはいいです。でも日産スタジアムのホームゲームでは、ガンガン対面のDFにドリブル突破を仕掛ける齋藤学を、2人、3人とブチ抜きゴールを決める齋藤学を見せてあげてください。決して誰にでもできる事ではない。それは「齋藤学だからできる」プレイです。できます。絶対できます

齋藤学に2人、3人ブチ抜くプレイが1つ出れば、あとは勝手に相手がビビって引いて受けに回るし、他の選手は空いて攻めの選択肢は拡充する。山中と松原の守備を信じてもっと大胆に攻め残れ! アイツらあんだけカピタンをイジってきたんだからw きっと責任取ってケツ拭いてくれるよ♡

周りを助けるだけじゃなく、周りを信じて頼り任せ責任を与えるのも、カピタンの大事な仕事ですよ

【加茂周氏なくして現在のマリノスは無い。マリノスの父であり母。 by 蒼井真理】 about 加茂周氏の日本サッカー殿堂入り

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

元日本代表監督・加茂周氏が日本サッカー殿堂掲額式典に出席

http://dlvr.it/Pm6RXQ

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加茂周氏はマリノスにとってのサー・アレックスあるいはそれ以上の存在。ファギーマンUで成した礎と栄光の構築、それに等しい事を加茂周はその10年以上前に日産自動車サッカー部で総てやっている。単なる監督の枠を超えた偉大なるマネージャにして組織と環境の構築者、卓越したスカウトでもあった

加茂周氏なくして現在のマリノスは無い。マリノスの父であり母。「岡ちゃんの前に解任された元代表監督」「解説で放送事故ギリギリ沈黙したり “青の10番は巧いねえ” とか言うお爺ちゃん」「…誰っスかそれ」とかいうマリノスファンは、とりあえず『モダンサッカーへの挑戦』を読め! 写経しろ

【いや全然強がりでなく、アウェイ川崎戦0ー3はそんな凹んでないっスよ。昨日のマリノスはこんなもんだ。でも次のマリノスはきっとこんなもんじゃない。もっと強くなれると信じてる by 蒼井真理】 about [2017-J1-25] 横浜 0 v 3 川崎

f:id:harukazepc:20170419105933p:plain蒼井真理

2017リーグもあと10試合。
首位鹿島と勝点5差。2位マリノス勝点47。3位の川崎が勝点46。
高みに挑む資格はあるのか、積み上げた力は本物か。

問われ試される大一番アウェイ川崎戦。キックオフ1時間前に等々力に到着

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アウェイ川崎戦のスタメン

FW ウーゴ
MF 学、天野純マルティノス
MF 扇原、喜田
DF 山中亮輔、ミロシュ、中澤、松原健
GK 飯倉

SUB:杉本大地、朴正洙、金井、中町、イッペイ、前田直輝、敬真

ウーゴ先発。秘密兵器イッペイくんが公式戦初のメンバ入り

負傷離脱者は勇蔵と吉尾海夏の2名。どちらも遠からず全体練習に復帰できそうな様子で、このシーズン終盤もレギュラクラスに怪我人、長期離脱者がないのは幸い。この順位にいられる理由の1つでもあろう

扇原は累積3枚でリーチだから黄紙に気をつけて!

バックSS指定前売り4600円。ゾーン指定のSAで早めに来るのも面倒なので中央のSSで。メインも高さ変わんないし

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キックオフ1時間前のアウェイ側マリノスゴール裏。密集ギチギチ

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「川崎は攻撃面のクオリティが高く、新加入の阿部は狭いスペースで速い動きを加え、家長はコンビネーションに新たな要素をもたらした。だがスタイルは変わっていない。ポゼッションは川崎のほうが高い力を持っていると思うが、必ずしもポゼッションできたから試合に勝てる訳ではない」エリク監督

「相手にスペースを与えないようインテリジェンスを持って対応しなければいけない。背後のスペースを小林や阿部がダイアゴナルに狙ってくる。大事なのはスペースを消してコンビネーションを出させないこと。中盤3人の働きが重要で、相手に応じたポジショニングも必要になってくる」エリク監督

「ホームでの対戦は川崎に対するゲーム内容としてはパーフェクトだった。今度は前回より高いインテンシティで戦い、川崎が守備をする時間を増やしたい。だが重要なのは勝利することであり戦い方や内容そのものではない。試合は勝つためにやるものだ」エリク監督

『重要なのは勝利することであり戦い方や内容そのものではない。試合は勝つためにやるものだ』

やだ…ステキ。名将エリク!

「とにかく先に点を取られないことが大事。我慢して守りながらも、自分たちには学とマルちゃんがいてカウンタという武器があることを忘れずやりたい。強いチームと対戦して自分たちの立ち位置が分かる。優勝を意識するのはまだ早い。川崎に勝つことで大きな目標に少しずつ近づいていける」中澤佑二

「僕の予想ですけど、たぶん学が2点くらい取りますよ。学のゴールに期待してください。僕はしっかり耐えて守ります」中澤佑二

「学は期待するとあまり良い結果が出ないから、自分はあえて期待しないで期待する(苦笑)」飯倉大樹

――期待しないよ信頼してるんだ。…と言いつつもシーズン終盤の立ち位置と展開を決める大一番だからこそ絶対エースのゴールが欲しい。学は今季3点だけでいいんだ。今日の川崎戦とホーム鹿島戦、そしてタイトルを決める試合。3つの決勝ゴールだけでいい

「これから強い相手と対戦して、我慢できるかチャンスを決め切れるか、勝ち切れるか。臆せず戦えるか楽しみ。ホームで対戦した時より相手の完成度は上がっている。その川崎に対しどこまでやれるか。あとは自分が仕留めればいいだけ。ここで勝てれば、本当の意味で上位に行く資格がある」齋藤学

アウェイ川崎戦の注目ポイント

  • どんだけボール握られるのか
  • マリノスの時間帯も作れるのか
  • ホーム2ー0の時とは別モノ
  • 違和感でしかなかった家長も
  • かなりフィットしつつある
  • この川崎に勝つ事に意味がある
  • 連続無失点記録もかかるけど
  • たぶん勝利には複数得点が必要

「この先、上の順位にいられるか難しくなるのか。この一戦で決まると言ってもおかしくない試合。このゲームをモノにできればいろいろな事が、優勝争い以外のことも見えてくる相手だと思う。押し込まれるかもしれないけど、割り切って戦える。受け身になるのではなく意思統一して戦う」喜田拓也

「試合に出るチャンスをもらえたらインパクトを残したい。ただ出場するだけでなく何かやりたい。最後の5分だけでも、もらったチャンスの中で結果を残さなければ。熱いゲームになるのは間違いないので、責任を持ってプレイしたい」イッペイシノヅカ

フィールドプレイヤがアップ開始

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大一番にかけるマリノスゴール裏の一体感と声量、音圧は誇らしい

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サブ組ロンドの朴正洙がすごく明るい良い笑顔

イッペイくんのコールはイッペイシノヅカでなく、篠塚一平なんだね

椿鬼奴の始球式。ああ今日は普通のメイクなんだね。そしてなぜBon Jovi

このユルいテンションからもう一度気持ちを作り直すのが難しいマリノスゴール裏ww 惑わされるな川崎劇場のペースに! アゲて行こう

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アウェイ側2階ゴール裏の後列も立ち見でギッシリ

アウェイ川崎戦のゴール裏トリコロール・コレオ

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この等々力でこの川崎に勝って、前に進もう。強い相手だからこそ、今のマリノスの強さと今季ここまでの積み上げを示し倒し踏みつけて前に進もう

アウェイ川崎戦、間もなくキックオフ!

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スタートはマルティノスが左、学が右サイド

前半14分、ミロシュのクロスクリアがエリア内の大島僚太に渡ってしまいフリーでのシュートを許し川崎が先制。厳しいが、不運と割り切りやる事は変わらない。変えない

今季もここまで先制された試合は全敗。だからこそ今まさに試されている。高みを目指す資格はあるのか? 超えて行こう

1つ注目は、この先制点で川崎の振る舞いが変化するのか、しないのか

扇原のとんでもない自陣ミスからの被決定機、飯倉がビッグセーブで試合が壊れるのを阻止。ギリギリの対応

こんなに守備を頑張るウーゴは初めて

ちょっとみんな必死過ぎるな。余裕がない。食いつき過ぎだし

こんなに守備を頑張るウーゴは(2度目

ただ必ずしも良いことばかりでもない

前半35分経過してマリノスは未だシュート0本

前半38分、マルティノスのアーリクロスにニアてウーゴ! GKチョン・ソンリョンがブロック。ファーストシュートが決定機。1つの形

後半43分、マリノスに1つめのセットプレイ


前半終了、横浜0ー1川崎。シュート2:4(枠内1:3、エリア内1:2)決定機1:2。CK&FK1:5。最初の被決定機、しかも不運なクリアミスで失点は痛恨だが、複数得点が必要なのは覚悟の上。後半25分まではこのペース、このスコアでも構わない。最後の20分に全てを凝縮できるかが肝

事故の1失点は有り得る。ここまでが幸運で出来過ぎだっただけ。自力で乗り越えて行こう。先制された試合で勝ててなくとも、開幕戦はそれより厳しい展開をもう一度ひっくり返した。逆転勝利の経験はあるのだ。自信を持ってチャレンジし続けよう

先制されて以降、扇原からチャレンジの縦パス、キーパスは出始めている。受け手の準備イメージする力。3人目までシンクロできればビルド⇒ポゼッションからでも崩し取り切れる。川崎の守備圧力も、今季良くなってはいるけど個々にムラがある。味方と自分自身を信じてチャレンジすることが大事

さあ後半。試されている。超えて行こう

pic.twitter.com


後半12分、絶対に与えてはダメな追加点。些細なミスや緩みの連載。失点する時はこんなもの、だけどこの試合で2つ出るかねえ…

まだ2人目までの関係だけ。3人目が連動してこないと崩せない

後半17分、後半のマリノスファーストシュートは学の仕掛けのパスこぼれ球にエリア内の天野純。決定機2つ目。何気に決定機2:3で 0ー2なんスよね。まあコレもサッカーですけど

ウーゴにドリブルをさせてはダメだあ

後半25分、喜田⇒中町公祐

CKのタイミングで会長投入

後半20分過ぎからセットプレイが続く流れ、攻勢の5分間も獲り切れず

後半30分、3失点目は中村憲剛から家長昭博、鮮やか

後半31分、扇原⇒富樫敬真

このスコアで4枚目の警告を貰う意味は何もない。とても現実的な交代

決定機 2:4で0ー3。これもサッカーと割り切るだけだ。そういう事もある。よりによって今日じゃなくてもいいじゃないかと思うけれど、それもサッカーだ

複数得点が必要な展開での2トップ、4ー4ー2は手応えを得られると1つの収穫になる。手ぶらでは帰りたくないな

こんなに守備を頑張るウーゴは(3度目


試合終了、横浜0ー3川崎。トータル決定機2:5。両者にスコア程の差はないが、完敗。問題は3失点でなく、早い時間に先制され複数得点が必要な試合で前後半シュート6本、2決定機の攻撃力。攻め崩し奪い切る力。絶対的に足りないものを認め、また前へ

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後半30分までに被決定機4で3失点。ミスや緩み、相手の強さもあるが不運もある。なかなかそこまではヤラれない。それで此処まできた。でもこういう試合も――先制される事もある。複数得点が必要な試合は絶対ある。その強さを試され、まだ足りなかった。タイトルを口にする資格はまだ無かった

このタイミングでこの大一番での0ー3は必然だと思いたい。ずっとずっと無失点で、常に前半を耐えて後半先制して――それを続けるのは不可能だ。もっと主体的に、0ー0の前半や0ー1のスコアを動かしていく力が必要。全然足りない。足りないものは伸びシロだ。次に進もう。進むしかない

全然凹まないな今日の試合では。0ー3なまじ惜敗ですらないのが良い。スコア程の差はないが、タイトルを狙うには明確に足りないものがある事を再確認し、それは受け入れるしかない。これが現在地。被決定機数を見ても守備は別に崩壊してない。足りなかったものは明らかだ。さあまた積み上げて行こう!

夜の等々力から新丸子まで迷子にならずたどり着けるかが、アウェイ川崎戦

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